「企業アカウントのツイートをチーム全体で確認したい」
「特定のハッシュタグを追跡して、競合情報を収集したい」
「自社へのメンションを見逃したくない」
SNSマーケティングや広報業務をしていると、こんなニーズがあるのではないでしょうか。
実は、SlackとX(旧Twitter)を連携することで、重要な情報をSlackのチャンネルに自動で流すことができます。
ただし、2023年以降、Slack公式のTwitter統合機能は使えなくなりました。現在は、IFTTTやZapierなどのサードパーティツールを使う必要があります。
この記事では、SlackとXを連携する最新の方法から、おすすめツールの使い方、実践的な活用事例まで、分かりやすく解説していきます。
SlackとX連携の現状

公式連携が使えなくなった理由
以前は、Slackの公式Twitter統合機能を使えば、簡単に連携できました。
しかし、2023年にXのAPI仕様が大幅に変更されたため、Slack公式のTwitterアプリは機能しなくなりました。
Slack公式も以下のように発表しています:
「Twitter統合がチャンネルにツイートを公開できなくなりました。Twitterチームから機能復旧についての情報を得られていません」
現在の連携方法
現在、SlackとXを連携するには、サードパーティの自動化ツールを使う必要があります。
主なツール:
- IFTTT(イフト)
- Zapier(ザピアー)
- Make.com(旧Integromat)
- Yoom(日本製ツール)
- Relay.app
これらのツールは「橋渡し役」として、XからSlackへ情報を自動転送してくれます。
SlackとX連携でできること
できること一覧
情報収集(X→Slack):
- 特定アカウントのツイートを自動通知
- キーワード検索でツイートを収集(エゴサーチ)
- ハッシュタグの追跡
- 自社アカウントへのメンション監視
- 特定の場所からのツイート収集
- 新規フォロワー通知
情報発信(Slack→X):
- Slackのメッセージを自動でツイート
- 特定チャンネルの投稿をXに連携
- 定期投稿の自動化
双方向連携:
- Xの反応をSlackで確認
- Slackから返信を送信
- エンゲージメント分析
メリット
1. 情報共有が速くなる
Xの重要な情報をチーム全体で即座に共有できます。
2. 見逃しを防げる
タイムラインに埋もれやすい情報も確実にキャッチできます。
3. 作業効率が上がる
わざわざXを開いて確認する手間が省けます。
4. チーム全体で対応できる
顧客からのメンションや質問に、チームで迅速に対応できます。
5. 記録として残せる
Slackに流すことで、検索可能なアーカイブになります。
おすすめ連携ツール比較
IFTTT【無料で始めやすい】
特徴:
- 無料版あり(月3個まで自動化)
- シンプルで使いやすい
- 日本語対応
料金:
- Free:月3個まで無料
- Pro:月500円程度(無制限)
- Pro+:月1,000円程度(マルチステップ可能)
更新頻度:
- 無料版:1時間ごと
- 有料版:5分ごと
おすすめ用途:
- 個人利用
- シンプルな連携
- コストを抑えたい場合
Zapier【高機能】
特徴:
- 5,000以上のアプリと連携可能
- 複雑な自動化に対応
- 英語が中心
料金:
- Free:月5個まで無料(15分ごとの更新)
- Starter:月2,000円程度
- Professional:月6,000円程度
更新頻度:
- 無料版:15分ごと
- 有料版:1〜15分ごと
おすすめ用途:
- ビジネス利用
- 複数ツールを組み合わせた高度な自動化
- 予算に余裕がある場合
Make.com(旧Integromat)【柔軟性が高い】
特徴:
- ビジュアルエディタで直感的
- 細かい条件設定が可能
- コスパが良い
料金:
- Free:月1,000オペレーションまで無料
- Core:月900円程度
- Pro:月1,600円程度
更新頻度:
- 無料版:15分ごと
- 有料版:1分〜15分ごと
おすすめ用途:
- 複雑なワークフロー
- 大量のデータ処理
- カスタマイズ重視
Yoom【日本製で分かりやすい】
特徴:
- 日本語で完全対応
- ノーコードで簡単
- サポートが手厚い
料金:
- 要問い合わせ(無料プランあり)
おすすめ用途:
- 日本語サポートが必要
- ITに詳しくない
- 国産ツール重視
IFTTTでSlackとXを連携する方法
最も手軽に始められるIFTTTを使った連携方法を解説します。
準備するもの
- IFTTTアカウント
