iPhoneの主回線・副回線完全ガイド【デュアルSIM設定・切り替え・使い分け方法】

「仕事用とプライベート用の電話番号を1台のiPhoneで使い分けたい」
「海外旅行で現地のSIMを使いながら、日本の番号も維持したい」

こんな悩みを抱えていませんか？

実は、iPhone XR以降のほとんどのiPhoneには「デュアルSIM」機能が搭載されています。この機能を使えば、1台のiPhoneで2つの電話番号を使い分けることができるんです。

デュアルSIMでは、「主回線」と「副回線」という2つの回線を設定します。通話やメッセージ、インターネット通信をどちらの回線で行うか、用途に応じて切り替えられるので、とても便利です。

でも、「主回線と副回線って何が違うの？」「どうやって切り替えるの？」「設定が難しそう…」と不安に思う方も多いはず。

今回は、iPhoneの主回線・副回線の基本から、設定方法、切り替え方法、おすすめの使い分けまで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説していきます。

この記事を読めば、デュアルSIMを使いこなして、もっと便利で経済的なiPhone生活を送れるようになるはずです。さっそく確認していきましょう！

デュアルSIMとは
対応機種
主回線・副回線の設定方法
回線の切り替え方法
回線の名前変更方法
おすすめの使い分けパターン
便利な小技
トラブルシューティング
よくある質問
デュアルSIMのメリット・デメリット
1. メリット
2. デメリット
まとめ

デュアルSIMとは

まず、デュアルSIMの基本について理解しておきましょう。

デュアルSIMの概要

デュアルSIMとは、1台のスマートフォンで2つのSIMカードを同時に使える機能です。

iPhoneでは、物理SIM（nanoSIM）とeSIMを組み合わせて、2つの回線を利用できます。

デュアルSIMでできること

2つの電話番号を1台のiPhoneで使い分け
仕事用とプライベート用の番号を分ける
通話用とデータ通信用の回線を分ける
海外旅行で現地SIMを追加しながら日本の番号も維持
複数のキャリアを組み合わせて料金を節約

主回線と副回線とは

デュアルSIMを設定すると、iPhoneには「主回線」と「副回線」という2つの回線が登録されます。

重要なポイント

「主回線」「副回線」という名称は、単なるラベル（名前）です。

実際には、どちらをメインで使うかを自由に設定できます。また、名前も自由に変更できます。

誤解されやすいポイント

最初に入れたSIMが「主回線」、後から入れたSIMが「副回線」という名前が自動的につく
でも、実際にメインで使う回線（デフォルト回線）は別途設定する
「副回線」という名前でも、メインとして使うことができる

つまり、「主回線」「副回線」という名前と、実際にどちらをメインで使うかは別の話なんです。

eSIM（イーシム）とは

eSIMとは、物理的なSIMカードが不要な、iPhone本体に内蔵されたデジタルSIMです。

eSIMの特徴

SIMカードの差し替えが不要
QRコードを読み込むだけで開通
複数のeSIMを保存できる（ただし、同時に使えるのは1つだけ）
海外旅行でも簡単に現地の通信プランを追加できる

物理SIMとの違い

項目	物理SIM	eSIM
形態	nanoSIMカード	本体内蔵
差し替え	必要	不要
開通方法	SIMカード挿入	QRコード読み込み
保存数	1枚のみ	複数保存可能
即時開通	不可（カード郵送待ち）	可能

対応機種

デュアルSIMを使えるiPhoneの機種を確認しましょう。

デュアルSIM対応機種

以下のiPhoneモデルがデュアルSIMに対応しています。

物理SIM + eSIM の組み合わせ

iPhone XR
iPhone XS、iPhone XS Max
iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone 11 Pro Max
iPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Max
iPhone SE（第2世代）
iPhone 13、iPhone 13 mini、iPhone 13 Pro、iPhone 13 Pro Max
iPhone 14、iPhone 14 Plus、iPhone 14 Pro、iPhone 14 Pro Max（米国版は物理SIM非対応）
iPhone 15、iPhone 15 Plus、iPhone 15 Pro、iPhone 15 Pro Max
iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max

