インド神話の神様一覧|三大神から日本の仏教に伝わった神まで完全解説

神話・歴史・伝承

ゲームやアニメで「シヴァ」「ガネーシャ」という名前を見かけたことはありませんか?

これらはすべて、古代インドから伝わる神話に登場する神々の名前です。
実は日本で親しまれている「弁財天」や「帝釈天」も、元をたどればインド神話の神様なんです。

「名前は聞いたことあるけど、どんな神様なの?」「たくさんいすぎてよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。

インド神話には「3億3千万の神々がいる」とも言われますが、これは「数えきれないほど多くの」という意味。
日本の「八百万の神」と同じような表現ですね。

この記事では、インド神話に登場する主要な神々を、役割や神話エピソードとともにわかりやすくご紹介します。


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  1. インド神話ってどんなもの?
    1. 世界最古級の神話体系
    2. なぜインドの神は腕が何本もあるの?
  2. 三神一体(トリムールティ)──宇宙を司る最高神
    1. ブラフマー(Brahma)──宇宙を創造した神
    2. ヴィシュヌ(Vishnu)──世界を維持する守護神
    3. シヴァ(Shiva)──破壊と再生の神
  3. ヴィシュヌの10の化身(ダシャーヴァターラ)
    1. 10の化身一覧
    2. ラーマ──理想の王、理想の夫
    3. クリシュナ──愛と知恵の化身
  4. 主要な女神たち(デーヴィー)
    1. トリデーヴィー(三大女神)
    2. サラスヴァティー(Sarasvati)──学問と芸術の女神
    3. ラクシュミー(Lakshmi)──富と幸運の女神
    4. パールヴァティー(Parvati)──シヴァの妻
  5. 人気の神々
    1. ガネーシャ(Ganesha)──障害を取り除く象の神
    2. ハヌマーン(Hanuman)──忠義の猿神
    3. インドラ(Indra)──雷霆の王
    4. ヤマ(Yama)──死者を裁く神
  6. ヴェーダ時代の神々
  7. インド神話の神々と日本仏教
    1. 主な対応関係
    2. なぜ形が変わったの?
  8. 神々の系譜と関係性
    1. シヴァの家族
    2. ヴィシュヌの化身たち
  9. 現代文化への影響
    1. ゲーム・アニメでの登場
  10. まとめ
  11. インド神話の神 完全一覧
    1. 三大神(トリムールティ)と配偶神
    2. ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)
    3. 主要な女神(デーヴィー)
    4. 人気の神々
    5. ヴェーダの神々
  12. インド神話の神 名前一覧【50柱以上】
    1. 三大神(トリムールティ)
    2. 三大女神(トリデーヴィー)
    3. ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)
    4. シヴァの家族・関連神
    5. パールヴァティーの化身・別形態
    6. ヴェーダの主要神
    7. 方位・自然の神(十二天など)
    8. 人気の神々
    9. 女神(デーヴィー)
    10. 聖仙・半神
    11. 死・冥界の神
    12. 叙事詩の英雄・神格化された人物
    13. アスラ(魔神・阿修羅)
    14. 日本に伝わった神々(対応表)

インド神話ってどんなもの?

世界最古級の神話体系

インド神話は、紀元前1500年頃から形作られてきた、世界でも最も古い神話体系の一つです。

主に3つの時代に分けられます。

神話の発展段階

時代主な文献特徴
ヴェーダ時代リグ・ヴェーダ自然神崇拝が中心。インドラが最高神
ブラーフマナ時代ウパニシャッド哲学的な思想が発展
叙事詩・プラーナ時代マハーバーラタ、ラーマーヤナ三神一体の信仰が確立

現在のヒンドゥー教で信仰されている神々の多くは、この長い歴史の中で姿を変えながら今に伝わっています。

なぜインドの神は腕が何本もあるの?

