スマホの画面をパソコンの大画面に映したい!そんな時に便利なのが「ミラーリング」です。
「ゲームを大画面で楽しみたい」「プレゼンでスマホの画面を見せたい」「動画編集の確認作業をしたい」など、ミラーリングが活躍する場面はたくさんあります。
この記事では、Androidスマホの画面をPCに表示する方法を、無線と有線の両方で分かりやすく解説します。あなたの環境や用途に合わせて、最適な方法を選んでくださいね。
ミラーリングとは?

ミラーリングとは、スマホの画面をそのままパソコンやテレビなどの大きな画面に映し出す機能のことです。「画面共有」や「スクリーンキャスト」とも呼ばれます。
スマホで表示している内容が、リアルタイムでパソコンの画面にも表示されるので、スマホを操作するとパソコン側の画面も同じように動きます。
ミラーリングでできること
動画やゲームを大画面で楽しむ
スマホの小さな画面では見づらい動画やゲームも、パソコンの大画面なら快適に楽しめます。
プレゼンや会議で画面を共有
スマホのアプリや資料を、会議室のモニターやプロジェクターに映して、複数人で内容を確認できます。
スマホをPCから操作
一部のミラーリング方法では、パソコンのマウスやキーボードでスマホを操作することも可能です。文字入力が格段に楽になります。
写真や動画を家族と共有
スマホで撮った写真や動画を、家族みんなで大画面で見ることができます。
無線接続でミラーリングする方法
ケーブルを使わずに、Wi-Fi経由でスマホとPCを接続してミラーリングできます。配線がスッキリするのが魅力です。
方法1:Windows標準機能を使う(無料)
Windows 10/11には、「ワイヤレスディスプレイ」という標準機能が備わっています。追加のアプリをインストールせずに使えるので、まず試してみる価値があります。
対応条件
- Windows 10以降のパソコン
- Miracastに対応したAndroidスマホ(Android 4.2以降の多くの機種)
- 両方のデバイスがWi-Fiをオンにしている(同じWi-Fiネットワークに接続する必要はありません)
PC側の設定手順
- Windowsの設定を開く
Windowsボタンをクリックし、「設定」を選択します。 - システム設定に進む
「システム」→「このPCへのプロジェクション」の順にクリックします。 - ワイヤレスディスプレイ機能を追加
「オプションの機能」セクションで「機能の表示」をクリックし、「ワイヤレスディスプレイ」を検索してインストールします。 - プロジェクション設定を変更
「このPCへのプロジェクション」の画面に戻り、一番上のドロップダウンメニューを「常にオフ」から「どこでも使える」または「セキュリティで保護されたネットワーク上のどこでも利用可能」に変更します。 - 接続アプリを起動
「このPCへのプロジェクション用の接続アプリを起動します」ボタンをクリックすると、「ワイヤレスディスプレイ」アプリが起動し、「ワイヤレス接続する準備ができました」と表示されます。
スマホ側の操作手順
- 設定メニューを開く
Androidスマホの「設定」アプリを開きます。 - キャスト機能を探す
機種によって表示が異なりますが、以下のいずれかの項目を探します。
- 「接続済みのデバイス」→「接続の設定」→「キャスト」
- 「ディスプレイ」→「キャスト」
- クイック設定パネルの「キャスト」または「スマートビュー」
- PCを選択して接続
利用可能なデバイスの一覧に、先ほど設定したPCの名前が表示されるので、タップして接続します。 - ミラーリング開始
接続が完了すると、スマホの画面がPCに表示されます。
方法2:専用アプリを使う
より多機能なミラーリングを求めるなら、専用アプリがおすすめです。ここでは代表的なアプリをいくつか紹介します。
ApowerMirror
Android、iOS、Windows、Macなど、さまざまなデバイスに対応した多機能ミラーリングアプリです。
特徴
- Wi-Fi接続とUSB接続の両方に対応
- PCからスマホを操作できる
- 画面録画やスクリーンショット機能つき
- ファイル転送も可能
使い方
- PC版とスマホ版の両方をインストール
- 両方を同じWi-Fiネットワークに接続
- アプリを起動し、接続したいデバイスを選択
- 接続が確立されるとミラーリング開始
注意点:無料版では機能に制限があり、フル機能を使うには有料版の購入が必要です。
LetsView(無料)
完全無料で使えるミラーリングアプリで、初心者にも扱いやすいのが特徴です。