eSIM × 2 の組み合わせ

以下の機種は、eSIM 2枚でもデュアルSIMが可能です。

iPhone SE（第3世代）
iPhone 13 以降のすべてのモデル

対応していない機種

iPhone 8 以前のすべてのモデル
iPhone SE（第1世代）

SIMロック解除の必要性

2つの異なる通信事業者（キャリア）を使う場合、iPhoneのSIMロックが解除されている必要があります。

SIMロックの確認方法

設定アプリを開く
「一般」→「情報」をタップ
「SIMロック」の項目を確認

「SIMロックなし」と表示されていればOKです。

SIMロック解除

2021年10月以降に購入したiPhoneは、最初からSIMロック解除済み
それ以前の機種は、各キャリアで解除手続きが必要

主回線・副回線の設定方法

デュアルSIMの設定手順を詳しく解説します。

ステップ1：2つ目のSIMを追加する

すでに1つのSIMでiPhoneを使っている状態から、2つ目のSIMを追加します。

eSIMを追加する場合

設定アプリを開く
「モバイル通信」をタップ
「eSIMを追加」または「モバイル通信プランを追加」をタップ
キャリアから提供されたQRコードをカメラでスキャン
または「詳細情報を手動で入力」から情報を入力

物理SIMを追加する場合

iPhoneの電源を切る
SIMトレイを開ける（SIMピンを使用）
nanoSIMカードをセット
iPhoneの電源を入れる
自動的に認識される

ステップ2：回線にラベル（名前）を付ける

2つのSIMが追加されると、自動的に初期設定画面が表示されます。

各回線に分かりやすい名前を付ける
デフォルトでは「主回線」「副回線」と表示される

おすすめの名前の付け方

「仕事用」「プライベート」
「ドコモ」「楽天モバイル」（キャリア名）
「通話用」「データ用」
「日本」「海外」

ステップ3：デフォルトの音声回線を設定

電話をかける時、どちらの回線をメインで使うか設定します。

設定アプリ →「モバイル通信」
「デフォルトの音声回線」をタップ
使いたい回線を選択

ここで選んだ回線が、電話発信とSMS送信のデフォルトになります。

ステップ4：モバイルデータ通信の回線を設定

インターネット通信に使う回線を設定します。

設定アプリ →「モバイル通信」
「モバイルデータ通信」をタップ
使いたい回線を選択

モバイルデータ通信の切り替えを許可

「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオンにすると、以下のようになります。

通話中でもデータ通信が必要な時、自動的にもう一方の回線に切り替わる
電波状況が悪い時、自動的に通信の良い方に切り替わる

ただし、意図しない通信料が発生する可能性もあるので注意が必要です。

ステップ5：iMessageとFaceTimeの設定

iMessageとFaceTimeでどちらの番号を使うか設定します。

設定アプリ →「モバイル通信」
下にスクロール
「iMessage着信用の連絡先情報」をタップして回線を選択
「FaceTime着信用の連絡先情報」をタップして回線を選択

回線の切り替え方法

設定後、状況に応じて回線を切り替える方法を解説します。

デフォルト回線の切り替え

音声回線（電話・SMS）の切り替え

設定アプリ →「モバイル通信」
「デフォルトの音声回線」をタップ
使いたい回線を選択

モバイルデータ通信の切り替え

設定アプリ →「モバイル通信」
「モバイルデータ通信」をタップ
使いたい回線を選択

電話をかける時の回線選択

方法1：発信前に回線を選択

電話アプリで番号を入力した後、発信ボタンを長押しすると、どちらの回線で発信するか選べます。

方法2：連絡先ごとに優先回線を設定

連絡先アプリを開く
特定の連絡先を選択
「編集」をタップ
「優先するモバイル通信プラン」をタップ
使いたい回線を選択

これで、その連絡先への発信は常に指定した回線が使われます。

メッセージ送信時の回線選択

新規メッセージ

メッセージアプリを開く
新規メッセージ作成
宛先を入力
送信欄の上に表示される回線名をタップして切り替え

既存の会話

すでに始まっている会話では、回線を途中で切り替えることはできません。

別の回線で送りたい場合は、会話を削除して新しい会話を始める必要があります。

回線のオン・オフ切り替え

一時的に片方の回線を使わない場合、オフにできます。

設定アプリ →「モバイル通信」
「SIM」の下に表示される回線名をタップ
「この回線をオンにする」をオフにする

これで、その回線は完全に無効化されます（機内モードのような状態）。

回線の名前変更方法

分かりやすい名前に変更する方法です。

設定アプリ →「モバイル通信」
「SIM」の下に表示される回線名をタップ
「モバイル通信プランの名称」をタップ
プリセットから選ぶか、「カスタム名称」で自由に入力
「完了」をタップ

