「iPhoneの動作が重くなってきた…」「ストレージ容量が足りない…」
そんな時に効果的なのが「キャッシュクリア」です。キャッシュを削除することで、動作速度の改善やストレージ容量の確保ができます。
この記事では、iPhoneのキャッシュクリア方法を、Safari、Chrome、LINE、各種アプリ別に詳しく解説します。キャッシュとは何か、削除するメリット・デメリット、注意点も併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
キャッシュとは?

キャッシュとは:
アプリやブラウザが、一度表示したデータを一時的に保存しておく機能です。
具体例:
- Webページの画像やテキスト
- アプリ内の画像や動画
- ログイン情報
- Webサイトの設定情報
キャッシュの役割:
- 再表示を高速化
- 一度見たページをすばやく表示
- スムーズなアプリ操作
- データ通信量の節約
- 同じデータを何度もダウンロードしない
- モバイル通信量の削減
キャッシュのデメリット:
- 溜まりすぎると動作が重くなる
- ストレージ容量を圧迫する
- 古い情報が表示されることがある
- 不具合の原因になることがある
キャッシュクリアのメリット
キャッシュを削除すると、以下のようなメリットがあります。
メリット1:動作速度の改善
効果:
- iPhoneやアプリの動作が軽くなる
- ページの読み込みが速くなる
- アプリの起動が速くなる
理由:
キャッシュが溜まりすぎると、逆にデータの読み込み速度が遅くなります。定期的に削除することで、不要なデータが整理され、動作が改善されます。
メリット2:ストレージ容量の確保
効果:
- 空き容量が増える
- 写真や動画を保存できる
- アプリをインストールできる
削除できる容量:
- Safari:数百MB〜数GB
- SNSアプリ:数百MB〜1GB以上
- ゲームアプリ:数GB以上の場合も
メリット3:不具合の解消
改善される症状:
- アプリが開かない
- アプリが途中で落ちる
- Webページが正しく表示されない
- 古い情報が更新されない
理由:
キャッシュの破損や不整合が原因で起こる不具合が解消されます。
メリット4:プライバシー保護
効果:
- 閲覧履歴の削除
- ログイン情報のクリア
- Cookieの削除
メリット:
他人にiPhoneを見られても、閲覧履歴などが残りません。
キャッシュクリアのデメリット
メリットばかりではなく、注意すべきデメリットもあります。
デメリット1:ログアウトされる
影響:
- Webサイトから自動的にログアウト
- 再度ログインが必要
対処法:
- パスワードを覚えているか確認
- パスワード管理アプリを使う
- iCloudキーチェーンを活用
デメリット2:一時的に読み込みが遅くなる
影響:
- 初回表示時は通常より遅い
- データを再ダウンロード
理由:
キャッシュがないため、すべてのデータを新たにダウンロードする必要があります。
回復:
次回以降は再びキャッシュが作られるため、通常の速度に戻ります。
デメリット3:設定がリセットされる
影響:
- Webサイトの表示設定
- 言語設定
- 通知許可の設定
対処法:
重要なサイトは、再度設定する覚悟が必要です。
デメリット4:データ通信量が増える
影響:
- キャッシュ削除後の初回アクセス時
- すべてのデータを再ダウンロード
注意:
Wi-Fi環境でキャッシュクリア後の初回アクセスをすることをおすすめします。
Safariのキャッシュクリア方法
iPhoneの標準ブラウザ「Safari」のキャッシュクリア方法を2つ紹介します。
方法1:設定アプリから削除(推奨)
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 下にスクロールして「アプリ」をタップ
- 「Safari」を選択
- 「履歴とWebサイトデータを消去」をタップ
- 期間を選択(「すべての履歴」を推奨)
- 「履歴を消去」をタップ
削除されるもの:
- 閲覧履歴
- キャッシュ
- Cookie
- Webサイトデータ
注意点:
- ログイン中のサイトからログアウトされます
- ボタンがグレー表示の場合、削除するデータがありません
方法2:Safariアプリから削除
手順:
- Safariアプリを開く
- 画面下部の「本」のアイコン(ブックマーク)をタップ
- タブレイアウトが「下」または「上」の場合は、時計アイコンをタップ
- 時計アイコン(履歴)をタップ
- 「消去」をタップ
- 「履歴を消去」の下で期間を選択
- 「履歴を消去」をタップ
Safariプロファイルを使用している場合:
