映画やゲーム、アニメで「ジャンヌ・ダルク」「ムーラン」「巴御前」といった名前を聞いたことはありませんか?
これらはすべて、世界の歴史に実在した(または伝説として語り継がれる)女性英雄たちの名前です。
「男性が戦う」というイメージが強い戦場で、彼女たちは剣を振るい、軍を率い、時に国を守り抜きました。
ヨーロッパからアジア、アフリカまで、世界各地に勇敢な女性戦士たちの物語が残されているんです。
「名前は知っているけど、どんな人なの?」「それぞれの違いがよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、世界各地で活躍した女性英雄たちを地域別・時代別に詳しくご紹介します。
女性英雄(女傑)とは何か?

「女傑」という言葉の意味
「女傑(じょけつ)」とは、傑出した才能や勇気を持つ女性のこと。
特に軍事や政治の分野で活躍し、歴史に名を残した女性を指すことが多い言葉です。
なぜ女性戦士は珍しかったのか?
多くの文化圏で、戦争は男性の役割とされてきました。
しかし、歴史を紐解くと、様々な理由から戦場に立った女性たちがいたんです。
女性が戦士になった主な理由
- 家族(特に父や夫)の代わりに従軍
- 国や民族を守るため
- 奴隷制度や植民地支配への抵抗
- 社会的な慣習として女性も戦闘に参加する文化
女性英雄が多い地域と時代
実は、女性戦士は世界中に存在しました。
特に以下の地域・時代には、多くの女性英雄の記録が残っています。
| 地域 | 時代 | 特徴 |
|---|---|---|
| 古代ギリシャ・ローマ | 紀元前〜紀元後 | アマゾネス伝説、ブーディカなど |
| 中国 | 南北朝〜唐代 | 花木蘭、婦好など |
| 日本 | 平安〜戦国時代 | 巴御前、甲斐姫など |
| アフリカ | 17〜19世紀 | ンジンガ女王、ダホメーの女戦士など |
| ヨーロッパ | 中世〜近代 | ジャンヌ・ダルク、ゼノビアなど |
それでは、地域ごとに代表的な女性英雄たちを見ていきましょう。
ヨーロッパの女性英雄たち
ヨーロッパには、古代から近代にかけて数多くの女性戦士が存在しました。
ジャンヌ・ダルク(Jeanne d’Arc)──フランスを救った少女
基本情報
- 活躍時期:15世紀(1412年〜1431年)
- 国:フランス
- 別名:オルレアンの乙女
どんな人物?
百年戦争でイギリス軍に苦戦するフランスを救った、伝説的な女性英雄です。
農民の家に生まれた少女でしたが、「神の声を聞いた」と主張し、軍を率いてフランス軍に加わりました。
軍事訓練を受けたことがないにもかかわらず、彼女は兵士たちを鼓舞し、次々と勝利を収めたんです。
有名なエピソード
ジャンヌは17歳の時、王太子シャルルに謁見を求めました。
「神の名において参りました。あなた様と王国を救うために」と告げた彼女は、軍の指揮を任されます。
そしてオルレアンの戦いで見事に勝利を収め、シャルル7世を正式な王位につけることに成功しました。
しかし、その後敵軍に捕らえられ、わずか19歳で火刑に処されてしまいます。
現代への影響
- フランスの国民的英雄として現在も深く敬愛されている
- 1920年にカトリック教会により聖人に列聖
- 映画、アニメ、ゲームなど数多くの作品に登場
ブーディカ(Boudica)──ローマ帝国に反旗を翻したケルトの女王
基本情報
- 活躍時期:紀元60〜61年頃
- 国:ブリタニア(現在のイギリス)
- 民族:ケルト人イケニ族
どんな人物?
ローマ帝国の支配に対して大規模な反乱を起こした、ケルト人の女王です。
背が高く、腰まで伸びた赤い髪を持ち、知性にあふれた女性だったと伝えられています。
有名なエピソード
夫の死後、ローマ帝国はイケニ族の領土を奪おうとしました。
ブーディカはむち打たれ、娘たちは辱めを受けます。
復讐に燃えた彼女は軍を率いて立ち上がり、コルチェスター、ロンドン、セント・オールバンズを次々と破壊しました。
最終的にローマ軍に敗北し、服毒自殺したとされています。
現代への影響
- ヴィクトリア女王時代に「偉大な女王」として再評価
- ロンドンのウェストミンスター橋にブロンズ像が立つ
- イギリスの国民的英雄の一人
ゼノビア(Zenobia)──砂漠の女王
基本情報
- 活躍時期:3世紀
- 国:パルミラ王国(現在のシリア)
- 称号:戦士なる美の女王(Warrior Queen)
どんな人物?
