数学のdivとは?発散の意味から計算方法まで徹底解説

数学

「ベクトル解析でdivって出てきたけど、何のこと?」
「発散って言われても、イメージが湧かない…」

大学の数学や物理で突然登場するdiv

実は、divは「divergence(発散)」の略で、ベクトル場がある点でどれだけ「湧き出している」か「吸い込んでいる」かを表す重要な概念なんです。

この記事では、divの意味や計算方法を、水の流れというイメージを使って分かりやすく解説していきます。数式だけでなく、直感的な理解を大切にして説明しますので、ぜひ最後までお読みください!


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divとは何か?基本的な意味を理解しよう

divは「発散」を表す演算子

divは「divergence(ダイバージェンス)」の略で、日本語では発散と呼ばれます。

ベクトル解析における重要な演算子の一つで、ベクトル場に対して適用すると、その場がどれだけ「広がっているか」「縮んでいるか」を数値で表してくれます。

ベクトル場とは

ベクトル場とは、空間の各点にベクトルが割り当てられている状態のことです。

たとえば:

  • 空間内の各点における風の速度と向き
  • 川の流れの速度と方向
  • 電場や磁場の強さと向き

これらはすべてベクトル場で表現できます。

関係ないけど、ダイバージェンスというとSteins;Gateを思い出してしまう。

発散の結果はスカラー値

divをベクトル場に適用すると、結果はスカラー値(普通の数)になります。

  • div V > 0 → その点から湧き出している(正の発散)
  • div V < 0 → その点へ吸い込まれている(負の発散)
  • div V = 0 → 流入量と流出量が等しい

水の流れで理解するdivの直感的イメージ

divを理解するには、水の流れをイメージするのが一番分かりやすいです。

湧き出しのイメージ(正の発散)

泉から水が湧き出ているところを想像してください。

水が一点から外側に向かって広がっていく場合、その点では「流出量が流入量よりも多い」ことになります。

これが正の発散です。

div V > 0 のとき
→ 湧き出し(ソース)
→ 水が増えている

吸い込みのイメージ(負の発散)

逆に、排水口に水が吸い込まれていくところを想像してください。

水が一点に向かって集まっていく場合、その点では「流入量が流出量よりも多い」ことになります。

これが負の発散です。

div V < 0 のとき
→ 吸い込み(シンク)
→ 水が減っている

流れが変わらない状態(ゼロの発散)

川の中を一定の速度で流れている水を考えてみましょう。

ある点に流れ込む水の量と、その点から流れ出る水の量が等しい場合、その点での発散はゼロになります。

div V = 0 のとき
→ 湧き出しも吸い込みもない
→ 水の量は変わらない

divの数学的定義と計算方法

ここからは、divの数学的な定義と、実際の計算方法を見ていきましょう。

3次元空間でのdivの定義

3次元空間のベクトル場 V = (Vx, Vy, Vz) に対して、divは次のように定義されます:

div V = ∂Vx/∂x + ∂Vy/∂y + ∂Vz/∂z

記号の意味:

  • ∂(ラウンド・デー):偏微分の記号
  • Vx, Vy, Vz:ベクトルのx, y, z成分
  • x, y, z:それぞれの座標軸

覚え方のポイント

各成分を、対応する変数で偏微分したものを足し合わせるだけです。

  • x成分は xで微分
  • y成分は yで微分
  • z成分は zで微分

2次元空間でのdivの定義

2次元の場合は、z成分がないだけです:

div V = ∂Vx/∂x + ∂Vy/∂y

ナブラ演算子を使った表現

divはナブラ演算子(∇)を使って次のように表現することもできます:

div V = ∇・V

ナブラ演算子は次のように定義されます:

∇ = (∂/∂x, ∂/∂y, ∂/∂z)

これをベクトル場Vと内積(ドット積)すると、divの定義式になります。


divの計算例で理解を深めよう

実際にdivを計算してみましょう。

例題1:基本的な計算

問題

ベクトル場 V = (x + y + z, x² + y² + z², x³ + y³ + z³) のdivを求めよ。

解答

div Vの定義に従って計算します:

div V = ∂Vx/∂x + ∂Vy/∂y + ∂Vz/∂z

各成分を偏微分すると:

∂Vx/∂x = ∂(x + y + z)/∂x = 1
∂Vy/∂y = ∂(x² + y² + z²)/∂y = 2y
∂Vz/∂z = ∂(x³ + y³ + z³)/∂z = 3z²

したがって:

div V = 1 + 2y + 3z²

答え:div V = 1 + 2y + 3z²

例題2:位置ベクトルの発散

問題

位置ベクトル r = (x, y, z) のdivを求めよ。

解答

各成分を偏微分します:

∂x/∂x = 1
∂y/∂y = 1
∂z/∂z = 1

したがって:

div r = 1 + 1 + 1 = 3

答え:div r = 3

これは、位置ベクトル場が原点から外側に向かって広がっていることを示しています。

例題3:放射状のベクトル場

問題

ベクトル場 V = (2x, 2y, 2z) のdivを求めよ。

解答

∂(2x)/∂x = 2
∂(2y)/∂y = 2
∂(2z)/∂z = 2

したがって:

div V = 2 + 2 + 2 = 6

答え:div V = 6

この正の発散は、このベクトル場が原点を中心に外側に広がっていることを示しています。


divが表す物理的な意味

divは数学だけでなく、物理学でも非常に重要な概念です。

単位体積あたりの湧き出し量

divの値は、単位体積あたりの正味の流出量を表しています。

ある小さな領域を考えたとき:

  • 領域から流出する量が多い → 正のdiv
  • 領域へ流入する量が多い → 負のdiv
  • 流出と流入が等しい → div = 0

流体力学での応用

流体の速度場をvとすると:

  • div v > 0:流体が膨張している
  • div v < 0:流体が圧縮されている
  • div v = 0:流体は非圧縮性(体積が保存される)

電磁気学での応用

電場Eに対するdivは、ガウスの法則に登場します:

div E = ρ/ε₀

ここで:

  • ρ:電荷密度
  • ε₀:真空の誘電率

この式は、電場の発散が電荷の存在によって生じることを示しています。


grad、div、rotの関係性

ベクトル解析には、divの他にも重要な演算子があります。

3つの基本演算子

1. grad(勾配)

  • スカラー場 → ベクトル場
  • 最も急激に増加する方向を示す

2. div(発散)

  • ベクトル場 → スカラー場
  • 湧き出しの強さを示す

3. rot(回転)

  • ベクトル場 → ベクトル場
  • 渦の強さを示す

演算子の作用の流れ

スカラー場 --[grad]--> ベクトル場 --[div]--> スカラー場
                              |

↓ ベクトル場

重要な関係式

1. div(grad f) = ∇²f

これはラプラシアンと呼ばれ、熱伝導方程式や波動方程式に登場します。

2. div(rot V) = 0

任意のベクトル場の回転の発散は常にゼロになります。

3. rot(grad f) = 0

任意のスカラー場の勾配の回転は常にゼロになります。


divの計算における注意点とコツ

divを計算する際の重要なポイントをまとめます。

ポイント1:対応する変数で微分する

各成分は、対応する座標変数でのみ偏微分します。

Vxはxで微分
Vyはyで微分
Vzはzで微分

他の変数は定数として扱います。

ポイント2:偏微分の基本を確認する

偏微分の基本ルール:

∂(x²)/∂x = 2x
∂(xy)/∂x = y
∂(y²)/∂x = 0  (yは定数扱い)

ポイント3:結果はスカラー

divの計算結果は必ずスカラー値(数値または式)になります。

ベクトルにはなりませんので、もしベクトルになったら計算ミスです。

ポイント4:符号に注意

発散の正負は物理的な意味を持ちます:

  • 正:湧き出し
  • 負:吸い込み
  • ゼロ:保存

計算結果の符号を確認することで、物理的な解釈ができます。


divが登場する重要な定理

divは多くの重要な数学定理に登場します。

ガウスの発散定理

ガウスの発散定理(または単に発散定理)は、ベクトル解析で最も重要な定理の一つです:

∫∫∫_V (div F) dV = ∫∫_S F・n dS

意味:

  • 左辺:領域V内でのdivの積分
  • 右辺:領域Vの表面Sを通る流束

この定理は、「領域内の湧き出しの総和」と「表面を通る正味の流出量」が等しいことを示しています。

グリーンの定理との関係

2次元の場合、ガウスの発散定理はグリーンの定理の一形態になります:

∫∫_D (div F) dA = ∮_C F・n ds

ここで:

  • D:2次元領域
  • C:領域Dの境界線

電磁気学でのガウスの法則

電場Eに対するガウスの法則:

∫∫_S E・n dS = Q/ε₀

発散定理を使うと:

∫∫∫_V (div E) dV = Q/ε₀

これから、局所的な形として:

div E = ρ/ε₀

が導かれます。


実践問題でdivをマスターしよう

理解を深めるために、いくつか練習問題を解いてみましょう。

問題1

ベクトル場 V = (3x², 2yz, xz) のdivを求めよ。

解答

div V = ∂(3x²)/∂x + ∂(2yz)/∂y + ∂(xz)/∂z
     = 6x + 2z + x
     = 7x + 2z

答え:div V = 7x + 2z

問題2

ベクトル場 V = (-x, -y, -z) のdivを求め、この場の性質を説明せよ。

解答

div V = ∂(-x)/∂x + ∂(-y)/∂y + ∂(-z)/∂z
     = -1 + (-1) + (-1)
     = -3

div V = -3 < 0 なので、このベクトル場は全空間で吸い込みを表しています。

具体的には、原点に向かって流れ込むベクトル場です。

答え:div V = -3(吸い込みの場)

問題3

ベクトル場 V = (y, -x, 0) のdivを求めよ。

解答

div V = ∂y/∂x + ∂(-x)/∂y + ∂0/∂z
     = 0 + 0 + 0
     = 0

この結果は、このベクトル場が非圧縮性であることを示しています。

実際、このベクトル場は原点を中心とした回転運動を表しており、湧き出しも吸い込みもありません。

答え:div V = 0


まとめ:divを理解するための重要ポイント

divの概念をしっかり理解するために、重要なポイントをまとめます。

ポイント1:divは「湧き出しの強さ」を表す

水の流れをイメージすることで、直感的に理解できます。

  • 正の値:湧き出し
  • 負の値:吸い込み
  • ゼロ:保存

ポイント2:計算方法はシンプル

各成分を対応する変数で偏微分して足し合わせるだけです。

div V = ∂Vx/∂x + ∂Vy/∂y + ∂Vz/∂z

ポイント3:結果はスカラー値

ベクトル場に適用すると、スカラー値(数)が得られます。

ポイント4:物理学で広く応用される

流体力学、電磁気学、熱力学など、多くの物理現象の記述に使われます。

ポイント5:他の演算子との関係

grad、rotと並ぶベクトル解析の基本演算子の一つです。
これらを組み合わせることで、複雑な物理現象を表現できます。

divは最初は難しく感じるかもしれませんが、水の流れというイメージを持ち、計算の練習を重ねることで、必ず理解できるようになります。

ベクトル解析の基礎として、しっかりとマスターしましょう!

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