【西遊記】登場人物を完全網羅!主要キャラから妖怪まで一覧で紹介

神話・歴史・伝承

孫悟空、三蔵法師、猪八戒……これらの名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?

これらはすべて、中国の古典小説『西遊記』に登場するキャラクターたちの名前です。

アニメやゲーム、ドラマなどで何度も映像化され、日本でもなじみ深い物語ですよね。
ドラゴンボールの主人公の名前が「孫悟空」なのも、この西遊記が元ネタなんです。

でも、「名前は知ってるけど、どんなキャラクターなの?」「三蔵法師の弟子って何人いるの?」「敵の妖怪にはどんなのがいるの?」と思う方も多いでしょう。

この記事では、西遊記に登場する主要キャラクターから強敵の妖怪たちまで、わかりやすい一覧形式で詳しくご紹介します。

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西遊記ってどんな物語?

物語の基本情報

西遊記は、16世紀の中国・明の時代に成立した長編小説です。

全100回(100話)で構成されており、唐の高僧・玄奘三蔵がインド(天竺)へお経を取りに行く旅を描いています。

基本データ

  • 成立時期:1570年頃
  • 作者:呉承恩(ごしょうおん)とされるが確証はない
  • ジャンル:伝奇小説、冒険活劇
  • 全体構成:100回(100話)

なぜこんなに人気なの?

西遊記が長く愛され続けている理由はいくつかあります。

魅力的なキャラクター

孫悟空をはじめとする個性豊かなキャラクターたちが、笑いあり涙ありの冒険を繰り広げます。
真面目すぎる三蔵法師、やんちゃな悟空、食いしん坊の猪八戒……それぞれが人間味あふれる魅力を持っているんです。

中国文化の融合

道教、仏教、中国の民間伝承が渾然一体となった世界観が特徴的。
神仙や妖怪が入り乱れる壮大なスケールの物語になっています。

普遍的なテーマ

「成長」「友情」「忍耐」「悟り」といった普遍的なテーマが描かれており、現代でも共感できる内容です。

主人公チーム──三蔵法師と四人の弟子

西遊記の主人公チームは、三蔵法師と4人の弟子で構成されています。

三蔵法師(さんぞうほうし)──慈悲深き求道者

基本情報

  • 本名:玄奘(げんじょう)
  • 別名:唐三蔵、陳玄奘
  • 役割:旅の指導者、お経を取りに行く僧侶
  • モデル:実在の唐代の高僧・玄奘三蔵(602年~664年)

どんな人物?

唐の皇帝・太宗の命を受け、天竺(インド)へお経を取りに行く僧侶です。
前世は釈迦如来の弟子「金蝉子(きんせんし)」で、10回も転生を繰り返しています。

慈悲深く清廉な性格で、どんな困難にも仏の道を信じて進み続けます。
ただし、妖怪を見分ける力がないため、何度も悟空を誤解してしまうことも。

有名なエピソード

三蔵法師の肉を食べると不老不死になれるという噂があり、旅の途中で何度も妖怪に狙われます。
弟子たちに守られながら、計81の難を乗り越えて天竺を目指すのです。


孫悟空(そんごくう)──最強の大暴れ猿

基本情報

  • 別名:斉天大聖(せいてんたいせい)、美猴王(びこうおう)、孫行者
  • 出身:東勝神洲・花果山の霊石から誕生
  • 武器:如意金箍棒(にょいきんこぼう)
  • 特技:筋斗雲(きんとうん)、七十二変化

どんな人物?

西遊記で最も人気のあるキャラクターです。
花果山の不思議な石から生まれた石猿で、須菩提祖師のもとで仙術を学びました。

「斉天大聖(天に等しい大いなる聖者)」を自称し、天界で大暴れ。
釈迦如来に敗れて五行山の下に500年間封印されていたところを、三蔵法師に助けられます。

性格と特徴

  • 腕っぷしが非常に強く、妖術の才能も抜群
  • 気性が荒く傲慢だが、本質は仲間思い
  • 火眼金睛(かがんきんせい)で妖怪を見破る能力を持つ
  • 頭の「緊箍児(きんこじ)」を三蔵法師に締められると苦しむ

