YouTubeで動画を見ているとき、「口の動きと声がズレている」「ゲームの効果音が遅れて聞こえる」…。そんな経験はありませんか?
これは音ズレ(音声遅延)と呼ばれる現象で、特にBluetoothイヤホンを使っているときに起こりやすい問題です。映像と音声がズレていると、せっかくのコンテンツも楽しめませんよね。
この記事では、Androidスマホで音ズレが起こる原因と、その改善方法を詳しく解説します。今すぐ試せる対処法もたくさん紹介するので、ぜひ参考にしてください。
音ズレとは

音ズレとは、映像と音声の再生タイミングがズレて、映像より音が遅れたり早くなったりする現象のことです。
よくある音ズレの症状
動画視聴時:
- 人が話している口の動きと声がズレている
- 爆発シーンの映像と効果音がズレている
- 字幕と音声のタイミングが合わない
ゲームプレイ時:
- タップした瞬間に音が鳴らず、遅れて聞こえる
- 攻撃モーションと効果音がズレている
- リズムゲームで音と判定がズレて遊べない
音楽アプリ:
- 再生ボタンを押してから音が出るまで時間がかかる
- 曲の切り替わりが遅い
音ズレが起こる主な原因
原因1:Bluetooth接続の遅延
最も多い原因です。
理由:
Bluetoothは無線で音声データを送信するため、データの圧縮・伝送・展開の過程で遅延が発生します。
遅延の目安:
- SBC(標準コーデック):200〜250ms(0.2〜0.25秒)
- AAC:100〜150ms
- aptX:50〜80ms
- aptX LL(Low Latency):30〜40ms
わかりやすい例:
野球中継で、バッターがボールを打つ映像は見えているのに、「カキーン!」という音が0.2秒遅れて聞こえる状態です。
原因2:スマホの性能不足
CPU、RAMが弱いと、映像と音声を同時に処理できません。
該当するケース:
- 3年以上前の古い機種
- エントリーモデル(2万円以下)
- 同時に複数のアプリを起動している
- ストレージ容量がいっぱい
原因3:アプリの問題
特定のアプリだけで音ズレが起こる場合、アプリの不具合や最適化不足が原因です。
よくあるケース:
- アプリのバージョンが古い
- キャッシュが溜まっている
- アプリ側のバグ
原因4:スマホの熱暴走
スマホが熱くなると、処理性能が落ちて音ズレが発生します。
原因:
- 長時間の動画視聴
- 充電しながらの使用
- 高温の環境下での使用
- 重いゲームのプレイ
原因5:バッテリー残量が少ない
バッテリーが少ないと、省電力モードが自動的に作動して処理性能が制限されます。
原因6:Wi-Fiの干渉
Bluetoothは2.4GHz帯を使用しており、Wi-Fiと周波数が重なると干渉が起こります。
【すぐ試せる】音ズレを改善する基本の対処法
対処法1:有線イヤホンに切り替える
最も確実な方法です。
メリット:
- 遅延がほぼゼロ(物理的接続)
- 音質も安定
- バッテリー消費なし
デメリット:
- ケーブルが煩わしい
- USB Type-C変換アダプターが必要な場合がある
こんな人におすすめ:
- ゲームを本格的にプレイする人
- 音ズレをどうしても解消したい人
対処法2:Bluetoothイヤホンのペアリングをやり直す
一時的な接続不良が原因の場合、再ペアリングで改善することがあります。
手順:
- 設定→接続済みのデバイス(またはBluetooth)
- 該当するイヤホンの横にある歯車アイコンをタップ
- 「ペア設定を解除」をタップ
- イヤホンの電源を切る
- イヤホンをペアリングモードにして再接続
対処法3:スマホを再起動する
システムの一時的なエラーが原因の場合、再起動で改善します。
効果:
- バックグラウンドアプリが終了
- RAMがクリアされる
- 一時ファイルが削除される
対処法4:省電力モードをオフにする
省電力モードは処理性能を制限するため、音ズレの原因になります。
手順:
- 設定→バッテリー
- 「省電力モード」または「バッテリーセーバー」をオフにする
対処法5:Wi-FiとBluetoothの干渉を減らす
方法1:Wi-Fiを5GHz帯に切り替える
- ルーターの設定で5GHz帯のSSIDに接続
- Bluetoothとの干渉が減る
方法2:機内モードを試す
- 一時的にWi-FiとモバイルデータをオフにしてBluetoothのみ使用
対処法6:アプリのキャッシュを削除
手順:
- 設定→アプリ
- 音ズレが起こるアプリを選択
- 「ストレージ」→「キャッシュを削除」
対処法7:アプリを最新版にアップデート
手順:
- Google Playストアを開く
- 「マイアプリ&ゲーム」→「更新」
- 該当アプリを更新
【上級者向け】Bluetoothコーデックを変更する方法

Bluetoothコーデックを変更することで、音ズレを大幅に改善できます。
開発者向けオプションを有効にする
手順:
- 設定→デバイス情報(または「システム」→「端末情報」)
- 「ビルド番号」を7回連続でタップ
- 「これでデベロッパーになりました!」と表示される
Bluetoothオーディオコーデックを変更
手順:
- 設定→システム→開発者向けオプション
- 下にスクロールして「Bluetoothオーディオコーデック」をタップ
- 低遅延のコーデックを選択
おすすめのコーデック:
1. aptX LL(Low Latency)
- 遅延:30〜40ms
- 音質:良好
- 最もおすすめ(対応機種に限る)
2. aptX Adaptive
- 遅延:50〜80ms
- 音質:非常に良い
- 状況に応じて自動調整
3. aptX
- 遅延:70〜100ms
- 音質:良好
4. AAC
- 遅延:100〜150ms
- iPhoneでは最適だが、Androidでは微妙
5. SBC
- 遅延:200〜250ms
- デフォルト設定(避けるべき)
注意点
両方の対応が必要:
スマホとイヤホンの両方が同じコーデックに対応している必要があります。
確認方法:
- スマホ:メーカーの公式サイトでスペックを確認
- イヤホン:パッケージや製品ページで確認
HD Audioとアブソリュートボリュームを無効化
手順:
- 設定→システム→開発者向けオプション
- 「HD Audio:無効」のトグルをオフ
- 「アブソリュートボリュームを無効にする」をオン
理由:
HD Audioは高音質ですが、データ処理量が増えて遅延が大きくなる場合があります。
アプリ別の音ズレ対処法
VLC for Androidの場合
VLCには音ズレを手動で調整する機能があります。
手順:
- VLCで動画を再生
- 画面左下のアイコン(四角に線が入ったもの)をタップ
- 「オーディオ」の横の下向き矢印をタップ
- 「オーディオの遅延」を選択
- 数値を調整(音が遅い場合はマイナス、早い場合はプラス)
- -500ms程度から調整してみる
MX Playerの場合
手順:
- MX Playerで動画を再生
- 画面をタップしてメニューを表示
- 右上の「︙」(三点リーダー)→「設定」
- 「オーディオ」→「Bluetooth遅延」
- 数値を調整(-2など)
重要:
デコーダーを「SW(ソフトウェア)」に設定する必要があります。
デコーダーの切り替え:
- 動画再生中に画面をタップ
- 上部ツールバーの「HW」をタップして「SW」に変更
YouTubeの場合
残念ながら、YouTube公式アプリには音ズレ調整機能がありません。
対処法:
- Bluetoothコーデックを変更する
- 有線イヤホンを使う
- ブラウザ版YouTubeを使う
ゲームの音ズレを改善する方法
ゲーミングイヤホンのゲームモードを使う
多くのゲーミングイヤホンには「低遅延モード」が搭載されています。
有効化方法:
- イヤホンのボタンを長押し(2〜3秒)
- 専用アプリから設定
- 「ゲームモードオン」の音声案内が流れる
対応製品例:
- ZEBRONICS Zeb-Thunder Pro
- SOUNDPEATS Air3 Deluxe
- Anker Soundcore Life P3
ゲームアプリの設定を確認
一部のゲームには遅延設定があります。
確認場所:
- ゲーム内の「設定」→「サウンド」
- 「オーディオ遅延補正」などの項目
機種別の対処法
Samsung Galaxyの場合
Sound Assistantアプリを使う:
- Galaxy Storeから「Sound Assistant」をインストール
- アプリを開く
- 「Bluetooth metronome」を選択
- スライダーで音声のタイミングを調整
Google Pixelの場合
標準的なAndroidの方法に加えて:
適応型バッテリーを無効化:
- 設定→バッテリー→適応型バッテリー
- オフにする(一時的に)
Xperiaの場合
DSEE Ultimateを無効化:
- 設定→音設定→音質・エフェクト
- 「DSEE Ultimate」をオフ
理由:
音質向上機能が処理遅延を引き起こす場合があります。
動画撮影時の音ズレを防ぐ方法
カメラアプリの設定を見直す
1. フレームレートを調整
- 60fps → 30fpsに下げる
- 映像と音声のフレームレートを同じにする
2. 解像度を下げる
- 4K → 1080pに変更
- ファイルサイズが小さくなり、音ズレが減る
3. 撮影時間を短くする
- 長時間録画は音ズレが発生しやすい
- こまめに分割して撮影
SDカードを見直す
推奨スペック:
- 容量:32GB以上
- スピードクラス:Class 10以上、またはUHS-I以上
遅いSDカードは音ズレの原因になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 有線イヤホンでも音ズレする場合は?
