Androidスマートフォンに、金融アプリやプライベートな写真、仕事用のアプリなど、他人に見られたくないアプリはありませんか?
Android 15で導入された「プライベートスペース(Private Space)」は、そんな悩みを解決する画期的な新機能です。スマホ内に隔離された「もう1つの環境」を作成し、アプリやデータを完全に隠すことができます。
この記事では、プライベートスペースとは何か、設定方法、使い方、メリット・デメリット、注意点まで、初心者にも分かりやすく徹底解説します。
プライベートスペースとは?

基本概念
プライベートスペースは、Android 15で新しく追加されたセキュリティ機能です。1台のスマートフォン内に、メインスペースとは完全に分離された「もう1つの環境」を作成できます。
イメージ
┌──────────────────────────┐
│ メインスペース │
│ ・普段使うアプリ │
│ ・通常のGoogleアカウント │
├──────────────────────────┤
│ プライベートスペース │← ロックで保護
│ ・隠したいアプリ │
│ ・別のGoogleアカウント │
└──────────────────────────┘
主な特徴
1. 完全に隔離された環境
プライベートスペース内のアプリとデータは、メインスペースから完全に分離されています。
2. ロックで保護
プライベートスペースには独自のロック(パターン、PIN、パスワード、指紋認証)を設定できます。
3. ロック時は完全に隠蔽
ロック状態では、プライベートスペース内のアプリは:
- アプリ一覧に表示されない
- 通知が届かない
- 設定画面に表示されない
- 検索しても見つからない
4. プライベートスペース自体を非表示にできる
設定により、プライベートスペースの存在そのものを隠すことも可能です。
5. 同じアプリを2つインストール可能
メインスペースとプライベートスペースに、同じアプリを別々にインストールできます(例:2つのLINEアカウント、2つのInstagramアカウント)。
プライベートスペースでできること
主な用途
1. 秘密のアプリを隠す
- 金融アプリ(銀行、証券、暗号通貨)
- デートアプリ
- プライベートな写真アプリ
- 日記アプリ
2. 仕事用とプライベート用を分ける
- 仕事用のメール、チャット
- 仕事用のSNSアカウント
- 業務用アプリ
3. 複数アカウントの運用
- 2つのLINEアカウント
- 2つのInstagramアカウント
- 2つのFacebookアカウント
- 2つのゲームアカウント
4. サブのGoogleアカウント環境
メインとは別のGoogleアカウントで、完全に独立した環境を構築できます。
対応機種とバージョン
必要な要件
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| Android バージョン | Android 15以降 |
| RAM | 8GB以上推奨(6GB以上で動作) |
| 対応機種 | Google Pixel 6以降、その他Android 15対応端末 |
対応端末例
Google Pixel
- Pixel 9 / 9 Pro / 9 Pro XL / 9 Pro Fold
- Pixel 8 / 8 Pro / 8a
- Pixel 7 / 7 Pro / 7a
- Pixel 6 / 6 Pro / 6a
その他のメーカー
Android 15にアップデート可能な機種であれば利用可能です(2025年以降順次展開予定)。
プライベートスペースの設定方法
初期設定手順
手順1:設定を開く
- 「設定」アプリを開く
- 「セキュリティとプライバシー」をタップ
- 「プライバシー」セクションの「プライベートスペース」をタップ
手順2:仕組みと注意事項を確認
- プライベートスペースの説明画面が表示される
- 仕組みと注意事項を読む
- 「設定」ボタンをタップ
手順3:画面ロックで認証
デバイスの画面ロックが設定されていない場合は、設定を求められます。
手順4:Googleアカウントを設定
重要:メインスペースとは別のGoogleアカウントを推奨
- プライベートスペース用のGoogleアカウントでログイン
- 既存のアカウントを使用
- または新しいアカウントを作成
- アカウント情報を入力
- 2段階認証プロセス(必要な場合)
なぜ別アカウントが必要?
