「イヤホンを抜いたのに、iPhoneの画面にヘッドホンマークが表示されたまま消えない」「音が出なくなった」という経験はありませんか?
iPhoneの画面右上に表示されるヘッドホンマーク(ヘッドフォンアイコン)は、通常はイヤホンやヘッドホンを接続している時に表示されるものです。しかし、何も接続していないのにマークが消えないと、スピーカーから音が出なくなり、通話も着信音も聞こえなくなってしまいます。
この記事では、iPhoneのヘッドホンマークが消えない原因と、実際に効果のある解決方法を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
iPhoneのヘッドホンマークとは?

ヘッドホンマークの意味
iPhoneの画面右上(または左上)に表示されるヘッドホンマークは、音声出力先が外部オーディオ機器に設定されていることを示すアイコンです。
通常の表示タイミング:
- 有線イヤホン・ヘッドホンを接続した時
- Bluetoothイヤホン(AirPodsなど)とペアリングした時
- Bluetooth対応のスピーカーと接続した時
このマークが表示されている間は、iPhoneのスピーカーからは音が出ず、接続されているイヤホンやヘッドホンから音が出力されます。
ヘッドホン通知との違い
ヘッドホンマークとは別に、iPhoneには「ヘッドフォン通知」という機能があります。
ヘッドフォン通知とは:
- 長時間、大音量で音楽を聴いている時に表示される警告
- 聴覚保護のための機能
- 7日間の累計オーディオ曝露量が推奨限度に達すると通知される
この通知は、設定アプリ→「サウンドと触覚」→「ヘッドフォンの安全性」でオン・オフを切り替えられます(国や地域によっては変更できない場合があります)。
本記事で扱うのは、画面右上に常時表示される「ヘッドホンマーク(アイコン)」の方です。
ヘッドホンマークが消えない主な原因
イヤホンを接続していないのにヘッドホンマークが消えない場合、以下のような原因が考えられます。
1. ハードウェアの問題
端子内の異物混入
- ホコリ、糸くず、ポケットの中のゴミなどが充電端子やイヤホンジャックに詰まっている
- 端子が異物を感知して、イヤホンが接続されていると誤認識
水濡れ・湿気
- 充電端子やイヤホンジャック内部に水分が残っている
- 湿気によって端子が導通し、イヤホン接続と誤認識
- 汗、雨、洗面所での使用などが原因になることも
端子の接点不良・劣化
- 長年の使用による金属端子の酸化や摩耗
- イヤホンの抜き差しを雑に行うことで端子が変形
- 物理的な破損
2. ソフトウェアの問題
一時的なシステムエラー
- iOSの一時的なバグや不具合
- アプリとの競合
iOSのバグ
- 特定のiOSバージョンに存在する既知の不具合
- アップデートで解消されることが多い
3. Bluetooth接続の問題
Bluetoothデバイスとの誤接続
- 過去に接続したBluetoothイヤホンやスピーカーと意図せず接続されている
- 接続を解除したつもりでも、バックグラウンドで繋がっている
ペアリング情報の不具合
- Bluetooth接続の設定情報が正しく更新されていない
ヘッドホンマークを消す方法|段階的な対処法
以下の方法を順番に試していきましょう。簡単な方法から順に並べています。
方法1:イヤホンの抜き差しをする
最も簡単で効果的な方法です。iPhoneが接続状態をリセットすることで、マークが消えることがあります。
手順:
- イヤホンまたはヘッドホンを接続する
- 数秒間待つ
- ゆっくりと抜く
- ボリュームボタンを押して、マークが消えたか確認
ポイント:
- 抜き差しは7〜8回繰り返すと効果的
- イヤホンジャックの奥までしっかり差し込んでから抜く
- 急いで抜かず、ゆっくり引き抜く
方法2:Bluetooth接続を確認・解除する
Bluetoothイヤホンと意図せず接続されている可能性があります。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「Bluetooth」をタップ
- 接続されているデバイスを確認
- 不要な接続がある場合、デバイス名の右にある「i」アイコンをタップ
- 「接続解除」または「このデバイスの登録を解除」をタップ
確認方法:
- 音楽を再生して、スピーカーから音が出るか確認
- ボリュームボタンを押して、「ヘッドホン」表記が消えたか確認