- プロファイルを選択すると、そのプロファイルの履歴のみ消去
- 「すべてのプロファイル」を選択すると、全プロファイルの履歴を消去
方法3:特定のWebサイトのみ削除
手順:
- 「設定」→「アプリ」→「Safari」
- 「詳細」をタップ
- 「Webサイトデータ」をタップ
- 削除したいサイトを左にスワイプ
- 「削除」をタップ
または:
- 同じ画面で「全Webサイトデータを削除」をタップ
- 確認画面で「削除」をタップ
メリット:
- 閲覧履歴は残る
- キャッシュとCookieのみ削除
Chromeのキャッシュクリア方法
Google Chromeアプリのキャッシュを削除する方法です。
手順:
- Chromeアプリを開く
- 画面右下の「…」(その他)をタップ
- 「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」をタップ
- 「閲覧履歴データの削除」をタップ
- 「キャッシュされた画像とファイル」にチェック
- 必要に応じて「Cookie、サイトデータ」もチェック
- 削除する期間を選択
- 「データを削除」をタップ
削除される内容:
- キャッシュされた画像とファイル
- Cookie(チェックした場合)
- サイトデータ(チェックした場合)
注意点:
Chromeでログインしているサイトからログアウトされます。
その他ブラウザのキャッシュクリア
Firefox
手順:
- Firefoxアプリを開く
- 画面下部の「…」をタップ
- 「設定」を選択
- 「プライバシー」の下の「データ管理」をタップ
- 「キャッシュ」をオンにする
- 「プライベートデータを削除」をタップ
- 確認画面で「OK」をタップ
Microsoft Edge
手順:
- Edgeアプリを開く
- 画面下部の「…」をタップ
- 「設定」を選択
- 「プライバシーとセキュリティ」をタップ
- 「閲覧データのクリア」をタップ
- 「キャッシュされた画像とファイル」をチェック
- 「今すぐクリア」をタップ
アプリ別キャッシュクリア方法

iPhoneでは、Androidのようにアプリごとに簡単にキャッシュを削除する機能がありません。アプリによって対処法が異なります。
LINE
LINEは独自のキャッシュ削除機能があります。
手順:
- LINEアプリを開く
- 「ホーム」→「設定」(歯車アイコン)
- 「トーク」をタップ
- 「データの削除」をタップ
- 「キャッシュデータ」を選択
- 「選択したデータを削除」をタップ
削除できるもの:
- キャッシュデータ
- 写真キャッシュ
- ボイスメッセージ・ファイルのキャッシュ
注意:
「すべてのトーク履歴」は削除しないように注意してください。
X(旧Twitter)
手順:
- Xアプリを開く
- 画面左上のプロフィールアイコンをタップ
- 「設定とプライバシー」をタップ
- 「アクセシビリティ、表示、言語」をタップ
- 「データ利用の設定」をタップ
- 「メディアストレージ」をタップ
- 「メディアストレージを削除」をタップ
- 一つ前の画面に戻る
- 「ウェブサイトストレージ」をタップ
- 「すべてのウェブサイトストレージを削除」をタップ
Instagram・Facebook・YouTube
これらのアプリには、個別のキャッシュ削除機能がありません。
キャッシュクリア方法:
アプリを削除して再インストールする必要があります。
手順:
- ホーム画面でアプリを長押し
- 「Appを削除」をタップ
- 「Appを削除」を再度タップ
- App Storeから再インストール
注意:
アカウントにデータが紐づいているため、ログインすれば元の状態に戻ります。
ゲームアプリ
注意事項:
ゲームアプリを削除すると、セーブデータも消える場合があります。
確認すべきこと:
- アカウント連携しているか
- クラウドセーブに対応しているか
- バックアップ機能があるか
安全な手順:
- ゲーム内でアカウント連携を確認
- データのバックアップを取る
- アプリを削除
- 再インストール
- アカウントでログイン
Googleマップ
手順:
- Googleマップアプリを開く
- 画面右上のプロフィールアイコンをタップ
- 「設定」をタップ
- 「概要、利用規約、プライバシー」をタップ
- 「アプリデータの消去」をタップ
Amazon
Amazonアプリも削除・再インストールが必要です。
手順:
- アプリを削除
- App Storeから再インストール
- Amazonアカウントでログイン
注意:
ログイン情報を覚えておく必要があります。
アプリの削除とオフロードの違い
iPhoneには「削除」と「オフロード」の2つの方法があります。
