「ネイティブモード?IEモード?何それ?」
Microsoft Edgeを使っていると、たまに「ネイティブモード」や「IEモード」という言葉を目にすることがあります。特に会社のパソコンを使っている方や、古いWebサイトにアクセスする必要がある方は、この言葉に遭遇したことがあるかもしれません。
実は、Microsoft Edgeには2つの動作モードがあるんです。それが「ネイティブモード」と「IEモード」。簡単に言うと、ネイティブモードは現代的で高速なモード、IEモードは古いWebサイトに対応するための互換モードです。
この記事では、この2つのモードの違いを分かりやすく解説します。「どっちを使えばいいの?」「どうやって切り替えるの?」といった疑問にも、丁寧にお答えしますよ。
難しそうに見えるかもしれませんが、実はとてもシンプルな仕組みです。この知識を持っておけば、Edgeをもっと便利に使いこなせるようになります。
ネイティブモードとは何か

通常のEdgeの表示モード
ネイティブモードとは、Microsoft Edgeが標準で使っている通常の表示モードのことです。
「ネイティブ(native)」は英語で「本来の」「生まれつきの」という意味。つまり、Edge本来の姿、普通の状態で動いているモードということですね。
特別な設定をしていなければ、あなたが今使っているEdgeは「ネイティブモード」で動いています。これがEdgeの基本的な動作モードなんです。
Chromiumエンジンを採用
ネイティブモードでは、Chromium(クロミウム)という最新のブラウザエンジンを使っています。
Chromiumは、Google ChromeやMicrosoft Edgeなど、多くの現代的なブラウザが採用している高性能なエンジンです。このエンジンのおかげで、Edgeは高速で、最新のWeb技術に対応できるんです。
表示が速い、セキュリティが強い、最新のWebサイトがきちんと表示される、といったメリットはすべて、このChromiumエンジンのおかげと言えます。
現代のWebに最適化
ネイティブモードは、2020年代の現代的なWebサイトに最適化されています。
YouTubeやTwitter(X)、Instagramなどの現代的なWebサービスは、すべてネイティブモードで快適に使えます。動画配信、オンライン会議、クラウドストレージなど、最新のWeb技術を使ったサービスも問題なく動作します。
セキュリティ面でも優れていて、定期的にアップデートが提供されるため、常に最新の保護機能を利用できます。
IEモードとは何か
古いWebサイト向けの互換モード
一方、IEモードは、古いWebサイトを表示するための特別なモードです。
正式には「Internet Explorerモード」と呼ばれます。2022年6月にサポートが終了したInternet Explorer 11(IE11)の機能を、Edge内で使えるようにしたものなんです。
なぜこんなモードが必要かというと、古い企業のWebシステムや、官公庁のWebサイトなど、昔のInternet Explorerでしか正しく動かないサイトがまだ存在しているからです。
Tridentエンジンを使用
IEモードでは、Internet Explorerで使われていたTrident(トライデント)MSHTMLという古いエンジンを使います。
このエンジンは20年以上前の技術に基づいているため、現代の基準から見ると遅くて、セキュリティも弱いです。でも、古いWebサイトを正しく表示するためには、この古いエンジンが必要なんです。
IEモードで表示されているときは、アドレスバーの左側にIEのロゴマークが表示されるので、すぐに分かります。
企業向けの一時的な対応策
IEモードは、基本的に企業や組織向けの機能です。
「古いシステムを今すぐには更新できないけど、でもInternet Explorerのサポートは終わってしまった…」という企業のための、一時的な救済措置として提供されています。
個人でWebブラウジングをするだけなら、IEモードを使う必要はほとんどありません。
ネイティブモードとIEモードの主な違い
表示エンジンの違い
最も大きな違いは、使用している表示エンジンです。
ネイティブモード:
- Chromiumエンジン(最新)
- 2020年代の技術
- 高速で効率的
IEモード:
- Trident MSHTMLエンジン(古い)
- 2000年代の技術
- 動作が遅い
この違いは、車に例えると分かりやすいかもしれません。ネイティブモードは最新のハイブリッドカー、IEモードは20年前のガソリン車という感じです。
対応Webサイトの違い
それぞれのモードが得意とするWebサイトも異なります。
ネイティブモードが得意:
- 現代的なWebサイト全般
- SNS(YouTube、Instagram、Xなど)
- クラウドサービス(Google Drive、Dropboxなど)
- オンライン会議ツール(Zoom、Teamsなど)
- ネットショッピングサイト
- 最新のWeb技術を使ったサイト
IEモードが必要:
- 2010年以前に作られた古い企業システム
- Internet Explorer専用の社内イントラネット
