Slackを導入したものの、「なんだかチャンネルが増えすぎて混乱している」「大事なメッセージが埋もれてしまう」「使い方が人によってバラバラ」といった悩みを抱えていませんか?
Slackは便利なツールですが、ルールなしで使い始めると、次第に無法地帯になってしまいます。組織が成長するにつれて、明確な運用ルールの必要性を感じる企業は少なくありません。
この記事では、Slackの運用ルールを作る方法から、実際に導入している企業の事例、具体的なガイドライン項目まで、わかりやすく解説していきます。チームの生産性を高めるSlack活用術を、ぜひ参考にしてください。
なぜSlackの運用ルールが必要なのか

よくある問題点
Slackを使っていて、こんな経験はありませんか?
- チャンネルが乱立していて、どこに投稿すればいいかわからない
- 重要なメッセージが大量の投稿に埋もれてしまう
- DMで業務連絡が来て、他のメンバーが情報を把握できない
- 通知が多すぎて集中できない
- 過去のやり取りを探すのに時間がかかる
これらの問題は、明確な運用ルールがないことが原因です。
ルールがもたらすメリット
運用ルールを設定することで、以下のような効果が期待できます。
情報の見つけやすさが向上
チャンネル名や投稿場所が統一されていれば、必要な情報をすぐに見つけられます。検索性も格段にアップしますよ。
コミュニケーションの質が向上
メンションの使い方やスレッド活用のルールがあれば、やり取りがスムーズになります。誤解や行き違いも減少します。
無駄な気遣いがなくなる
「こんなこと投稿していいのかな」「迷惑かな」といった不要な配慮がなくなり、必要な情報が積極的に共有されるようになります。
新メンバーの onboarding が楽になる
明文化されたルールがあれば、新しく入った人もすぐにSlackの使い方を理解できます。
運用ルール作りの基本ステップ
ステップ1:現状の課題を洗い出す
まずは、今Slackを使っていて困っていることをチームメンバーから集めましょう。
アンケートやヒアリングを通じて、以下のような点を確認します。
- どんな場面で迷いを感じるか
- 情報が見つけにくいと感じるのはどんな時か
- 通知が多すぎると感じているか
- コミュニケーションで不便を感じることは何か
ステップ2:他社の事例を参考にする
ゼロから作るより、すでに実践している企業の事例を参考にした方が効率的です。
メルカリ、ゆめみ、SmartHRなど、多くの企業がSlackガイドラインを公開しています。これらを参考にしながら、自社に合った形にカスタマイズしていきましょう。
ステップ3:優先順位を決める
すべてのルールを一度に導入しようとすると、逆に使いにくくなってしまいます。
まずは最低限のルールから始めることが大切。以下のような基本ルールから導入するといいでしょう。
- チャンネル命名規則
- メンションの使い分け
- DMの使い方
- スレッド活用のルール
ステップ4:ドラフトを作成して共有
ルール案を作ったら、まずは小さなグループで試してみます。
実際に使ってみて問題がないか確認し、フィードバックを集めましょう。この段階で細かい調整を行うことが重要です。
ステップ5:正式導入と周知
ルールが固まったら、全社に周知します。
専用チャンネルを作って常に参照できるようにしたり、Notionなどのドキュメントツールに掲載したりするといいでしょう。定期的にリマインドすることも忘れずに。
チャンネルに関するルール
チャンネル命名規則
チャンネル名は誰が見てもわかるように統一しましょう。
接頭語(プレフィックス)を使う
チャンネルの種類ごとに接頭語を決めておくと、整理しやすくなります。
#pj-プロジェクト名#team-チーム名#notice-お知らせ用#random-雑談用#g-ゲスト参加チャンネル
具体例
#pj-website-renewalウェブサイトリニューアルプロジェクト#team-marketingマーケティングチーム#notice-company全社お知らせ#random-lunchランチ情報共有
接頭語の優先順位
複数の接頭語が該当する場合は、優先順位を決めておきます。
例:ゲストが参加するプロジェクトチャンネルの場合
→ #g-pj-client-alpha (ゲストが最優先)
チャンネルの説明とトピック
チャンネルを作成したら、必ず「説明」と「トピック」を設定しましょう。
説明欄に書くこと
- このチャンネルの目的
- 誰が参加すべきか
- 投稿してよい内容
トピック欄に書くこと
- 現在の状況や期限
- 関連リンク
- 重要な連絡事項
定期的なチャンネル整理
四半期に1回程度、「Slack Cleanup Day」を設定して、不要なチャンネルをアーカイブしましょう。
アーカイブしたチャンネルも検索可能なので、過去のログが見られなくなる心配はありません。
メッセージとコミュニケーションのルール
メンションの使い分け
メンションは通知を発生させるため、使い分けが重要です。
@ここで使う(個人へのメンション)
