スマホやタブレットで文字入力をしているとき、キーボードの位置が急に変わって戸惑ったことはありませんか?
「キーボードが小さくなった」「画面の真ん中に浮いている」「元に戻せない」——そんな経験をした方も多いはず。これは「フローティングキーボード」という機能が有効になっている状態です。
今回は、フローティングキーボードとは何か、どんなメリットがあるのか、そして使い方や元に戻す方法まで、詳しく解説していきます。
フローティングキーボードとは

フローティングキーボードとは、画面上を自由に移動できる、浮遊型のソフトウェアキーボードのことです。
通常のキーボードとの違い:
通常のキーボード:
- 画面下部に固定されている
- 画面の約3分の1~4分の1を占有
- 位置やサイズは変更できない
- 大画面では両手での入力が前提
フローティングキーボード:
- 画面上の好きな位置に移動できる
- サイズが小さめ(スマホサイズ)
- 画面の上に浮いているように表示される
- 片手でも操作しやすい
「フローティング」の意味
「Floating」は英語で「浮遊する」「浮かぶ」という意味。キーボードが画面下部に固定されずに、まるで浮いているかのように表示されることから、こう呼ばれています。
フローティングキーボードの特徴
フローティングキーボードの主な特徴を見ていきましょう。
1. 位置を自由に変更できる
通常のキーボードは画面下部に固定されていますが、フローティングキーボードは画面上のどこにでも移動できます。
移動方法:
キーボード下部のバー(ハンドル)を長押しして、好きな位置にドラッグするだけ
2. サイズが小さい
通常のキーボードより小さく表示されます。大きさは機種によって異なりますが、一般的にスマートフォンのキーボードと同程度のサイズになります。
3. 画面コンテンツに重なる
フローティングキーボードは、画面の表示領域を占有するのではなく、表示内容の上に重なって表示されます。
メリット:
画面をより広く使える
デメリット:
見たい部分がキーボードで隠れる場合がある
4. 片手入力に最適
小さくて移動できるため、利き手の側に配置すれば片手でも楽に文字入力ができます。
対応デバイス
フローティングキーボードは、すべてのデバイスで使えるわけではありません。
Android
対応条件:
- Android 9.0以降
- Gboard(Google日本語入力)を使用
- 機種によっては他のキーボードアプリでも対応
主な対応キーボード:
- Gboard(最も一般的)
- Galaxyキーボード(Samsungデバイス)
- ATOK(一部機種)
iPad/iPadOS
対応条件:
- iPadOS 13以降
- 標準の日本語キーボード
- すべてのiPadで利用可能
注意点:
iPhoneには標準でフローティングキーボード機能はありません。画面サイズが小さいため、必要性が低いと判断されているためです。
フローティングキーボードのメリット
なぜフローティングキーボードが便利なのでしょうか。
1. 大画面デバイスでの片手入力が楽
タブレットや大型スマホでは、画面の端まで指が届きにくいことがあります。フローティングキーボードを利き手側に配置すれば、片手でも快適に入力できます。
2. 画面をより広く見られる
通常のキーボードは画面の大部分を占有しますが、フローティングキーボードは小さいため、より多くのコンテンツを同時に表示できます。
便利な場面:
- ウェブページを見ながらメモを取る
- 動画を見ながらコメントを入力する
- 地図アプリで場所を確認しながら検索
3. 入力位置に合わせて配置できる
入力欄が画面上部にあるときは、キーボードを上に移動させて入力欄が隠れないようにできます。
4. スワイプ入力(スライド入力)が使える
特にiPadでは、フローティングキーボード使用時にQuickPath(スワイプ入力)が利用できます。これは通常サイズのキーボードでは使えない機能です。
5. 持ち方に応じて最適化
デバイスの持ち方(縦・横、片手・両手)に応じて、キーボードの位置を柔軟に調整できます。
フローティングキーボードのデメリット
便利な反面、いくつかのデメリットもあります。
1. 誤って有効にしてしまいやすい
特定のジェスチャー(ピンチ操作)で簡単に切り替わるため、意図せず有効になってしまうことがあります。
2. キーが小さくなる
サイズが小さくなる分、各キーも小さくなります。手が大きい人や視力が弱い人には入力しにくい場合があります。
3. 見たい部分が隠れる可能性
画面上に重なって表示されるため、配置によっては重要な情報が隠れてしまいます。
4. 通常のキーボードより入力速度が落ちる場合がある
慣れていないと、小さなキーボードでは入力ミスが増えたり、入力速度が遅くなったりすることがあります。
Android(Gboard)でのフローティングキーボードの使い方