プリセットの名称例

主回線・副回線
仕事・個人
プライマリ・セカンダリ
ビジネス・パーソナル
旅行
データ

便利な小技

デュアルSIMをもっと便利に使うコツを紹介します。

コントロールセンターで確認

画面右上から下にスワイプしてコントロールセンターを開くと、両方の回線の電波状況を確認できます。

左上に2つの電波マークが表示される
回線名（ラベル）も表示される

着信時の回線確認

電話がかかってきた時、どちらの回線に着信しているか分かります。

画面上部に回線名の頭文字が表示される
例：「主」「副」「仕」「個」など

ショートカットアプリで自動化

iOS 15以降では、ショートカットアプリを使って回線の切り替えを自動化できます。

例：平日の朝8時に自動で仕事用回線をオン

ショートカットアプリを開く
オートメーション作成
時刻指定で設定

ただし、回線のオン・オフは直接的には自動化できないため、通知を表示するなどの工夫が必要です。

通話中の着信

Wi-Fi通話をオンにしている場合

両方の回線でWi-Fi通話をオンにしていれば、一方の回線で通話中でも、もう一方の回線で着信を受けられます。

Wi-Fi通話がオフの場合

通話中の回線以外の着信は、留守番電話に転送されます（留守番電話サービス契約時）。

トラブルシューティング

デュアルSIM使用時によくある問題と解決方法です。

回線が認識されない

確認ポイント1：回線がオンになっているか

設定アプリ →「モバイル通信」
各回線をタップ
「この回線をオンにする」がオンか確認

確認ポイント2：eSIMの再インストール

eSIMが認識されない場合、一度削除して再インストールします。

設定アプリ →「モバイル通信」
問題のある回線をタップ
「モバイル通信プランを削除」
再度QRコードをスキャンして追加

確認ポイント3：iPhoneの再起動

シンプルですが、再起動で解決することも多いです。

通話ができない・着信しない

確認ポイント1：デフォルトの音声回線

設定アプリ →「モバイル通信」→「デフォルトの音声回線」を確認

確認ポイント2：機内モードのオン・オフ

コントロールセンターから機内モードを一度オンにして、再度オフにします。

確認ポイント3：Wi-Fi通話の設定

両方の回線でWi-Fi通話がオンになっているか確認します。

データ通信ができない

確認ポイント1：モバイルデータ通信の回線

設定アプリ →「モバイル通信」→「モバイルデータ通信」で正しい回線が選択されているか確認

確認ポイント2：データローミング

海外で使用している場合、データローミングがオンになっているか確認

確認ポイント3：APN設定

格安SIMの場合、APN設定（プロファイル）が正しくインストールされているか確認

バッテリー消費が激しい

デュアルSIMは、2つの回線を同時待受するため、若干バッテリー消費が増えます。

対策

使わない回線は一時的にオフにする
「モバイルデータ通信の切り替えを許可」をオフにする
5Gをオフにして4Gで使用する（設定により）
バックグラウンドアプリの更新を制限する

