「順列と組み合わせって、何が違うの?」
「PとCの使い分けがわからない…」
「確率の計算で、いつも間違えてしまう」
高校数学Aで学ぶ「場合の数と確率」は、多くの人がつまずく単元です。
でも、基本的な考え方さえ理解すれば、実はそれほど難しくありません。日常生活でも役立つ実用的な分野なんです。
この記事では、場合の数の基礎から順列・組み合わせ、そして確率の計算まで、具体例を交えて丁寧に解説します。最後まで読めば、「場合の数と確率」が得意分野になるはずです!
場合の数とは?基本的な考え方

場合の数の意味
場合の数とは、「全部で何通りあるか」という数のことです。
例えば:
- サイコロを1回振るとき、目の出方は6通り
- コインを2回投げるとき、表裏の組み合わせは4通り
- 5人から3人選ぶ方法は10通り
このように、「何通りあるか」を数えることが場合の数を求めることです。
場合の数を数える基本的な方法
場合の数が少ないときは、次の方法で数えることができます。
1. 書き出し法
すべての場合を実際に書き出して数える方法。
例: サイコロを2回振るとき、目の和が4になる場合の数
- (1, 3)
- (2, 2)
- (3, 1)
答え:3通り
2. 樹形図
枝分かれの図を使って場合の数を視覚的に把握する方法。
例: コインを2回投げるときの樹形図
1回目 2回目
表 ─── 表 (表、表)
/ └── 裏 (表、裏)
スタート
\ ┌── 表 (裏、表)
裏 ─── 裏 (裏、裏)
答え:4通り
しかし、場合の数が多いときは、これらの方法では大変です。そこで、効率的に数える公式や法則が必要になります。
和の法則と積の法則
場合の数を効率的に数えるための2つの基本法則を見ていきましょう。
和の法則(足し算の法則)
和の法則
事象Aの起こり方がm通り、事象Bの起こり方がn通りあり、AとBが同時には起こらない(排反)とき、
AまたはBが起こる場合の数 = m + n 通り
キーワード: 「または」「どちらか一方」
例題
クラスに男子が15人、女子が12人います。
クラス委員を1人選ぶとき、選び方は何通りありますか?
解答
男子から選ぶ:15通り
女子から選ぶ:12通り
男子と女子を同時に選ぶことはできないので、和の法則を使います。
15 + 12 = 27通り
答え:27通り
積の法則(掛け算の法則)
積の法則
事象Aの起こり方がm通りあり、そのそれぞれに対して事象Bの起こり方がn通りあるとき、
AとBが両方起こる場合の数 = m × n 通り
キーワード: 「続けて」「それぞれに対して」
例題
定食屋でランチセットを注文します。
メイン料理が3種類、ドリンクが4種類あります。
メイン1つとドリンク1つを選ぶとき、選び方は何通りありますか?
解答
メイン:3通り
それぞれのメインに対してドリンク:4通り
積の法則を使います。
3 × 4 = 12通り
答え:12通り
和の法則と積の法則の使い分け
| 使う法則 | キーワード | 計算 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 和の法則 | または、どちらか一方 | 足し算 | 男子または女子を選ぶ |
| 積の法則 | 続けて、それぞれに対して | 掛け算 | メインとドリンクを選ぶ |
順列(P):順番が大事なとき
順列とは
順列とは、「異なるn個のものから異なるr個を取り出して並べること」です。
順列では順番が重要です。
- AとBを並べるとき、「AB」と「BA」は別のものと数えます。
順列の記号と公式
順列は nPr または P(n, r) と表します。
順列の公式
nPr = n × (n-1) × (n-2) × ... × (n-r+1)
または
nPr = n! / (n-r)!
ここで、n! は「nの階乗」で、n! = n × (n-1) × (n-2) × … × 2 × 1 です。
順列の具体例
例題1:基本的な順列
A、B、C、Dの4人から3人選んで一列に並べる方法は何通りですか?
解答
4人から3人を選んで並べるので、4P3 を計算します。
4P3 = 4 × 3 × 2 = 24通り
考え方
- 1番目:4人から1人選ぶ → 4通り
- 2番目:残り3人から1人選ぶ → 3通り
- 3番目:残り2人から1人選ぶ → 2通り
- 積の法則より:4 × 3 × 2 = 24通り
答え:24通り
例題2:すべてを並べる場合
5人全員を一列に並べる方法は何通りですか?