Androidスマホで最も一般的なGboardでの操作方法を紹介します。
フローティングキーボードをオンにする方法
手順1: メニューから設定
- 文字入力画面を開く(メッセージアプリやメモ帳など)
- キーボードが表示されたら、ツールバーの四角が4つ並んだアイコンをタップ
- メニューから「フローティング」をタップ
- キーボードがフローティング状態になる
手順2: 設定画面から
- 「設定」アプリを開く
- 「システム」→「言語と入力」をタップ
- 「画面キーボード」→「Gboard」をタップ
- 「設定」→「フローティング」をオンにする
フローティングキーボードを移動する方法
- キーボード下部の横棒(-)のマークを長押し
- そのまま指を動かして好きな位置にドラッグ
- 指を離すとその位置に固定される
フローティングキーボードのサイズを変更する方法
Gboardの場合:
- キーボード下部の横棒を長押ししながら、上下にドラッグ
- 上にドラッグ: キーボードが小さくなる
- 下にドラッグ: キーボードが大きくなる
機種やバージョンによっては、サイズ変更ができない場合もあります。
フローティングキーボードをオフにする方法
方法1: 画面下部に戻す
- キーボード下部の横棒を長押し
- そのまま画面の一番下までドラッグ
- 画面下部に到達すると、自動的に通常のキーボードに戻る
方法2: メニューから
- ツールバーの四角が4つ並んだアイコンをタップ
- 「フローティング」を再度タップ
- チェックマークが外れ、通常のキーボードに戻る
iPad/iPadOSでのフローティングキーボードの使い方
iPadでのフローティングキーボードの操作方法を紹介します。
フローティングキーボードをオンにする方法
方法1: ピンチ操作
- 文字入力画面を開く(NotesやSafariなど)
- キーボードが表示されたら、2本の指をキーボード上に置く
- 指を内側にピンチ(つまむ動作)する
- キーボードが縮小してフローティング状態になる
方法2: メニューから
- キーボード右下のキーボードアイコンを長押し
- メニューが表示されるので「フローティング」を選択
- キーボードがフローティング状態になる
フローティングキーボードを移動する方法
- キーボード下部のグレーのバーを長押し
- そのまま指を動かして好きな位置にドラッグ
- 画面のどこにでも配置できる
QuickPath(スワイプ入力)を使う
iPadのフローティングキーボードでは、QuickPathというスワイプ入力が使えます。
使い方:
- 最初の文字を押す
- 指を離さず、次の文字へスライド
- 単語の最後の文字まで移動
- 指を離すと単語が入力される
フローティングキーボードをオフにする方法
方法1: ピンチアウト操作
- キーボード上に2本の指を置く
- 指を外側に広げる(ピンチアウト)
- キーボードが拡大し、画面下部に固定される
方法2: バーをドラッグ
- キーボード下部のグレーのバーを長押し
- 画面の一番下までドラッグ
- 画面下部に到達すると通常のキーボードに戻る
方法3: メニューから
- キーボード右下のキーボードアイコンを長押し
- 「ドック」または「ドックと結合」を選択
- 通常のキーボードに戻る
トラブルシューティング
フローティングキーボードでよくある問題と解決方法を紹介します。
Q1: 突然キーボードが小さくなった
原因:
誤って2本指でピンチ操作をしてしまった
解決方法:
- Android: キーボードを画面下部までドラッグ
- iPad: 2本指でピンチアウト(外側に広げる)
Q2: 元に戻せない
解決方法:
Android:
- キーボードのメニューボタンをタップ
- 「フローティング」をオフにする
- それでもダメなら、スマホを再起動
iPad:
- キーボードのバーを画面下部までドラッグ
- 2本指でピンチアウト
- それでもダメなら、iPadを再起動
Q3: フローティングキーボードが表示されない
原因:
キーボードアプリが対応していない、またはOSバージョンが古い
解決方法:
- Androidの場合: Gboardを使用しているか確認
- iPadの場合: iPadOS 13以降にアップデート
- キーボードアプリを最新版に更新
Q4: サイズが変更できない
一部の機種やキーボードアプリでは、サイズ変更機能がサポートされていません。この場合は、位置の移動のみ可能です。
Q5: キーボードが画面から消えた
解決方法:
- 文字入力欄をもう一度タップ
- キーボードアイコンをタップ
- それでも出ない場合は、アプリを再起動
Q6: 片手モードとフローティングの違いがわからない
片手モード:
- キーボードが小さくなって左右どちらかに寄る
- 画面下部には固定されたまま