インドの神様の絵を見ると、腕が4本や8本あったり、顔がいくつもあったりしますよね。

これは「人間をはるかに超えた力を持っている」ことを視覚的に表現しているんです。
多くの腕はそれだけ多くの力や役割を持っていることを、複数の顔は全方位を見渡す知恵を意味しています。


三神一体(トリムールティ)──宇宙を司る最高神

インド神話で最も重要なのが、宇宙の根本的な働きを司る三柱の神です。

創造のブラフマー、維持のヴィシュヌ、破壊のシヴァ

この三神は「トリムールティ(三神一体)」と呼ばれ、それぞれが宇宙の創造・維持・破壊という役割を担っています。

ブラフマー(Brahma)──宇宙を創造した神

基本情報

  • 役割: 創造、宇宙の始まり
  • 象徴: 4つの顔、4本の腕、ヴェーダ(聖典)、蓮の花、数珠、水差し
  • 乗り物: ハンサ(白鳥または鵞鳥)
  • 配偶神: サラスヴァティー(学問と芸術の女神)
  • 日本での名前: 梵天(ぼんてん)

どんな神様?

宇宙と万物を創造した神で、トリムールティの第一神です。
4つの顔を持ち、それぞれが四方を向いて4つのヴェーダ(聖典)を唱えていると言われます。

なぜあまり信仰されていないの?

興味深いことに、創造神であるブラフマーは現代のインドではほとんど信仰されていません。
全インドでブラフマーを主神とする寺院は、ラージャスターン州のプシュカルにあるものなど、ごくわずかしか存在しないんです。

理由については諸説ありますが、一つの神話では、ブラフマーがシヴァに嘘をついたために「寺院で祀られない」という呪いを受けたとされています。
また、創造の仕事が終わったため、現世での役割が薄れたという解釈もあります。


ヴィシュヌ(Vishnu)──世界を維持する守護神

基本情報

  • 役割: 維持、保護、秩序の守護
  • 象徴: 4本の腕、法螺貝(シャンカ)、円盤(チャクラ)、棍棒(ガダ)、蓮の花
  • 乗り物: ガルダ(巨大な鷲)
  • 配偶神: ラクシュミー(富と幸運の女神)
  • 住処: ヴァイクンタ(天上界)、乳海の上で大蛇シェーシャの上に横たわる
  • 日本での名前: 毘紐天(びちゅうてん)、ただし日本ではあまり知られていない

どんな神様?

宇宙の秩序(ダルマ)を維持し、世界が危機に陥ったときに様々な姿に変身して救済する神です。
「アヴァターラ(化身)」という概念で有名で、10の主要な化身を持つとされています。

肌は青色で描かれることが多く、これは無限の空や海を象徴しています。
映画「アバター」の青い肌のキャラクターも、実はこのヴィシュヌの化身からインスピレーションを受けているんです。

有名なエピソード:乳海撹拌(にゅうかいかくはん)

神々(デーヴァ)と魔族(アスラ)が協力して乳海をかき混ぜ、不死の霊薬アムリタを取り出そうとした大神話。
ヴィシュヌは亀の姿(クールマ)に変身して山を支え、さらに美女モーヒニーに変身して神々に霊薬を渡しました。

このとき海から生まれたのが、ラクシュミー女神やアイラーヴァタ(インドラの白象)など、様々な宝物です。


シヴァ(Shiva)──破壊と再生の神

基本情報

  • 役割: 破壊、再生、創造、瞑想、舞踏
  • 象徴: 三叉槍(トリシューラ)、太鼓(ダマル)、第三の目、蛇、三日月、ガンジス河
  • 乗り物: ナンディ(白い牡牛)
  • 配偶神: パールヴァティー(山の女神)
  • 住処: カイラス山
  • 日本での名前: 大自在天(だいじざいてん)大黒天(だいこくてん) の原型

どんな神様?

「破壊の神」と聞くと怖いイメージがありますが、シヴァの破壊は「終わらせることで新しい始まりを生む」という意味を持っています。
古いものが壊れるからこそ、新しいものが生まれる。輪廻転生を信じるインドの人々にとって、シヴァは再生と希望の象徴でもあるんです。

特徴的な外見

シヴァには独特の姿があります。

  • 第三の目: 額にある目。怒りで開くと、すべてを焼き尽くす炎を放つ
  • 青い喉: 乳海撹拌で出てきた猛毒を飲み込んで世界を救ったため、喉が青くなった
  • 髪から流れるガンジス川: 天界の女神ガンガーを地上に降ろす際、その衝撃を和らげるために髪で受け止めた
  • 首に巻いた蛇: 毒蛇をも恐れない力の象徴

有名なエピソード:ナタラージャ(踊るシヴァ)