同じGoogleアカウントを使用すると、データや情報がメインスペースと同期され、プライベート情報が漏れる可能性があります。
手順5:プライベートスペース用のロックを設定
2つの選択肢があります:
A. 画面ロックを使用
- デバイスの画面ロックと同じ方法(PIN、パターン、パスワード、指紋認証)
B. 新しいロックを設定
- プライベートスペース専用の認証方法を設定
- パターン、PIN、パスワードから選択
- 指紋認証の有無も設定可能
手順6:設定完了
設定が完了すると、アプリドロワー(アプリ一覧)の最下部に「プライベート」という領域が表示されます。
プライベートスペースの使い方
プライベートスペースを開く
方法1:アプリドロワーから
- ホーム画面で下から上にスワイプしてアプリドロワーを開く
- 一番下までスクロール
- 「プライベート」セクションの鍵アイコンをタップ
- ロックを解除(PIN、パターン、パスワード、指紋認証)
方法2:検索バーから(プライベートスペースを非表示にしている場合)
- アプリドロワーの検索バーをタップ
- 「プライベート スペース」と入力(「プライベート」と「スペース」の間にスペースを入れる)
- 表示される「プライベートスペース」をタップ
- ロックを解除
アプリをインストールする
方法1:プライベートスペース内から新規インストール
- プライベートスペースを開く
- 「+ インストール」ボタンをタップ
- Google Playストアが開く(プライベートスペースのGoogleアカウントでログイン済み)
- 通常通りアプリをインストール
方法2:既存アプリの「非公開インストール」
- アプリドロワーでアプリアイコンを長押し
- メニューから「非公開インストール」を選択
- プライベートスペースに同じアプリがインストールされる
注意
- アプリの新しいインスタンスがインストールされます
- メインスペースのアプリがコピーや移動されるわけではありません
- データは引き継がれません(別アプリ扱い)
プライベートスペースをロックする
手動でロック
プライベートスペースの右上にある鍵アイコンをタップ
自動ロックの設定
- プライベートスペースの歯車アイコン(設定)をタップ
- 「プライベートスペースを自動的にロックする」を選択
- 以下から選択:
- デバイスのロック時は毎回(推奨)
- 画面が自動消灯してから5分後
- デバイスの再起動後のみ
プライベートスペースを非表示にする
設定方法
- プライベートスペースの歯車アイコンをタップ
- 「プライベートスペースを非表示にする」をタップ
- 「ロックされているプライベートスペースを非表示にする」をオンにする
これで、プライベートスペースがロックされているとき、アプリドロワーから「プライベート」セクションが完全に消えます。
再表示方法
アプリドロワーの検索バーで「プライベート スペース」と検索してロック解除します。
プライベートスペースの設定項目
主な設定
プライベートスペースの歯車アイコンから、以下の設定が可能です。
| 設定項目 | 説明 |
|---|---|
| Googleアカウント | 使用するアカウントの確認・変更 |
| ロック | ロック方法の変更 |
| デバイスの画面ロックを使用 | オン/オフで新しいロック設定可能 |
| 自動的にロック | 自動ロックのタイミング設定 |
| 非表示にする | プライベートスペース自体を隠す |
| 削除 | プライベートスペースを完全削除 |
通知の挙動
ロック時
- プライベートスペース内のアプリからの通知は一切届きません
- バックグラウンド通信も停止
ロック解除時
- 通知が通常通り表示される
- プライベートスペースのアイコン付きで表示される(見分けやすい)
- ロック画面にも表示される
メリットとデメリット
メリット
1. 高いプライバシー保護
- アプリとデータを完全に隠せる
- ロック時はアクセス不可能
- 存在自体を隠すことも可能
2. セキュリティの強化
- 独自のロックで二重保護
- 他人にスマホを貸しても安心
3. 複数アカウント運用が可能
- 同じアプリを2つインストール
- 仕事用とプライベート用を完全分離
4. 使い分けが簡単
- ワンタップで切り替え
- Androidのプロファイル機能より手軽
5. 標準機能で追加アプリ不要
- Android 15に組み込まれた機能
- サードパーティアプリ不要
デメリット
1. ストレージ容量を消費
- プライベートスペース作成時に約6GB消費
- アプリインストールで更にストレージ使用
2. ロック時は通知が届かない
- 重要なアプリには不向き
- 医療アプリ、緊急連絡アプリには不適切
3. バックアップされない
- デバイスバックアップにプライベートスペースは含まれない
- 機種変更時にデータ移行不可
4. Android 15以降のみ
- 古い端末では利用不可
5. RAM消費
- 8GB以上のRAM推奨
- 6GB以下の端末では動作が重くなる可能性
注意点と制限事項
重要な注意点
1. バックアップされない
プライベートスペースのデータは、Googleのデバイスバックアップに含まれません。
対処法
- アプリが独自にクラウド同期している場合は、再ログインでデータ復元可能
- 重要なデータは手動でバックアップ
2. 機種変更時にデータ移行不可
新しいデバイスでプライベートスペースを再設定し、アプリを再インストールする必要があります。
3. ロック時はバックグラウンド停止
プライベートスペース内のアプリは、ロック時に完全に停止します。
不向きなアプリ
- 医療アプリ(心拍モニターなど)
- 緊急連絡アプリ
- 常時通知が必要なアプリ
4. 同じGoogleアカウントは推奨されない