Appを削除
特徴:
- アプリ本体とデータをすべて削除
- キャッシュも完全に削除
- 再インストール後は初期状態
手順:
- 設定→一般→iPhoneストレージ
- 削除したいアプリをタップ
- 「Appを削除」をタップ
Appをオフロード
特徴:
- アプリ本体のみ削除
- ドキュメントとデータは保持
- 再インストール後、元の状態に戻る
手順:
- 設定→一般→iPhoneストレージ
- オフロードしたいアプリをタップ
- 「Appをオフロード」をタップ
どちらを選ぶべきか:
- キャッシュを完全削除したい→「削除」
- データを保持したい→「オフロード」
システム全体のキャッシュクリア方法
アプリ以外にも、iPhone本体のキャッシュをクリアする方法があります。
方法1:iPhoneの再起動
最も簡単で効果的な方法です。
iPhone X以降(ホームボタンなし):
- 音量ボタン(どちらか)とサイドボタンを同時に長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたら、スライダーをドラッグ
- 電源が切れたら、Appleロゴが表示されるまでサイドボタンを長押し
iPhone SE、8以前(ホームボタンあり):
- トップボタン(またはサイドボタン)を長押し
- 「スライドで電源オフ」が表示されたら、スライダーをドラッグ
- 電源が切れたら、Appleロゴが表示されるまでトップボタンを長押し
効果:
- メモリがクリアされる
- 一時ファイルが整理される
- システムの動作が改善される
方法2:iPhoneのストレージ管理
確認方法:
- 設定→一般→iPhoneストレージ
表示される情報:
- 使用中の容量
- 空き容量
- アプリごとの使用量
- 「システム」の容量
おすすめアクション:
- 使わないアプリを削除
- 大きなアプリのキャッシュをクリア
- 写真・動画をiCloudに移動
方法3:iPhoneの初期化(最終手段)
注意:
すべてのデータが消去されます。必ずバックアップを取ってください。
手順:
- iCloudまたはiTunesでバックアップを取る
- 設定→一般→転送またはiPhoneをリセット
- 「すべてのコンテンツと設定を消去」をタップ
- パスコードを入力
- 「iPhoneを消去」をタップ
こんな時に:
- 深刻な不具合がある
- 売却・譲渡する前
- 完全にクリーンな状態にしたい
キャッシュクリアの頻度
どのくらいの頻度でキャッシュクリアすべきでしょうか?
推奨頻度
Safari・ブラウザ:
- 月1回程度
- または動作が重いと感じた時
SNSアプリ:
- 2〜3ヶ月に1回
- ストレージ容量が気になる時
ゲームアプリ:
- 不具合が起きた時のみ
- 定期的な削除は不要
システム全体:
- 週1回程度の再起動
- 半年に1回程度のストレージ確認
こんな時は即座にクリア
症状が出た時:
- アプリが頻繁に落ちる
- Webページが正しく表示されない
- 動作が著しく遅い
- ストレージ容量の警告が出る
キャッシュクリアの注意点
注意点1:ログイン情報を確認
事前確認:
- ID・パスワードを覚えているか
- パスワードをどこかにメモしているか
- 2段階認証の設定を覚えているか
おすすめ:
iCloudキーチェーンやパスワード管理アプリを使用すると安全です。
注意点2:Wi-Fi環境で行う
理由:
- キャッシュ削除後の再読み込みでデータ通信量が増える
- モバイル通信だと通信制限の原因に
おすすめタイミング:
自宅のWi-Fiに接続している時
注意点3:バックアップを取る
アプリを削除する場合:
- データが消える可能性がある
- 特にゲームアプリは要注意
推奨:
- iCloudバックアップ
- ゲーム内のバックアップ機能
- アカウント連携の確認
注意点4:「システム」の容量は削除できない
「システム」とは:
- iOSの動作に必要なデータ
- キャッシュやログファイル
- その他一時ファイル
減らす方法:
- 再起動
- 使わないアプリの削除
- 写真・動画の整理
- (最終手段)初期化
注意:
「システム」の容量が数十GBになることもありますが、これは正常です。
よくある質問と回答

キャッシュクリアでデータは消えますか?
基本的には消えません。
消えないデータ:
- 写真・動画
- 連絡先
- メール
- メモ
- カレンダー
- アプリのアカウント情報(多くの場合)
消えるデータ:
- 閲覧履歴
- ログイン状態
- Webサイトの設定
- キャッシュデータ
注意:
アプリを削除する場合は、データが消える場合があります。
キャッシュクリアとストレージの空き容量の関係は?