シヴァが宇宙の創造と破壊を表現する「タンダヴァ」という踊りを踊る姿は、「ナタラージャ(舞踏の王)」として有名です。
円環の中で片足を上げて踊る姿の像は、インド美術を代表するモチーフになっています。


ヴィシュヌの10の化身(ダシャーヴァターラ)

ヴィシュヌ神は、世界が危機に陥るたびに様々な姿で地上に降り立ちます。
この化身のことを「アヴァターラ」と呼び、主要な10の化身は「ダシャーヴァターラ(10の化身)」として知られています。

「アバター」という現代の言葉も、実はこのアヴァターラが語源なんです。

10の化身一覧

順番名前姿役割
1マツヤ大洪水から人類の祖マヌと聖典を救う
2クールマ乳海撹拌で山を背中で支える
3ヴァラーハ海底に沈んだ大地を救い出す
4ナラシンハ人獅子魔王ヒラニヤカシプを倒す
5ヴァーマナ矮人三歩で三界を取り戻す
6パラシュラーマ斧を持つ戦士傲慢な武士階級を21回倒す
7ラーマ理想の王子魔王ラーヴァナを討伐
8クリシュナ牧童・軍師マハーバーラタで正義を導く
9仏陀覚者慈悲と非暴力を説く
10カルキ白馬に乗る戦士現在の暗黒時代を終わらせる(未来)

ラーマ──理想の王、理想の夫

基本情報

  • 象徴: 弓矢
  • 配偶神: シーター
  • 出典: 叙事詩『ラーマーヤナ』

どんな化身?

アヨーディヤーの王子として生まれたラーマは、「ダルマ(正義・義務)」を完璧に体現した存在として崇められています。
継母の陰謀で14年間の追放生活を送ることになりますが、文句一つ言わず父の命令に従いました。

有名なエピソード:ラーヴァナとの戦い

追放中、魔王ラーヴァナに妻シーターを誘拐されたラーマ。
猿の王スグリーヴァや、忠実な猿神ハヌマーンの助けを借りて、ランカー島に攻め込みラーヴァナを討ち取りました。

この勝利を祝う日が、インドの光の祭典「ディワリ」の起源の一つとされています。

クリシュナ──愛と知恵の化身

基本情報

  • 象徴: 横笛(バーンスリー)、孔雀の羽
  • 配偶神: ラーダー(牧女)、ルクミニー
  • 出典: 叙事詩『マハーバーラタ』、『バガヴァッド・ギーター』

どんな化身?

ヴィシュヌの化身の中で最も人気があり、深く信仰されている神様です。
幼少期のいたずら好きな愛らしい姿から、戦場で深遠な哲学を説く賢者まで、様々な側面を持っています。

青い肌で横笛を吹き、牧女たちと踊る姿で描かれることが多いです。

有名なエピソード:バガヴァッド・ギーター

マハーバーラタの戦争で、戦士アルジュナが親族と戦うことを躊躇したとき、御者として従っていたクリシュナが説いた教えが『バガヴァッド・ギーター』です。

「行為の結果にとらわれず、義務を果たせ」という教えは、ヒンドゥー教の核心的な哲学として今も多くの人に読まれています。


主要な女神たち(デーヴィー)

インド神話では、女神たちも非常に重要な存在です。
それぞれの主神には配偶神がおり、その力(シャクティ)を体現しています。

トリデーヴィー(三大女神)

三神一体(トリムールティ)の配偶神たちは「トリデーヴィー」と呼ばれます。

女神配偶神役割日本での名前
サラスヴァティーブラフマー学問・芸術・音楽弁財天
ラクシュミーヴィシュヌ富・幸運・繁栄吉祥天
パールヴァティーシヴァ愛・力・献身──

サラスヴァティー(Sarasvati)──学問と芸術の女神

基本情報

  • 役割: 学問、知識、音楽、芸術、言語
  • 象徴: ヴィーナ(弦楽器)、数珠、聖典、蓮の花
  • 乗り物: 白鳥または孔雀
  • 日本での名前: 弁才天(弁財天)

どんな女神?

