「Androidアプリを作ってみたい」「JavaとKotlinってどう違うの?」「初心者でもAndroid開発できる?」
そんな疑問をお持ちの方へ。Android Javaは、Androidアプリ開発に長年使われてきたプログラミング言語です。現在はKotlinが推奨されているとはいえ、Javaも依然として重要な言語として活躍しています。
この記事では、Android Javaの基礎知識から開発の始め方、KotlinとJavaの比較まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
Android Javaとは?
Android Javaとは、Google社が提供するAndroidプラットフォーム上でアプリを開発するために使われるプログラミング言語のこと。正確には「Java言語を使ったAndroid開発」を指します。
Androidアプリ開発の歴史
Androidプラットフォームが誕生した2008年以来、Javaは長らくAndroid開発の主要言語でした。Google社は当初、Androidの標準開発言語としてJavaを採用し、多くの開発者がこの言語でアプリを作り続けてきました。
2017年にGoogle社がKotlinを公式言語として採用して以降、新規プロジェクトではKotlinが推奨されるようになりました。しかし、既存のJavaで書かれたアプリは膨大な数に上り、今でもJavaの知識は重要です。
Android JavaとJava SEの違い
普通のJava(Java SE)とAndroid Javaは、基本的な文法は同じですが、実行環境が異なります。
Java SEの場合
JVM(Java仮想マシン)というソフトウェア上で動作します。PCやサーバーで一般的なJavaアプリケーションを実行する際に使われます。
Android Javaの場合
Android端末では、ART(Android Runtime)という専用の実行環境で動作します。スマートフォンやタブレットに最適化された仕組みになっています。
ただし、プログラミング言語としてのJavaの文法や基本的な考え方は共通しているため、Java SEを学んだ知識がAndroid開発にも活かせます。
JavaとKotlin、どちらを選ぶべき?
Android開発を始めるとき、多くの人が悩むのが「JavaとKotlin、どっちを学ぶべき?」という問題です。
GoogleのKotlin推奨とは?
2019年、GoogleはKotlinを「Kotlin-first」つまり「Kotlinを第一に」という方針で推進し始めました。新しいAndroid開発ツールやライブラリは、まずKotlin向けに作られることが多くなっています。
しかし、これは「Javaが使えなくなる」という意味ではありません。JavaもKotlinも、同じプロジェクト内で併用できますし、既存のJavaコードは問題なく動き続けます。
JavaとKotlinの主な違い
両者の違いを簡単にまとめてみましょう。
コードの簡潔さ
Kotlinは同じ機能を実現するのに、Javaの半分程度の行数で書けることがあります。セミコロンが不要だったり、型推論という機能で型の指定を省略できたりと、シンプルに書けるよう工夫されています。
安全性の違い
Kotlinには「Null安全性」という機能があり、プログラムが予期せず停止する原因となる「NullPointerException」というエラーを防げます。Javaでは開発者が注意深く対処する必要があったこの問題を、Kotlinは言語レベルで解決しています。
学習難易度
Javaは歴史が長く、教材や情報が豊富です。一方Kotlinは新しい分、最初は情報が少なく感じるかもしれません。ただし、Kotlinの方が文法がシンプルなため、プログラミング初心者にとっては学びやすいという意見もあります。
互換性と共存
JavaとKotlinは完全に互換性があり、同じAndroid Studioプロジェクトの中で混在させることができます。JavaのコードをKotlinから呼び出すことも、その逆も可能です。
2025年現在、どちらを選ぶべき?