方法3:iPhoneを再起動する
一時的なソフトウェアの不具合は、再起動で解消されることが多いです。
iPhone 8以降の再起動方法:
- 音量上ボタンを押してすぐに放す
- 音量下ボタンを押してすぐに放す
- サイドボタンを長押し
- Appleロゴが表示されたら、ボタンを放す
iPhone 7/7 Plusの再起動方法:
- 音量下ボタンとスリープボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されたら、ボタンを放す
iPhone 6s以前の再起動方法:
- ホームボタンとスリープボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されたら、ボタンを放す
注意:
通常の電源オフ→電源オンではなく、「強制再起動」を行うとより効果的です。
方法4:音声出力先を手動で変更する
コントロールセンターから、音声出力先を手動でiPhoneスピーカーに切り替えます。
手順:
- コントロールセンターを開く
- iPhone X以降:画面右上から下にスワイプ
- iPhone 8以前:画面下から上にスワイプ
- 音楽再生中の場合、再生カードを長押し
- 右上のAirPlayアイコン(三角形と波のマーク)をタップ
- 「iPhone」を選択
- ボリュームボタンを押して確認
方法5:充電端子・イヤホンジャックを清掃する
ホコリや異物が詰まっている場合、清掃することで解決します。
必要なもの:
- 綿棒または精密綿棒
- イソプロピルアルコール(消毒用アルコール)
- 懐中電灯(スマホのライトでも可)
清掃手順:
- iPhoneの電源を切る
- 懐中電灯で充電端子やイヤホンジャック内部を確認
- 綿棒の先端を少量のアルコールで湿らせる(びしょびしょにしない)
- 端子内部を優しく拭く
- 乾いた綿棒で水分を拭き取る
- 完全に乾くまで5〜10分待つ
- 電源を入れて確認
注意点:
- Apple公式は圧縮空気スプレーの使用を推奨していません
- 端子を傷つけないよう、優しく作業する
- つまようじや金属製のピンなど、硬いものは使わない
- 水ではなくアルコールを使う(揮発性が高く、乾きやすい)
方法6:水濡れの場合の対処
iPhoneが水に濡れた場合、以下の手順で対処します。
手順:
- すぐに電源を切る(ショートを防ぐため)
- Lightning端子を下向きにして、手のひらに軽く叩きつけ、余分な水分を出す
- 乾いた布で表面の水分を拭き取る
- 充電端子やイヤホンジャック内部の水分を綿棒で拭き取る
- 風通しの良い場所で自然乾燥させる(最低30分〜1時間)
- シリカゲル(乾燥剤)と一緒に密閉容器に入れると効果的
やってはいけないこと:
- ドライヤーで乾かす(熱で内部が損傷する可能性)
- 米に埋める(米の粉塵が内部に入り、さらに故障する可能性)
- すぐに充電する(内部がショートする危険性)
水没インジケーターの確認方法:
- SIMカードトレイを取り出す
- トレイ内部に小さなシール(LCI)がある
- 通常は白または銀色
- 水に触れると赤またはピンク色に変わる
※eSIM専用モデル(iPhone 14以降の一部)には外部の水没インジケーターがありません。
方法7:iOSをアップデートする
ソフトウェアのバグが原因の場合、最新のiOSにアップデートすることで解決します。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「ソフトウェアアップデート」をタップ
- 利用可能なアップデートがあれば「ダウンロードしてインストール」をタップ
注意点:
- Wi-Fiに接続してからアップデートする
- バッテリー残量が50%以上あることを確認(または充電しながら)
- アップデート中は15分〜1時間程度かかる場合がある
方法8:ネットワーク設定をリセットする
Bluetooth関連の設定をリセットすることで、接続の不具合が解消されることがあります。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「リセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」をタップ
- パスコードを入力
- 確認画面で「ネットワーク設定をリセット」をタップ
注意点:
- Wi-Fiパスワードがすべて削除されます
