確率の問題を解いていると、突然「₅C₂」とか「₁₀C₃」みたいな記号が出てきて、「これって何?」と戸惑ったことはありませんか?
実はこの「C」、確率や統計の問題を解くときにめちゃくちゃ便利な記号なんです。この記事では、数学が苦手な人でも理解できるように、組み合わせの「C」について分かりやすく解説していきます。
計算方法だけでなく、「なぜこの公式で求められるのか?」という疑問にもしっかり答えていきますね。
そもそも「C」って何の略?

「C」は「Combination(コンビネーション)」の頭文字です。
日本語では「組み合わせ」と呼ばれます。
つまり、「いくつかのモノの中から、何個かを選び出す方法が何通りあるか」を計算するときに使う記号なんですね。
具体例で考えてみよう
たとえば、あなたの目の前に5種類のアイスクリームがあるとします。
- バニラ
- チョコレート
- ストロベリー
- 抹茶
- マンゴー
この中から2つ選ぶとしたら、何通りの選び方があるでしょうか?
実際に書き出してみると…
- バニラ&チョコレート
- バニラ&ストロベリー
- バニラ&抹茶
- バニラ&マンゴー
- チョコレート&ストロベリー
- チョコレート&抹茶
- チョコレート&マンゴー
- ストロベリー&抹茶
- ストロベリー&マンゴー
- 抹茶&マンゴー
全部で10通りありますね!
この「5種類から2つを選ぶ組み合わせ」を数学の記号で表すと、₅C₂ = 10 となります。
「C」の書き方と読み方
表記方法
組み合わせは次のように書きます。
ₙCᵣ または C(n, r)
- n(エヌ):全体の個数
- r(アール):選び出す個数
読み方
「₅C₂」は「5シー2」または「5から2を選ぶ組み合わせ」と読みます。
英語では「5 choose 2(5個の中から2個を選ぶ)」と表現されることもあります。
組み合わせ「C」の公式
さて、いちいち書き出して数えるのは大変ですよね。アイスクリームが100種類あったら…考えただけで気が遠くなります。
そこで登場するのが組み合わせの公式です!
基本の公式
ₙCᵣ = n! / (r! × (n - r)!)
「!(エクスクラメーションマーク)」って何?と思った方、安心してください。次で説明します。
階乗「!」とは?
階乗(かいじょう)とは、その数から1まで順番に掛け算していった結果のことです。記号は「!」を使います。
階乗の計算例
- 3! = 3 × 2 × 1 = 6
- 4! = 4 × 3 × 2 × 1 = 24
- 5! = 5 × 4 × 3 × 2 × 1 = 120
読み方は「3の階乗」「4の階乗」のように読みます。
特別なルール
- 0! = 1 と決められています(理論的な理由があります)
- 1! = 1 です
階乗を使うと、大きな数の計算が簡単になるんですよ。
実際に計算してみよう
先ほどのアイスクリームの例を、公式を使って計算してみましょう。
問題:5種類から2つ選ぶ組み合わせ(₅C₂)
₅C₂ = 5! / (2! × (5 - 2)!)
= 5! / (2! × 3!)
= (5 × 4 × 3 × 2 × 1) / ((2 × 1) × (3 × 2 × 1))
ここで計算のコツがあります!
分母と分子で共通する部分を約分すると、計算がグッと楽になります。
₅C₂ = (5 × 4 × 3 × 2 × 1) / ((2 × 1) × (3 × 2 × 1))
= (5 × 4) / (2 × 1)
= 20 / 2
= 10
答えは10通り!最初に数えた結果と同じですね。
もっと簡単な計算方法