- 主にスマホ向けの機能
フローティングモード:
- キーボードが画面上を自由に移動できる
- 画面のどこにでも配置可能
- 主にタブレット向けの機能
フローティングキーボードの活用シーン
フローティングキーボードが特に便利な場面を紹介します。
1. 動画視聴中のコメント入力
YouTubeなどで動画を見ながらコメントを入力する際、フローティングキーボードを使えば動画が隠れません。
2. ウェブブラウジング中の検索
長いウェブページを読みながら検索バーに入力する場合、キーボードを上部に配置すれば、読んでいる部分が隠れません。
3. 地図アプリでの検索
Googleマップなどで地図を確認しながら場所を検索するとき、キーボードを移動させて地図の見たい部分を表示できます。
4. 分割画面での作業
iPadの分割画面(Split View)で2つのアプリを同時に使う際、フローティングキーボードを使えば両方のアプリが見やすくなります。
5. 電子書籍でのメモ取り
電子書籍を読みながらメモを取る場合、キーボードを適切な位置に配置すれば、本文とメモ欄の両方が見やすくなります。
6. タブレットでの片手入力
タブレットを片手で持って操作するとき、フローティングキーボードを利き手側に配置すれば快適に入力できます。
設定のカスタマイズ
より快適に使うための設定を紹介します。
Android(Gboard)の設定
キーボードの高さ調整:
- Gboardの設定を開く
- 「設定」→「キーボードの高さ」
- 「背の高いキー」「中くらいのキー」などから選択
ツールバーのカスタマイズ:
- Gboardの設定を開く
- 「設定」→「ツールバー」
- よく使う機能をツールバーに追加
iPadの設定
QuickPathのオン/オフ:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」→「キーボード」
- 「フローティングキーボードでスライド入力」をオン/オフ
キーボードの触覚フィードバック:
- 「設定」→「サウンドと触覚」
- 「キーボードのフィードバック」を設定
よくある質問
フローティングキーボードについてよくある質問に答えます。
Q: iPhoneでもフローティングキーボードは使える?
A: iPhoneには標準でフローティングキーボード機能はありません。画面サイズが小さいため、実装されていないと考えられます。
Q: 常にフローティングキーボードを使いたい
A: 設定で「常にフローティング」という項目はありませんが、一度フローティング状態にすれば、次回もその状態が維持されます。
Q: フローティングキーボードを無効化したい
A: 完全に無効化する設定はありませんが、通常のキーボードに戻せば問題ありません。誤操作でフローティングになっても、すぐに戻せます。
Q: 他のキーボードアプリでも使える?
A: アプリによります。
- Android: Gboard、Galaxyキーボード、ATOKなど一部のアプリで対応
- iPad: 標準キーボードのみ(サードパーティアプリでは対応が限定的)
Q: 横画面でも使える?
A: はい、縦画面・横画面の両方で使えます。画面の向きを変えても、フローティング状態は維持されます。
まとめ
フローティングキーボードについて重要なポイントをまとめます。
フローティングキーボードとは:
- 画面上を自由に移動できるキーボード
- サイズが小さく、画面に重なって表示される
- 片手入力や大画面デバイスで便利
対応デバイス:
- Android: 9.0以降(Gboard使用時)
- iPad: iPadOS 13以降
- iPhone: 非対応
オンにする方法:
- Android: メニューから「フローティング」を選択
- iPad: 2本指でピンチイン(つまむ)
オフにする方法:
- Android: キーボードを画面下部までドラッグ
- iPad: 2本指でピンチアウト(広げる)またはバーを下部へドラッグ
メリット:
- 片手入力が楽
- 画面をより広く使える
- 柔軟な配置が可能
- iPad版ではスワイプ入力が使える
デメリット:
- キーが小さくなる
- 誤操作で有効になりやすい
- 画面が隠れる場合がある
おすすめの使用シーン:
- 大型タブレットでの片手入力
- 動画視聴中のコメント入力
- ウェブページを見ながらのメモ取り
- 分割画面での作業
フローティングキーボードは、使いこなせば非常に便利な機能です。特に大画面のタブレットでは、入力の効率が大きく向上します。
最初は慣れないかもしれませんが、オン/オフの切り替え方法さえ覚えておけば、状況に応じて柔軟に使い分けられます。ぜひこの記事を参考に、快適な文字入力を楽しんでください。


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