「増加量って何?」「変化量との違いは?」
数学の関数や微分を学ぶとき、必ず出てくるのが「増加量」という言葉です。
この記事では、増加量の基本的な意味から、変化の割合との関係、さらには微分へのつながりまで、具体例を使って丁寧に解説していきます。
関数の理解を深めるために欠かせない概念なので、しっかり押さえていきましょう。
増加量とは何か

増加量とは、ある値がどれだけ増えたか(または減ったか)を表す量のことです。
もっと正確に言うと:
増加量 = 変化後の値 − 変化前の値
この計算式で求められます。
日常生活での増加量
例えば、体重が50kgから55kgに変化したとします。
この場合の体重の増加量は:
55kg − 50kg = 5kg
体重が5kg増えたということですね。
逆に、体重が50kgから45kgになった場合:
45kg − 50kg = −5kg
増加量が負の値(マイナス)になります。
これは「減った」ということを表しています。
つまり、増加量は「増える」だけでなく「減る」場合も含めた、変化の大きさを表す言葉なんです。
数学における増加量
数学では、xとyという2つの変数がある関数で結びついているとき、それぞれの増加量を考えます。
xの増加量
xが「2」から「5」に変化した場合:
xの増加量 = 5 − 2 = 3
これを記号で表すと:
Δx = 3
Δ(デルタ)は「変化量」や「増加量」を表す記号として使われます。
英語では「increment(インクリメント)」と呼ばれています。
yの増加量
関数y = 2x + 1があるとします。
xが2のとき:
y = 2×2 + 1 = 5
xが5のとき:
y = 2×5 + 1 = 11
したがって、yの増加量は:
Δy = 11 − 5 = 6
このように、xの値が変化すると、それに応じてyの値も変化します。
その変化の大きさが「増加量」なんですね。
変化の割合との関係
増加量を理解したら、次は「変化の割合」という重要な概念を見ていきましょう。
変化の割合とは
変化の割合とは、xが1増えるごとに、yがどれだけ増えるかを表す値です。
計算式はこちら:
変化の割合 = yの増加量 ÷ xの増加量
記号で書くと:
変化の割合 = Δy / Δx
具体例で理解しよう
先ほどの例で計算してみます。
- xの増加量:Δx = 3
- yの増加量:Δy = 6
変化の割合 = 6 ÷ 3 = 2
これは「xが1増えると、yが2増える」という意味です。
1次関数での特徴
1次関数 y = ax + b では、変化の割合は常にa(傾き)と等しくなります。
例:y = 2x + 1の場合
変化の割合 = 2(常に一定)
これが1次関数の大きな特徴です。
どの区間を取っても、変化の割合は同じ値になります。
グラフで見ると、直線の傾きがどこでも同じだからですね。
増加量の求め方:実践編
実際に問題を解きながら、増加量の求め方を確認していきましょう。
例題1:基本的な増加量
問題:
y = 3x − 2において、xが1から4まで変化するとき、xとyの増加量を求めてください。
解き方:
ステップ1:xの増加量を求める
xの増加量 = 4 − 1 = 3
ステップ2:各点でのyの値を求める
x = 1のとき:y = 3×1 − 2 = 1
x = 4のとき:y = 3×4 − 2 = 10
ステップ3:yの増加量を求める
yの増加量 = 10 − 1 = 9
答え:xの増加量は3、yの増加量は9
例題2:変化の割合も求める
問題:
y = −2x + 5において、xが−1から2まで変化するとき、変化の割合を求めてください。
解き方:
ステップ1:xの増加量
xの増加量 = 2 − (−1) = 3
ステップ2:yの値を計算
x = −1のとき:y = −2×(−1) + 5 = 7
x = 2のとき:y = −2×2 + 5 = 1
ステップ3:yの増加量
yの増加量 = 1 − 7 = −6
ステップ4:変化の割合
変化の割合 = −6 ÷ 3 = −2
答え:変化の割合は−2
この−2という値は、元の式のxの係数(−2)と一致していますね。
2次関数での増加量
1次関数では変化の割合が一定でしたが、2次関数では話が変わってきます。
2次関数の特徴
y = x² のような2次関数では、変化の割合が一定ではありません。
具体例:
区間1:xが1から2まで
- x = 1のとき:y = 1
- x = 2のとき:y = 4
- 変化の割合 = (4−1)/(2−1) = 3
区間2:xが2から3まで
- x = 2のとき:y = 4
- x = 3のとき:y = 9
- 変化の割合 = (9−4)/(3−2) = 5
このように、区間によって変化の割合が異なります。
これがグラフで見ると「曲線」になる理由です。
傾きが場所によって変わるんですね。
微分との関係:微小な増加量
増加量の概念を極限まで推し進めると、「微分」という考え方につながります。
微小増加量とは
これまで見てきた増加量Δxは、3とか1とか、ある程度大きな値でした。
しかし、この増加量をどんどん小さくしていったらどうなるでしょうか?