解答
5人から5人を選んで並べるので、5P5 を計算します。
5P5 = 5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120通り
n個すべてを並べる場合は、nPn = n! になります。
答え:120通り
階乗(!)の計算
階乗は順列・組み合わせの計算で頻繁に使います。
| 階乗 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 0! | 1(定義) | 1 |
| 1! | 1 | 1 |
| 2! | 2 × 1 | 2 |
| 3! | 3 × 2 × 1 | 6 |
| 4! | 4 × 3 × 2 × 1 | 24 |
| 5! | 5 × 4 × 3 × 2 × 1 | 120 |
| 6! | 6 × 5 × 4 × 3 × 2 × 1 | 720 |
重要: 0! = 1 と定義されています。
組み合わせ(C):順番が関係ないとき
組み合わせとは
組み合わせとは、「異なるn個のものから異なるr個を取り出すこと」です。
組み合わせでは順番は関係ありません。
- AとBを選ぶとき、「AB」と「BA」は同じものと数えます。
組み合わせの記号と公式
組み合わせは nCr または C(n, r) と表します。
組み合わせの公式
nCr = nPr / r!
または
nCr = n! / (r! × (n-r)!)
公式の意味
順列で求めた数を、選んだr個を並べる順列r!で割ります。
これは、順番を区別しない分だけ場合の数が減るからです。
組み合わせの具体例
例題1:基本的な組み合わせ
A、B、C、Dの4人から3人選ぶ方法は何通りですか?
解答
4人から3人を選ぶので、4C3 を計算します。
4C3 = 4! / (3! × 1!)
= (4 × 3 × 2 × 1) / ((3 × 2 × 1) × 1)
= 24 / 6
= 4通り
実際に書き出すと:ABC、ABD、ACD、BCD の4通り
答え:4通り
例題2:計算の工夫
10人から3人選ぶ方法は何通りですか?
解答
10C3 = 10! / (3! × 7!)
= (10 × 9 × 8) / (3 × 2 × 1)
= 720 / 6
= 120通り
計算のコツ: 階乗を完全に計算せず、約分できる部分を見つけましょう。
答え:120通り
nCrの性質
組み合わせには便利な性質があります。
性質1:nCr = nC(n-r)
例:5C2 = 5C3 = 10通り
5人から2人選ぶことは、5人から3人を残すことと同じです。
性質2:nC0 = nCn = 1
例:5C0 = 5C5 = 1通り
何も選ばない、または全部選ぶ方法は1通りです。
性質3:nC1 = nC(n-1) = n
例:5C1 = 5C4 = 5通り
5人から1人選ぶ方法は5通りです。
順列と組み合わせの見分け方

順列と組み合わせを使い分けるポイントを整理しましょう。
見分けるポイント
| 項目 | 順列(P) | 組み合わせ(C) |
|---|---|---|
| 順番 | 重要 | 関係ない |
| キーワード | 並べる、順番、配置 | 選ぶ、取り出す、組 |
| 具体例 | 3人を1列に並べる | 3人を選ぶ |
| 計算 | nPr | nCr |
判断フローチャート
問題を読む
↓
順番は重要?
↓ はい ↓ いいえ
順列(P) 組み合わせ(C)
比較例題
例題
5人の中から3人を選ぶとき:
(1) 委員長、副委員長、書記を決める → 順列
理由:役職が違うので順番が重要
→ 5P3 = 60通り
(2) 委員を3人選ぶ → 組み合わせ
理由:役職の区別がないので順番は関係ない
→ 5C3 = 10通り
覚え方
「並べる」ときは順列のP
「選ぶ」ときは組み合わせのC
確率の基本
確率とは
確率とは、「ある事象が起こる可能性の度合い」を数値で表したものです。
確率の定義
確率 = ある事象が起こる場合の数 / 起こりうるすべての場合の数
記号では:
P(A) = n(A) / n(U)
- P(A):事象Aが起こる確率
- n(A):事象Aが起こる場合の数
- n(U):すべての場合の数(全事象)
確率の範囲
確率は常に 0 ≤ P(A) ≤ 1 の範囲にあります。
- P(A) = 0:絶対に起こらない(不可能)
- P(A) = 1:必ず起こる(確実)
- P(A) = 0.5:五分五分
確率の基本例題
例題1:サイコロの確率
サイコロを1回振るとき、偶数の目が出る確率は?