ローマ帝国の権威が低下した時代に、シリアやエジプト周辺を支配したパルミラ王国の女王です。
自らを「エジプトの女王」と称し、次々と領土を拡大していきました。
その美貌と知性、そして軍事的才能で「戦士なる美の女王」と呼ばれたんです。
有名なエピソード
「ペルシア帝国の侵略からローマ東部属州を護る」という名目で軍を率い、領土を拡大。
最終的にローマ皇帝アウレリアヌスに敗れ捕虜となりましたが、その後はローマの元老院議員と再婚し、裕福な余生を送ったとされています。
トミュリス(Tomyris)──大帝国を打ち破った遊牧民の女王
基本情報
- 活躍時期:紀元前6世紀
- 国:マッサゲタイ(カスピ海東方の遊牧民族)
- 称号:マッサゲタイの女王
どんな人物?
当時の世界最強の帝国であったペルシア帝国を撃破した女王です。
「トミュリス」という名前は東イラン語で「勇敢な者」を意味します。
有名なエピソード
紀元前529年、ペルシア帝国の大王キュロス2世が侵攻してきました。
キュロスは事前にトミュリスに求婚しましたが、彼女はこれを拒否。
その後の戦いでキュロスはトミュリスの息子を殺害しましたが、復讐に燃えた彼女は反撃に転じ、ペルシア軍を打ち破りました。
歴史家ヘロドトスによれば、トミュリスはキュロスの首を切り落とし、人間の血で満たした革袋に浸したと伝えられています。
「あなたの血への渇きを満たしてあげましょう」という言葉とともに。
アルテミシア1世(Artemisia I)──ペルシア側で戦った女性提督
基本情報
- 活躍時期:紀元前5世紀
- 国:ハリカルナッソス(現在のトルコ)
- 役職:海軍提督
どんな人物?
ペルシア王クセルクセス1世の同盟者として、ギリシャ侵攻に参加した女性提督です。
サラミスの海戦では5隻の船を率いて参戦し、「決断力があり、非常に知的で、冷酷な戦略家」と評されました。
アジアの女性英雄たち
アジアにも、数多くの女性戦士の伝説が残されています。
花木蘭(ムーラン)──中国を代表する男装の女将軍
基本情報
- 活躍時期:南北朝時代(4〜6世紀頃)
- 国:北魏(中国)
- 別名:木蘭(ムーラン)
どんな人物?
中国で最も有名な女性英雄の一人で、ディズニー映画「ムーラン」のモデルにもなりました。
病弱な父の代わりに男装して従軍し、12年間も戦場で活躍したという伝説的な女性です。
有名なエピソード
北方の遊牧民族が侵攻してきた時、木蘭は老いた父の代わりに従軍することを決意します。
彼女は市場で馬と鞍を買い、髪を切り、男装して戦場に向かいました。
そして12年間の従軍で数々の勝利を収め、皇帝から高い地位を与えられそうになります。
しかし木蘭はこれを断り、故郷に帰って女性の姿に戻りました。
一緒に戦った戦友たちは、彼女が女性だったことにようやく気づいて驚いたそうです。
現代への影響
- 1998年にディズニーアニメ映画化
- 2020年にディズニー実写映画化
- 中国では親孝行の象徴として現在も深く敬愛されている
巴御前(ともえごぜん)──日本を代表する女武者
基本情報
- 活躍時期:平安時代末期〜鎌倉時代初期(12世紀)
- 国:日本
- 身分:木曽義仲の愛妾(または女武将)
どんな人物?
源平合戦で活躍した、日本で最も有名な女武者です。
『平家物語』によると、「色白く髪長く、容顔まことに優れたり」という美女でありながら、「一騎当千の武者」と評されました。
有名なエピソード
宇治川の戦いで敗れた木曽義仲は、巴御前に逃げるように命じます。
しかし彼女は「最後にもう一度」と、敵将に戦いを挑みました。
そして「むずと取って引き落とし、我が乗ったる鞍の前輪に押し付けて、首をねじ斬って捨ててんげり」と、怪力で知られる敵将の首をねじ切ったのです。
その後、鎧を脱ぎ捨てて落ち延び、歴史から姿を消しました。
現代への影響
- 日本の女性武将の象徴的存在
- ゲームやアニメに多数登場
- 女性用の鎧「紺糸裾素懸威胴丸」が現存
婦好(ふこう)──中国最古の女性将軍
基本情報
- 活躍時期:紀元前1200年頃
- 国:殷(中国・青銅器時代)
- 身分:武丁王の妻の一人
どんな人物?
