「海外メンバーとのSlackでのやり取りで、いちいち翻訳ツールを開くのが面倒」「リアルタイムで自動翻訳してくれたら便利なのに」そんな悩みはありませんか?
実は、Slack自体には自動翻訳機能は搭載されていません。しかし、サードパーティアプリやツールを使えば、簡単に自動翻訳を実現できます。
この記事では、Slackで自動翻訳を使う5つの方法と、それぞれの特徴、設定手順、おすすめのアプリまで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説していきます。
Slackの自動翻訳の基本知識

まず、現状を理解しましょう。
Slack公式には自動翻訳機能がない
重要な事実:
Slackにはネイティブな自動翻訳機能は搭載されていません。
Slackでできること:
- 表示言語の変更(日本語、英語など)
- メッセージの送受信(どの言語でも可能)
Slackでできないこと:
- メッセージの自動翻訳
- リアルタイム翻訳
- AIによる翻訳(Slack AIにも翻訳機能はない)
自動翻訳を実現する5つの方法
Slackで自動翻訳を使うには、以下の方法があります:
- Slack App Directoryのアプリ(最も簡単)
- ブラウザ拡張機能
- カスタムBot(DeepL API)
- Google Apps Script
- ノーコードツール(Yoomなど)
【方法1】Slack App Directoryのアプリを使う(おすすめ)
最も簡単で、管理も楽な方法です。
主要な翻訳アプリの比較
| アプリ名 | 自動翻訳 | 対応言語 | 料金 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Translate | ○ | 100+ | 無料〜 | 最も人気、多機能 |
| Translate Channels | ○ | 複数 | 有料 | チャンネル全体を多言語化 |
| Language Translation Bot | ○ | 100+ | 無料〜 | 個人別翻訳設定が可能 |
| X-late | ○ | 28+ | 無料〜 | シンプルで使いやすい |
| TellYa | ○ | 日英中心 | 有料 | 日本製、ビジネス向け |
おすすめNo.1:Translate
最も人気のある翻訳アプリです。
主な機能:
- 手動翻訳
/translate [言語コード] [テキスト]でコマンド翻訳- メッセージのショートカットから翻訳
- グローバルショートカット「Translate Text」
- 自動翻訳
- 自分のメッセージのみ自動翻訳
- チャンネル全員のメッセージを自動翻訳
- 翻訳結果の表示形式
- スレッド返信
- メッセージ編集(インライン表示)
- 自分だけに表示
Translateの設定手順
ステップ1:アプリをインストール
- Slack App Directory にアクセス
- 「Translate」を検索
- 「Slackに追加」をクリック
- ワークスペースを選択して許可
ステップ2:チャンネルにアプリを招待
- 翻訳を使いたいチャンネルを開く
- チャンネル詳細を開く
- 「インテグレーション」→「アプリを追加」
- 「Translate」を選択
ステップ3:自動翻訳を設定
自分のメッセージのみ自動翻訳:
- 翻訳したいチャンネルで
@translateとメンション - 「Settings」ボタンをクリック
- 「Translate YOUR messages」を選択
- 翻訳先の言語を選択(例:Japanese)
- 表示形式を選択
- 「Save」をクリック
チャンネル全員のメッセージを自動翻訳:
- チャンネルで
@translateとメンション - 「Settings」ボタンをクリック
- 「Translate ALL messages」を選択
- 翻訳先の言語を選択
- 「Save」をクリック
手動翻訳の使い方
方法1:スラッシュコマンド
/translate ja こんにちは、元気ですか?
結果(自分だけに表示):
Hello, how are you?