解答
- 全体の場合の数:6通り(1, 2, 3, 4, 5, 6)
- 偶数の場合の数:3通り(2, 4, 6)
確率 = 3/6 = 1/2
答え:1/2
例題2:玉を取り出す確率
赤玉3個、白玉2個が入った袋から、玉を1個取り出すとき、赤玉が出る確率は?
解答
- 全体の場合の数:5通り
- 赤玉の場合の数:3通り
確率 = 3/5
答え:3/5
確率計算の重要ルール
ルール:確率では玉や物を区別する
確率を計算するときは、同じ色の玉でも区別して数えます。
これは「同様に確からしい」(すべての事象が等しい確率で起こる)を保証するためです。
例
赤玉3個(赤1、赤2、赤3)、白玉2個(白1、白2)から2個取り出す
- 全体:5C2 = 10通り(これは玉を区別して数えている)
- 赤1個、白1個:3C1 × 2C1 = 6通り(これも区別して数える)
確率 = 6/10 = 3/5
分子と分母で区別の仕方を統一することが重要です。
場合の数と確率の違い
場合の数と確率で、「区別するかしないか」の考え方が違うことに注意が必要です。
場合の数の場合
場合の数では、問題で聞かれていることに応じて区別する
例: 1円玉3枚、10円玉3枚、100円玉3枚から3枚取り出すとき、異なる金額は何通りか?
答え:金額の組み合わせを数えるので、同じ金額の硬貨は区別しない
→ 10通り(111円、120円、201円、210円、300円など)
確率の場合
確率では、「同様に確からしい」を保つため、常に区別する
例: 上と同じ状況で、合計が111円になる確率は?
- 全体:9C3 = 84通り(硬貨を区別)
- 111円:3 × 3 × 3 = 27通り(各金額から1枚ずつ、区別して選ぶ)
確率 = 27/84 = 9/28
なぜ確率では区別するのか?
理由: 区別しないと、確率が正しく計算できません。
例えば、「赤玉100個、白玉2個」と「赤玉3個、白玉2個」から1個ずつ取る確率が、区別しないと同じになってしまいます。これは明らかにおかしいですね。
区別することで、すべての取り出し方が等しい確率で起こることを保証します。
確率の計算問題
実際の確率計算問題を解いてみましょう。
例題1:カードの確率
1から10までの数字が書かれたカード10枚から、3枚を同時に引くとき、3枚とも偶数である確率を求めよ。
解答
- 偶数:2, 4, 6, 8, 10の5枚
- 奇数:1, 3, 5, 7, 9の5枚
全体の場合の数:10C3
3枚とも偶数の場合の数:5C3
10C3 = (10 × 9 × 8) / (3 × 2 × 1) = 120通り
5C3 = (5 × 4 × 3) / (3 × 2 × 1) = 10通り
確率 = 10/120 = 1/12
答え:1/12
例題2:くじ引きの確率
当たりくじ3本、はずれくじ7本の計10本から、2本同時に引くとき、2本とも当たりである確率を求めよ。
解答
全体の場合の数:10C2
2本とも当たりの場合の数:3C2
10C2 = (10 × 9) / (2 × 1) = 45通り
3C2 = (3 × 2) / (2 × 1) = 3通り
確率 = 3/45 = 1/15
答え:1/15
例題3:少なくとも1つ
赤玉4個、白玉6個の計10個から3個同時に取り出すとき、少なくとも1個は赤玉である確率を求めよ。
解答
「少なくとも1個」は、余事象を使うと簡単です。
余事象:「1個も赤玉がない」=「3個とも白玉」
全体:10C3 = 120通り
3個とも白玉:6C3 = 20通り
P(少なくとも1個赤) = 1 - P(すべて白)
= 1 - 20/120
= 1 - 1/6
= 5/6
答え:5/6
余事象の考え方
「少なくとも○○」「いずれか」などは、余事象で考えると計算が楽になります。
P(A) = 1 - P(Aでない)
確率の重要公式
確率にはいくつかの重要な公式があります。
確率の加法定理