メインスペースと同じGoogleアカウントを使用すると、データが同期され、プライバシーが保護されない可能性があります。
5. Bluetoothの制限
- プライベートスペースからBluetooth経由でデータ送信は可能
- ただし、受信はできません
6. 複数のプライベートスペースは作成不可
1台の端末につき、プライベートスペースは1つのみです。
7. 削除したアプリのデータは一切表示されない
プライベートスペース内のアプリは、ロック時に設定や権限マネージャーからも完全に消えます。
プライベートスペースの削除方法
削除手順
警告:削除するとプライベートスペース内の全データが完全に消去されます
- 「設定」→「セキュリティとプライバシー」→「プライベートスペース」
- プライベートスペースのロックを解除
- プライベートスペースの設定を開く
- 「プライベートスペースを削除」をタップ
- 確認メッセージが表示される
- 削除を確認
削除後
- プライベートスペース内の全アプリとデータが削除
- メインスペースには影響なし
- 再度設定すれば、プライベートスペースを作成可能
類似機能との比較
Samsung「セキュアフォルダ」との違い
| 機能 | プライベートスペース | セキュアフォルダ(Samsung) |
|---|---|---|
| 対応機種 | Android 15以降の全機種 | Samsung Galaxy端末のみ |
| 設定場所 | OS標準機能 | Samsung独自機能 |
| アプリ複製 | 可能 | 可能 |
| ストレージ消費 | 約6GB〜 | 比較的少ない |
| バックアップ | 不可 | Samsung Cloudで可能 |
Googleファイルアプリ「Safe Folder」との違い
| 機能 | プライベートスペース | Safe Folder |
|---|---|---|
| 保護対象 | アプリ全体 | ファイルのみ |
| アプリ複製 | 可能 | 不可 |
| 通知の隠蔽 | 可能 | 不可 |
よくある質問
Q1:プライベートスペースを設定すると、スマホが重くなる?
A: プライベートスペースは独立したユーザープロファイルを作成するため、RAM 8GB以上の端末では問題ありません。6GB以下の端末では、アプリを多数インストールすると動作が重くなる可能性があります。
Q2:メインスペースとプライベートスペースで同じアプリを使える?
A: はい。同じアプリを別々にインストールでき、それぞれ独立して動作します。例えば、LINEを2つのアカウントで使い分けることが可能です。
Q3:プライベートスペースのアプリは常に通知が届かない?
A: ロック時のみ通知が届きません。ロックを解除している間は、通常通り通知が表示されます。
Q4:プライベートスペースを誰かに見られる心配はない?
A:
- プライベートスペース自体を非表示にすれば、存在を隠せます
- ロックを解除しない限り、中身にはアクセスできません
- ただし、検索バーで「プライベート スペース」と入力すればロック画面が表示されるため、完全に隠蔽するわけではありません
Q5:プライベートスペースのストレージ容量は?
A: 初期設定時に約6GB消費します。アプリをインストールするごとに容量が増えます。
Q6:機種変更時にプライベートスペースを移行できる?
A: できません。新しい端末でプライベートスペースを再設定し、アプリを再インストールする必要があります。ただし、アプリが独自にクラウド同期している場合(例:LINEのトーク履歴)は、再ログインでデータを復元できます。
Q7:プライベートスペースのロックを忘れた場合は?
A: プライベートスペース専用のロックを忘れた場合、プライベートスペースにアクセスできなくなります。この場合、プライベートスペースを削除して再作成する必要があります(データは全て失われます)。
Q8:プライベートスペースはroot化やカスタムROMで使える?
A: Android 15を搭載していれば使用可能ですが、一部のカスタムROMでは動作しない可能性があります。
Q9:子供のスマホ管理に使える?
A: プライベートスペースは、親が管理する用途には適していません。子供のスマホ管理には、Googleの「ファミリーリンク」を使用してください。
まとめ
Android 15の「プライベートスペース」機能について解説しました。
プライベートスペースとは
- Android 15の新機能
- スマホ内に完全に隔離された「もう1つの環境」を作成
- アプリとデータをロックで保護し、完全に隠せる
主な用途
- 秘密のアプリを隠す(金融、デート、プライベート写真など)
- 仕事用とプライベート用を分離
- 複数アカウントの運用(2つのLINE、2つのInstagramなど)
設定方法
- 設定→セキュリティとプライバシー→プライベートスペース
- 別のGoogleアカウントを設定
- 専用のロックを設定
- アプリをインストール
メリット
- 高いプライバシー保護
- 同じアプリを2つ使える
- 標準機能で追加アプリ不要
デメリット
- ストレージ約6GB消費
- ロック時は通知なし
- バックアップされない
注意点
- ロック時はバックグラウンド停止(医療アプリ等には不向き)
- 機種変更時にデータ移行不可
- Android 15以降のみ対応
プライベートスペースは、プライバシーを重視するユーザーや、複数アカウントを運用したいユーザーにとって非常に便利な機能です。ただし、バックアップされない点や通知が届かない点には注意が必要です。
自分の用途に合わせて、適切に活用してください!


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