動画を見たり、ゲームをプレイしたりしているとき、画面の上下に表示されるバーが気になることはありませんか?
ステータスバー(時計や電池残量が表示される部分)やナビゲーションバー(戻るボタンなどがある部分)があると、せっかくのコンテンツが見づらくなってしまいますよね。
実は、Androidには「全画面表示(Immersive Mode)」という機能があり、これらのバーを隠して画面いっぱいにコンテンツを表示できるんです。
この記事では、Androidの全画面表示機能について、設定方法から便利なアプリ、高度なカスタマイズ方法まで詳しく解説していきます。
全画面表示(Immersive Mode)とは?

全画面表示は、画面の上下に常に表示されているシステムバーを非表示にする機能です。
非表示にできるバー
ステータスバー(上部)
- 時刻
- 電池残量
- 通知アイコン
- Wi-Fi/モバイルデータのアイコン
ナビゲーションバー(下部)
- ◉ホームボタン
- ◀戻るボタン
- ■タスク(最近使ったアプリ)ボタン
これらを非表示にすることで、画面全体をコンテンツ表示に使えるようになります。
全画面表示のメリット
1. 画面領域が広がる
バーがない分、より多くのコンテンツを一度に表示できます。
2. 没入感が高まる
特に動画やゲームでは、余計な情報が目に入らないため、コンテンツに集中できます。
3. 画面焼けの防止
有機ELディスプレイの機種では、常に同じ位置にバーがあると画面焼けのリスクがあります。全画面表示にすることでこれを軽減できます。
全画面表示が便利なシーン
- 動画視聴(YouTube、Netflix、Amazon Primeなど)
- ゲームプレイ
- 電子書籍の読書
- 写真閲覧
- プレゼンテーション
- ウェブブラウジング
標準設定で全画面表示にする方法
多くのAndroid機種では、設定アプリから全画面表示を有効にできます。
基本的な設定手順
手順1:設定アプリを開く
ホーム画面から「設定」をタップします。
手順2:ディスプレイ設定を開く
「ディスプレイ」または「画面設定」を選択します。
手順3:全画面表示を有効にする
「全画面表示」「フルスクリーン表示」「フルスクリーンモード」などの項目を探してオンにします。
機種によってメニュー名が異なる場合がありますが、基本的な流れは同じです。
機種別の詳細設定方法
主要なAndroid機種での設定方法を紹介します。
OPPO
OPPOのスマホでは、アプリごとに全画面表示を設定できます。
設定方法
- 「設定」を開く
- 「ディスプレイと輝度」または「ディスプレイ」をタップ
- 「画面表示」または「アプリごとの全画面表示設定」を選択
- 全画面表示にしたいアプリを個別に選択
この方法なら、特定のアプリだけを全画面表示にすることができます。
HUAWEI
設定方法
- 「設定」を開く
- 「ディスプレイと画面の明るさ」をタップ
- 「その他の表示設定」を選択
- 「全画面表示」をオンにする
また、ノッチ(画面上部の切り欠き)がある機種では、ノッチの表示/非表示も設定できます。
ノッチの設定
- 「設定」→「ディスプレイと画面の明るさ」→「その他の表示設定」→「ノッチ」
- 「デフォルト」または「ノッチを隠す」を選択
- アプリごとにカスタマイズも可能
SHARP AQUOS
設定方法
- 「設定」を開く
- 「ディスプレイ」をタップ
- 「詳細設定」を選択
- 「フルスクリーンモード」を開く
- 対応アプリ一覧からオン/オフを切り替え
アプリによってはフルスクリーンモードで正しく表示されない場合があるので、その際は設定をオフにしましょう。
Samsung Galaxy
設定方法
- 「設定」を開く
- 「ディスプレイ」をタップ
- 「全画面アプリ」を選択
- アプリごとにオン/オフを切り替え
Google Pixel・標準Android
設定方法
- 「設定」を開く
- 「ディスプレイ」をタップ
- 「詳細設定」を展開
- 「全画面表示」または類似の項目を探す
標準Androidでは、多くのアプリが自動的に全画面表示に対応しています。
アプリ内での全画面表示
多くのアプリには、独自の全画面表示機能があります。
YouTube
全画面表示の方法
- 動画を再生
- 画面右下の四角が4つ並んだアイコンをタップ
- 全画面表示になる
通常表示に戻す方法
画面をタップして、同じアイコンをもう一度タップします。
Netflix・Amazon Prime Video
動画プレイヤーをタップすると、自動的に全画面表示のコントロールが表示されます。画面を横向きにすると、自動的に全画面表示になる設定にもできます。
ゲームアプリ