特徴
- 完全無料
- Android、iPhone、PC間でミラーリング可能
- 画面録画機能つき
- 1080p高画質対応
使い方
- PCとスマホの両方にLetsViewをインストール
- 同じWi-Fiネットワークに接続
- スマホ側でアプリを起動し、表示されたPC名をタップ
- 接続確認後、ミラーリング開始
AirDroid Cast
シンプルで使いやすく、リモート接続にも対応したアプリです。
特徴
- QRコードスキャンで簡単接続
- Webブラウザからも利用可能
- リモートミラーリング対応(異なるネットワーク間でも接続可能)
- 音声転送にも対応
使い方
- PC版とスマホ版をインストール
- スマホでQRコードをスキャン、またはコードを入力
- 接続許可を与えるとミラーリング開始
無線接続のメリット・デメリット
メリット
- ケーブル不要で配線がスッキリ
- スマホを持ち歩きながら操作できる
- 複数のデバイスを切り替えやすい
デメリット
- Wi-Fi環境が必要
- 無線の状態によっては遅延が発生することがある
- 画質が有線より劣る場合がある
有線接続でミラーリングする方法

USBケーブルやHDMIケーブルを使って、物理的にスマホとPCを接続する方法です。接続が安定していて、遅延が少ないのが特徴です。
方法1:USBケーブルで接続する
USBケーブルを使ったミラーリングは、接続が安定していて遅延が少ないのが大きなメリットです。
準備するもの
- USBケーブル(スマホの充電に使っているものでOK)
- ミラーリングソフト
Vysor
最も人気のあるUSBミラーリングツールの一つです。
使い方
- USBデバッグを有効にする スマホ側で開発者向けオプションを有効にする必要があります。
- 「設定」→「デバイス情報」→「ビルド番号」を7回連続でタップ
- 「設定」に戻ると「開発者向けオプション」が表示される
- 「開発者向けオプション」を開き、「USBデバッグ」をオンにする
- Vysorをインストール PC側でVysorの公式サイトからアプリをダウンロードしてインストールします。スマホ側はGoogle Playストアから「Vysor」アプリをインストールします。
- USBケーブルで接続 スマホとPCをUSBケーブルで接続します。
- PC側で操作 PC側でVysorを起動し、「Find Devices」をクリックします。接続されたスマホが検出されたら、選択して接続します。
- USBデバッグの許可 スマホ側に「USBデバッグを許可しますか?」と表示されるので、「許可」をタップします。
- ミラーリング開始 接続が完了すると、スマホの画面がPCに表示されます。
注意点:無料版では解像度に制限があり、ワイヤレス接続は有料版(Pro)のみです。
Scrcpy(無料・高性能)
オープンソースの無料ミラーリングツールで、低遅延・高画質が特徴です。ただし、コマンドライン操作が必要なため、やや上級者向けです。
特徴
- 完全無料でオープンソース
- 非常に低遅延(35〜70ms)
- 1080p高画質対応
- Windows、Mac、Linuxで使用可能
使い方
- USBデバッグを有効にする 前述のVysorと同じ手順で、スマホ側の「USBデバッグ」をオンにします。
- Scrcpyをダウンロード GitHubの公式ページから最新版のScrcpyをダウンロードし、適当なフォルダに展開します。
- USBケーブルで接続 スマホとPCをUSBケーブルで接続します。
- Scrcpyを起動 展開したフォルダ内の実行ファイル(scrcpy.exe)をダブルクリックするだけで、自動的にスマホを検出してミラーリングが開始されます。
Scrcpyの利点
- 広告なし、無料、制限なし
- マウスやキーボードでスマホを快適に操作できる
- ファイルのドラッグ&ドロップでスマホに転送可能
方法2:HDMIケーブルで接続する(最高画質)
HDMIケーブルを使ってスマホの画面をPCモニターに直接出力する方法です。アプリ不要で、最も高画質かつ低遅延なミラーリングが可能です。
準備するもの
- HDMI入力端子のあるPCモニター(またはテレビ)
- USB Type-C to HDMI変換アダプタ
- HDMIケーブル
対応条件
スマホが「DisplayPort Alternate Mode(DP Alt Mode)」に対応している必要があります。これは、USB Type-C端子から映像信号を出力できる機能です。
対応機種の確認方法
