中古のスマートフォンを買おうとしたとき、「赤ロム」「白ロム」という言葉を見かけたことはありませんか?
特に「赤ロム」は、知らずに購入してしまうと大変なトラブルになる可能性があります。せっかく買ったスマホが使えない…なんて事態は避けたいですよね。
今回は、赤ロムとは何か、どうして危険なのか、そして安全に中古スマホを購入するための方法を詳しく解説していきます。
赤ロムとは

赤ロムとは、携帯電話会社(キャリア)によってネットワーク利用制限がかけられている状態のスマートフォンのことです。
赤ロムの特徴:
- SIMカードは挿入されていない
- ネットワーク利用制限がかかっている
- 通話ができない
- モバイルデータ通信ができない
- Wi-Fi接続は可能
つまり、赤ロムのスマホにSIMカードを挿入しても、電話をかけたりインターネット(モバイル通信)を使ったりすることができません。Wi-Fi環境下でしか使えない、大きく制限された端末ということになります。
「ロム」という言葉の由来
なぜ「赤ロム」と呼ばれるのでしょうか。
ロムの語源:
元々、ROM(Read Only Memory)とは読み出し専用の記憶装置のこと。1990年代の携帯電話では、契約者の情報を端末内部のROMに書き込んでいました。
- 黒ロム: 契約情報が書き込まれている状態(ROMが黒い)
- 白ロム: 契約情報が消去されている状態(ROMが白い)
この呼び方が定着し、現在では:
- 白ロム: SIMカード未挿入で制限のない端末
- 黒ロム: SIMカードが入っている端末
- 赤ロム: ネットワーク利用制限がかかった端末
という意味で使われています。「赤」は警告や危険を示す色として使われているんですね。
ネットワーク利用制限とは
赤ロムを理解するには、「ネットワーク利用制限」について知る必要があります。
ネットワーク利用制限の仕組み
ネットワーク利用制限とは、携帯電話会社が不正利用や代金未払いを防ぐために導入している通信制限の仕組みです。
制限がかけられる主な理由:
- 端末代金の分割払いが滞っている
- 盗難や紛失として届け出された端末
- 不正契約によって入手された端末
- 詐欺などの犯罪に使われた端末
判定の種類
ネットワーク利用制限には、4つの判定があります。
○(マル)判定:
- 分割払いが完了している
- ネットワーク利用制限の対象外
- 安全に使える状態
- 今後赤ロムになる心配がない
△(三角)判定:
- 現在は制限がかかっていない
- 分割払いが継続中
- 通話・通信は問題なく使える
- ただし、将来的に赤ロム化する可能性がある
×(バツ)判定:
- ネットワーク利用制限がかかっている
- これが「赤ロム」の状態
- 通話・データ通信ができない
- Wi-Fi接続のみ可能
-(ハイフン)判定:
- そのキャリアで販売が確認できない端末
- 基本的に制限はかからない
赤ロムになる原因
なぜスマホが赤ロムになってしまうのでしょうか。
1. 分割払いの未払い
最も多いのがこのケースです。
具体例:
前の所有者がスマホを分割払いで購入し、支払いが完了する前に中古ショップやフリマアプリで売却してしまう。その後、分割払いを滞納すると、キャリアがそのスマホにネットワーク利用制限をかけます。
購入時は「△判定」だったスマホが、前の所有者の支払い状況によって後日「×判定」になってしまうんです。
2. 盗難・紛失の届け出
スマホが盗まれたり失くしたりしたとき、持ち主はキャリアに届け出ます。すると、そのスマホには即座にネットワーク利用制限がかかります。
問題点:
盗難品が中古市場に出回り、事情を知らない人が購入してしまうケースがあります。
3. 不正契約・詐欺
本人確認を偽って契約された端末や、詐欺グループによって大量に契約された端末は、発覚次第ネットワーク利用制限がかけられます。
赤ロムかどうかを確認する方法
中古スマホを購入する前に、必ず赤ロムかどうかを確認しましょう。
IMEI(製造番号)で確認する
IMEI(アイエムイーアイ)とは:
- International Mobile Equipment Identity(国際移動体装置識別番号)の略
- 15桁の数字からなる端末固有の識別番号
- 電話番号や回線契約とは無関係
- すべてのスマホに割り当てられている
IMEIの確認方法
iPhoneの場合:
- 「設定」アプリを開く
- 「一般」をタップ
