数学の組み合わせとは?公式や計算方法、順列との違いを分かりやすく解説

数学

「A、B、Cの3人から2人を選ぶ方法は何通り?」

こんな問題、数学の授業で見たことありませんか?これが「組み合わせ」の問題です。組み合わせは、場合の数や確率を学ぶときに必ず出てくる重要な考え方なんですよ。

この記事では、組み合わせとは何か、どうやって計算するのか、順列との違いは何かを、基礎から丁寧に説明していきます。

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組み合わせとは何か

まず、組み合わせの基本的な意味から見ていきましょう。

組み合わせ(くみあわせ)とは、いくつかのものから何個かを選び出す方法のことです。

英語では「Combination(コンビネーション)」と言い、頭文字を取って「C」という記号で表します。

組み合わせの特徴

組み合わせの最大の特徴は、選ぶ順番を考えないことです。

たとえば、牛丼、ラーメン、カレー、からあげの4つから好きなものを3つ選ぶとしましょう。「牛丼、ラーメン、カレー」を選んだとします。

このとき、「牛丼、カレー、ラーメン」という順番で選んでも、選んだものは同じですよね。組み合わせでは、この2つを別々には数えません。同じ1つの組み合わせとして扱うんです。

つまり、「選ぶだけで、並べない」のが組み合わせなんですね。

日常生活での組み合わせの例

組み合わせは、身近なところでもよく使われています。

宝くじやロト
決まった数字の中から何個かを選びますよね。1、5、10と選んでも、10、5、1と選んでも同じです。

カードゲーム
トランプで5枚の手札を配られるとき、カードの順番は関係ありません。どのカードを持っているかが重要なんです。

委員やチームの選出
クラスから3人の委員を選ぶとき、選ばれた3人の順番は関係ないですよね。

組み合わせの記号と読み方

組み合わせは、特別な記号で表します。

nCr の意味

組み合わせは nCr という記号で表現します。

これは「n個のものからr個を選ぶ組み合わせの総数」を意味するんです。

読み方:

  • 「エヌ シー アール」
  • 「n個からr個を選ぶ組み合わせ」

たとえば:

  • 5C2 → 5個から2個を選ぶ組み合わせ
  • 10C3 → 10個から3個を選ぶ組み合わせ

表記の種類

組み合わせには、いくつかの表記方法があります。

  • nCr(日本でよく使われる)
  • C(n, r)
  • ( n )
    ( r )(括弧を縦に並べた形)

どれも同じ意味なので、見かけた形で理解できるようにしておきましょう。

組み合わせの公式

組み合わせを計算するための公式があります。

基本の公式

n個からr個を選ぶ組み合わせは、次の公式で求められます。

nCr = n! / (r! × (n-r)!)

「!」は「階乗(かいじょう)」と読みます。これについては次で説明しますね。

階乗とは

階乗(!)とは、1からその数までのすべての整数を掛け合わせたもののことです。

例:

  • 3! = 3 × 2 × 1 = 6
  • 4! = 4 × 3 × 2 × 1 = 24
  • 5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120

特別な場合として、0! = 1 と決められています。

もう一つの公式

組み合わせは、順列(P)を使っても表せます。

nCr = nPr / r!

順列については後で詳しく説明しますが、「順列を並べる場合の数で割る」と覚えておくといいですよ。

組み合わせの計算方法

実際に組み合わせを計算してみましょう。

例題1:5個から2個を選ぶ

問題: 5個から2個を選ぶ組み合わせは何通りか?

解き方:

5C2を計算します。

公式に当てはめると:
5C2 = 5! / (2! × (5-2)!)
= 5! / (2! × 3!)

ここで階乗を計算します:

  • 5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120
  • 2! = 2 × 1 = 2
  • 3! = 3 × 2 × 1 = 6

代入すると:
5C2 = 120 / (2 × 6)
= 120 / 12
= 10通り

計算の工夫

実は、もっと簡単に計算する方法があります。

5C2 = (5 × 4) / (2 × 1) = 20 / 2 = 10

階乗の式を書くとき、分子と分母で約分できる部分があるんです。

5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 のうち、3 × 2 × 1の部分が3!と同じなので、打ち消し合います。

だから、分子は5から2個分掛ける分母は2の階乗で割るという計算になるんですね。

例題2:7個から3個を選ぶ

問題: 7人から3人を選ぶ組み合わせは何通りか?

解き方:

簡単な方法で計算してみましょう。

7C3 = (7 × 6 × 5) / (3 × 2 × 1)
= 210 / 6
= 35通り

組み合わせの重要な性質

組み合わせには、便利な性質があります。

nCr = nC(n-r)

n個からr個を選ぶことと、n個から(n-r)個を選ぶことは同じなんです。

例:
5C2 = 5C3 = 10

5個から2個選ぶことは、5個から3個「選ばない」ことと同じですよね。選ばれる2個が決まれば、残りの3個も自動的に決まるからです。

この性質を使うと、計算が楽になることがあります。たとえば、10C8は計算が大変そうですが、10C2 = 45と同じなので、こちらで計算すればいいんです。

nC0 = nCn = 1

何も選ばない方法も、全部選ぶ方法も、1通りしかありません。

5C0 = 5C5 = 1

これは公式でも確認できます:
5C0 = 5! / (0! × 5!) = 1

nC1 = nC(n-1) = n

1個だけ選ぶ組み合わせは、n通りあります。

5C1 = 5C4 = 5

5個のうちどれか1個を選べばいいので、5通りですね。

順列との違い

組み合わせと混同しやすいのが「順列」です。この違いをしっかり理解しましょう。

順列とは

順列(じゅんれつ)とは、選んで並べることです。

英語では「Permutation(パーミュテーション)」と言い、頭文字を取って「P」という記号で表します。

順列では、並べる順番が違えば別のものとして数えるんです。

具体例で比較

A、B、Cの3人から2人を選ぶ場合を考えてみましょう。

組み合わせの場合:

  • AB
  • AC
  • BC

合計3通りです。ABとBAは同じものとして扱います。

順列の場合:

  • AB
  • BA
  • AC
  • CA
  • BC
  • CB

合計6通りです。ABとBAは別のものとして数えます。

見分け方のコツ

問題を解くとき、順列か組み合わせかを見分けるコツがあります。

「順番を入れ替えたら意味が変わるか?」を考えてみてください。

順番が重要 → 順列

  • 1位、2位、3位を決める(1位と2位は違う)
  • 数字を並べて暗証番号を作る(123と321は別物)
  • 本棚に本を並べる(並び順が違えば見た目が変わる)

順番が関係ない → 組み合わせ

  • 委員を3人選ぶ(選ばれた3人の順番は関係ない)
  • メニューから料理を選ぶ(選んだ料理の順番は関係ない)
  • チームのメンバーを選ぶ(誰が選ばれたかが重要)

順列と組み合わせの関係

順列と組み合わせには、数学的な関係があります。

公式の関係

先ほど紹介した公式を思い出してください。

nCr = nPr / r!

これは「順列を並べ方の数で割ると組み合わせになる」という意味です。

なぜこの関係が成り立つのか

A、B、C、Dの4つから3つを選んで並べる場合(順列)を考えます。

順列の例:
ABC、ACB、BAC、BCA、CAB、CBA(ABCの組み合わせから6通り)
ABD、ADB、BAD、BDA、DAB、DBA(ABDの組み合わせから6通り)
ACD、ADC、CAD、CDA、DAC、DCA(ACDの組み合わせから6通り)
BCD、BDC、CBD、CDB、DBC、DCB(BCDの組み合わせから6通り)

合計24通りの順列があります(4P3 = 4 × 3 × 2 = 24)。

でも、これをよく見ると、1つの組み合わせから6通り(3! = 6)の順列ができているんです。

つまり、組み合わせは4通りしかありません(4C3 = 4)。

24 ÷ 6 = 4

これが nCr = nPr / r! という公式の意味なんですね。

組み合わせの応用問題

少し難しい問題にもチャレンジしてみましょう。

複数の条件がある問題

問題: 男子5人、女子2人の中から、男子2人、女子1人を選ぶ方法は何通りか?

解き方:

男子を選ぶ組み合わせと、女子を選ぶ組み合わせを別々に計算して、最後に掛け合わせます。

男子5人から2人を選ぶ:
5C2 = (5 × 4) / (2 × 1) = 10通り

女子2人から1人を選ぶ:
2C1 = 2通り

合計:
10 × 2 = 20通り

グループ分けの問題

問題: 6人を3人ずつ2つのグループに分ける方法は何通りか?

解き方:

これは少し注意が必要です。

まず、6人から3人を選びます:
6C3 = 20通り

でも、これだと同じ分け方を2回数えてしまっています。

たとえば、ABCとDEFに分ける場合と、DEFとABCに分ける場合は同じ分け方ですよね。

だから、2で割る必要があります:
20 ÷ 2 = 10通り

実生活での組み合わせの活用

組み合わせは、実際の生活のいろいろな場面で使われています。

くじやロト

ロト6では、1から43までの数字の中から6個を選びます。

当たりの組み合わせは:
43C6 = 6,096,454通り

つまり、約600万分の1の確率なんです。

委員会やチームの選出

学校で、20人のクラスから3人の委員を選ぶ場合:

20C3 = 1,140通り

これだけの選び方があるわけですね。

メニューの組み合わせ

レストランで、10種類のメニューから好きなものを3つ選べるとしたら:

10C3 = 120通り

組み合わせを考えることで、選択肢の多さを数値化できるんです。

組み合わせを学ぶときの注意点

組み合わせをマスターするためのポイントをまとめます。

注意点1:順列と混同しない

これが一番よくある間違いです。

問題文をよく読んで、「順番が関係あるか、ないか」を確認しましょう。

注意点2:計算ミスに注意

階乗の計算は数が大きくなりがちです。

約分できる部分を見つけて、計算を簡単にする工夫をしてください。

注意点3:公式を丸暗記しない

公式の意味を理解することが大切です。

「なぜこの公式になるのか」を考えながら学習すると、応用問題にも対応できるようになりますよ。

まとめ

組み合わせとは、いくつかのものから何個かを選び出す方法のことで、選ぶ順番は考えません。

記号はnCrで表し、「n個からr個を選ぶ組み合わせ」を意味します。公式は nCr = n! / (r! × (n-r)!) で、階乗を使って計算するんでしたね。

順列との違いは、順番を考えるか考えないか。順列は「選んで並べる」、組み合わせは「選ぶだけ」と覚えておきましょう。

組み合わせには nCr = nC(n-r) という便利な性質があり、計算が楽になることもあります。また、nCr = nPr / r! という順列との関係式も重要です。

問題を解くときは、「順番を入れ替えたら意味が変わるか?」を考えて、順列か組み合わせかを見分けてください。

組み合わせは、くじ、チーム選出、メニュー選びなど、実生活のさまざまな場面で使われています。公式の意味をしっかり理解して、場合の数や確率の問題に活用していきましょう!

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