Δx = 0.1 → 0.01 → 0.001 → 0.0001 → …
このように、限りなく0に近づけていく増加量を考えます。
記号の変化
増加量が限りなく小さくなると、記号も変わります:
- 大きな増加量:Δx、Δy(デルタ)
- 微小な増加量:dx、dy(ディー)
dxやdyは「微小変化」を表す記号です。
微分への橋渡し
変化の割合 = Δy / Δx でしたね。
この増加量を限りなく小さくすると:
dy / dx = 微分係数
これが微分の基本的な考え方です。
例:y = x² の場合
xが1から1.1に変化:変化の割合 ≈ 2.1
xが1から1.01に変化:変化の割合 ≈ 2.01
xが1から1.001に変化:変化の割合 ≈ 2.001
限りなく小さくすると、x = 1での微分係数は2になります。
実際、y = x² を微分すると dy/dx = 2x なので、x = 1のときは2ですね。
増加量を使う場面
増加量の考え方は、数学だけでなく、さまざまな場面で使われています。
速度の計算
物理では、速度は距離の増加量を時間の増加量で割ったものです。
速度 = 距離の増加量 ÷ 時間の増加量
例えば:
- 時間の増加量:2時間
- 距離の増加量:100km
- 平均速度 = 100 ÷ 2 = 50km/h
成長率の分析
経済や統計では、データの変化を分析するときに増加量を使います。
例:売上の増加量
- 去年の売上:100万円
- 今年の売上:120万円
- 売上の増加量:20万円
- 増加率:20 ÷ 100 × 100 = 20%
グラフの傾きを読む
グラフを見るとき、増加量の概念を使えば傾きが分かります。
横軸(x)の増加量と縦軸(y)の増加量を読み取り、割り算すれば傾きが求まるんです。
よくある間違いと注意点

増加量を扱うとき、気をつけたいポイントがいくつかあります。
間違い1:引き算の順序を間違える
間違った計算:
xが2から5に変化
xの増加量 = 2 − 5 = −3(×)
正しい計算:
増加量 = 変化後 − 変化前
xの増加量 = 5 − 2 = 3(○)
必ず「後の値 − 前の値」の順番で計算しましょう。
間違い2:「xの値」と「xの増加量」を混同する
問題文:
y = 2x + 1で、xの増加量が3のとき、yの増加量は?
間違った解答:
x = 3を代入して、y = 7(×)
正しい解答:
変化の割合は2(xの係数)
yの増加量 = 2 × 3 = 6(○)
xの増加量は、x自体の値ではありません。
変化した量(差)のことです。
間違い3:負の増加量を「増加」と呼ぶ
増加量が負の値のとき、実際には「減少」しています。
でも、数学では「増加量 = −5」のように表現します。
「減少量」という言葉は使わないんですね。
増加量が負 = 減ったという意味だと理解しておきましょう。
増加量をマスターするコツ
増加量の問題を確実に解けるようになるためのポイントをまとめます。
ポイント1:図を描く
増加量を考えるとき、数直線やグラフを描くと分かりやすくなります。
視覚的に「どこからどこまで変化したか」が見えるので、計算ミスも減ります。
ポイント2:変化の割合とセットで理解
増加量だけを単独で覚えるのではなく、「変化の割合 = Δy / Δx」という関係とセットで理解しましょう。
この関係式を使えば、増加量の問題の多くが解けます。
ポイント3:単位に注意
物理や実際の問題では、増加量に単位がつきます。
- 時間の増加量:3時間
- 距離の増加量:150km
- 速度(変化の割合):150km ÷ 3時間 = 50km/h
単位を正しく扱うことで、計算の意味がより明確になります。
ポイント4:負の値も恐れない
増加量が負になることは普通にあります。
減った場合は負の値になるだけで、計算方法は同じです。
符号を気にしすぎて計算を間違えないように注意しましょう。
まとめ
増加量は、数学の関数や微分を理解するための基礎となる重要な概念です。
この記事のポイント:
- 増加量とは「変化後の値 − 変化前の値」で求められる変化の大きさ
- 記号はΔ(デルタ)を使い、Δx、Δyのように表す
- 変化の割合は「yの増加量 ÷ xの増加量」で計算できる
- 1次関数では変化の割合が一定で、傾きaと等しい
- 2次関数では変化の割合が一定ではなく、場所によって変わる
- 増加量を限りなく小さくすると、微分の概念につながる
- 引き算の順序(後 − 前)を間違えないことが重要
- 速度や成長率など、実生活でも広く使われる考え方
増加量の概念は、これから学ぶ微分や積分の理解にも直結します。
基本的な計算方法をしっかり身につけて、変化の割合との関係も押さえておけば、関数の問題がぐっと解きやすくなるはずです。
まずは1次関数での増加量の計算に慣れて、徐々に2次関数や微分へと進んでいきましょう!