方法2:メッセージショートカット
- 翻訳したいメッセージの「…」をクリック
- 「Translate this message」を選択
- 翻訳が自分だけに表示される
方法3:グローバルショートカット
- メッセージ入力欄の「⚡」(稲妻マーク)をクリック
- 「Translate Text」を選択
- テキストを入力して翻訳
- オプションでチャンネルに投稿
料金プラン
無料トライアル:
- 30日間すべての機能が使える
- クレジットカード不要
有料プラン:
- 月額プラン:$10〜/月(ワークスペースあたり)
- 年額プラン:割引あり
【方法2】Translate Channels(チャンネル全体を多言語化)

特徴:
すべてのメッセージが自動的に複数言語で表示される。
仕組み
- チャンネルに対象言語を設定(例:日本語、英語、中国語)
- メンバーが日本語で投稿
- 自動的に英語と中国語の翻訳が追加される
- すべてのメンバーが母国語で読める
設定方法
ステップ1:アプリをインストール
- Slack App Directoryで「Translate Channels」を検索
- インストール
ステップ2:チャンネルを設定
- アプリのホーム画面を開く
- 翻訳するチャンネルを選択
- 対象言語を追加(複数選択可能)
- 保存
メリット・デメリット
メリット:
- ✅ チャンネル全体が多言語対応
- ✅ メンバーは何も設定不要
- ✅ 全員が母国語で読める
デメリット:
- ❌ メッセージが長くなる
- ❌ 有料プラン必須
- ❌ スレッドの見た目が複雑
【方法3】Language Translation Bot (Untangle)
特徴:
個人別に翻訳言語を設定できる。
使い方
ステップ1:インストールと招待
- Slack App Directoryから「Language Translation Bot」をインストール
- チャンネルで
/invite @untangleを実行
ステップ2:初期設定
アプリが自動的にセットアップをガイドします。
ステップ3:個人設定
/untangleと入力- 「Settings」を選択
- 自分の翻訳言語を設定(例:Japanese)
- 保存
ステップ4:認証(推奨)
/untangle notifyと入力- DMで認証リンクが送られる
- 認証すると、翻訳がインライン表示される
特徴
個人別翻訳:
- Aさん:すべて日本語に翻訳
- Bさん:すべて英語に翻訳
- Cさん:すべて中国語に翻訳
同じメッセージでも、メンバーごとに異なる言語で表示されます。
【方法4】ブラウザ拡張機能を使う
Chrome拡張機能でSlackメッセージを翻訳できます。
Automatic Slack Translator
Chrome Web Storeから入手:
「Automatic Slack Translator」を検索してインストール。
特徴:
- 受信メッセージを自動翻訳
- 送信メッセージも翻訳可能
- 100以上の言語に対応
- ブラウザ版Slackでのみ使用可能
メリット:
- ✅ ワークスペース管理者の承認不要
- ✅ 個人で自由に使える
- ✅ 無料または低価格
デメリット:
- ❌ ブラウザ版のみ(デスクトップアプリ不可)
- ❌ 非公式ツール
- ❌ セキュリティリスク
【方法5】カスタムBotを作る(上級者向け)
自分で翻訳Botを作成する方法です。
選択肢A:DeepL API + Slack Bot
必要なもの:
- DeepL API アカウント(有料)
- Slack アプリの作成
- サーバー(HerokuやAWS Lambda)
仕組み:
- メッセージに国旗リアクション(🇯🇵🇺🇸)を付ける
- Botがリアクションを検知
- DeepL APIで翻訳
- スレッドに翻訳結果を投稿
メリット:
- 高品質な翻訳(DeepL)
- カスタマイズ自由
- 社内データが外部に出ない(プライバシー)
デメリット:
- 技術知識が必要
- サーバー管理が必要
- コストがかかる
選択肢B:Google Apps Script (GAS)
必要なもの:
- Googleアカウント
- Slack アプリの作成
仕組み:
- GASでスクリプトを作成
- Slackのリアクションイベントを受信
- Google TranslateのLanguageAppで翻訳
- Slackに結果を投稿
メリット:
- 無料(Google Translate API)
- サーバー不要
- 比較的簡単
デメリット:
- 翻訳品質がDeepLより劣る
- GASの知識が必要
選択肢C:AWS Amazon Translate
必要なもの:
- AWSアカウント
- Lambda関数
- API Gateway
仕組み:
- Slackのスラッシュコマンド(
/ja_to_en) - API Gateway経由でLambdaを起動
- Amazon Translateで翻訳
- Incoming Webhooksで結果を投稿
メリット:
- AWSのスケーラビリティ
- 従量課金
デメリット:
- AWS の知識が必要
- 設定が複雑
【方法6】ノーコードツール(Yoom、Zapier)
プログラミング不要で自動翻訳を実現できます。
Yoomを使った自動翻訳
仕組み:
- Slackの特定チャンネルにメッセージ投稿
- Yoomが自動的に検知
- AIで翻訳
- Slackのスレッドに返信
- Googleスプレッドシートに記録(オプション)
