【中学・高校数学】実数とは?有理数・無理数との関係を図解で徹底解説

数学

「実数って何?」「有理数や無理数との違いは?」

数学の授業で突然出てくる「実数」という言葉。言葉は聞いたことがあるけど、正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

実は、実数は私たちが普段使っている「ほぼすべての数」のことなんです!

この記事では、実数の基本的な定義から、有理数・無理数との関係、数の体系全体の構造まで、図解を使ってわかりやすく丁寧に解説していきます。

数学が苦手な人でも大丈夫。一緒に「数の世界」を整理していきましょう。


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実数とは?

一言で言うと

実数(じっすう)とは…

「有理数と無理数をすべて合わせた数」

のことです。

英語では「Real Number」といいます。

もっと簡単に言うと

私たちが普段使っているほぼすべての数が実数です!

  • 1、2、3などの整数
  • 1/2、3/4などの分数
  • 0.5、-2.3などの小数
  • √2、√3などの平方根
  • π(円周率)

これらはすべて実数です。

実数でない数

実数でない数は虚数(きょすう)といいます。

虚数は高校数学で習う特殊な数で、普段の生活ではほとんど目にしません。

簡単に言えば:普段使う数 = 実数


数の体系全体図

実数を理解するには、数の体系全体を見ると分かりやすいです。

数の世界の構造

        ┌─────────────────────────┐
        │         実数            │
        │  ┌──────────────────┐   │
        │  │    有理数         │   │
        │  │  ┌───────────┐   │   │
        │  │  │   整数    │   │   │
        │  │  │ ┌───────┐ │   │   │
        │  │  │ │自然数 │ │   │   │
        │  │  │ │1,2,3  │ │   │   │
        │  │  │ └───────┘ │   │   │
        │  │  │ 0,-1,-2   │   │   │
        │  │  └───────────┘   │   │
        │  │  分数・循環小数   │   │
        │  └──────────────────┘   │
        │     無理数              │
        │  (√2, π, e など)       │
        └─────────────────────────┘

この図を見ると、実数がどんな数を含んでいるかが一目でわかりますね。


自然数・整数・有理数の違い

実数を理解するために、まず基本的な数の種類を整理しましょう。

1. 自然数(Natural Numbers)

定義:1から始まる数

1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, ...

特徴

  • ものを数えるときに使う数
  • 0は含まれない(重要!)
  • すべて正の数
  • 無限に続く

「りんごが3個ある」「生徒が25人いる」など、数える場面で使います。

2. 整数(Integers)

定義:自然数に0と負の数を加えたもの

..., -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, ...

分類

正の整数(自然数)

1, 2, 3, 4, 5, ...

0

0

負の整数

-1, -2, -3, -4, -5, ...

特徴

  • 小数点以下がない
  • 正負どちらもある
  • 0も含む

気温:「マイナス5度」→ -5℃
借金:「3万円のマイナス」→ -30000円

3. 有理数(Rational Numbers)

定義:整数の比(分数)で表せる数

a/b の形で表せる数(aとbは整数、b≠0)

有理数に含まれるもの

①整数

すべての整数は分数で表せます。

3 = 3/1
-5 = -5/1
0 = 0/1

②分数

1/2, 3/4, -2/5, 7/3

③有限小数

小数点以下が終わる小数は、すべて分数で表せます。

0.5 = 1/2
0.25 = 1/4
0.125 = 1/8
-1.75 = -7/4

④循環小数

小数点以下が繰り返す小数も、分数で表せます。

0.333... = 1/3
0.666... = 2/3
0.272727... = 3/11

有理数の名前の由来

「有理数」の「理」は「比(ratio)」を意味します。

英語では「Rational Number」=「比で表せる数」という意味なんです。


無理数(Irrational Numbers)

定義

無理数とは:整数の比(分数)で表せない数

有理数でない実数が、すべて無理数です。

無理数の特徴

1. 分数で表せない

どう頑張っても a/b の形にできません。

2. 非循環無限小数

小数点以下が…

  • 無限に続く
  • 規則的に繰り返さない

代表的な無理数

1. 平方根(√)

√2(ルート2)

√2 = 1.41421356237...

一辺が1の正方形の対角線の長さです。

√3(ルート3)

√3 = 1.73205080757...

√5(ルート5)

√5 = 2.23606797750...

注意:整数になる平方根は有理数!

√4 = 2(整数なので有理数)
√9 = 3(整数なので有理数)
√16 = 4(整数なので有理数)
√25 = 5(整数なので有理数)

2. 円周率 π(パイ)

π = 3.14159265358979323846...

円の円周と直径の比です。

よく「22/7」と近似されますが、本当は無理数です。

3. ネイピア数 e

e = 2.71828182845904523536...