実は、組み合わせの計算にはもっと簡単な方法があります。
計算の工夫
ₙCᵣ = (n × (n-1) × (n-2) × ... × (n-r+1)) / (r × (r-1) × ... × 2 × 1)
つまり、分子はnからr個だけ掛け算して、分母はrの階乗で計算すればOKです。
例:₅C₂の場合
₅C₂ = (5 × 4) / (2 × 1)
= 20 / 2
= 10
この方法なら、大きな階乗を計算しなくて済むので、ミスも減ります!
知っておくと便利な性質
1. 対称性の性質
ₙCᵣ = ₙC_(n-r)
これは「n個から r個選ぶ」のと「n個から (n-r)個選ぶ」のは同じ、という意味です。
具体例
- ₅C₂ = ₅C₃ = 10
- ₁₀C₃ = ₁₀C₇ = 120
なぜでしょう?
5個から2個選ぶということは、残りの3個を選ばないということと同じだからです。選ぶ個数と選ばない個数は表裏一体なんですね。
2. 特殊なケース
- ₙC₀ = 1(何も選ばない方法は1通り)
- ₙC₁ = n(1個だけ選ぶ方法はn通り)
- ₙCₙ = 1(全部選ぶ方法は1通り)
順列「P」との違い
組み合わせ「C」とよく混同されるのが、順列「P」です。
順列(Permutation)とは?
順列は「選んだものを並べる順番も考慮する」場合に使います。
具体例で比較
問題:A、B、Cの3人から2人を選ぶ
組み合わせ(C)の場合
順番は考えない=「誰を選ぶか」だけ
- A&B
- A&C
- B&C
答え:3通り(₃C₂ = 3)
順列(P)の場合
順番も考える=「誰を1番目、2番目にするか」まで考える
- A→B
- A→C
- B→A
- B→C
- C→A
- C→B
答え:6通り(₃P₂ = 6)
見分け方のポイント
- 代表を選ぶ、チームを作る → 組み合わせ(C)
- 順位をつける、並べる順番がある → 順列(P)
確率の問題での使い方
組み合わせ「C」は、特に確率の計算でよく使われます。
例題:くじ引きの確率
問題
10本のくじの中に、当たりが3本入っています。この中から2本を引いたとき、両方とも当たる確率は?
解き方
全体の引き方
10本から2本を引く組み合わせ → ₁₀C₂
₁₀C₂ = (10 × 9) / (2 × 1) = 45通り
当たりを2本引く方法
3本の当たりくじから2本を引く組み合わせ → ₃C₂
₃C₂ = (3 × 2) / (2 × 1) = 3通り
確率の計算
確率 = 3 / 45 = 1 / 15
答え:1/15(約6.7%)
実生活での応用例
組み合わせ「C」は、実は私たちの生活のあちこちで使われています。
宝くじやロトの当選確率
ロト6は「1〜43の数字から6個を選ぶ」くじです。
当たる組み合わせは₄₃C₆ = 6,096,454通りもあります!
チーム分け
クラスの30人から5人の委員を選ぶ場合、₃₀C₅ = 142,506通りの選び方があります。
メニューの組み合わせ
レストランで5種類のトッピングから3つを選ぶとき、₅C₃ = 10通りの組み合わせが作れます。
計算ミスを防ぐコツ
1. 計算前に対称性をチェック
₁₀₀C₉₈を計算するなら、先に₁₀₀C₂に変換すると楽です。
₁₀₀C₉₈ = ₁₀₀C₂ = (100 × 99) / (2 × 1) = 4,950
2. 約分を先にする
階乗をすべて展開する前に、約分できる部分を探しましょう。
3. 電卓や計算ツールを活用
大きな数の場合は、表計算ソフトの「COMBIN関数」が便利です。
Excelの場合:=COMBIN(n, r)
よくある質問(FAQ)
Q1. nCrとnC(n-r)は本当に同じ?
A. はい、必ず同じになります。数学的に証明されています。
Q2. 0!が1になる理由は?
A. 数学の定義として決められています。この定義により、公式が矛盾なく使えるようになります。
Q3. 組み合わせと順列、どっちを使えばいい?
A. 「選ぶ順番が結果に影響するか」を考えましょう。影響しないなら組み合わせ(C)、影響するなら順列(P)です。
Q4. 計算結果が小数や分数になることはある?
A. いいえ、組み合わせの答えは必ず整数になります。もし小数になったら、どこかで計算ミスしています。
まとめ
組み合わせ「C」の重要ポイントをおさらいしましょう。
✓ 「C」はCombination(組み合わせ)の頭文字
✓ ₙCᵣ = n! / (r! × (n-r)!)で計算できる
✓ 順番を考えないのが組み合わせ、考えるのが順列
✓ ₙCᵣ = ₙC_(n-r)の対称性を使うと計算が楽
✓ 確率の問題でよく使われる
最初は難しく感じるかもしれませんが、何度か練習すれば必ず慣れます。大切なのは、公式を丸暗記するのではなく、「なぜこの計算で求められるのか」を理解することです。
この記事が、あなたの「C」への理解を深める助けになれば嬉しいです。確率や統計の問題に出会ったとき、自信を持って取り組めるようになりますよ!


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