主な能力

能力名効果
七十二変化72通りの変身が可能
筋斗雲一度のとんぼ返りで十万八千里を移動
如意金箍棒自在に大きさが変わる神の武器
火眼金睛妖怪の正体を見破る
身外身法毛を抜いて分身を作る

猪八戒(ちょはっかい)──愛嬌ある食いしん坊

基本情報

  • 別名:猪悟能(ちょごのう)、天蓬元帥(てんぽうげんすい)
  • 前世:天界の水軍を率いる天蓬元帥
  • 武器:九歯釘耙(きゅうしていは)
  • 特技:三十六変化

どんな人物?

元は天界の高官・天蓬元帥でしたが、酒に酔って月の女神・嫦娥(じょうが)に手を出したため、地上に落とされました。
本来は猪(イノシシ)として転生するはずが、間違えて豚の胎内に入ってしまったんです。

福陵山で妖怪として暮らしていましたが、観音菩薩に出会い、三蔵法師の弟子になることを約束します。

性格と特徴

  • 大食漢で女好き、怠け者
  • 欲望に忠実で、敵の罠にかかりやすい
  • 憎めない愛嬌がある人気キャラクター
  • 悟空とはよくケンカするが、実は仲が良い

結末

旅を終えても煩悩を捨てきれなかったため、「浄壇使者(じょうだんししゃ)」という役職を与えられます。
これは仏前に供えられた食べ物を片付ける役目で、八戒にはぴったりの仕事でした。


沙悟浄(さごじょう)──寡黙な縁の下の力持ち

基本情報

  • 別名:沙僧、沙和尚、捲簾大将(けんれんたいしょう)
  • 前世:玉帝に仕える捲簾大将
  • 武器:降妖宝杖(ごうようほうじょう)
  • 居住地:流沙河

どんな人物?

元は天界で玉帝の御簾を上げ下げする役目を持つ捲簾大将でした。
蟠桃会(ばんとうえ)で玉帝の宝物の瑠璃杯を割ってしまい、地上に落とされて妖怪となりました。

流沙河で人を襲う妖怪となっていましたが、観音菩薩に諭されて三蔵法師の弟子になります。

性格と特徴

  • 礼儀正しく、温厚で真面目
  • 口数が少なく、目立たない存在
  • 荷物持ちや仲裁役を担当
  • 水中での戦闘が得意

日本での誤解

日本では河童のイメージで描かれることが多いですが、原作では赤い目と赤い髪を持つ恐ろしい姿の妖怪です。
「河に住む妖怪」というイメージから、日本の河童と結びついたと考えられています。


白龍馬(はくりゅうば)──忠実なる馬に化けた龍

基本情報

  • 本名:敖玉(ごうぎょく)
  • 別名:玉龍(ぎょくりゅう)
  • 正体:西海竜王の三太子
  • 役割:三蔵法師の乗り物

どんな人物?

西海竜王・敖閏(ごうじゅん)の第三王子でしたが、父の宝珠を誤って燃やしてしまい、死刑を宣告されます。
観音菩薩に救われ、鷹愁澗(ようしゅうかん)で三蔵法師を待つことになりました。

最初は三蔵法師の馬を食べてしまいますが、観音菩薩の取りなしで白馬に姿を変え、三蔵法師を乗せて旅を続けます。

特徴

  • 旅の間、ほとんどセリフがない
  • 人間の意志を象徴する存在
  • 旅の終わりには八部天竜に列せられる

天界の神仏たち

西遊記には、天界に住む神々や仏が数多く登場します。

仏教系の神仏

釈迦如来(しゃかにょらい)

西方の霊山・雷音寺に住む仏教の最高位の存在です。
暴れる孫悟空を手のひらの中に閉じ込め、五行山の下に500年間封印しました。
物語の最後で三蔵一行にお経を授けます。

観音菩薩(かんのんぼさつ)

慈悲の象徴として、一行をたびたび助ける存在。
悟空、八戒、悟浄、白龍馬を三蔵法師の弟子として選び、旅をサポートします。
困難な妖怪との戦いでは、必ずといっていいほど助けに現れるんです。