自然対数の底で、高校数学で習います。

4. 黄金比 φ(ファイ)

φ = 1.61803398874989484820...

美しい比率として、芸術や建築に使われます。

なぜ無理数は分数で表せないのか?

√2が無理数であることの証明(背理法)

これは有名な証明です。高校で習いますが、簡単に紹介します。

仮定

√2が有理数だと仮定する
→ √2 = a/b と表せる(aとbは互いに素な整数)

導出

両辺を2乗すると:
2 = a²/b²
2b² = a²

これより、a²は2の倍数
→ aも2の倍数(a = 2kとおける)

代入すると:
2b² = (2k)² = 4k²
b² = 2k²

これより、b²も2の倍数
→ bも2の倍数

矛盾

aとbがともに2の倍数なら、「互いに素」という仮定に矛盾!

結論

√2は有理数では表せない → √2は無理数


実数の分類(まとめ図)

実数全体の構造

         実数(Real Numbers)
              |
      ┌───────┴───────┐
      |               |
   有理数          無理数
(Rational)     (Irrational)
      |               |
  ┌───┴───┐       ┌───┴───┐
  |       |       |       |
 整数   分数    平方根   その他
  |    循環小数   √2    π, e
  |              √3
┌─┴─┐            √5
|   |
自然数 0
負の整数

具体例で整理

分類説明
5自然数、整数、有理数、実数5 = 5/1
0整数、有理数、実数0 = 0/1
-3整数、有理数、実数-3 = -3/1
1/2有理数、実数分数
0.5有理数、実数0.5 = 1/2
0.333…有理数、実数0.333… = 1/3
√4自然数、整数、有理数、実数√4 = 2
√2無理数、実数1.41421…
π無理数、実数3.14159…
e無理数、実数2.71828…

有理数と無理数の見分け方

有理数の判定

次のいずれかに当てはまれば有理数

✓ 整数

-5, 0, 1, 100

✓ 分数

1/2, -3/4, 7/5

✓ 有限小数

0.5, 1.25, -3.75

✓ 循環小数

0.333... (1/3)
0.666... (2/3)
0.272727... (3/11)

✓ √の中が完全平方数

√4 = 2
√9 = 3
√16 = 4
√25 = 5
√100 = 10

無理数の判定

次のいずれかに当てはまれば無理数

✓ √の中が完全平方数でない

√2, √3, √5, √6, √7, √8, √10

✓ π(円周率)

π = 3.14159265358979...

✓ e(ネイピア数)

e = 2.71828182845904...

✓ 非循環無限小数

0.101001000100001...(規則的だが循環しない)

練習問題

理解を深めるために、いくつか問題を解いてみましょう。

問題1:分類問題

次の数を、自然数・整数・有理数・無理数・実数に分類しなさい。

(1) 7
(2) -4
(3) 0
(4) 3/5
(5) 0.75
(6) √9
(7) √7
(8) π
(9) 0.666...
(10) -√16

答えを見る

(1) 7

  • 自然数
  • 整数
  • 有理数 ○(7 = 7/1)
  • 無理数 ×
  • 実数

(2) -4

  • 自然数 ×(負の数)
  • 整数
  • 有理数 ○(-4 = -4/1)
  • 無理数 ×
  • 実数

(3) 0

  • 自然数 ×(0は含まれない)
  • 整数
  • 有理数 ○(0 = 0/1)
  • 無理数 ×
  • 実数

(4) 3/5

  • 自然数 ×
  • 整数 ×
  • 有理数
  • 無理数 ×
  • 実数

(5) 0.75

  • 自然数 ×
  • 整数 ×
  • 有理数 ○(0.75 = 3/4)
  • 無理数 ×
  • 実数

(6) √9

  • 自然数 ○(√9 = 3)
  • 整数
  • 有理数
  • 無理数 ×
  • 実数

(7) √7

  • 自然数 ×
  • 整数 ×
  • 有理数 ×
  • 無理数
  • 実数

(8) π

  • 自然数 ×
  • 整数 ×
  • 有理数 ×
  • 無理数
  • 実数

(9) 0.666…

  • 自然数 ×
  • 整数 ×
  • 有理数 ○(0.666… = 2/3)
  • 無理数 ×
  • 実数

(10) -√16

  • 自然数 ×
  • 整数 ○(-√16 = -4)
  • 有理数
  • 無理数 ×
  • 実数

問題2:有理数か無理数か

次の数は有理数か無理数か答えなさい。

(1) √2
(2) √100
(3) π/2
(4) 0.123123123...
(5) √2 + √2
(6) √2 × √2

答えを見る

(1) √2

無理数

√2 = 1.41421356…(非循環無限小数)

(2) √100

有理数

√100 = 10(整数)