A. 有線でも音ズレする場合、スマホの性能不足またはアプリの問題が原因です。アプリのキャッシュ削除、スマホの再起動、アプリの更新を試してください。
Q2. すべてのBluetoothイヤホンで音ズレは起こる?
A. はい、程度の差はありますが、すべてのBluetoothイヤホンで多少の遅延は発生します。ただし、aptX LL対応イヤホンなら遅延を30〜40msまで抑えられ、ほとんど気になりません。
Q3. 音ズレがないBluetoothイヤホンはある?
A. 完全にゼロにはできませんが、低遅延コーデック(aptX LL、aptX Adaptive)対応のイヤホンなら、ほぼ気にならないレベルまで改善できます。
おすすめ製品:
- ゲーミング用:SOUNDPEATS、Anker、ZEBRONICS
- 音楽・動画用:aptX Adaptive対応の高級イヤホン
Q4. コーデック変更したのに改善しない場合は?
A. イヤホン側が対応していない可能性があります。スマホとイヤホンの両方が同じコーデックに対応している必要があります。製品スペックを確認してください。
Q5. 音が早すぎる(映像より先に聞こえる)場合は?
A. VLCやMX Playerの遅延設定でプラスの値に調整してください。通常は音が遅れるケースが多いですが、一部のアプリでは音が早くなることもあります。
Q6. スマホを買い替えたら音ズレが悪化した
A. 新しい機種の方が性能は高いはずなので、設定の問題が考えられます。開発者向けオプションでBluetoothコーデックを確認し、最適なものに変更してください。
Q7. 車のBluetoothでも音ズレする?
A. はい、車のカーナビやオーディオシステムでも音ズレは発生します。特にJohnson Controls製のシステムは2〜3秒の遅延が報告されています。対処法は、有線(AUXケーブル)接続に切り替えることです。
Q8. 開発者向けオプションが表示されない
A. 機種によっては「ビルド番号」の場所が異なります。「設定」で「ビルド番号」を検索してみてください。または、メーカーの公式サポートページで確認しましょう。
まとめ
Androidスマホの音ズレは、主にBluetooth接続の遅延が原因です。ただし、適切な対処法を実践すれば、大幅に改善できます。
基本的な対処法:
- 有線イヤホンに切り替える(最も確実)
- Bluetoothのペアリングをやり直す
- スマホを再起動する
- 省電力モードをオフにする
- アプリのキャッシュ削除と更新
上級者向け対処法:
- 開発者向けオプションでBluetoothコーデックを変更(aptX LL、aptX Adaptive推奨)
- HD Audioを無効化
- アブソリュートボリュームを無効化
アプリ別の対処法:
- VLC:オーディオ遅延を調整(-500ms程度)
- MX Player:Bluetooth遅延設定を調整(デコーダーをSWに)
ゲーム向け:
- ゲーミングイヤホンの低遅延モードを使う
- aptX LL対応イヤホンを購入
根本的な解決策:
音ズレをほぼゼロにしたい場合は、有線イヤホンまたはaptX LL対応のBluetoothイヤホンを使うのが最も効果的です。
特にリズムゲームや音ゲーをプレイする人は、有線接続を強くおすすめします。動画視聴やカジュアルなゲームなら、Bluetoothコーデックの変更で十分改善できるはずです。
ぜひこの記事の方法を試して、快適なスマホライフを送ってください!

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