多くのゲームアプリは、起動すると自動的に全画面表示になります。ゲーム設定内で全画面モードをオン/オフできる場合もあります。
全画面表示アプリを使う方法
標準設定で全画面表示にできない場合や、より高度なカスタマイズをしたい場合は、専用アプリを使う方法があります。
Fullscreen Immersive
Google Playで最も人気のある全画面表示アプリの一つです。
主な機能
- ステータスバーとナビゲーションバーを非表示
- 手動モードと自動モードの選択
- アプリごとに設定可能
- 4つのモード(何も隠さない、ナビゲーションバーのみ、全画面、ステータスバーのみ)
使い方
- Google Playストアからインストール
- アプリを開く
- 「MANUAL」モードまたは「AUTOMATIC」モードを選択
- 使いたいモードをタップ(全画面表示など)
- 画面の指示に従って権限を許可
注意点
完全に動作させるには、ADBコマンドでの権限付与が必要な場合があります。
Immersive Fullscreen Mode Tool
キーボードとの互換性が高いアプリです。
主な機能
- ステータスバーとナビゲーションバーを非表示
- キーボード表示時の自動切り替え対応
- 画面焼けの防止
使い方
- Google Playストアからインストール
- ADBを使って権限を付与(必須)
- アプリ内で設定を行う
ADBでの権限付与コマンド
adb shell pm grant com.huseyinatasoy.fullscreen_immersive_mode android.permission.WRITE_SECURE_SETTINGS
注意事項
これらのアプリは、Android 4.4(KitKat)以降で動作します。一部の機能を使うには、ADBを使った設定が必要な場合があります。
ADBコマンドで全画面表示にする方法(上級者向け)
パソコンとUSBケーブルを使って、より詳細な全画面表示設定ができます。
必要なもの
- パソコン(WindowsまたはMac)
- USBケーブル
- Android Debug Bridge(ADB)ツール
- USBデバッグが有効なAndroid端末
準備:USBデバッグを有効にする
手順1:開発者向けオプションを有効にする
- 「設定」→「デバイス情報」
- 「ビルド番号」を7回連続でタップ
- 「開発者になりました」と表示される
手順2:USBデバッグを有効にする
- 「設定」に戻る
- 「システム」→「開発者向けオプション」
- 「USBデバッグ」をオンにする
ADBコマンド一覧
パソコンとスマホをUSBケーブルで接続してから、以下のコマンドを実行します。
両方のバーを非表示にする
adb shell settings put global policy_control immersive.full=*
ステータスバーのみ非表示
adb shell settings put global policy_control immersive.status=*
ナビゲーションバーのみ非表示
adb shell settings put global policy_control immersive.navigation=*
特定のアプリのみ全画面表示(Chromeの例)
adb shell settings put global policy_control immersive.full=com.android.chrome
設定を元に戻す
adb shell settings put global policy_control null*
複数のアプリを指定する方法
カンマで区切って複数のアプリを指定できます。
adb shell settings put global policy_control immersive.full=com.android.chrome,com.android.vending
現在の設定を確認する
adb shell settings get global policy_control
ジェスチャーナビゲーションとの組み合わせ
Android 10以降では、ジェスチャーナビゲーション機能が利用できます。
ジェスチャーナビゲーションとは
ナビゲーションバーの3つのボタン(◉ホーム、◀戻る、■タスク)をスワイプ操作に置き換える機能です。
設定方法
手順
- 「設定」を開く
- 「システム」→「ジェスチャー」
- 「システムナビゲーション」をタップ
- 「ジェスチャーナビゲーション」を選択
ジェスチャー操作
- ホームに戻る:画面下部から上にスワイプ
- 戻る:画面の左端または右端から中央に向かってスワイプ
- タスク切替:画面下部から上にスワイプして指を止める
メリット