- Slackアカウント(管理者権限推奨)
- Xアカウント
連携手順
手順1:IFTTTにアクセス
IFTTTの公式サイト(ifttt.com)にアクセスし、アカウントを作成またはログインします。
手順2:新しいAppletを作成
「Create」ボタンをクリックして、新規Appletの作成を始めます。
手順3:トリガーを設定(X側)
「If This」をクリックし、「X (Twitter)」を検索して選択します。
トリガーの種類:
- New tweet by a specific user:特定ユーザーのツイート
- New tweet from search:キーワード検索
- New mention of you:自分へのメンション
- New follower:新規フォロワー
- New tweet by you:自分のツイート
例えば、「New tweet by a specific user」を選択します。
手順4:Xアカウントを認証
IFTTTがXにアクセスできるよう、アカウントを認証します。
手順5:監視するアカウントを指定
「Username」欄に、監視したいXアカウント名(@なし)を入力します。
例:japan_official
手順6:アクションを設定(Slack側)
「Then That」をクリックし、「Slack」を検索して選択します。
手順7:Slackアカウントを認証
IFTTTがSlackにアクセスできるよう、ワークスペースを選択して認証します。
手順8:投稿先を設定
- Which channel?:投稿先のチャンネルを選択
- Message:投稿するメッセージの形式を設定
メッセージ例:
新しいツイート:{{Text}}
URL:{{LinkToTweet}}
投稿日時:{{CreatedAt}}
手順9:保存して完了
「Create action」→「Continue」→「Finish」をクリックして保存します。
これで、指定したアカウントが新しいツイートをすると、Slackに自動で通知されます!
キーワード検索で連携する方法(エゴサーチ)
特定のキーワードを含むツイートをSlackに流す方法です。
手順3’:トリガーを「New tweet from search」に設定
「X (Twitter)」のトリガーで「New tweet from search」を選択します。
手順5’:検索条件を入力
「Search for」欄に検索キーワードを入力します。
検索の例:
会社名:会社名を含むツイート商品名 OR サービス名:いずれかを含むツイートブランド名 -広告:広告を除外
注意点:
- ハッシュタグは「#」を付けて入力
- 複数キーワードはスペースで区切る
- マイナス記号(-)で除外可能
Zapierで高度な連携をする方法
より高度な機能が必要な場合は、Zapierがおすすめです。
基本的な連携手順
手順1:Zapを作成
Zapierにログインし、「Create Zap」をクリックします。
手順2:トリガーアプリを設定
「Choose App & Event」で「X (Twitter)」を検索し、イベントを選択します。
イベント例:
- New Mention:メンション監視
- Search Mention:検索条件でメンション
- New Tweet by User:特定ユーザーのツイート
手順3:Xアカウントを接続
「Choose Account」でXアカウントを認証します。
手順4:トリガーの詳細設定
ユーザー名や検索条件を入力し、「Test trigger」でテストします。
手順5:アクションアプリを設定
「Choose App & Event」で「Slack」を検索し、「Send Channel Message」を選択します。
手順6:Slackアカウントを接続
ワークスペースを選択して認証します。
手順7:メッセージの設定
- Channel:投稿先チャンネル
- Message Text:メッセージ内容
- Bot Name:ボットの名前(オプション)
- Bot Icon:アイコン(オプション)
手順8:フィルター設定(オプション)
「+」ボタンでフィルターを追加し、条件を絞り込めます。
フィルター例:
- リツイート数が100以上
- 認証済みアカウントのみ
- 特定の単語を含まない
手順9:テストして公開
「Test & Review」でテストし、問題なければ「Publish」で公開します。
Make.comでビジュアルに連携する方法

Make.comは、ビジュアルエディタで直感的に設定できます。
シナリオ作成手順
手順1:新しいシナリオを作成
