iPhoneで主回線が突然「圏外」になってしまった経験はありませんか?特にデュアルSIM(主回線と副回線)を使っている場合、片方の回線だけが圏外になって困ることがあります。
実は、この問題には一般的な圏外トラブルと、デュアルSIM特有の問題の2種類があるんです。設定を少し変えるだけで解決することもあれば、本格的な修理が必要なケースもあります。
この記事では、iPhoneの主回線が圏外になる原因から具体的な対処法まで、初心者の方にもわかりやすく解説していきますね。
そもそも「主回線」「副回線」とは?

デュアルSIMを使っているiPhoneでは、2つのSIMカードを「主回線」と「副回線」という名前で管理しています。
ここで大切なポイントがあります。「主回線」という名前はあくまで表示上の名前に過ぎず、実際にどちらをメインで使うかは自由に設定できるんです。
最初に入れたSIMが「主回線」、後から追加したSIMが「副回線」と自動的に表示されますが、これは単なる初期設定です。設定次第で、副回線をメインの電話番号として使ったり、データ通信を副回線で行ったりできます。
つまり、「主回線が圏外」といっても、それが本当によく使う回線なのか、それともあまり使わない回線なのかは、設定によって変わってくるわけです。
主回線が圏外になる主な原因
iPhoneの主回線が圏外表示になる原因は、大きく分けて以下の5つです。
1. 電波が届かない場所にいる
最も基本的な原因です。地下、山間部、建物の奥まった場所などでは、キャリアの電波が届かず圏外になることがあります。
この場合、場所を移動すれば自然に復旧します。Wi-Fiには繋がっているのにモバイル通信だけ圏外という場合は、単純に電波状況の問題かもしれません。
2. 設定の問題
「機内モード」がオンになっていたり、「モバイルデータ通信」がオフになっていたりすると、圏外表示になります。
デュアルSIMの場合、設定画面で該当の回線が「オフ」になっていないか確認が必要です。
3. SIMカードの不具合
SIMカードは消耗品なので、長年使い続けていると接触不良や破損が起こることがあります。
見た目では判断しにくいのが厄介なところですが、SIMカードの抜き差しで改善することもあります。
4. 通信障害
キャリア側で通信障害が発生している可能性もあります。
契約しているキャリアの公式サイトやSNSで障害情報を確認してみましょう。大規模障害はニュースになりますが、特定エリアだけの障害は気づきにくいことがあります。
5. iPhone本体の故障
水没、落下による衝撃、経年劣化などで、iPhone内部のアンテナや基板が故障している可能性があります。
特に水没は要注意です。雨に濡れた覚えがなくても、温度差による結露で内部に水が入ることもあります。SIMトレイ内にある「液体侵入インジケータ」が赤くなっていたら水没している証拠です。
デュアルSIM特有の問題
デュアルSIMを使っている場合、通常の圏外問題とは別に、以下のような状況が発生することがあります。
通話中に他方の回線が圏外になる
これは実は正常な動作の場合もあります。
iPhoneでは、一方の回線で通話中に、もう一方の回線が「圏外」や「検索中」と表示されることがあります。これは、Wi-Fi通話が有効になっていない場合の仕様です。
ただし、通話が終われば自動的に復旧するなら問題ありません。通話終了後も圏外のままになる場合は、別の問題が考えられます。
モバイルデータ通信の切り替え設定
「モバイルデータ通信の切り替えを許可」という設定があります。
この設定がオンになっていると、iPhoneがデータ通信用に設定されていない回線を使おうとして、予期しない動作を起こすことがあります。
特に海外旅行でeSIMを使う場合、主回線のデータローミングをオフにしているのにこの設定がオンだと、主回線が圏外になってしまうケースが報告されています。
今すぐ試せる対処法
それでは、主回線が圏外になった時の具体的な対処法を、簡単なものから順番に見ていきましょう。
対処法1:場所を移動する
まずは電波の良い場所に移動してみてください。
建物の外に出る、窓際に行く、地上階に上がるなど、電波状況が改善する場所に移動することで解決することがあります。
対処法2:機内モードのオン・オフ
手順:
- コントロールセンターを開く(画面右上から下にスワイプ)
- 飛行機マークをタップしてオンにする
- 15秒ほど待つ
- もう一度飛行機マークをタップしてオフにする
または、「設定」→「機内モード」でオン・オフを切り替えることもできます。
これでネットワーク接続がリセットされ、圏外が解消されることがあります。
対処法3:iPhoneの再起動
一時的なシステムエラーは、再起動で解決することが多いです。
iPhone 8以降の再起動方法:
- 音量を上げるボタンを押してすぐ放す
- 音量を下げるボタンを押してすぐ放す
- サイドボタンを長押し
- Appleロゴが表示されたら手を離す
iPhone 7シリーズの再起動方法:
- 音量を下げるボタンとスリープボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されたら手を離す
iPhone 6s以前の再起動方法:
- スリープボタンとホームボタンを同時に長押し
- Appleロゴが表示されたら手を離す
対処法4:主回線の設定確認
デュアルSIMを使っている場合、該当の回線がオンになっているか確認しましょう。
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 「モバイル通信」をタップ
- 「SIM」の下に「主回線」と「副回線」が表示される
- 圏外になっている回線をタップ
- 「この回線をオンにする」がオンになっているか確認
オフになっていたらオンに切り替えてください。
対処法5:SIMカードの抜き差し
注意:必ずiPhoneの電源を切ってから行ってください
手順:
- iPhoneの電源を切る
- SIMトレイのピン穴にSIMピン(またはクリップ)を差し込む
- SIMトレイを引き出す
- SIMカードを取り出す
- 柔らかい布で軽く拭く
- SIMカードを正しい向きで戻す
- SIMトレイを押し込む
- iPhoneの電源を入れる
eSIMの場合は物理的な抜き差しができないので、次の方法を試してください。
対処法6:eSIMのオン・オフ切り替え
eSIMを使っている場合は、以下の方法で回線のオン・オフを切り替えます。
手順:
- 「設定」→「モバイル通信」
- 圏外になっている回線をタップ
- 「この回線をオンにする」をオフにする
- 10秒ほど待つ
- 再度オンにする
対処法7:iOS・キャリア設定のアップデート
古いバージョンのiOSやキャリア設定を使っていると、通信に不具合が出ることがあります。
iOSのアップデート手順:
- 「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」
- アップデートがある場合は「ダウンロードしてインストール」をタップ
キャリア設定のアップデート手順:
- Wi-Fiに接続する
- 「設定」→「一般」→「情報」
- アップデートが利用可能な場合、ポップアップが表示されるのでアップデートを選択
対処法8:ネットワーク設定のリセット
注意:Wi-Fiのパスワードなどがすべて削除されるので、事前に確認しておきましょう
手順:
- 「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」
- 「リセット」をタップ
- 「ネットワーク設定をリセット」を選択
- パスコードを入力
- 確認画面で「ネットワーク設定をリセット」をタップ
リセット後、Wi-Fiに再接続し、必要に応じてAPN設定を行ってください。
デュアルSIM特有の設定調整
デュアルSIMを使っている場合、以下の設定も確認してみましょう。
Wi-Fi通話の設定
通話中に他方の回線が圏外になる問題は、Wi-Fi通話を有効にすることで解決できます。
手順:
- 「設定」→「モバイル通信」
- 該当の回線をタップ
- 「Wi-Fi通話」をオンにする
ただし、キャリアがWi-Fi通話に対応している必要があります。
モバイルデータ通信の切り替え設定
「モバイルデータ通信の切り替えを許可」の設定を見直してみましょう。
手順:
- 「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」
- データ通信に使いたい回線を選択
- 「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオフにする
この設定をオフにすることで、意図しない回線の切り替えを防げます。
それでも解決しない場合