- スマホの取扱説明書や公式サイトのスペック表で確認
- 「DisplayPort Alternate Mode」「DP Alt Mode」「映像出力対応」などの記載があるか確認
- 不明な場合はメーカーに問い合わせ
接続手順
- 変換アダプタをスマホに接続 USB Type-C to HDMI変換アダプタをスマホに接続します。
- HDMIケーブルを接続 変換アダプタとPCモニターをHDMIケーブルで接続します。
- モニターの入力切替 PCモニターの電源を入れ、入力ソースを「HDMI」に切り替えます。
- 自動で表示開始 モニターがスマホを認識すると、自動的にスマホの画面が表示されます。音声もHDMI経由で出力されます(モニターにスピーカーがある場合)。
HDMIミラーリングの特徴
メリット
- アプリ不要で設定が簡単
- 遅延がほぼゼロ
- 最高画質で表示できる
- 接続が非常に安定している
デメリット
- DP Alt Mode対応スマホが必要
- 変換アダプタとケーブルが必要
- ノートPCの多くはHDMI入力端子がない(外付けモニターが必要)
- ケーブルが邪魔になることがある
有線接続のメリット・デメリット
メリット
- 接続が安定していて途切れにくい
- 遅延が少なく、ゲームや動画に最適
- Wi-Fi環境がなくても使える
- 画質が高い
デメリット
- ケーブルが必要
- 移動範囲がケーブルの長さに制限される
- USBデバッグの設定がやや複雑
おすすめミラーリング方法の選び方
用途や環境に応じて、最適なミラーリング方法は異なります。
手軽さ重視なら
Windows標準機能(Miracast)がおすすめです。アプリのインストール不要で、設定も比較的簡単です。
高画質・低遅延重視なら
HDMIケーブル接続が最適です。ゲームプレイや動画視聴に最適で、遅延がほぼありません。DP Alt Mode対応スマホを持っている方には特におすすめです。
無料で高機能なら
ScrcpyまたはLetsViewがおすすめです。どちらも完全無料で、十分な機能を備えています。
PCからスマホを操作したいなら
Vysor、ApowerMirror、Scrcpyなど、PC操作に対応したアプリを選びましょう。メッセージの返信やアプリの操作がPCから快適にできます。
プレゼンや会議で使うなら
無線接続(Windows標準機能やLetsView)が便利です。ケーブルの取り回しを気にせず、スマホを持ち歩きながら説明できます。
ミラーリングがうまくいかない時の対処法
ミラーリングに失敗する場合、以下の点を確認してみましょう。
無線接続がうまくいかない場合
同じWi-Fiネットワークに接続されているか確認
多くのミラーリングアプリでは、スマホとPCが同じWi-Fiネットワークに接続されている必要があります。
Wi-Fiがオンになっているか確認
Windows標準機能(Miracast)の場合、同じWi-Fiに接続する必要はありませんが、両方のデバイスでWi-Fiをオンにしておく必要があります。
ファイアウォールやセキュリティソフトをチェック
セキュリティソフトがミラーリングアプリの通信をブロックしている可能性があります。一時的に無効にして試してみましょう。
デバイスを再起動
スマホとPCの両方を再起動すると、接続の問題が解決することがあります。
USB接続がうまくいかない場合
USBデバッグが有効になっているか確認
スマホの「開発者向けオプション」で「USBデバッグ」がオンになっているか再確認しましょう。
USBケーブルを確認
充電専用ケーブルではなく、データ転送に対応したケーブルを使っていますか?ケーブルを交換して試してみましょう。
ドライバをインストール
PCがスマホを認識しない場合、スマホメーカーのUSBドライバをインストールする必要があるかもしれません。
USBポートを変える
別のUSBポートに接続してみましょう。USB 3.0ポート(青いポート)を試すと改善することがあります。
HDMI接続がうまくいかない場合
DP Alt Mode対応を確認
お使いのスマホがDisplayPort Alternate Modeに対応しているか、もう一度確認しましょう。
モニターの入力ソースを確認
モニター側の入力が正しいHDMI端子に切り替わっているか確認します。
変換アダプタの不具合を疑う
変換アダプタが故障している可能性もあります。別の機器で試すか、新しいアダプタを試してみましょう。
よくある質問
Q1. ミラーリング中はスマホの電池が減りやすい?