記録が残る最古の女性将軍と言われています。
殷の第23代王・武丁の妻の一人でありながら、自ら軍を率いて戦場に立ちました。
甲骨文字(占いに使った亀の甲羅や骨)の記録によると、13,000人もの兵士を指揮したとされています。
有名なエピソード
彼女の墓は1976年に発掘され、100点以上の武器が副葬されていました。
これは彼女が実際に軍事的な役割を担っていたことを裏付ける重要な証拠です。
婦好は単なる王の妻ではなく、最も強力な軍事指導者の一人だったんです。
趙夫人(ちょうふじん)──ベトナムのジャンヌ・ダルク
基本情報
- 活躍時期:3世紀
- 国:交趾(現在のベトナム)
- 別名:趙氏貞、Lady Triệu
どんな人物?
中国の支配からベトナムを一時的に解放した女性英雄です。
ベトナムの伝統的な資料によると、身長は9フィート(約2.7メートル)、胸は3フィート(約90センチ)もあり、戦う時は象に乗っていたとされています。
ベトナムでは「ベトナムのジャンヌ・ダルク」とも呼ばれ、現在も国民的英雄として敬われています。
鶴姫(つるひめ)──瀬戸内海を守った女武将
基本情報
- 活躍時期:戦国時代(16世紀)
- 国:日本(伊予国・大三島)
- 身分:大山祇神社の大祝の娘
どんな人物?
18歳という若さで水軍を率い、周防国の大内氏と何度も戦った女武将です。
「日本で唯一現存する女性用の鎧」を着用して戦ったとされ、瀬戸内海に浮かぶ故郷・大三島を守り抜きました。
甲斐姫(かいひめ)──東国無双の美人武将
基本情報
- 活躍時期:安土桃山時代(16世紀末)
- 国:日本(武蔵国・忍城)
- 身分:成田氏長の娘
どんな人物?
「東国無双の美人」と評される美貌を持ちながら、軍事や武芸にも精通していた姫君です。
豊臣秀吉の小田原征伐の際、父が不在だった忍城を守り抜いたことで知られています。
有名なエピソード
石田三成率いる23,000人の軍勢が忍城を攻めた時、甲斐姫は自ら鎧兜を身につけて戦いました。
水攻めを受けながらも勇敢に戦い、誰よりも多くの敵を討ち取ったと伝えられています。
この戦いは2012年の映画「のぼうの城」でも描かれました。
アフリカの女性英雄たち

アフリカには、植民地支配や奴隷貿易に抵抗した数多くの女性戦士たちがいました。
アナ・ンジンガ(Ana Nzinga)──アンゴラの戦士女王
基本情報
- 活躍時期:17世紀(1583年〜1663年)
- 国:ンドンゴ王国、マタンバ王国(現在のアンゴラ)
- 称号:アンゴラの女王
どんな人物?
ポルトガルの植民地支配と奴隷貿易に30年以上も抵抗し続けた伝説的な女王です。
政治家として優れた外交手腕を発揮する一方、自ら軍を率いて戦場に立ちました。
60代になっても戦闘に参加したと伝えられています。
有名なエピソード
1622年、ンジンガはポルトガル総督との交渉に臨みました。
総督は彼女に椅子を用意せず、立ったままで話をさせようとしました。
しかしンジンガは動じず、従者に四つん這いにさせ、その背中に座って交渉を行ったのです。
この行動は「ポルトガルと対等である」という意思表示でした。
交渉後、彼女はその従者の喉を切ったとも伝えられ、相手に自分の決意を示したのです。
現代への影響
- アンゴラ独立(1975年)の精神的象徴
- 首都ルアンダに彼女の像が建つ
- Netflix作品にも登場
ダホメーの女戦士(アゴジェ)──史上唯一の女性常備軍
基本情報
- 活躍時期:17世紀〜19世紀
- 国:ダホメー王国(現在のベナン)
- 別名:アゴジェ、ミノ(我らの母)
どんな集団?
世界史上唯一の「全員女性」の正規軍として知られています。
ヨーロッパ人は彼女たちをギリシャ神話のアマゾネスになぞらえて「ダホメーのアマゾネス」と呼びました。
最盛期には1,000〜6,000人の女性戦士が所属し、ダホメー軍全体の約3分の1を占めていたそうです。
どんな存在だったのか?