Kotlinがおすすめな人
- これからAndroid開発を新しく始める人
- 簡潔で読みやすいコードを書きたい人
- 最新のAndroid開発ツールを使いたい人
- モダンなプログラミング手法を学びたい人
Javaがおすすめな人
- 既存のJavaプロジェクトを保守・改修する必要がある人
- Web開発など他の分野でもJavaを使う予定がある人
- 大規模なエンタープライズシステムの知識も得たい人
- 豊富な教材と事例を活用したい人
結論:どちらから始めても大丈夫
KotlinとJavaは互換性が高いため、どちらか一方を学べば、もう一方への移行は比較的スムーズです。「新規開発ならKotlin、既存プロジェクトならJava」という使い分けが一般的ですが、両方とも知っておくのが理想的です。
Android Javaの特徴とメリット
それでは、Android Javaの具体的な特徴とメリットを見ていきましょう。
長い歴史と豊富な情報量
Javaは1995年に登場し、Android開発では2008年から使われています。この長い歴史が生み出した最大のメリットは、圧倒的な情報量です。
困ったときにGoogleで検索すれば、ほぼ確実に解決策が見つかります。書籍も豊富で、日本語の情報も充実しています。プログラミング初心者にとって、この「調べれば答えが見つかる」という安心感は大きなメリットです。
プラットフォームに依存しない汎用性
Javaの最大の特徴は「Write once, run anywhere(一度書けばどこでも動く)」という理念です。
Javaで書いたコードは、Windows、Mac、Linuxなど、JVMが動く環境ならどこでも実行できます。Android開発で学んだJavaの知識は、Webアプリケーション開発、サーバーサイド開発、業務システム開発など、幅広い分野で活用できます。
つまり、Android JavaをマスターすることはAndroid開発だけでなく、ITエンジニアとしてのキャリアの幅を広げることにもつながります。
大規模開発への適性
Javaは大規模なシステム開発に強い言語として知られています。
オブジェクト指向設計
Javaは完全なオブジェクト指向言語で、コードを「クラス」という単位で整理します。この仕組みにより、大規模なプロジェクトでもコードを管理しやすくなります。
豊富なライブラリとフレームワーク
長年の開発で蓄積された膨大なライブラリ(再利用可能なコードのまとまり)が存在します。必要な機能を一から作る必要がなく、既存のライブラリを活用することで開発時間を短縮できます。
セキュリティの堅牢さ
金融系システムや企業の基幹システムでJavaが採用される理由の一つが、このセキュリティの高さです。Androidアプリでも、この信頼性の高さが活かされています。
既存プロジェクトとの互換性
世界中に存在する膨大な数のAndroidアプリの多くは、Javaで書かれています。
これらのアプリを保守・改修するには、Javaの知識が不可欠です。特に企業で働くエンジニアにとって、既存のJavaコードを理解し、修正できる能力は重要なスキルとなります。
Android Studio の環境構築【初心者向け完全ガイド】
それでは実際に、Android開発を始めるための環境を整えましょう。
Android Studioとは?
Android StudioはGoogle社が提供する、Android開発専用の統合開発環境(IDE)です。コードを書く、デバッグする、アプリをテストするといった作業を一つのソフトウェアで行えます。
Android StudioはWindows、Mac、Linuxで動作し、無料で使えます。
必要なシステム要件
Android Studioをインストールする前に、PCのスペックを確認しましょう。
最小要件
- OS:Windows 10以降、macOS 10.14以降、Linux(Ubuntu推奨)
- メモリ:8GB以上のRAM
- ストレージ:10GB以上の空き容量
- 画面解像度:1280×800以上
推奨要件
- メモリ:16GB以上のRAM
- ストレージ:SSD(ソリッドステートドライブ)に20GB以上
- 画面解像度:1920×1080以上
Android Studioは比較的重いソフトウェアなので、快適に開発するには推奨要件を満たすPCがおすすめです。
Android Studioのインストール手順
手順1:ダウンロード
- Android開発者向け公式サイト(developer.android.com)にアクセス
- 「Download Android Studio」ボタンをクリック
- 利用規約に同意して、インストーラーをダウンロード
手順2:インストール
- ダウンロードしたインストーラーを実行
- インストールウィザードの指示に従って進める
- インストールの種類は「Standard」を選択(初心者におすすめ)
- インストール先は特に理由がなければデフォルトのまま
手順3:初回起動と設定
- Android Studioを起動