効果あり:
キャッシュを削除すると、ストレージの空き容量が増えます。
削除できる容量の目安:
- Safari:数百MB〜数GB
- SNSアプリ:数百MB〜1GB
- ゲームアプリ:数GB
ただし:
次回使用時に再びキャッシュが作られるため、永続的な解決策ではありません。
キャッシュクリアでバッテリー持ちは良くなる?
直接的な効果は小さいです。
理由:
バッテリー消費の主な原因は、キャッシュではなく以下の要素です:
- 画面の明るさ
- 通信(4G/5G/Wi-Fi)
- アプリの動作
- GPS使用
間接的な効果:
- 動作が軽くなることで、若干の改善
- アプリの異常動作が解消されれば改善
キャッシュクリアできない場合の対処法は?
「履歴とWebサイトデータを消去」がグレー表示の場合:
原因1:削除するデータがない
- すでにキャッシュが空
原因2:スクリーンタイムで制限されている
- 設定→スクリーンタイム→コンテンツとプライバシーの制限
- 「Webコンテンツ」の設定を確認
原因3:iCloudのSafari同期が原因
- 設定→Apple ID→iCloud
- Safariの同期を一時的にオフ
- キャッシュクリア後、再度オンにする
原因4:iOSが古い
- 最新のiOSにアップデート
クリーナーアプリは使うべき?
基本的には不要です。
理由:
- App Storeには悪質なクリーナーアプリも多い
- 効果が不明確
- セキュリティリスクがある
Appleの見解:
公式の方法以外は推奨していません。
代替案:
- 本記事で紹介した公式の方法を使う
- 定期的な再起動
- ストレージ管理機能の活用
例外:
Apple公式や信頼できる開発元のアプリなら検討可
AndroidとiPhoneの違いは?
Android:
- 設定から各アプリのキャッシュを一括削除可能
- 「ストレージとキャッシュ」→「キャッシュを削除」
iPhone:
- アプリごとに個別対応が必要
- Safariは設定から削除可能
- その他アプリは削除・再インストールが必要
理由:
iOSのセキュリティとプライバシー保護の設計思想によるものです。
まとめ
iPhoneのキャッシュクリアについて、まとめると以下のようになります。
キャッシュとは:
- アプリやブラウザが一時保存するデータ
- 再表示の高速化とデータ通信量の節約に役立つ
- 溜まりすぎると逆効果
キャッシュクリアのメリット:
- 動作速度の改善
- ストレージ容量の確保
- 不具合の解消
- プライバシー保護
キャッシュクリアのデメリット:
- ログアウトされる
- 一時的に読み込みが遅くなる
- 設定がリセットされる
- データ通信量が増える
Safari のキャッシュクリア:
- 設定→アプリ→Safari→「履歴とWebサイトデータを消去」
- Safariアプリからも削除可能
- 特定のサイトのみ削除も可能
その他ブラウザ:
- Chrome、Firefox、Edge:アプリ内設定から削除
- 手順は各ブラウザで異なる
アプリのキャッシュクリア:
- LINE:アプリ内に削除機能あり
- X(Twitter):アプリ内に削除機能あり
- Instagram・Facebook・YouTube:削除・再インストール
- ゲームアプリ:バックアップ後に削除・再インストール
システム全体:
- 再起動が最も簡単で効果的
- ストレージ管理で容量確認
- 初期化は最終手段(バックアップ必須)
推奨頻度:
- ブラウザ:月1回程度
- SNSアプリ:2〜3ヶ月に1回
- 再起動:週1回程度
注意点:
- ログイン情報を事前確認
- Wi-Fi環境で実施
- バックアップを取る
- クリーナーアプリは基本不要
キャッシュクリアは、iPhoneを快適に使い続けるための重要なメンテナンスです。ただし、削除しすぎるとログアウトなどの手間が増えるため、適度な頻度で行うのがポイントです。
「動作が重い」「ストレージ容量が足りない」と感じたら、まずはSafariのキャッシュクリアと再起動を試してみましょう。それでも改善しない場合は、アプリごとのキャッシュクリアを検討してください。
この記事を参考に、ぜひ定期的なキャッシュクリアで、快適なiPhoneライフを送ってください!

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