はい、ミラーリング中は通常よりも電池の消費が早くなります。USB接続の場合は充電しながら使用できますが、無線接続の場合はモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。
Q2. ミラーリング中にスマホで電話がかかってきたらどうなる?
電話着信の通知がPC画面にも表示されます。プライバシーが気になる場合は、「マナーモード」にしておくか、「機内モード」でWi-Fiのみオンにして使用しましょう。
Q3. スマホゲームをPCでプレイする時の遅延は?
接続方法によって異なります。
- HDMIケーブル:ほぼ遅延なし(最適)
- USBケーブル(Scrcpy):非常に低遅延(35〜70ms)
- 無線接続:やや遅延あり(100〜200ms程度)
アクションゲームなど、反応速度が重要なゲームは有線接続がおすすめです。
Q4. Androidスマホ以外でもミラーリングできる?
はい、iPhoneでもミラーリング可能です。ただし、使用するアプリや方法がAndroidと異なる場合があります。多くのミラーリングアプリは、AndroidとiPhoneの両方に対応しています。
Q5. ミラーリング中の画質を上げる方法は?
有線接続を使う:HDMIやUSBケーブルでの接続は、無線より高画質です。
Wi-Fiの電波を強くする:無線接続の場合、PCとスマホをルーターの近くに置くと画質が改善します。
アプリの画質設定を変更:一部のミラーリングアプリでは、画質設定を変更できます。
Q6. PCからスマホを操作できる?
以下のアプリで、PCからスマホを操作できます。
- Vysor
- Scrcpy
- ApowerMirror
- MirrorTo
マウスやキーボードでスマホを操作できるので、メッセージの返信や資料作成がとても楽になります。
Q7. 無料で使えるおすすめアプリは?
Scrcpy:完全無料で高性能。やや設定が複雑ですが、慣れれば最強です。
LetsView:完全無料で初心者向け。Wi-Fi接続で簡単に使えます。
Windows標準機能:アプリ不要で無料。追加ソフトをインストールしたくない人におすすめです。
まとめ
Androidスマホの画面をPCにミラーリングする方法は、大きく分けて3つあります。
無線接続は、ケーブル不要で手軽に使えるのが魅力です。Windows標準機能やLetsViewなどの無料アプリを使えば、追加コストなしで始められます。プレゼンや会議、普段使いに向いています。
USB接続は、安定した接続と低遅延が特徴です。VysorやScrcpyを使えば、PCからスマホを操作することもできます。ゲームや動画編集など、遅延が気になる用途におすすめです。
HDMI接続は、最も高画質で遅延がほぼゼロです。DP Alt Mode対応スマホが必要ですが、アプリ不要で簡単に接続できます。ゲームプレイや映画鑑賞に最適です。
自分の用途や環境に合わせて、最適な方法を選びましょう。どの方法も一度設定すれば、次回からは簡単に接続できるようになりますよ。
スマホの小さな画面から解放されて、PCの大画面で快適に作業や娯楽を楽しんでくださいね!

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