- 初回起動時は追加コンポーネントのダウンロードが行われる(時間がかかります)
- Android SDKという開発キットが自動的にインストールされる
すべて完了すると、Android Studioの「Welcome」画面が表示されます。これで開発環境の準備は完了です。
JDKのインストール(必要な場合)
Android Studioには最近のバージョンではJDKが同梱されているため、通常は別途インストールする必要はありません。
ただし、システムによっては別途JDK(Java Development Kit)のインストールを求められる場合があります。その際は、Oracle社の公式サイトまたはOpenJDKからダウンロードしてインストールしてください。
はじめてのAndroidアプリ作成【Hello Worldを作ろう】
環境構築が完了したら、さっそく最初のアプリを作ってみましょう。
新規プロジェクトの作成
手順1:プロジェクトの新規作成
- Android Studioの「Welcome」画面から「New Project」をクリック
- テンプレート選択画面が表示される
- 「Empty Activity」を選択して「Next」をクリック
「Empty Activity」は最もシンプルなテンプレートで、初心者の学習に最適です。
手順2:プロジェクトの設定
以下の項目を設定します。
- Name:アプリの名前(例:MyFirstApp)
- Package name:アプリを識別する名前(通常は自動生成されます)
- Save location:プロジェクトの保存先
- Language:JavaまたはKotlin(ここでは「Java」を選択)
- Minimum SDK:対応する最低限のAndroidバージョン(API 21推奨)
すべて入力したら「Finish」をクリックします。
プロジェクトの構造を理解する
プロジェクトが作成されると、画面左側にファイルツリーが表示されます。
主要なフォルダとファイル
app/java/[パッケージ名]/MainActivity.java
アプリのメイン画面を制御するJavaファイルです。アプリの動作を定義するコードを書きます。
app/res/layout/activity_main.xml
アプリの画面デザイン(レイアウト)を定義するXMLファイルです。ボタンやテキストの配置を記述します。
app/res/values/strings.xml
アプリで使用する文字列をまとめて管理するファイルです。複数言語対応などに便利です。
Gradle Scripts
ビルド設定を管理するファイル群です。最初は触らなくても大丈夫です。
エミュレーターの設定
アプリを実際に動かすには、Android端末が必要です。実機がなくても、PC上で動く「エミュレーター」を使えば動作確認できます。
エミュレーターの作成方法
- ツールバーの「Device Manager」アイコンをクリック
- 「Create Device」ボタンをクリック
- 端末を選択(Pixel 4など、一般的な機種を選ぶのがおすすめ)
- システムイメージ(Androidバージョン)を選択してダウンロード
- 設定を確認して「Finish」をクリック
エミュレーターの起動には時間がかかります。初回は特に遅いので、気長に待ちましょう。
アプリの実行
それでは、作成したアプリを実際に動かしてみます。
- ツールバーの再生ボタン(▶)をクリック
- 起動する端末を選択(エミュレーターまたは実機)
- 「OK」をクリック
ビルドが開始され、しばらくするとエミュレーター上でアプリが起動します。「Hello World!」と表示されたシンプルな画面が現れたら成功です!
コードを少し変更してみよう
せっかくなので、コードをいじってみましょう。
activity_main.xmlファイルを開き、以下の部分を探します。
<TextView
android:text="Hello World!"
...
/>
この"Hello World!"の部分を"はじめてのAndroidアプリ!"に変更して保存します。
再度アプリを実行すると、画面の表示が変わっているはずです。このように、コードを変更することでアプリの動作や見た目を自由にカスタマイズできます。
Android Javaの学習方法とリソース
Android開発を学ぶための方法とリソースをご紹介します。
公式ドキュメントの活用
Android Developers公式サイト
Google社が提供する公式ドキュメントは、最も正確で信頼できる情報源です。英語が基本ですが、一部は日本語翻訳も提供されています。
基礎から応用まで体系的に学べるコースラボ(Codelabs)も用意されており、実際に手を動かしながら学べます。
オンライン学習プラットフォーム
Udemy
日本語のAndroid開発コースが豊富にあります。セールを狙えば数千円で購入できるコースも多く、コストパフォーマンスに優れています。
Progate
初心者向けのプログラミング学習サイトです。Java基礎コースで文法を学んだ後、Android開発に進むのがおすすめです。