(3) π/2

無理数

πが無理数なので、π/2も無理数

(4) 0.123123123…

有理数

循環小数は有理数。0.123123… = 123/999 = 41/333

(5) √2 + √2

無理数

√2 + √2 = 2√2 = 2 × 1.41421… = 2.82842…

(6) √2 × √2

有理数

√2 × √2 = 2(整数)

問題3:数直線上の位置

次の数を数直線上に表すとき、どの位置に来るか考えなさい。

(1) √2
(2) √5
(3) π

答えを見る

(1) √2

1と2の間(約1.414)

---|---|---|---|---
   1  √2  2   3

(2) √5

2と3の間(約2.236)

---|---|---|---|---
   1   2  √5  3

(3) π

3と4の間(約3.14159)

---|---|---|---|---
   2   3  π   4

実生活での実数の使われ方

実数は私たちの生活のあちこちで使われています。

1. 測定

長さ・距離

  • 身長:165.5cm(有理数)
  • 正方形の対角線:√2 m(無理数)

重さ

  • 体重:60.3kg(有理数)
  • 物理学の計算:e^x kg(無理数)

2. お金の計算

価格

  • 100円、1500円(整数・有理数)
  • 消費税込み:1080円(整数・有理数)

3. 科学・工学

円周率 π

  • 円の面積:πr²
  • 円の円周:2πr
  • 波の計算

ネイピア数 e

  • 指数関数:e^x
  • 複利計算
  • 放射性崩壊

4. 建築・デザイン

黄金比 φ

  • パルテノン神殿
  • モナリザ
  • 名刺のサイズ

√2(白銀比)

  • A4用紙の縦横比(1:√2)

よくある質問(FAQ)

Q1: 0は実数ですか?

A: はい、実数です。0は整数であり、有理数でもあり、実数でもあります。

0 = 0/1(分数で表せる)

Q2: すべての小数は実数ですか?

A: はい、すべての小数は実数です。

  • 有限小数(0.5、1.25)→ 有理数 → 実数
  • 循環小数(0.333…)→ 有理数 → 実数
  • 非循環無限小数(√2、π)→ 無理数 → 実数

Q3: 負の数は実数ですか?

A: はい、負の数も実数です。

-5(整数・有理数・実数)
-3.5(有理数・実数)
-√2(無理数・実数)

Q4: 実数でない数はありますか?

A: はい、虚数があります。

虚数は高校数学で習う特殊な数で、√(-1) = i を使って表します。

虚数の例:3i、2+5i など

Q5: πは本当に無理数ですか?22/7ではないのですか?

A: πは無理数です。

22/7(≒3.142857…)は、πの近似値として使われるだけで、πそのものではありません。

π = 3.14159265358979323846...
22/7 = 3.142857142857...

微妙に違います!

Q6: 有理数と無理数、どちらが多いですか?

A: 無理数の方が圧倒的に多いです!

数学的には、有理数は「可算無限」、無理数は「非可算無限」です。

数直線上にランダムに点を取ると、ほぼ確実に無理数になります。


実数の性質

実数には重要な性質がいくつかあります。

1. 稠密性(ちゅうみつせい)

任意の2つの実数の間には、無限個の実数が存在する

例:1と2の間には…

1.1, 1.5, 1.99, 1.999, 1.9999, ...

無限個の実数があります。

2. 連続性

数直線上に隙間なく並んでいる

有理数だけでは数直線に「隙間」ができますが、無理数を加えることで隙間がなくなります。

3. 順序性

実数には大小関係がある

任意の2つの実数 a、b について、次のいずれかが成り立ちます。

a < b  または  a = b  または  a > b

4. 四則演算が可能

実数同士で、足し算・引き算・掛け算・割り算(0で割る以外)ができます。

3 + √2  (実数)
π × 5   (実数)
√3 ÷ 2  (実数)

まとめ

実数について、重要なポイントをおさらいしましょう。

実数 = 有理数 + 無理数
私たちが普段使うほぼすべての数が実数
有理数 = 整数の比(分数)で表せる数
無理数 = 分数で表せない数(非循環無限小数)
数の体系:自然数 ⊂ 整数 ⊂ 有理数 ⊂ 実数
代表的な無理数:√2、π、e
実数でない数 = 虚数(高校数学で習う)
0は整数であり、有理数であり、実数
循環小数は有理数、非循環無限小数は無理数

実数は、数学の基礎中の基礎です。

中学校から高校、大学と、数学を学ぶ上で常に登場する重要な概念なので、しっかり理解しておきましょう。

特に、「有理数と無理数の違い」「どんな数が有理数/無理数なのか」を見分けられるようになることが大切です。

この記事で実数の全体像がつかめたら、次は具体的な計算問題に挑戦してみてください。

実際に手を動かすことで、理解がさらに深まりますよ!

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