- ActiveXコントロールを使うサイト
- 一部の古い官公庁のWebサイト
- レガシーな業務システム
普段使うほとんどのWebサイトは、ネイティブモードで問題ありません。
セキュリティと安全性の違い
セキュリティ面でも、両者には大きな差があります。
ネイティブモードのセキュリティ:
- 定期的な自動アップデート
- 最新のセキュリティ対策
- Microsoft Defender SmartScreen搭載
- サンドボックス機能による保護
- フィッシング詐欺対策
IEモードのセキュリティ:
- 古い技術ベース
- 新しい脅威への対応が限定的
- セキュリティリスクが高い
- 信頼できるサイトのみでの使用推奨
だからこそ、IEモードは絶対に必要な場合のみ使うべきなんです。
パフォーマンスの違い
動作速度にも明確な差があります。
ネイティブモード:
- ページの読み込みが高速
- 複数タブを開いても軽快
- メモリ効率が良い
- スムーズなスクロール
IEモード:
- ページの読み込みが遅い
- 動作がもっさりする
- メモリを多く消費
- 応答性が低い
実際に使ってみると、その違いは誰でも実感できるレベルです。
どちらのモードを使うべきか
基本はネイティブモード
ほとんどの場面では、ネイティブモードを使うべきです。
特に、以下のような場合はネイティブモードが最適です。
- 普段のインターネット閲覧
- SNSの利用
- 動画視聴
- オンラインショッピング
- 調べ物
- 個人的なWeb利用全般
現代のWebサイトはすべて、ネイティブモードでの表示を前提に作られています。わざわざIEモードにする理由はありません。
IEモードが必要なケース
IEモードを使うべきなのは、古いシステムが正常に動作しない場合のみです。
具体的には、こんな状況です。
- 会社の古い業務システムにアクセスする必要がある
- Internet Explorer専用と明記されたWebサイトを使う
- 「このサイトはInternet Explorerでご覧ください」と表示される
- ネイティブモードで表示が崩れたり、機能が動かない
特に企業の経理システム、勤怠管理システム、電子証明書の発行サイトなどで、IEモードが必要になることが多いです。
迷ったらネイティブモード
どちらを使うか迷ったら、まずはネイティブモードで試してみましょう。
ほとんどの場合、ネイティブモードで問題なく表示されます。もし表示が崩れたり、エラーが出たりした場合にのみ、IEモードを試してみればOKです。
安全性、速度、快適さ、すべての面でネイティブモードの方が優れています。
ネイティブモードとIEモードの切り替え方法

IEモードを有効にする設定
通常、IEモードの機能は無効になっています。使いたい場合は、まず有効にする必要があります。
設定手順:
- アドレスバーに edge://settings/defaultbrowser と入力してEnter
- 「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可」を探す
- ドロップダウンメニューから「許可」を選択
- 「再起動」ボタンをクリック
これで、IEモードを使う準備が整いました。
企業などで管理されているパソコンの場合、この設定がグレーアウトして変更できないことがあります。その場合は、IT部門に問い合わせてください。
個別のサイトをIEモードで表示する
IEモードを有効にしたら、特定のサイトをIEモードで表示できるようになります。
表示手順:
- IEモードで表示したいWebサイトを開く
- 右上の「…」(3つの点)をクリック
- 「その他のツール」を選択(バージョンによっては直接表示される場合も)
- 「Internet Explorerモードで再読み込みする」をクリック
ページが再読み込みされて、IEモードで表示されます。アドレスバーの左側にIEのロゴマークが表示されるので確認してください。
ネイティブモードに戻る方法
IEモードから通常のネイティブモードに戻るのは簡単です。
方法1:
ページ上部に表示される情報バーの「終了」ボタンをクリック
方法2:
タブを閉じて、新しいタブを開く
方法3:
別のWebサイトに移動する(IEモードに設定されていないサイトなら自動的にネイティブモードに戻る)
基本的に、IEモードは一時的なものです。設定を解除しなくても、次回Edgeを開けばネイティブモードに戻っています。
特定のサイトを常にIEモードで開く
毎回同じサイトをIEモードで開くのが面倒な場合は、自動設定もできます。
IEモードで表示した際に、「次回、このページをInternet Explorerモードで開く」というチェックボックスが表示されたら、これをオンにします。
すると、そのサイトは次回から自動的にIEモードで開くようになります。
設定を解除したい場合は、edge://settings/defaultbrowser にアクセスして、「Internet Explorerモードページ」のリストから該当サイトを削除してください。
よくある質問と回答
ネイティブモードとIEモードを同時に使える?