ドットインストール
1本3分の短い動画でプログラミングを学べるサイトです。隙間時間に学習を進められます。
書籍での学習
「基礎から学ぶAndroidアプリ開発」
初心者向けの定番書籍です。環境構築から実際のアプリ作成まで、丁寧に解説されています。
「やさしいJava」
Java言語そのものを学びたい場合におすすめの入門書です。プログラミングの基礎から学べます。
コミュニティの活用
Stack Overflow
プログラミングに関する質問投稿サイトです。困ったときは英語で検索すると、同じ問題の解決策が見つかることが多いです。
Qiita
日本語の技術記事が投稿されるサイトです。Android開発の実践的なTipsが多数投稿されています。
実践的な学習のコツ
小さなアプリから始める
最初は電卓アプリ、ToDoリストアプリなど、シンプルな機能のアプリを作ってみましょう。完成させる経験が自信につながります。
エラーメッセージを恐れない
開発中に出会うエラーは、学習の大きなチャンスです。エラーメッセージをコピーして検索すれば、解決策が見つかります。
GitHubでコードを公開する
自分の書いたコードをGitHubに公開することで、ポートフォリオにもなりますし、他の開発者からフィードバックをもらえることもあります。
毎日少しずつ続ける
プログラミングは継続が大切です。1日30分でもいいので、毎日コードに触れる習慣をつけましょう。
まとめ:Android Javaは今でも価値ある技術
ここまで、Android Javaの基礎から開発の始め方まで解説してきました。
この記事のポイント
- Android JsavaはAndroid開発の長い歴史を持つ主要言語
- KotlinとJavaは互換性が高く、どちらから始めてもOK
- 新規開発はKotlin推奨だが、Javaの知識も重要
- Android Studioで環境構築すれば、すぐに開発を始められる
- 豊富な学習リソースで、初心者でも学べる
2025年現在、Kotlinが推奨されているとはいえ、Javaの重要性は変わりません。既存のAndroidアプリの多くはJavaで書かれていますし、Javaの知識はAndroid以外の開発分野でも活かせます。
さらに、KotlinとJavaは互換性があるため、Javaを学んでおけばKotlinへの移行もスムーズです。逆もまた然りで、どちらか一方を学べば、もう一方の理解も早まります。
Android開発は、自分で作ったアプリが実際のスマートフォンで動く感動を味わえる、とても楽しい分野です。最初は難しく感じるかもしれませんが、一歩ずつ進めていけば、必ずアプリを作れるようになります。
ぜひこの記事を参考に、Android開発の第一歩を踏み出してください。あなたの作ったアプリが、いつか誰かの役に立つ日が来るかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q1:プログラミング完全初心者でもAndroid開発はできますか?
可能ですが、まずはJavaの基礎文法を学ぶことをおすすめします。変数、条件分岐、繰り返し処理、クラスとオブジェクトといった基本概念を理解してからAndroid開発に進むと、スムーズに学習できます。
Q2:AndroidアプリはMacでもWindowsでも開発できますか?
はい、どちらでも開発できます。Android StudioはWindows、Mac、Linuxのすべてで動作します。ただし、iOS向けのアプリも同時に開発したい場合はMacが必要になります。
Q3:実機のAndroid端末がないとアプリは作れませんか?
実機がなくても、Android Studioに付属するエミュレーターで開発できます。ただし、実機での動作確認は重要なので、可能であれば実機でのテストも行うことをおすすめします。
Q4:KotlinとJava、両方学ぶ必要がありますか?
理想的には両方知っておくのがベストですが、まずはどちらか一方から始めて大丈夫です。基本を理解してから、もう一方の言語に挑戦するのが効率的です。
Q5:Android開発を学ぶのにどれくらいの時間がかかりますか?
個人差がありますが、プログラミング初心者の場合、基本的なアプリを作れるようになるまで3〜6ヶ月程度が目安です。毎日1〜2時間の学習を継続することが大切です。
Q6:Javaを学んでおけば他の開発にも役立ちますか?
はい、Javaは非常に汎用性の高い言語です。Webアプリケーション、サーバーサイド開発、企業システム開発など、幅広い分野で活用できます。Javaを学ぶことは、エンジニアとしてのキャリアの選択肢を広げることにつながります。
Q7:無料でAndroid開発を学べますか?
Android Studio自体は無料ですし、公式ドキュメントや多くのオンラインリソースも無料で利用できます。書籍や有料講座を購入しなくても、十分に学習を始められます。

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