特定の人にアクションを求める場合のみ使用します。「確認してほしい」「返信がほしい」といった場合ですね。
@channel の使用は慎重に
チャンネル全員に通知が飛びます。全員のアクションが必要な場合(アンケート回答など)のみ使用しましょう。
情報共有だけで@channelを使うと、「通知を無視する癖」がついてしまい、本当に重要な時に見てもらえなくなります。
@here の使い方
現在オンラインの人だけに通知します。@channelよりも控えめですが、これも多用は避けましょう。
スレッド機能を活用する
返信は必ずスレッドで行うようにしましょう。
スレッドのメリット
- 会話の流れが追いやすい
- 他の話題と混ざらない
- チャンネルが読みやすくなる
- 関係ない人の通知が減る
スレッド内の重要な結論は「チャンネルにも送信」をチェックして、全員に共有しましょう。
DMは最小限に
業務に関する話はできるだけパブリックチャンネルで行います。
DMを避けるべき理由
- 情報が属人化する
- 同じ質問が何度も来る可能性がある
- 他のメンバーが学ぶ機会を失う
- ログが組織の財産にならない
DMを使ってもいい場合
- 個人的な用事
- 機密性の高い人事情報
- 1対1での相談が適切な内容
メッセージの書き方
タイトルをつける
長めの投稿には、最初に太字でタイトルをつけると読みやすくなります。
【依頼】来週の会議資料の確認
@田中さん
来週の全体会議で使用する資料の確認をお願いします。
箇条書きや番号を活用
複数の項目がある場合は、箇条書きにすると読みやすいです。
一度に全て書く
一文ずつ送信するのは避けましょう。情報を整理してから、一度のメッセージにまとめます。
通知とステータスのルール

通知設定の最適化
Slackの通知は、自分にとって本当に必要なものだけに絞りましょう。
おすすめの設定
- メインのチャンネルは「すべてのメッセージ」
- サブのチャンネルは「メンションのみ」
- 参考程度のチャンネルは「ミュート」
通知が100%自分に関係あるものだけになれば、通知を無視する習慣がなくなります。
おやすみモード(DND)の活用
集中したい時間や勤務時間外は、おやすみモードを設定しましょう。
設定方法は簡単です。通知設定から「通知を一時停止」を選択するだけ。スケジュールを設定すれば、毎日自動的にオン・オフできますよ。
ステータス機能の活用
自分の状況をステータスで伝えると、チームメンバーが配慮しやすくなります。
使用例
- 🏖️ 休暇中(12/25まで)
- 🏠 リモート勤務
- 🎧 集中作業中
- 📞 会議中(11:00まで)
- 🍜 ランチ
Googleカレンダーと連携すれば、会議中のステータスが自動で設定されます。
文化とマナーのルール
堅苦しい挨拶は不要
「お疲れ様です」「お忙しいところ恐れ入ります」などの前置きは省略してOKです。
いきなり用件から書き始めても失礼にあたりません。むしろ、簡潔な方が読みやすくて好まれます。
絵文字を積極的に活用
テキストだけだと冷たい印象を与えがちです。絵文字を使って柔らかい雰囲気を作りましょう。
リアクション絵文字
投稿に対してリアクションするだけで、「読みました」「いいね」の意思表示ができます。
- 👍 了解
- 👀 確認しました
- ✅ 完了
- 🙏 ありがとう
勝手に深読みしない
絵文字のない事務的なメッセージを受け取っても、「怒ってるのかな」と深読みする必要はありません。
ほぼ100%気のせいです。Slackでの短い文章は、単に効率を重視しているだけと考えましょう。
対面の会話もSlackで共有
オフィスで対面で話した内容も、できるだけSlackで共有しましょう。
リモート勤務者との情報格差をなくすためです。「○○さんと△△について××することに決めました」と簡単に投稿するだけでOK。
用途別の使い分けルール
Slackを使うべき場面
以下のような場面では、Slackが最適です。
- リアルタイムに近いやり取り
- 短い質問や確認
- プロジェクトの進捗共有
- チーム内の雑談
- 緊急の連絡
メールを使うべき場面
Slackではなく、メールの方が適している場面もあります。
- 公式な意思決定の記録
- 大量の添付ファイルを送る時
- 社外の人とのやり取り
- 長期保存が必要な重要文書
- フォーマルな通知
会議を設定すべき場面
文字だけで説明するのが難しい場合は、素直に会議を設定しましょう。
Slackで /zoom や /meet とコマンド入力すれば、その場でミーティングURLが発行されます。
会議が適している場面
- 複雑な内容の説明
- 認識の齟齬がある時
- フィードバックや評価面談
- ブレインストーミング
セキュリティとプライバシーのルール
投稿してはいけない情報
以下のような情報は、Slackに投稿しないようにしましょう。
- パスワードやAPIキー
- クレジットカード情報
- 個人のマイナンバーや社会保険番号
- 未公開の機密情報(適切なプライベートチャンネル以外)
プライベートチャンネルの使い方