- 「情報」をタップ
- 下にスクロールするとIMEIが表示される
Androidの場合:
- 「設定」アプリを開く
- 「デバイス情報」をタップ
- IMEIが表示される
共通の方法:
電話アプリで「*#06#」と入力すると、IMEIが表示されます。
キャリアサイトで照会する
IMEIが分かったら、各キャリアの公式サイトで照会できます。
主なキャリアの照会ページ:
- ドコモ: ネットワーク利用制限携帯電話機確認サイト
- au(KDDI): ネットワーク利用制限携帯電話機照会
- ソフトバンク: ネットワーク利用制限携帯電話機の確認
- 楽天モバイル: ネットワーク利用制限確認
IMEIを入力すると、○・△・×・-のいずれかの判定が表示されます。
赤ロムを購入してしまったら
もし赤ロムを購入してしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
自分で解除はできない
残念ながら、購入者が自力でネットワーク利用制限を解除することはできません。
制限を解除できるのは:
- 元の契約者本人
- 携帯電話会社
だけです。しかし、キャリアも基本的には制限解除に応じてくれません。
販売店に返品する
中古ショップで購入した場合:
多くの中古ショップでは「赤ロム保証」を提供しています。購入後に赤ロム化した場合、保証期間に関わらず交換または全額返金してくれます。
必ずレシートや購入記録を保管しておきましょう。
フリマアプリやオークションで購入した場合:
個人間取引では返品が難しいケースが多いです。
- 出品者と連絡が取れなくなる
- 「知らなかった」と言い逃れされる
- プラットフォームの補償が受けられない
というリスクがあります。
Wi-Fi専用端末として使う
どうしても返品できない場合、Wi-Fi専用端末として使うしかありません。
できること:
- Wi-Fi環境でのインターネット閲覧
- Wi-Fi経由のアプリ使用
- 音楽プレーヤーやゲーム機として
- 写真撮影やカメラ機能
できないこと:
- 電話をかける・受ける
- SMSの送受信
- モバイルデータ通信
白ロム・黒ロムとの違い

赤ロムと混同しやすい用語について整理しましょう。
白ロムとは
白ロムの定義:
- SIMカードが挿入されていない
- ネットワーク利用制限がかかっていない(○判定)
- SIMカードを入れれば通話・通信ができる
中古スマホ市場で「白ロム」として販売されているのは、基本的に安全に使える端末です。ただし、△判定の白ロムは将来的に赤ロム化する可能性があるので注意が必要です。
黒ロムとは
黒ロムの定義:
- SIMカードが挿入されている状態
- そのまま通話・通信ができる
- 契約者情報と端末が紐づいている
私たちが普段使っているスマホは、すべて黒ロムです。キャリアショップや格安SIM会社で購入したスマホは黒ロムとして提供されます。
法律上の注意:
携帯電話不正利用防止法により、黒ロムを販売できるのは認可された通信会社のみです。個人が黒ロムを販売・購入すると法律違反になる可能性があります。
比較表
| 種類 | SIMカード | 利用制限 | 通話・通信 | 購入リスク |
|---|---|---|---|---|
| 白ロム | なし | なし(○) | 可能※ | 低い |
| 白ロム△ | なし | 可能性あり(△) | 可能※ | 中程度 |
| 赤ロム | なし | あり(×) | 不可 | 高い |
| 黒ロム | あり | – | 可能 | – |
※SIMカードを挿入すれば可能
安全に中古スマホを購入する方法
赤ロムを避けて、安心して中古スマホを購入するためのポイントを紹介します。
1. 信頼できる販売店を選ぶ
おすすめの購入先:
- 大手中古スマホショップ
- 携帯電話会社の認定中古品
- 家電量販店の中古コーナー
チェックポイント:
- 赤ロム保証があるか
- 保証期間はどのくらいか
- 返品・交換の条件は明確か
2. ネットワーク利用制限を事前確認
購入前に必ずIMEIを確認し、キャリアサイトで照会しましょう。
判定の選び方:
- ○判定: 最も安全。おすすめ
- △判定: 安いが将来的なリスクあり。赤ロム保証必須
- ×判定: 購入しない
3. △判定の端末を買う場合
△判定の端末は○判定より安く販売されていることが多いです。
購入する場合の条件:
- 赤ロム保証が充実している
- 保証期間が長い(できれば永久保証)
- サブ機やWi-Fi専用として使う予定
注意点:
メインのスマホとして使うなら、○判定を選ぶのが無難です。
4. フリマアプリは避ける
個人間取引には次のようなリスクがあります:
- 赤ロムかどうか出品者が把握していない
- 故意に赤ロムを販売している
- 購入後に連絡が取れなくなる
- 返品・返金に応じてもらえない
- プラットフォームの補償が限定的
どうしても個人から購入する場合は:
- 必ずIMEI番号を聞く
- 自分で事前に照会する
- スクリーンショットを保存する
- メッセージのやり取りを記録する
5. SIMフリー端末か確認
赤ロムとは別の問題として、「SIMロック」があります。
SIMロックとは:
特定のキャリアのSIMカードしか使えないようにかけられた制限
確認ポイント:
- SIMフリー端末か
- SIMロック解除済みか
- 使いたいキャリアの周波数帯(バンド)に対応しているか
白ロムでもSIMロックがかかっている場合、特定のキャリアでしか使えません。
赤ロム保証について
中古スマホショップが提供する「赤ロム保証」は非常に重要です。
赤ロム保証とは
購入後に端末が赤ロム化(×判定)してしまった場合、販売店が交換または全額返金してくれる保証制度です。
主な保証内容:
- 保証期間に関わらず対応(永久保証も多い)
- 同等品との交換
- 全額返金
- 無条件での対応
保証がある理由
△判定の端末は、前の所有者の支払い状況によって後日×判定になる可能性があります。販売店もこのリスクを理解しているため、保証を付けて販売しているんです。
保証利用時の注意
必要なもの:
- 購入時のレシートや明細
- 端末本体
- 身分証明書(場合による)
手順:
- ネットワーク利用制限が×になったことを確認
- 購入店に連絡
- 必要書類と端末を持参または郵送
- 交換品の受け取りまたは返金
総務省の動き
2024年4月、総務省は「ネットワーク利用制限を原則廃止する方向性」を明らかにしました。
廃止が検討される理由
問題点:
- 中古スマホを買った人に非がないのに使えなくなる
- 中古スマホ市場の健全な発展を妨げている
- 消費者が不利益を被るリスクが高い
一方で:
- 不正契約や盗難の抑止効果がある
- キャリアの未払い対策として機能している
今後の議論の進展によっては、「赤ロム」という概念自体がなくなる可能性もあります。
赤ロムのメリット?
意外かもしれませんが、あえて赤ロムを購入する人もいます。
価格が非常に安い
赤ロムは通信できないため、通常の中古スマホよりも大幅に安く販売されています。
こんな人におすすめ:
- Wi-Fi専用端末がほしい
- 音楽プレーヤーとして使いたい
- ゲーム専用機がほしい
- カメラ機能だけ使いたい
- 開発やテスト用の端末がほしい
注意点
通信機能が使えないことを理解した上で、本当にそれで問題ないか慎重に検討しましょう。多くの場合、少し高くても通信できる端末を買った方が便利です。
まとめ
赤ロムについて重要なポイントをまとめます。
赤ロムとは:
- ネットワーク利用制限がかかったスマホ
- 通話・モバイル通信ができない
- Wi-Fi接続のみ可能
- 中古スマホ購入時の最大のリスク
赤ロムになる原因:
- 分割払いの未払い
- 盗難・紛失の届け出
- 不正契約・詐欺
確認方法:
- IMEI番号をチェック
- キャリアサイトで照会
- ○・△・×・-の判定を確認
安全な購入方法:
- 信頼できる中古ショップを選ぶ
- 赤ロム保証がある店で買う
- ○判定の端末を選ぶ
- フリマアプリは避ける
- 購入前に必ずIMEIを確認
もし赤ロムを買ってしまったら:
- 販売店に返品・交換を依頼
- 赤ロム保証を利用
- 個人間取引では返品が困難
- Wi-Fi専用端末として使うしかない
中古スマホは新品より安く購入できる魅力的な選択肢ですが、赤ロムのリスクを理解して慎重に選ぶことが大切です。
特に初めて中古スマホを購入する場合は、フリマアプリやオークションを避け、赤ロム保証がしっかりした中古ショップで○判定の端末を選ぶのが最も安全です。
この記事の知識を活用して、ぜひ安心・安全な中古スマホライフを楽しんでくださいね。

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