上記の方法を全て試しても主回線が圏外のままの場合、以下の対応を検討してください。
キャリアに問い合わせる
SIMカードの故障が疑われる場合、契約しているキャリアのショップやサポートセンターに相談しましょう。
SIMカードの交換で解決することがあります。多くのキャリアでは、SIMカード交換は無料または数千円程度で対応してくれます。
Appleサポートに連絡する
iPhone本体の故障が疑われる場合は、Appleサポートや正規サービスプロバイダに相談してください。
AppleCare+に加入している場合は、保証が適用される可能性があります。特定のiPhone 7モデル(2016年9月〜2018年2月製造分)については、無償修理プログラムが提供されていたこともありました。
修理専門店に相談する
正規店以外でも、総務省登録修理業者であれば安心して修理を依頼できます。
ただし、圏外問題は基板修理が必要になることが多く、修理費用が高額になる場合があります。修理前に必ず見積もりを取りましょう。
よくある質問
Q1. デュアルSIMで通話中に他の回線が圏外になるのは故障ですか?
A. 必ずしも故障ではありません。Wi-Fi通話が有効になっていない場合、一方の回線で通話中にもう一方が圏外表示になることがあります。通話終了後に自動復旧するなら正常な動作です。Wi-Fi通話を有効にすることで、両方の回線で着信できるようになります。
Q2. 主回線と副回線、どちらをメインで使うべきですか?
A. 「主回線」「副回線」は単なる表示名なので、どちらをメインで使っても構いません。「設定」→「モバイル通信」から、デフォルトの音声回線やモバイルデータ通信を自由に設定できます。使用頻度の高い番号や、データ容量の多いプランを優先的に設定すると便利です。
Q3. eSIMと物理SIMの組み合わせで、eSIMだけ圏外になります
A. eSIMの再設定を試してみてください。「設定」→「モバイル通信」から該当のeSIMを一度削除し、再度追加することで解決する場合があります。ただし、キャリアによってはeSIMの再発行手続きが必要になることがあるので、削除前にキャリアに確認することをおすすめします。
Q4. 海外でeSIMを追加したら主回線が圏外になりました
A. 主回線のデータローミングがオフになっていて、かつ「モバイルデータ通信の切り替えを許可」がオンになっていると、このような現象が起こることがあります。「設定」→「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」から「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオフにしてみてください。
Q5. SIMカードを新しくしても圏外のままです
A. SIMカードに問題がない場合、iPhone本体のアンテナや基板の故障が考えられます。Appleサポートや修理専門店に相談することをおすすめします。修理には数万円かかることもあるので、機種変更も含めて検討しましょう。
まとめ
iPhoneの主回線が圏外になる問題は、単純な設定ミスから本格的な故障まで、さまざまな原因が考えられます。
まずは以下の基本的な対処法を順番に試してみてください。
- 場所を移動する
- 機内モードのオン・オフ
- iPhoneの再起動
- 主回線の設定確認
- SIMカードの抜き差し(またはeSIMのオン・オフ)
- iOS・キャリア設定のアップデート
- ネットワーク設定のリセット
デュアルSIMを使っている場合は、Wi-Fi通話の設定やモバイルデータ通信の切り替え設定も確認しましょう。
それでも解決しない場合は、キャリアやAppleサポートへの相談を検討してください。
圏外問題は日常生活に大きな支障をきたすトラブルですが、適切な対処法を知っていれば、多くの場合は自分で解決できます。この記事が、あなたのiPhoneトラブル解決の助けになれば幸いです。

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