弥勒菩薩(みろくぼさつ)

未来に仏となることが約束された菩薩。
弥勒菩薩の弟子が逃げ出して妖怪になるエピソードなど、物語に登場します。


道教系の神仙

玉皇大帝(ぎょくこうたいてい)

天界の最高統治者で、すべての神々を束ねる存在。
天帝(てんてい)とも呼ばれます。
孫悟空の暴れぶりに頭を悩ませ、釈迦如来に助けを求めました。

太上老君(たいじょうろうくん)

道教の始祖・老子が神格化された存在。
孫悟空を八卦炉で焼こうとしましたが、逆に火眼金睛の能力を与えてしまいます。
金角・銀角は、この太上老君の部下だったんです。

西王母(せいおうぼ)

蟠桃園を管理する女仙。
三千年に一度実る不老不死の桃を守っていますが、孫悟空に荒らされてしまいます。

四海龍王(しかいりゅうおう)

東西南北の海を治める龍王たち。
東海龍王は孫悟空に如意金箍棒を奪われ、西海龍王の息子が白龍馬になります。


天界の将軍・役人

名前役職・特徴
托塔李天王天界の総大将、哪吒の父
哪吒(ナタ)三太子、六種類の武器を操る
二郎神(楊戩)天眼を持つ戦神、悟空と互角に戦う
千里眼・順風耳遠くを見たり聞いたりする神
二十八宿星の神々、黄袍怪の正体は奎宿

強敵の妖怪たち

西遊記の旅で、一行は数々の妖怪と戦います。
ここでは特に有名な敵キャラクターを紹介しましょう。

牛魔王(ぎゅうまおう)──最強の妖怪大王

基本情報

  • 別名:平天大聖(へいてんたいせい)、大力王
  • 正体:巨大な白い牛の妖怪
  • 住処:積雷山摩雲洞
  • 家族:妻は鉄扇公主、息子は紅孩児

どんな妖怪?

西遊記における最強クラスの妖怪で、孫悟空の義兄弟でもあります。
悟空が「斉天大聖」を名乗っていた頃、七人の義兄弟の契りを結びました。
牛魔王は長兄で、悟空は末弟だったんです。

火焔山のエピソードで一行の前に立ちはだかり、妻の持つ芭蕉扇をめぐって悟空と激しく戦います。

家族関係

  • 鉄扇公主(羅刹女):正妻。芭蕉扇を持つ女地仙
  • 玉面公主:愛人。狐の妖怪
  • 紅孩児:息子。三昧真火を操る強敵
  • 如意真仙:弟。子母河のほとりに住む


紅孩児(こうがいじ)──炎を操る子供妖怪

基本情報

  • 別名:聖嬰大王(せいえいだいおう)
  • 住処:枯松澗火雲洞
  • 武器:火尖槍
  • 特技:三昧真火(ざんまいしんか)

どんな妖怪?

牛魔王と鉄扇公主の息子で、300歳を超える妖怪ですが、見た目は幼い子供です。
鼻から吹き出す三昧真火は普通の水では消せず、悟空さえも苦戦させました。

観音菩薩の計略で善財童子として仏門に帰依し、現在は観音菩薩に仕えています。


金角大王・銀角大王(きんかく・ぎんかく)──宝貝使いの兄弟妖怪

基本情報

  • 住処:平頂山蓮華洞
  • 正体:太上老君の炉の番をしていた童子
  • 知名度:日本で特に有名な敵キャラ

どんな妖怪?

金角(兄)と銀角(弟)の兄弟で、5つの宝貝(ほうばい=魔法の道具)を操ります。
日本では角の生えた鬼のイメージで描かれることが多いですが、原作では狐の妖怪に近い存在です。

持っている宝貝

宝貝名効果
紫金紅葫蘆(しきんこうころ)名前を呼んで返事をした者を吸い込むひょうたん
羊脂玉浄瓶(ようしぎょくじょうびょう)同じく相手を吸い込む水差し
七星剣強力な宝剣
芭蕉扇炎を起こす扇
幌金縄(こうきんじょう)相手を縛る魔法の縄

結局、この兄弟は太上老君が三蔵一行を試すために送り込んだ存在でした。
倒された後、元の童子の姿に戻って天界へ帰っていきます。


白骨夫人(はっこつふじん)──三度化けた骸骨の妖怪

基本情報

  • 別名:白骨精、白骨夫人
  • 住処:白虎嶺白骨洞
  • 正体:白骨の精

どんな妖怪?