ダホメーの女戦士たちは、苛酷な訓練を受けた精鋭部隊でした。
- 結婚や子供を持つことを禁じられていた
- 「男に変わった」と宣言し、女性としてではなく戦士として生きた
- 夜明け前に村を襲撃し、抵抗する者の首を切り落とした
- ヨーロッパの観察者からも「男性兵士より優れている」と評価された
有名なエピソード
19世紀後半、フランスがダホメーを植民地にしようとした時、女戦士たちは最後まで抵抗しました。
1892年の第二次フランス・ダホメー戦争では、わずか1,200人の女戦士が戦い、最終的には50〜60人しか生き残らなかったといわれています。
現代への影響
- 2022年の映画「ウーマン・キング」のモデル
- マーベル映画「ブラックパンサー」に登場する女性親衛隊「ドーラ・ミラージュ」のモデル
- ベナンに100フィートのハンベ女王像が建立
カンダケ・アマニレナス(Kandake Amanirenas)──ローマ帝国と戦ったクシュの女王
基本情報
- 活躍時期:紀元前1世紀
- 国:クシュ王国(現在のスーダン北部〜エジプト南部)
- 称号:カンダケ(偉大なる女性・女王母)
どんな人物?
アフリカ最古の女性戦士女王の一人で、ローマ帝国と5年間戦い続けた女王です。
夫が戦死した後、息子と共に統治を行い、自ら軍を率いてローマ軍に立ち向かいました。
有名なエピソード
紀元前30年、ローマ帝国がクシュ王国に侵攻してきました。
アマニレナスは反撃に出て、ローマの支配下にあったエジプト南部を攻撃。
アウグストゥス帝の像の首を切り落とし、自国の神殿の入り口に埋めたとされています。
(ローマ人がこの像を踏みつけるたびに侮辱されることを意図した)
最終的にローマと有利な和平条約を結び、クシュ王国の独立を守り抜きました。
ヤア・アサンテワー(Yaa Asantewaa)──黄金の玉座を守った女王母
基本情報
- 活躍時期:19〜20世紀(1840年代〜1921年)
- 国:アシャンティ王国(現在のガーナ)
- 身分:エジス(Ejisu)の女王母
どんな人物?
イギリスの植民地支配に最後まで抵抗した女性指導者です。
「黄金の玉座戦争」(1900年)を指導し、アシャンティの独立と誇りのために戦いました。
有名なエピソード
イギリス総督がアシャンティの象徴である「黄金の玉座」を要求した時、男性の酋長たちは迷いました。
そんな中、ヤア・アサンテワーは立ち上がり、こう言ったと伝えられています。
「アシャンティの男たちが戦わないのなら、私たち女性が戦う。私は自分の銃を取り、白人と戦う」
彼女は5,000人の軍を率いてイギリス軍に立ち向かいました。
最終的に敗北し、セイシェル諸島に追放されましたが、アフリカの抵抗運動の象徴となっています。
神話・伝説の女性戦士たち

実在の女性英雄だけでなく、神話や伝説にも数多くの女性戦士が登場します。
アマゾネス(Amazons)──女戦士の元祖
基本情報
- 起源:ギリシャ神話
- 居住地:黒海沿岸(スキタイ地方)
どんな存在?
ギリシャ神話に登場する女性だけの戦士民族です。
男性と暮らすことを拒み、子孫を残すためだけに男性と交わったと伝えられています。
弓や槍の扱いに長け、多くの英雄たちと戦いました。
有名なアマゾネス
- ペンテシレイア:トロイ戦争でアキレウスと戦った女王
- ヒッポリュテ:ヘラクレスに帯を奪われた女王
現代への影響
- DCコミックス「ワンダーウーマン」の設定の元ネタ
- 「アマゾン」という言葉の語源
- 女性戦士全般を指す代名詞に
ブリュンヒルデ(Brünnhilde)──北欧神話のワルキューレ
基本情報
- 起源:北欧神話、ゲルマン伝説
- 身分:ワルキューレ(戦乙女)
どんな存在?