白い衣をまとい、4本の腕でヴィーナという弦楽器を奏でる優雅な姿で描かれます。
もともとはサラスヴァティー川という聖なる川の化身でした。
「流れる水」のイメージから、流れるように美しい音楽や言葉、知識を司る女神になったんです。

日本との繋がり

日本では七福神の一柱「弁財天」として親しまれています。
琵琶を抱えた姿で描かれることが多いのは、ヴィーナを持つサラスヴァティーの影響です。
江ノ島や竹生島など、水辺に祀られることが多いのも、川の女神としての起源を反映しています。

ラクシュミー(Lakshmi)──富と幸運の女神

基本情報

  • 役割: 富、繁栄、幸運、美、豊穣
  • 象徴: 蓮の花、金貨、壺
  • 乗り物: フクロウまたは蓮の花
  • 日本での名前: 吉祥天(きちじょうてん)

どんな女神?

乳海撹拌の際に蓮の花に乗って現れた、美と富の女神です。
4本の腕を持ち、手から金貨が流れ落ちる姿で描かれることが多いです。

「ディワリ」の祭りでは、家々を灯りで飾ってラクシュミーを迎え入れます。
暗い家には入ってこないと言われているため、インドの人々は家中を明るく照らすんです。

パールヴァティー(Parvati)──シヴァの妻

基本情報

  • 役割: 愛、献身、豊穣、力
  • 象徴: 蓮の花、鏡
  • 乗り物: 虎またはライオン
  • 家族: シヴァ(夫)、ガネーシャ・スカンダ(息子)

どんな女神?

ヒマラヤ山脈の娘として生まれ、厳しい苦行によってシヴァの心を射止めた女神です。
優しく穏やかな姿で描かれることが多いですが、怒ると恐ろしい姿に変身することもあります。

変身形態

パールヴァティーは様々な姿に変身します。

  • ドゥルガー: 10本または18本の腕を持つ戦いの女神。水牛の魔神マヒシャを退治した
  • カーリー: 黒い肌と生首の首飾りを持つ恐ろしい姿。シヴァの上に立つ姿で描かれる

これらはすべて同一の女神の異なる側面とされています。
優しさと激しさ、慈悲と怒り、すべてを持つのがパールヴァティーなんです。


人気の神々

三大神と女神以外にも、インドで広く信仰されている神々がいます。

ガネーシャ(Ganesha)──障害を取り除く象の神

基本情報

  • 役割: 学問、商売繁盛、障害除去、新しい始まり
  • 象徴: 象の頭、大きなお腹、壊れた牙、お菓子(モーダカ)
  • 乗り物: ネズミ
  • 両親: シヴァとパールヴァティー
  • 日本での名前: 聖天(しょうてん)歓喜天

どんな神様?

象の頭と人間の体を持つ、インドで最も人気のある神様の一人です。
新しいことを始めるとき、まずガネーシャに祈りを捧げるのがインドの習慣。
試験、結婚、新しいビジネス、旅行など、あらゆる「始まり」の前に祀られます。

なぜ象の頭なの?

あるとき、パールヴァティーが自分の垢から少年を作り、入浴中の見張りを命じました。
そこへ帰ってきたシヴァが、知らない少年に入室を拒まれて激怒し、その首を切り落としてしまいます。
嘆き悲しむパールヴァティーをなだめるため、シヴァは最初に見つけた生き物──象の頭を少年につけて蘇らせました。
これがガネーシャの誕生譚です。

日本での信仰

日本では「聖天」として祀られ、強力な現世利益の神として信仰されています。
浅草の待乳山聖天や、生駒山の宝山寺が有名です。

ハヌマーン(Hanuman)──忠義の猿神

基本情報

  • 役割: 力、勇気、忠誠、学問
  • 象徴: 棍棒、山を運ぶ姿
  • 出典: 叙事詩『ラーマーヤナ』

どんな神様?

風神ヴァーユの息子として生まれた猿の神で、ラーマに絶対的な忠誠を誓う英雄です。
空を飛び、体を巨大にしたり縮小したりする能力を持っています。

有名なエピソード:山を運ぶハヌマーン

ラーマの弟ラクシュマナが毒矢で倒れたとき、ハヌマーンは解毒草を探しにヒマラヤへ飛びました。
しかし、どの草かわからなかったハヌマーンは、山全体を持ち上げて運んできたんです。

『西遊記』との関係

中国の『西遊記』に登場する孫悟空は、ハヌマーンの影響を受けていると言われています。
猿の姿、空を飛ぶ能力、棒を武器とすることなど、多くの共通点があります。

インドラ(Indra)──雷霆の王

基本情報

  • 役割: 雷、雨、戦争、神々の王
  • 象徴: 金剛杵(ヴァジュラ)、白象アイラーヴァタ
  • 乗り物: 白象アイラーヴァタ
  • 日本での名前: 帝釈天(たいしゃくてん)

どんな神様?