三蔵法師を食べようと、若い娘、老婆、老人と三度姿を変えて近づく妖怪です。

悟空は火眼金睛で正体を見破り、三度とも打ち倒しますが、八戒が「悟空は人間を殺した」と騒ぎ立てます。
それを信じた三蔵法師は悟空を破門してしまうという、物語の中でも印象的なエピソードです。


その他の主要な妖怪

妖怪名特徴・正体
黄風大王黄風を操る妖怪。正体は黄毛貂鼠
黄袍怪宝象国の王女をさらった。正体は二十八宿の奎宿
蜘蛛精七人の女蜘蛛の妖怪。盤糸洞に住む
霊感大王通天河を支配。正体は観音菩薩の池の金魚
青牛精(独角兕)太上老君の乗り物だった青牛
六耳獼猴悟空と瓜二つの偽者。釈迦如来に見破られる
黄眉大王偽の雷音寺を作った妖怪。弥勒菩薩の弟子
大鵬金翅鳥獅駝嶺の三大王。如来の舅にあたる

女性キャラクターたち

西遊記には魅力的な女性キャラクターも多く登場します。

鉄扇公主(てっせんこうしゅ)/羅刹女

基本情報

  • 別名:羅刹女(らせつにょ)
  • 関係:牛魔王の正妻、紅孩児の母
  • 武器:芭蕉扇

火焔山を鎮める唯一の道具「芭蕉扇」を持つ女性。
息子の紅孩児が観音菩薩に連れ去られたことを恨み、悟空に芭蕉扇を貸すことを拒否します。


嫦娥(じょうが)

月に住む美しい女神です。
猪八戒が酔って言い寄ったことで天界を追放されるきっかけとなりました。


女人国の国王

西梁女国という女性だけの国の女王。
三蔵法師に一目惚れし、婿になるよう迫ります。


蜘蛛精(七人の蜘蛛の妖怪)

盤糸洞に住む七人の女蜘蛛の妖怪。
美女に化けて三蔵法師たちを誘惑しようとします。

西遊記キャラクターの現代への影響

アニメ・ゲームへの影響

西遊記のキャラクターは、現代のエンターテイメントにも大きな影響を与えています。

代表的な作品

  • ドラゴンボール:主人公の名前が「孫悟空」、初期は西遊記がモチーフ
  • 最遊記:現代風にアレンジした人気漫画
  • LEGO モンキーキッド:LEGOのオリジナルシリーズ
  • 大神:アマテラスが主人公のゲームに悟空が登場
  • Fate/Grand Order:三蔵法師がサーヴァントとして登場

日本の実写ドラマ

1978年から放送された日本テレビのドラマ『西遊記』は、夏目雅子演じる三蔵法師が話題を呼びました。
三蔵法師を女性が演じるという斬新な演出で、海外でも人気を博しています。

まとめ

西遊記は、単なる冒険物語ではありません。

キャラクターが象徴するもの

  • 三蔵法師:信仰心、人間の弱さと強さ
  • 孫悟空:知恵と力、暴れん坊の成長
  • 猪八戒:人間の欲望、愛嬌
  • 沙悟浄:誠実さ、地道な努力
  • 白龍馬:人間の意志

これらのキャラクターは、中国の五行思想に基づいて設計されているとも言われています。
悟空は火と金、八戒は木と水、悟浄は土を象徴し、互いに支え合いながら旅を続けるのです。

全100回の物語の中には、今回紹介した以外にも数え切れないほどの妖怪や神仙が登場します。
興味を持った方は、ぜひ原作やアニメ、ドラマなどで西遊記の世界に触れてみてください。

1500年以上も前の物語でありながら、現代の私たちの心にも響く普遍的なテーマが詰まった、まさに中国文学の最高傑作といえるでしょう。

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