排反事象の場合
事象AとBが同時に起こらない(排反)とき:
P(AまたはB) = P(A) + P(B)
一般の場合
P(AまたはB) = P(A) + P(B) - P(AかつB)
確率の乗法定理
独立な事象の場合
事象AとBが独立(一方が起こることが他方に影響しない)とき:
P(AかつB) = P(A) × P(B)
例: サイコロを2回振って、両方とも6が出る確率
P(1回目が6) × P(2回目が6) = 1/6 × 1/6 = 1/36
余事象の確率
P(Aが起こらない) = 1 - P(A)
よくある間違いと注意点
場合の数と確率でよくある間違いをまとめます。
間違い1:順列と組み合わせの混同
誤り: 5人から3人選んで並べる → 5C3 = 10通り
正解: 順番が重要なので → 5P3 = 60通り
間違い2:確率で物を区別しない
誤り: 赤玉3個、白玉2個から2個取り出して、赤1個白1個が出る確率
→ (赤、白)の1通り ÷ 全体3通り = 1/3
正解: 玉を区別する
→ 3C1 × 2C1 ÷ 5C2 = 6 ÷ 10 = 3/5
間違い3:全体の場合の数を間違える
問題: トランプ52枚から2枚引いて、両方ともハートである確率
誤り: 13/52 × 13/52(元に戻して引く計算)
正解: 13C2 / 52C2 = 78/1326 = 1/17
(同時に2枚引くので、組み合わせで計算)
間違い4:条件を見落とす
問題文の「少なくとも」「すべて」「ちょうど」などの条件をよく読みましょう。
- 少なくとも1個:1個以上(余事象を使う)
- すべて:全部
- ちょうど2個:2個だけ(1個でも3個でもない)
練習問題
学んだことを確認する練習問題です。
問題1:順列
6人を一列に並べる方法は何通りか?
答えを見る
6P6 = 6! = 720通り
問題2:組み合わせ
7人から4人選ぶ方法は何通りか?
答えを見る
7C4 = 7!/(4!×3!) = 35通り
問題3:確率
サイコロを2回振るとき、目の和が7になる確率は?
答えを見る
目の和が7になる組み合わせ:
(1,6), (2,5), (3,4), (4,3), (5,2), (6,1)の6通り
全体:6 × 6 = 36通り
確率 = 6/36 = 1/6
問題4:余事象
5枚の硬貨を同時に投げるとき、少なくとも1枚は表が出る確率は?
答えを見る
余事象「すべて裏」で考える
全体:2^5 = 32通り
すべて裏:1通り
確率 = 1 – 1/32 = 31/32
まとめ:場合の数と確率をマスターするポイント
場合の数と確率を理解するための重要ポイントをまとめます。
ポイント1:和の法則と積の法則を使い分ける
- 「または」→ 足し算(和の法則)
- 「続けて」→ 掛け算(積の法則)
ポイント2:順列と組み合わせを見分ける
- 順番が重要 → 順列(P)
- 順番は関係ない → 組み合わせ(C)
- 「並べる」→ P、「選ぶ」→ C
ポイント3:確率では常に区別する
確率を計算するときは、同じ色の玉でも区別して数えます。
分子と分母で区別の仕方を統一することが重要。
ポイント4:余事象を活用する
「少なくとも」「いずれか」は余事象で考えると簡単になります。
P(A) = 1 - P(Aでない)
ポイント5:公式を理解して使う
- 順列:nPr = n!/(n-r)!
- 組み合わせ:nCr = n!/(r!×(n-r)!)
- 確率:P(A) = (事象Aの場合の数)/(全体の場合の数)
ポイント6:問題を丁寧に読む
「同時に」「順番に」「元に戻す」「戻さない」などの条件をしっかり確認しましょう。
ポイント7:図や表を活用する
複雑な問題は、樹形図や表を書いて整理すると理解しやすくなります。
場合の数と確率は、練習すれば必ずできるようになります。
基本的な公式と考え方をしっかり身につけて、たくさんの問題を解いて慣れていきましょう!