ヴェーダ時代には最高神として崇められ、『リグ・ヴェーダ』の讃歌の約4分の1がインドラに捧げられています。
雷を武器に、悪竜ヴリトラを倒して水を解放した英雄譚が有名です。

ただし、後のヒンドゥー教の時代になると、三大神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ)が台頭し、インドラの地位は相対的に低下しました。

日本との繋がり

日本では「帝釈天」として、梵天と並ぶ仏教の二大護法善神となっています。
東京・柴又の帝釈天(題経寺)は、映画『男はつらいよ』の舞台として有名ですね。

ヤマ(Yama)──死者を裁く神

基本情報

  • 役割: 死、冥界、正義、裁き
  • 象徴: 縄、棍棒
  • 乗り物: 水牛
  • 日本での名前: 閻魔(えんま)

どんな神様?

最初に死んだ人間とされ、冥界の王として死者の魂を裁く神です。
正義の神でもあり、人々の善悪を記録して死後に裁きを下します。

日本の「閻魔大王」は、このヤマ神が仏教を通じて伝わったものです。
地獄で舌を抜くという恐ろしいイメージも、ヤマの裁きのイメージが元になっています。


ヴェーダ時代の神々

現代ではあまり信仰されていませんが、古代ヴェーダの時代には重要だった神々もいます。

神名役割日本での名前
アグニ火、祭祀火天
ヴァーユ風天
ヴァルナ天空、水、誓約水天
スーリヤ太陽日天
チャンドラ(ソーマ)月天
プリティヴィー大地地天

これらの神々は、密教の「十二天」として日本にも伝わり、東西南北などの方角を守護する神として祀られています。


インド神話の神々と日本仏教

インド神話の神々の多くは、仏教を通じて日本に伝わりました。

主な対応関係

インドの神日本での名前特徴
インドラ帝釈天仏法の守護神、柴又帝釈天で有名
ブラフマー梵天帝釈天と対で祀られる
サラスヴァティー弁財天七福神の一柱、芸能の神
ラクシュミー吉祥天美と福徳の女神
マハーカーラ(シヴァの別名)大黒天七福神の一柱、福の神
ガネーシャ聖天(歓喜天)現世利益の神
ヤマ閻魔地獄の裁判官
クベーラ毘沙門天四天王の一柱、七福神

なぜ形が変わったの?

インドから中国を経て日本に伝わる間に、神々の姿や性格は大きく変化しました。

例えば、シヴァ神の恐ろしい姿である「マハーカーラ(大いなる暗黒)」は、日本では打ち出の小槌を持つ福の神「大黒天」になっています。
破壊の神が福の神になった背景には、「古いものを壊して新しい福をもたらす」という再解釈があったと言われています。

また、七福神のうち、大黒天・弁財天・毘沙門天の3柱がインド起源。
恵比寿だけが日本生まれで、残りは中国の道教から来ています。


神々の系譜と関係性

インド神話の神々は複雑な家族関係で結ばれています。

シヴァの家族

シヴァ ─── パールヴァティー
    │
    ├── ガネーシャ(象頭の神)
    │
    └── スカンダ/カールッティケーヤ(軍神)

ヴィシュヌの化身たち

ヴィシュヌ
    │
    ├── マツヤ(魚)
    ├── クールマ(亀)
    ├── ヴァラーハ(猪)
    ├── ナラシンハ(人獅子)
    ├── ヴァーマナ(矮人)
    ├── パラシュラーマ(戦士)
    ├── ラーマ(王子)
    ├── クリシュナ(牧童)
    ├── 仏陀(覚者)
    └── カルキ(未来の救世主)

現代文化への影響

インド神話は、現代のゲームやアニメにも大きな影響を与えています。

ゲーム・アニメでの登場

  • 女神転生シリーズ(ペルソナ含む): シヴァ、ヴィシュヌ、インドラなど多数の神々が登場
  • Fate/Grand Order: パールヴァティー、カーマ、アルジュナなどがサーヴァントとして参戦
  • ファイナルファンタジーシリーズ: シヴァ(氷の召喚獣)、ガルーダなど
  • パズル&ドラゴンズ: ガネーシャ、シヴァ、パールヴァティーなど多数