Make.comにログインし、「Create a new scenario」をクリックします。
手順2:Xモジュールを追加
「+」ボタンをクリックし、「X (Twitter)」を検索して選択します。
手順3:トリガーを設定
- Watch Tweets:リアルタイム監視
- Search Tweets:検索ベース
「Watch Tweets」を選択します。
手順4:Xアカウントを接続
「Add」をクリックしてXアカウントを認証します。
手順5:検索条件を設定
- Search query:検索キーワード
- Max results:取得する最大件数
手順6:Slackモジュールを追加
再び「+」ボタンをクリックし、「Slack」→「Create a Message」を選択します。
手順7:Slackアカウントを接続
ワークスペースを選択して認証します。
手順8:メッセージを設定
- Channel ID:チャンネルを選択
- Text:メッセージ内容(Xのデータを挿入可能)
メッセージ例:
【新着ツイート】
{{1.text}}
投稿者:{{1.user.screen_name}}
URL:{{1.permalink}}
手順9:スケジュールを設定
時計アイコンをクリックし、実行頻度を設定します(1分〜60分ごと)。
手順10:保存して実行
「Save」で保存し、「Run once」でテスト実行します。
問題なければ、スケジュールが自動で動き出します。
実践的な活用事例
事例1:企業公式アカウントの監視
課題:
企業の公式Xアカウントをチーム全体で確認したいが、全員がXを見る習慣がない。
解決方法:
IFTTTで公式アカウントのツイートを専用Slackチャンネルに自動投稿。
設定:
- トリガー:New tweet by specific user(@company_official)
- アクション:Slackの#sns-updateチャンネルに投稿
結果:
全社員が公式発表をリアルタイムで確認でき、情報共有が円滑に。
事例2:エゴサーチで評判監視
課題:
自社製品について、Xでどんな評判が立っているか把握したい。
解決方法:
IFTTTで製品名を検索し、メンションを全て収集。
設定:
- トリガー:New tweet from search(「製品名 OR サービス名」)
- アクション:Slackの#egosearch チャンネルに投稿
結果:
顧客の生の声を素早くキャッチし、カスタマーサポートが迅速に対応できるように。
事例3:競合情報の収集
課題:
競合企業の動向を常にチェックしたい。
解決方法:
Zapierで複数の競合アカウントを監視し、フィルターで重要な情報のみ抽出。
設定:
- トリガー:競合A、B、Cのツイート
- フィルター:リツイート数50以上 OR 特定キーワード含む
- アクション:Slackの#competitor-watchチャンネルに投稿
結果:
市場動向を見逃さず、戦略立案に活用。
事例4:カスタマーサポート対応
課題:
自社アカウントへのメンションに迅速に対応したい。
解決方法:
Zapierでメンションを検知し、優先度別にチャンネルを振り分け。
設定:
- トリガー:自社アカウントへのメンション
- フィルター1:「クレーム」「困った」→ #urgent チャンネル
- フィルター2:「ありがとう」「良い」→ #positive チャンネル
- その他:#general チャンネル
結果:
緊急対応が必要な投稿を優先的に処理できるように。
事例5:業界ニュースの収集
課題:
業界の最新情報を効率的に収集したい。
解決方法:
Make.comで業界特化のハッシュタグを追跡。
設定:
- トリガー:#業界名、#技術名などのハッシュタグ
- フィルター:認証済みアカウント OR フォロワー1,000人以上
- アクション:Slackの#industry-newsチャンネルに投稿
結果:
信頼性の高い情報だけを自動収集し、業務に活用。
事例6:SlackからXへの自動投稿
課題:
チームで作成したコンテンツを、承認後にXに投稿したい。
解決方法:
Zapierで専用チャンネルの投稿をXに自動連携。
設定:
- トリガー:Slackの#ready-to-tweetチャンネルへの投稿
- アクション:Xにツイートを投稿
運用:
- チームがSlackの専用チャンネルに下書きを投稿
- マネージャーが確認して承認
- 承認後、自動的にXにツイート
結果:
投稿作業が効率化され、ミスも削減。
連携時の注意点とトラブルシューティング
API制限について
XのAPI制限:
Xの無料APIには厳しい制限があり、大量のデータ取得は難しくなっています。
対策:
- 必要最小限の監視に絞る
- 更新頻度を調整する(15分〜1時間ごと)
- 有料プランの検討
認証エラーが出る
原因:
アカウント連携の期限切れや、アプリの権限不足。
解決方法:
- IFTTTやZapierで再度アカウントを認証
- Xの設定から連携アプリの権限を確認
- Slackのワークスペース管理者に権限を確認
ツイートが流れてこない
原因1:検索条件が厳しすぎる
該当するツイートがないか、非常に少ない可能性があります。
解決方法:
検索条件を緩めたり、別のキーワードを試したりします。
原因2:更新頻度の問題
無料プランでは更新が1時間ごとなど、遅い場合があります。
解決方法:
有料プランへのアップグレードを検討します。
原因3:アプレット/Zapが停止している
エラーで自動的に停止している可能性があります。
解決方法:
ダッシュボードで状態を確認し、必要に応じて再起動します。
重複した投稿が来る
原因:
複数の自動化が同じ内容を拾っている可能性があります。
解決方法:
- アプレット/Zapの設定を確認
- 重複するものを削除または統合
- フィルター条件を見直す
プライベートチャンネルに投稿できない
原因:
ボットがチャンネルに招待されていません。
解決方法:
チャンネルで「/invite @アプリ名」と入力してボットを招待します。
まとめ:目的に応じたツールを選ぼう
SlackとXの連携は、Slack公式統合が使えなくなった今、サードパーティツールが必須です。
ツール選びのポイント:
| ツール | 料金 | 難易度 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|
| IFTTT | 無料〜 | ★☆☆ | 個人利用、シンプルな連携 |
| Zapier | 有料中心 | ★★☆ | ビジネス利用、高度な自動化 |
| Make.com | 無料〜 | ★★★ | 複雑なワークフロー |
| Yoom | 要問い合わせ | ★☆☆ | 日本語サポート重視 |
連携で実現できること:
- 特定アカウントの監視
- キーワード検索(エゴサーチ)
- メンション通知
- ハッシュタグ追跡
- SlackからXへの投稿
活用のコツ:
- 目的を明確にする(情報収集 or 発信)
- 必要最小限の監視に絞る(API制限対策)
- チャンネルを用途別に分ける
- フィルター機能で情報を精査
- 定期的に設定を見直す
SlackとXを連携することで、SNS情報の共有が劇的に効率化されます。
マーケティング担当者、広報担当者、カスタマーサポートチームなど、SNS情報をチームで活用したいすべての方におすすめです。
ぜひこの記事を参考に、あなたのチームに最適な連携方法を見つけてください!
よくある質問(FAQ)
Q1. Slack公式のTwitterアプリは使えないのですか?
残念ながら、2023年以降、Slack公式のTwitter統合機能は使えなくなりました。XのAPI変更により、Slackチャンネルへのツイート自動投稿機能が停止しています。現在は、IFTTT、Zapier、Make.comなどのサードパーティツールを使う必要があります。
Q2. 無料でSlackとXを連携できますか?
はい、可能です。IFTTTは無料プランで月3個まで自動化(Applet)を作成でき、1時間ごとに更新されます。Make.comも月1,000オペレーションまで無料です。ただし、リアルタイム性や高度な機能が必要な場合は、有料プランの検討をおすすめします。
Q3. どのツールが一番おすすめですか?
用途によって異なります。シンプルな連携で無料から始めたいならIFTTT、ビジネスで高度な自動化が必要ならZapier、複雑なワークフローを構築したいならMake.com、日本語サポートが必要ならYoomがおすすめです。まずは無料プランで試してみて、自分に合ったツールを選びましょう。
Q4. リアルタイムで通知を受け取れますか?
無料プランでは難しいです。IFTTTの無料版は1時間ごと、Zapierの無料版は15分ごとの更新です。リアルタイムに近い通知が必要な場合は、有料プランにアップグレードすると、1〜5分ごとの更新が可能になります。
Q5. SlackからXへの投稿も自動化できますか?
はい、できます。Zapierやmake.comを使えば、Slackの特定チャンネルに投稿したメッセージを自動的にXにツイートすることが可能です。ただし、画像の自動アップロードには制限がある場合があるので、テキストのみの投稿が確実です。

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