意図しない高額請求

原因

間違った回線でデータ通信をしてしまった
海外でデータローミングがオンになっていた
「モバイルデータ通信の切り替えを許可」で自動切り替えされた

対策

使わない回線のデータローミングは常にオフ
定期的にモバイルデータ通信の設定を確認
各キャリアの使用量確認アプリをインストール

よくある質問

デュアルSIMについて、よく聞かれる質問にお答えします。

Q1：同時に2つの回線で通話できる？

いいえ、できません。

通話は1つの回線でのみ可能です。ただし、Wi-Fi通話がオンの場合、一方の回線で通話中でも、もう一方の回線で着信を受けることはできます（割込通話のような形）。

Q2：同時に2つの回線でデータ通信できる？

いいえ、できません。

モバイルデータ通信は、どちらか1つの回線でのみ使用できます。

Q3：物理SIM 2枚ではデュアルSIMは使えない？

日本で販売されているiPhoneでは、物理SIM 2枚でのデュアルSIMは使えません。

中国・香港・マカオで販売されている一部モデルのみ、物理SIM 2枚に対応しています。

Q4：eSIMは何個まで保存できる？

iPhoneには複数のeSIMを保存できます（機種により異なりますが、8個程度）。

ただし、同時に使用できるのは1つ（または2つ）のみです。

Q5：主回線と副回線を入れ替えられる？

「主回線」「副回線」という名前を入れ替えることはできます（名前の変更）。

また、どちらをデフォルト回線として使うかも自由に設定できます。

つまり、最初に設定した「主回線」を後から「副回線」として使うことも可能です。

Q6：デュアルSIMでLINEは2つ使える？

いいえ、基本的には使えません。

LINEは1つのアカウントにつき1つの電話番号しか登録できないため、デュアルSIMでも1つのLINEアカウントしか使えません。

Q7：2つの番号で別々のApple IDは使える？

いいえ、iPhoneには1つのApple IDしか設定できません。

デュアルSIMで2つの番号を使っても、Apple IDは共通です。

Q8：SIMロック解除は必須？

2つの異なるキャリアを使う場合は、SIMロック解除が必要です。

同じキャリアの2つのプラン（例：ドコモの2回線）であれば、SIMロック解除は不要です。

デュアルSIMのメリット・デメリット

最後に、デュアルSIMの利点と注意点を整理します。

メリット

1. 1台で2つの番号を使い分け

仕事用とプライベート用を分けられる
スマホを2台持つ必要がない

2. 通信料金の節約

通話用とデータ用を別々のプランにして最適化
複数のキャリアを組み合わせて最安値を実現

3. 通信の安定性向上

片方の電波が弱い時、もう片方でカバー
災害時のバックアップ回線として

4. 海外旅行で便利

現地SIMを簡単に追加できる
日本の番号も維持しながら現地で格安データ通信

5. 電波の冗長化

ドコモとau、auと楽天モバイルなど、異なる電波を確保

デメリット

1. バッテリー消費がやや増える

2つの回線を同時待受するため、若干バッテリー消費が増加
ただし、大きな差ではない

2. 設定がやや複雑

最初の設定に慣れが必要
回線の切り替えを間違えると高額請求の可能性

3. すべての機種で使えるわけではない

iPhone XR以降のみ対応
古い機種では使えない

4. 物理SIM 2枚は使えない

日本モデルは物理SIM + eSIMのみ
物理SIM 2枚で使いたい場合は海外モデルが必要

5. 管理の手間

2つの回線を管理する必要がある
どちらで発信・受信したか注意が必要

まとめ

iPhoneの主回線・副回線（デュアルSIM）の使い方、いかがでしたか？

一見複雑に見えますが、一度設定してしまえば、とても便利に使えます。

この記事のポイント

✓ デュアルSIMは2つの電話番号を1台で使い分けられる機能
✓ 対応機種はiPhone XR以降
✓ 物理SIM + eSIM、またはeSIM × 2の組み合わせ
✓ 「主回線」「副回線」は単なる名前で、自由に変更可能
✓ デフォルトの音声回線とモバイルデータ通信を別々に設定できる
✓ 仕事とプライベート、通話とデータなど、様々な使い分けが可能
✓ 海外旅行で現地SIMを簡単に追加できる
✓ 2つの異なるキャリアを使う場合はSIMロック解除が必要

デュアルSIMの基本設定手順

2つ目のSIM（eSIMまたは物理SIM）を追加
各回線にラベル（名前）を付ける
デフォルトの音声回線を設定
モバイルデータ通信の回線を設定
iMessageとFaceTimeの設定

おすすめの使い分け

仕事用とプライベート用
通話用とデータ用
メインとバックアップ
海外旅行（日本の番号+現地SIM）

デュアルSIMを活用すれば、スマホ代の節約、仕事とプライベートの使い分け、海外での便利な通信など、たくさんのメリットがあります。

最初の設定は少し戸惑うかもしれませんが、この記事を参考にぜひチャレンジしてみてください。

1台のiPhoneで2つの番号を使いこなして、もっと便利で経済的なスマホライフを楽しんでくださいね！