機密性の高い情報を扱う場合は、プライベートチャンネルを作成します。
プライベートチャンネル作成が必要な場面
- 人事・労務情報
- 公表前のプロジェクト
- M&Aなどの重要案件
- 個人情報を含む議論
データ保持期間の理解
フリープランでは90日間のメッセージしか閲覧できません。
重要な決定事項や長期保存が必要な情報は、別のドキュメントツール(Notion、Google Docsなど)に保存しておきましょう。
ツール連携のルール
承認が必要な連携
新しいアプリやボットを連携する際は、管理者の承認を得るようにしましょう。
セキュリティリスクを避けるためです。特に外部サービスとの連携は慎重に。
おすすめの連携ツール
業務効率化のため、以下のような連携を検討してみてください。
Googleカレンダー
会議のリマインダーやステータス自動更新に便利です。
GitHub / GitLab
プルリクエストやコミット通知を自動で流せます。
Zoom / Google Meet
ワンコマンドでミーティングURLを発行できます。
Trello / Asana
タスク管理ツールと連携して、進捗を共有できます。
運用ルールの浸透と改善
ドキュメント化して常に参照できるように
運用ルールは必ず文書化しましょう。
保存場所の例
- Slackの専用チャンネル(#slack-guide など)
- Notion や Confluence などのドキュメントツール
- 社内イントラネット
新メンバーが入社したら、必ずこのドキュメントを見てもらうようにします。
定期的な見直し
運用ルールは一度作ったら終わりではありません。
四半期に1回程度、以下の点をチェックしましょう。
- 実際に守られているか
- 形骸化しているルールはないか
- 新たな問題が発生していないか
- チームの成長に合わせた更新が必要か
フィードバックを集める
ルールに対するフィードバックを定期的に集めます。
アンケートやレトロスペクティブを通じて、改善点を見つけていきましょう。「このルール、実は使いにくい」という声を拾うことが大切です。
新メンバーへのオンボーディング
新しく入った人には、Slackガイドラインを最初に共有します。
可能であれば、メンターや先輩社員が実際の使い方を見せながら説明するといいでしょう。最初の1週間でSlackの基本を理解してもらうことが目標です。
よくある質問と回答
Q. ルールが多すぎて守れないのでは?
A. 最初は最低限のルールだけにしましょう。
5〜10個程度の基本ルールから始めて、徐々に追加していく方が定着しやすいです。あれもこれもと詰め込むと、逆に使いにくくなってしまいます。
Q. 既存メンバーに新ルールを守ってもらうには?
A. まずは管理職や影響力のある人から実践してもらいましょう。
トップダウンで「守れ」と言うより、良いお手本を見せる方が効果的です。また、定期的にリマインドすることも大切。
Q. ルールを破る人がいたらどうする?
A. 最初から完璧を求めない方がいいでしょう。
気づいた時に優しく指摘したり、定期的にガイドラインを共有したりすることで、自然と浸透していきます。厳しく取り締まるよりも、文化として根付かせることが重要です。
Q. 小規模チームでもルールは必要?
A. 規模が小さくても、基本的なルールはあった方がいいです。
特にチャンネル命名規則やメンションの使い方などは、最初から決めておくと後が楽になります。成長を見越して、早めに整備しておきましょう。
Q. リモートワークとオフィス勤務でルールを変えるべき?
A. 基本は同じでOKですが、リモート勤務者への配慮を追加しましょう。
対面での会話内容をSlackで共有するルールや、タイムゾーンを考慮した通知設定などを明記すると親切です。
まとめ
Slackの運用ルール作りについて、重要なポイントをおさらいしましょう。
ルール作りの基本
- 現状の課題を洗い出す
- 他社事例を参考にする
- 最低限のルールから始める
- 小さく試してフィードバックを集める
- 文書化して常に参照できるようにする
必須のルール項目
- チャンネル命名規則
- メンションの使い分け
- スレッド活用の推奨
- DMは最小限に
- 通知設定の最適化
成功のコツ
- 不要な気遣いをなくす
- 絵文字で柔らかい雰囲気を
- 定期的に見直す
- 新メンバーへの丁寧な説明
- トップがお手本を見せる
Slackは強力なツールですが、ルールなしでは混乱を招きます。でも、ガチガチに縛りすぎても使いにくくなってしまいます。
大切なのは、「必要な情報が、必要な人に、適切なタイミングで届く」環境を作ること。そのための最低限のルールを設定し、チーム文化として根付かせていきましょう。
最初から完璧を目指す必要はありません。小さく始めて、チームの成長とともに改善していけば大丈夫です。この記事を参考に、あなたのチームに合ったSlack運用ルールを作ってみてください。

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