北欧神話に登場する戦乙女(ワルキューレ)の一人です。
主神オーディンに仕え、戦死した勇者をヴァルハラ(死後の館)に導く役割を持っていました。
しかしオーディンの命令に背いたため、炎の壁に囲まれた城に眠らされてしまいます。
有名なエピソード
英雄ジークフリートが炎を越えてブリュンヒルデを目覚めさせました。
二人は愛し合いましたが、その後の策略と裏切りにより悲劇的な結末を迎えます。
この物語はワーグナーのオペラ「ニーベルングの指輪」の題材にもなりました。
アタランテ(Atalanta)──人類最速の女英雄
基本情報
- 起源:ギリシャ神話
- 特技:弓術、格闘技、走術
どんな存在?
ギリシャ神話に登場する数少ない女性の英雄の一人です。
狩猟、弓術、格闘技に優れ、驚異的な速さで走ることができました。
アルゴ船の冒険に参加したとも、カリュドーンの猪狩りで最初に猪を射たとも伝えられています。
有名なエピソード
アタランテは自分より速く走れる男としか結婚しないと宣言しました。
多くの求婚者が挑戦しましたが、全員が敗北。
最終的にヒッポメネス(またはメラニオン)が、アフロディーテから授かった黄金のリンゴを使って彼女に勝利し、妻としたのです。
近代・現代の女性英雄たち
近現代にも、戦場で活躍した女性たちがいます。
リュドミラ・パブリチェンコ──史上最強の女性狙撃手
基本情報
- 活躍時期:第二次世界大戦(1941〜1942年)
- 国:ソビエト連邦(現在のウクライナ出身)
- 戦果:309人を射殺
どんな人物?
史上最も多くの敵兵を射殺した女性狙撃手です。
ナチス・ドイツ軍との戦いで309人を射殺したとされ、「死の女」と恐れられました。
負傷により前線を離れた後は、ソビエトの広報活動に従事しました。
リリア・リトヴャク──史上初の女性エース・パイロット
基本情報
- 活躍時期:第二次世界大戦(1942〜1943年)
- 国:ソビエト連邦
- 戦果:12機撃墜
どんな人物?
第二次世界大戦で敵機を撃墜した最初の女性パイロットです。
1942年9月13日に初撃墜を達成し、その後も戦果を重ねて女性初の「エース」となりました。
わずか21歳で戦死しましたが、その勇気と技量は後世に語り継がれています。
夜の魔女たち(Night Witches)──ナチスを恐怖させた女性飛行隊
基本情報
- 活躍時期:第二次世界大戦(1942〜1945年)
- 国:ソビエト連邦
- 正式名称:第588夜間爆撃航空連隊
どんな存在?
ほぼ全員が女性で構成された爆撃機部隊です。
旧式の複葉機を使って夜間爆撃任務を行い、ドイツ軍から「夜の魔女(Nachthexen)」と恐れられました。
活躍の記録
- 23,672回の出撃
- 23人が「ソビエト連邦英雄」の称号を授与
- カフカス、クリミア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツでの作戦に参加
女性英雄たちの共通点
世界各地の女性英雄たちには、いくつかの共通点があります。
戦場に立った理由
1. 家族を守るため
花木蘭は病弱な父の代わりに、甲斐姫は不在の父の代わりに戦いました。
2. 国や民族を守るため
ジャンヌ・ダルク、ブーディカ、アナ・ンジンガは、外敵から自国を守るために立ち上がりました。
3. 自由と尊厳のため
ダホメーの女戦士たちやヤア・アサンテワーは、植民地支配への抵抗として戦いました。
なぜ彼女たちは英雄になれたのか?
逆境を跳ね返す強さ
「女性は戦えない」という常識に挑み、実力で周囲を認めさせました。
カリスマ性とリーダーシップ
兵士たちを鼓舞し、団結させる力を持っていました。
時代の要請
男性が不足した時代や、特殊な状況が彼女たちの活躍を可能にしました。
まとめ
世界各地の女性英雄たちは、単なる「例外的な存在」ではありません。
彼女たちは、それぞれの時代と場所で、勇気と知恵をもって困難に立ち向かいました。
女性英雄たちが私たちに教えてくれること
- 性別は能力を決めない
- 逆境は人を強くする
- 大義のために戦う勇気の尊さ
ジャンヌ・ダルクの信仰心、花木蘭の親孝行、アナ・ンジンガの不屈の精神、巴御前の武勇──これらの物語は、時代を超えて私たちの心を打ちます。
興味を持った女性英雄がいたら、ぜひその人物についてさらに調べてみてください。
映画やゲーム、小説など、彼女たちの物語に触れる機会はたくさんあります。
歴史の中で輝いた彼女たちの姿は、現代を生きる私たちにも、きっと勇気を与えてくれるはずです。



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