設定手順:
ステップ1:Yoomアカウント作成
https://lp.yoom.fun/ でアカウント作成
ステップ2:テンプレートを使用
「Slack翻訳」テンプレートをマイプロジェクトにコピー
ステップ3:アプリ連携
- Slackを連携
- Googleスプレッドシートを連携(オプション)
ステップ4:トリガー設定
- 監視するチャンネルを選択
- 翻訳先言語を設定
- 起動間隔を設定(5分、10分など)
ステップ5:テスト
チャンネルにメッセージを投稿して動作確認
Zapierを使った自動翻訳
同様に、Zapierでも翻訳ワークフローを作成できます。
各方法の比較と選び方
機能比較表
| 方法 | 難易度 | コスト | 翻訳品質 | リアルタイム性 | カスタマイズ |
|---|---|---|---|---|---|
| Slack App(Translate) | ★☆☆☆☆ | 低 | 高 | ○ | △ |
| Translate Channels | ★☆☆☆☆ | 中 | 高 | ○ | △ |
| Language Translation Bot | ★☆☆☆☆ | 低 | 高 | ○ | ○ |
| ブラウザ拡張 | ★☆☆☆☆ | 無料 | 中 | ○ | × |
| DeepL Bot | ★★★★☆ | 中〜高 | 最高 | ○ | ◎ |
| GAS Bot | ★★★☆☆ | 無料 | 中 | ○ | ○ |
| AWS Translate | ★★★★☆ | 低〜中 | 高 | ○ | ◎ |
| Yoom/Zapier | ★★☆☆☆ | 中 | 高 | △ | ○ |
状況別のおすすめ
少人数のチーム(〜20人):
→ Translate または Language Translation Bot
大規模なグローバルチーム(50人以上):
→ Translate Channels
個人で気軽に使いたい:
→ ブラウザ拡張機能
最高品質の翻訳が必要:
→ DeepL APIのカスタムBot
コストを抑えたい:
→ GAS Bot または 無料プランのSlackアプリ
プログラミングできない:
→ Slack App または Yoom
社内データを外部に出したくない:
→ カスタムBot(社内サーバー)
自動翻訳の活用シーン
実際の使用例を見ていきましょう。
シーン1:グローバルプロジェクトチーム
状況:
- 日本チーム、米国チーム、中国チームが協働
- #project-alpha チャンネルで進捗共有
解決策:
Translate Channels を導入
- 日本語、英語、中国語を設定
- 各メンバーが母国語で投稿
- 自動的に3言語で表示
メリット:
- 言語の壁がなくなる
- 翻訳の手間が不要
- コミュニケーション速度が上がる
シーン2:カスタマーサポート
状況:
- 海外顧客からの問い合わせ
- #support チャンネルに英語で通知
解決策:
Translate の自動翻訳
- 英語メッセージが日本語に自動翻訳
- サポート担当が日本語で理解
- 返信も日本語で書いて自動翻訳
メリット:
- 英語が苦手でも対応可能
- 対応スピードが向上
- 顧客満足度アップ
シーン3:社内アナウンス
状況:
- #general チャンネルで全社通知
- 日本人と外国人メンバーが混在
解決策:
TellYa で本人の発言を編集
- 日本語で投稿
- 自動的に英語翻訳が追加される
- 一つのメッセージに両言語が表示
メリット:
- メッセージが散らからない
- 全員が理解できる
- 視認性が高い
シーン4:日常的な雑談
状況:
- #random チャンネルで雑談
- たまに外国語のメッセージ
解決策:
ブラウザ拡張機能
- 個人で自由に翻訳
- チャンネルが荒れない
- 読みたいときだけ翻訳
よくある質問(FAQ)

Q1. Slack公式の翻訳機能はいつ実装されますか?
A. 現時点で公式発表はありません。
2025年12月時点で、Slackは自動翻訳機能を公式には提供していません。
理由:
- 翻訳エンジンの選定が難しい
- プライバシーの問題
- コストの問題
代替案:
サードパーティアプリを使用することで、同等以上の機能が実現できます。
Q2. 無料で使える翻訳アプリはありますか?
A. はい、いくつかあります。
無料で使えるオプション:
- Translate
- 30日間の無料トライアル
- その後は有料
- Language Translation Bot
- 基本機能は無料
- 高度な機能は有料
- ブラウザ拡張機能
- 完全無料のものもある
- GAS Bot(自作)
- Google Translate APIは無料
Q3. 翻訳の精度はどのくらいですか?
A. 使用する翻訳エンジンによります。
翻訳エンジン別の精度:
DeepL:
- 最も高精度
- 自然な翻訳
- ビジネス文書に最適
Google Translate:
- 高精度
- 多言語対応
- 一般的な用途に十分
Microsoft Translator、Amazon Translate:
- 高精度
- ビジネス向け
注意:
- 専門用語は誤訳の可能性
- 文脈依存の表現は難しい
- 最終確認は人間が行うべき
Q4. プライバシーは大丈夫ですか?
A. アプリによります。
確認すべきポイント:
- データの保存期間
- 一時的なキャッシュのみ?
- 永続的に保存される?
- データの利用目的
- 翻訳のみ?