ジェスチャーナビゲーションを使えば、ナビゲーションバーがほとんど見えなくなるため、全画面表示と相性が良いです。
全画面表示中の操作方法
全画面表示にすると、通常のボタンが使えなくなります。
システムバーを一時的に表示する方法
標準的な方法
画面の端から中央に向かってスワイプすると、システムバーが一時的に表示されます。
- 上から下にスワイプ:ステータスバー表示
- 下から上にスワイプ:ナビゲーションバー表示
数秒後に自動的に非表示になります。
アプリによって異なる操作
アプリによっては、画面をタップするだけでコントロールが表示される場合もあります。
注意点とトラブルシューティング
全画面表示を使う上での注意点を紹介します。
画面焼けのリスク(有機ELディスプレイ)
有機ELディスプレイを搭載した機種では、長時間同じ画像を表示し続けると「画面焼け」が発生する可能性があります。
対策
- 全画面表示を活用してバーの位置を変える
- ダークテーマを使う
- 画面の明るさを下げる
- 長時間同じ画面を表示し続けない
すべてのアプリが対応しているわけではない
古いアプリや一部のアプリでは、全画面表示がうまく機能しない場合があります。
対処法
- アプリ個別の設定で全画面表示をオフにする
- アプリ開発者に問い合わせる
- 代替アプリを探す
システムナビゲーションへのアクセスが難しくなる
全画面表示中は、通知の確認やアプリの切り替えが少し手間になります。
対処法
- ジェスチャーナビゲーションを習得する
- 本当に必要なアプリだけを全画面表示にする
- 一時的な全画面表示機能を活用する
バッテリー消費について
全画面表示自体は、バッテリー消費にほとんど影響しません。ただし、画面が明るくなったり、CPUの負荷が増えたりすると、消費が増える可能性があります。
よくある質問
Q1:全画面表示を解除したい
A: 設定アプリから全画面表示をオフにするか、画面の端からスワイプしてシステムバーを表示し、ホームボタンから設定に移動してください。
Q2:特定のアプリだけ全画面表示にできる?
A: はい。機種によってはアプリごとに設定できます。OPPO、SHARP、Samsungなどの機種では標準機能として提供されています。
Q3:全画面表示にすると戻るボタンが使えない
A: 画面の下部から上にスワイプするとナビゲーションバーが一時的に表示されます。または、ジェスチャーナビゲーションを使えば画面端からのスワイプで戻れます。
Q4:ホーム画面も全画面表示にできる?
A: ランチャーアプリによっては可能です。Nova LauncherやMicrosoft Launcherなどのサードパーティ製ランチャーで設定できます。
Q5:アプリが正しく表示されない
A: そのアプリが全画面表示に対応していない可能性があります。アプリごとの設定で全画面表示をオフにしてください。
Q6:通知は見られなくなる?
A: 通知自体は届きます。通知を確認するには、画面上部から下にスワイプして通知パネルを表示してください。
Q7:全画面表示中に電話がかかってきたら?
A: 着信画面は通常通り表示されます。全画面表示は一時的に解除されます。
おすすめの使い方
シーン別のおすすめ設定を紹介します。
動画視聴重視
設定
- YouTube、Netflix、Prime Videoなどの動画アプリを全画面表示に設定
- ジェスチャーナビゲーションを有効化
- 画面の自動回転をオン
ゲームプレイ重視
設定
- ゲームアプリのみ全画面表示に設定
- おやすみモードで通知をオフ
- 画面の明るさを調整
読書重視
設定
- 電子書籍アプリを全画面表示に設定
- ブルーライトカット(夜間モード)を有効化
- 画面の自動回転をオフ
バランス型
設定
- よく使うアプリのみ個別に全画面表示を設定
- ジェスチャーナビゲーションで操作性を確保
- 必要に応じて手動で切り替え
まとめ
Androidの全画面表示機能を使えば、動画やゲーム、読書などのコンテンツをより大画面で楽しむことができます。
設定方法は機種によって異なりますが、基本的には「設定」→「ディスプレイ」→「全画面表示」の流れで有効にできます。より高度なカスタマイズをしたい場合は、専用アプリやADBコマンドを使う方法もあります。
ただし、全画面表示にすると通常のナビゲーション操作が使いづらくなるため、ジェスチャーナビゲーションと組み合わせて使うのがおすすめです。画面端からのスワイプでシステムバーを一時的に表示できることも覚えておきましょう。
また、有機ELディスプレイの機種では画面焼けのリスクもあるため、長時間同じ画面を表示し続けないように注意してください。
自分の使い方に合わせて、全画面表示を活用して、より快適なスマホライフを楽しんでくださいね。


コメント