- Bluetoothのペアリング情報も削除されます
- 写真、連絡先、アプリなどのデータは削除されません
方法9:すべての設定をリセットする
ネットワーク設定のリセットで解決しない場合、すべての設定をリセットします。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「転送またはiPhoneをリセット」をタップ
- 「リセット」をタップ
- 「すべての設定をリセット」をタップ
- パスコードを入力
- 確認画面で「すべての設定をリセット」をタップ
リセットされる設定:
- Wi-Fiパスワード
- Bluetooth接続
- ホーム画面のレイアウト
- 壁紙
- 通知設定
- プライバシー設定
- その他各種設定
削除されないデータ:
- 写真、ビデオ
- 連絡先
- メッセージ
- アプリとアプリデータ
- 音楽、書類
方法10:通話中にイヤホンを抜き差しする(特殊な方法)
一部のユーザーから報告されている効果的な方法です。
手順:
- 自分の別の電話番号や留守番電話に電話をかける
- 通話が繋がったら、イヤホンを接続する
- スピーカーモードに切り替える
- 通話中のまま、イヤホンを抜く
- 通話を終了
- ボリュームボタンを押して確認
理由ははっきりしていませんが、通話中に音声出力を切り替えることで、システムが正しくリセットされるようです。
ハードウェア故障の可能性と修理について

上記の方法をすべて試しても改善しない場合、ハードウェアの故障が考えられます。
故障が疑われる症状
充電端子(Lightningコネクター/USB-Cコネクター)の故障:
- 充電はできるが、ヘッドホンマークが消えない
- イヤホンを接続しても認識されない
- 充電も不安定になってきた
イヤホンジャックの故障(iPhone 6s以前):
- イヤホンジャックから「バチッ」という音がした
- イヤホンを差しても認識されない、または不安定
内部基板の損傷:
- 落下の衝撃で内部が損傷
- 水没によるショート
修理の選択肢
Apple正規サービス:
- Apple Store(要予約)
- Apple正規サービスプロバイダ
修理費用の目安:
- AppleCare+加入の場合:12,900円(画面または背面ガラス以外の損傷)
- AppleCare+未加入の場合:機種によって異なる(30,000円〜60,000円程度)
非正規修理店:
- 充電端子交換:5,000円〜15,000円程度(機種による)
- イヤホンジャック交換:3,000円〜8,000円程度
注意点:
- 非正規修理を行うと、Appleの保証が受けられなくなる可能性があります
- 修理前にバックアップを必ず取りましょう
応急的な対処法
修理に出すまでの間、以下の方法で音を出すことができます。
Bluetoothスピーカー・イヤホンを使う:
- Bluetoothデバイスは正常に使えることが多い
- AirPodsやBluetooth対応イヤホンを利用
スピーカーフォンで通話する:
- 電話をかける・受ける際に「スピーカー」ボタンをタップ
- 通話は可能だが、着信音は鳴らない
Assistive Touchを使う:
設定→アクセシビリティ→タッチ→AssistiveTouch をオンにすると、画面上にボタンが表示され、様々な操作ができます。
よくある質問
Q1. ヘッドホンマークが表示されているのに音が聞こえません。どうすればいいですか?
A. ヘッドホンマークが表示されている場合、iPhoneは「外部オーディオ機器に音を出力している」と認識しています。まず、実際にイヤホンやヘッドホンを接続してみて、音が聞こえるか確認してください。イヤホンからも音が出ない場合は、ボリュームが最小になっていないか、ミュートになっていないかを確認しましょう。それでも解決しない場合は、本記事の対処法を順番に試してください。
Q2. ヘッドホンマークとBluetoothマークは違いますか?
A. 違います。Bluetoothマークは、Bluetooth機能がオンになっていることを示すアイコンです。ヘッドホンマークは、実際にオーディオ機器(Bluetooth、有線問わず)と接続されている時に表示されます。Bluetoothイヤホンと接続すると、Bluetoothマークとヘッドホンマークの両方が表示されます。
Q3. 充電端子を掃除する際、どこまで綿棒を入れていいですか?