- AI学習に使用される?
- データの共有
- 第三者に提供される?
- コンプライアンス
- GDPR準拠?
- SOC 2認証?
おすすめの対策:
- 公式Slack Appを使う
- プライバシーポリシーを確認
- 社内データはカスタムBotで
Q5. 複数の言語を同時に翻訳できますか?
A. はい、可能です。
対応しているアプリ:
Translate Channels:
- 1つのメッセージを複数言語に同時翻訳
- 例:日本語 → 英語 + 中国語 + スペイン語
Translate:
- チャンネルごとに1言語を設定
- 複数チャンネルで異なる言語
Language Translation Bot:
- メンバーごとに異なる翻訳言語
Q6. スレッドの翻訳はできますか?
A. はい、ほとんどのアプリで可能です。
動作:
- スレッド内のメッセージも自動翻訳
- 翻訳結果もスレッド内に表示
- 元のスレッド構造を維持
Q7. 絵文字やリアクションは翻訳されますか?
A. いいえ、テキストのみです。
翻訳される:
- テキストメッセージ
- リンクのタイトル(アプリによる)
翻訳されない:
- 絵文字
- リアクション
- ファイル名
- 画像内のテキスト
Q8. 翻訳コストはどのくらいかかりますか?
A. アプリやプランによります。
参考価格:
Slack App(Translate):
- 月額 $10〜/ワークスペース
Translate Channels:
- 要問い合わせ
DeepL API:
- 月額 €5.49〜(50万文字まで)
- 追加 €25/100万文字
Google Translate API:
- 無料枠あり
- $20/100万文字
AWS Amazon Translate:
- $15/100万文字
Q9. モバイルアプリでも使えますか?
A. Slack Appは使えます。ブラウザ拡張は不可。
モバイルで使える:
- ✅ Translate
- ✅ Translate Channels
- ✅ Language Translation Bot
- ✅ カスタムBot
モバイルで使えない:
- ❌ ブラウザ拡張機能
Q10. 翻訳エンジンは選べますか?
A. アプリによります。
翻訳エンジンを選べるアプリ:
- カスタムBot(自作の場合)
固定のアプリ:
- ほとんどのSlack Appは翻訳エンジン固定
- 公開されていないことも多い
おすすめ:
複数のアプリを試して、翻訳品質を比較しましょう。
まとめ:最適な翻訳方法を選んで、グローバルチームのコミュニケーションを加速
Slackの自動翻訳について詳しく解説してきました。
この記事の重要ポイント:
Slackには公式翻訳機能がない
- Slack自体には自動翻訳機能は搭載されていない
- サードパーティアプリが必要
- Slack AIにも翻訳機能はない
5つの実現方法
- Slack App Directory(最も簡単)
- ブラウザ拡張機能(個人利用)
- カスタムBot(高品質・カスタマイズ)
- Google Apps Script(無料)
- ノーコードツール(プログラミング不要)
おすすめアプリ
総合的なおすすめ:
→ Translate(translate.technology)
理由:
- 多機能
- 手動・自動の両対応
- 30日間無料トライアル
- 最も人気がある
チャンネル全体を多言語化:
→ Translate Channels
個人別翻訳設定:
→ Language Translation Bot (Untangle)
選び方のポイント
チームの規模:
- 小規模:Translate
- 大規模:Translate Channels
予算:
- 無料:ブラウザ拡張、GAS Bot
- 有料OK:Translate、DeepL Bot
翻訳品質:
- 最高品質:DeepL APIのカスタムBot
- 十分な品質:Slack App
技術力:
- 技術者がいる:カスタムBot
- 非エンジニア:Slack App、Yoom
導入のステップ
1. ニーズを明確にする
↓
2. 予算を決める
↓
3. アプリを選ぶ
↓
4. 無料トライアルで試す
↓
5. チームにフィードバックを求める
↓
6. 本格導入
成功のポイント
1. 段階的に導入
- まず1つのチャンネルで試す
- 効果を確認
- 全社展開
2. メンバーに説明
- 使い方をガイド
- メリットを共有
- サポート体制を整える
3. 定期的に見直し
- 翻訳品質をチェック
- コストパフォーマンスを評価
- 必要に応じて変更
最後に:
自動翻訳は、グローバルチームのコミュニケーションを劇的に改善します。
言語の壁がなくなることで:
- プロジェクトの進行が速くなる
- ミスコミュニケーションが減る
- チームの一体感が生まれる
- 多様性が強みになる
あなたのチームに最適な翻訳ソリューションを見つけて、グローバルなコラボレーションを加速させましょう!


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