はい、同時に使えます。
Microsoft Edgeの優れた点は、一つのブラウザ内で両方のモードを使い分けられることです。タブAではネイティブモードでYouTubeを見て、タブBではIEモードで会社の業務システムにアクセスする、といったことが可能です。
ユーザーから見ると、どちらも同じEdgeのタブとして表示されるので、操作は簡単です。
IEモードを使うとパソコンが遅くなる?
IEモードを有効にしただけでは、パソコン全体が遅くなることはありません。
ただし、実際にIEモードでサイトを表示している間は、そのタブは遅く動作します。これはIEモードの仕組み上、避けられない問題です。
他のネイティブモードで開いているタブには影響しないので、使い分ければ大丈夫です。
企業で管理されているパソコンの場合は?
企業や組織で管理されているパソコンの場合、IT部門がIEモードの設定を一括管理していることがあります。
その場合、個人で設定を変更できないことがあります。また、特定のサイトが自動的にIEモードで開くよう、あらかじめ設定されている場合もあります。
設定を変更したい場合や、追加のサイトをIEモードで開きたい場合は、IT部門に相談してください。
Internet ExplorerがなくてもIEモードは使える?
はい、使えます。
IEモードは、Internet Explorerアプリ本体がなくても動作するように設計されています。ただし、IE11のエンジン部分(システムファイル)はWindowsに残っているため、それを利用する形です。
Windows 11など新しいOSでは、IE本体はアンインストールされていますが、IEモードは問題なく使えます。
今後もIEモードは使い続けられる?
Microsoftは、2029年まではIEモードをサポートすると発表しています。
ただし、これはあくまで一時的な措置です。企業には、この期間中に古いシステムを最新のWeb技術に対応させるよう求められています。
個人ユーザーの場合、IEモードに依存せず、できるだけネイティブモードで使えるWebサイトやサービスを選ぶのがおすすめです。
まとめ
Microsoft Edgeには、ネイティブモードとIEモードという2つの動作モードがあります。
ネイティブモードは、Edgeの標準的な表示モードです。最新のChromiumエンジンを使い、高速で安全、現代的なWebサイトすべてに対応しています。普段のWeb閲覧では、このモードを使うのが基本です。
IEモードは、古いWebサイト向けの互換モードです。Internet Explorer 11のエンジンを使って、古い企業システムなどを表示できます。ただし、動作が遅く、セキュリティリスクもあるため、必要最低限の使用にとどめるべきです。
切り替えは簡単で、edge://settings/defaultbrowser から設定を有効にすれば、メニューから個別のサイトをIEモードで表示できます。一つのブラウザ内で両方のモードを使い分けられるので、便利ですよ。
迷ったらネイティブモードを使う。これが基本原則です。IEモードは「どうしても必要な場合の最終手段」と考えておきましょう。
EdgeのネイティブモードとIEモードを理解して、状況に応じて適切に使い分けられるようになれば、Webブラウジングがより快適になります。特に仕事で古いシステムを使う必要がある方は、この知識が役立つはずです。

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