A. 綿棒は端子の奥まで差し込まず、見える範囲を優しく拭く程度にしてください。Lightning端子の場合、端子内部にある金属接点部分を傷つけないよう、力を入れすぎないことが重要です。精密綿棒(先端が細い綿棒)を使うと、より安全に清掃できます。
Q4. 「すべての設定をリセット」をすると、写真や連絡先は消えますか?
A. いいえ、消えません。「すべての設定をリセット」は、iPhoneの各種設定を初期状態に戻すだけで、個人データ(写真、ビデオ、連絡先、メッセージ、アプリなど)は削除されません。ただし、Wi-Fiパスワードやホーム画面のレイアウトなどの設定は消えるので、重要な設定はメモしておくと安心です。
Q5. iPhoneを落としてから、ヘッドホンマークが消えなくなりました。自分で直せますか?
A. 落下の衝撃で充電端子やイヤホンジャックの内部が損傷している可能性があります。本記事の対処法(清掃、再起動、設定リセットなど)を試しても改善しない場合は、ハードウェアの故障が考えられます。無理に自分で分解せず、Apple StoreまたはApple正規サービスプロバイダに相談することをおすすめします。
Q6. ヘッドホンマークが消えたり、また表示されたりを繰り返します。なぜですか?
A. 端子内部の接触不良や、部分的な異物混入が原因の可能性が高いです。iPhoneを動かしたり、傾けたりすると表示が変わる場合、端子内部で何かが接触したり離れたりしている状態です。まずは端子の清掃を試してください。それでも改善しない場合は、端子自体の劣化や故障が考えられるため、修理を検討しましょう。
Q7. イヤホンジャックがない機種でもヘッドホンマークが表示されますか?
A. はい、表示されます。iPhone 7以降はイヤホンジャックが廃止されていますが、充電端子(Lightning端子またはUSB-C端子)がイヤホン接続も兼ねています。この端子にホコリや水分が入ると、有線イヤホンが接続されていると誤認識し、ヘッドホンマークが表示されることがあります。また、Bluetoothイヤホンと接続した際にもヘッドホンマークが表示されます。
Q8. 修理に出す前にバックアップは必要ですか?
A. 必ず必要です。修理の過程でiPhoneが初期化される可能性があります。また、最悪の場合、修理不可能で本体交換になることもあります。iCloudバックアップまたはパソコンでのバックアップを必ず取ってから修理に出しましょう。バックアップの方法は、設定→[自分の名前]→iCloud→iCloudバックアップ→「今すぐバックアップを作成」で行えます。
まとめ
iPhoneのヘッドホンマークが消えない場合、以下の対処法を順番に試してみましょう。
簡単な対処法(まずはこれを試す):
- イヤホンの抜き差しを7〜8回繰り返す
- Bluetooth接続を確認・解除する
- iPhoneを再起動する
- 音声出力先を手動で変更する
それでもダメな場合:
- 充電端子・イヤホンジャックを清掃する
- 水濡れの場合は自然乾燥させる
- iOSを最新版にアップデートする
- ネットワーク設定をリセットする
- すべての設定をリセットする
それでも解決しない場合:
- ハードウェアの故障が考えられる
- Apple StoreまたはApple正規サービスプロバイダに相談
- 修理に出す前に必ずバックアップを取る
原因の多くは:
- 充電端子やイヤホンジャック内の異物(ホコリ、糸くずなど)
- 水濡れ・湿気
- Bluetoothデバイスとの意図しない接続
- 一時的なソフトウェアの不具合
ほとんどの場合、簡単な対処法で解決できます。慌てずに、一つずつ試してみてください。
また、日頃から以下の点に注意すると、トラブルを予防できます:
- iPhoneをポケットに入れる際、充電端子を上向きにする(ホコリが入りにくい)
- イヤホンの抜き差しは丁寧に行う
- 水気の多い場所での使用を避ける
- 定期的に充電端子周辺を確認・清掃する
- iOSは常に最新版に保つ
ヘッドホンマークのトラブルは誰にでも起こり得る問題です。この記事が皆さんの問題解決の助けになれば幸いです。

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