ちなみに、FFシリーズの「シヴァ」は氷の女神として描かれていますが、本来のシヴァ神は男性で火や破壊と関係が深い神様。
ゲームでのアレンジは、名前だけを借りた独自の解釈になっています。


まとめ

インド神話の神々は、単なる古い物語の登場人物ではありません。

三大神が象徴するもの

  • ブラフマーの創造: すべての始まり、可能性
  • ヴィシュヌの維持: 秩序、保護、救済
  • シヴァの破壊: 終わりと再生、変化の力

これらの神々は、宇宙の根本的な働きを表現しています。
創造があり、維持があり、やがて破壊があり、そしてまた新たな創造が始まる。
この永遠のサイクルこそが、インド神話の世界観なんです。

興味を持った神様がいたら、ぜひその神話やエピソードをもっと調べてみてください。
日本のお寺で祀られている仏様の中にも、インド神話にルーツを持つ神々がたくさんいます。
帝釈天、弁財天、大黒天など、身近な神様がどんな神話を持っているのか知ると、お参りがもっと面白くなるかもしれません。


インド神話の神 完全一覧

最後に、主要な神々をまとめた一覧表を掲載します。

三大神(トリムールティ)と配偶神

神名役割配偶神日本名
ブラフマー創造サラスヴァティー梵天
ヴィシュヌ維持ラクシュミー毘紐天
シヴァ破壊・再生パールヴァティー大自在天

ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)

順番化身名姿役割
1マツヤ大洪水から救う
2クールマ乳海撹拌を支える
3ヴァラーハ大地を救う
4ナラシンハ人獅子魔王を倒す
5ヴァーマナ矮人三界を取り戻す
6パラシュラーマ斧の戦士悪を滅ぼす
7ラーマ王子ラーヴァナを討伐
8クリシュナ牧童正義を導く
9仏陀覚者慈悲を説く
10カルキ騎士暗黒時代を終わらせる

主要な女神(デーヴィー)

女神名役割関係日本名
サラスヴァティー学問・芸術ブラフマーの妻弁財天
ラクシュミー富・幸運ヴィシュヌの妻吉祥天
パールヴァティー愛・力シヴァの妻──
ドゥルガー戦いパールヴァティーの化身──
カーリー時・変化パールヴァティーの化身──
ガンガーガンジス川川の女神──

人気の神々

神名役割特徴日本名
ガネーシャ障害除去・学問象頭聖天
ハヌマーン力・忠義猿神──
クベーラ富・財宝財宝の神毘沙門天
カールッティケーヤ戦争シヴァの息子韋駄天

ヴェーダの神々

神名役割日本名
インドラ雷・神々の王帝釈天
アグニ火天
ヴァーユ風天
ヴァルナ水・天空水天
スーリヤ太陽日天
チャンドラ月天
ヤマ閻魔

インド神話の神 名前一覧【50柱以上】

ここでは、インド神話に登場する神々の名前を、カテゴリ別にまとめました。

三大神(トリムールティ)

  • ブラフマー(Brahma)
  • ヴィシュヌ(Vishnu)
  • シヴァ(Shiva)

三大女神(トリデーヴィー)

  • サラスヴァティー(Sarasvati)
  • ラクシュミー(Lakshmi)
  • パールヴァティー(Parvati)

ヴィシュヌの10化身(ダシャーヴァターラ)

  • マツヤ(Matsya)
  • クールマ(Kurma)
  • ヴァラーハ(Varaha)
  • ナラシンハ(Narasimha)
  • ヴァーマナ(Vamana)
  • パラシュラーマ(Parashurama)
  • ラーマ(Rama)
  • クリシュナ(Krishna)
  • 仏陀(Buddha)
  • カルキ(Kalki)

シヴァの家族・関連神

  • パールヴァティー(Parvati)
  • ガネーシャ(Ganesha)
  • スカンダ/カールッティケーヤ(Skanda / Kartikeya)
  • ナンディ(Nandi)

パールヴァティーの化身・別形態

  • ドゥルガー(Durga)
  • カーリー(Kali)
  • チャンディー(Chandi)
  • ウマー(Uma)
  • ガウリー(Gauri)
  • アンビカー(Ambika)

ヴェーダの主要神

  • インドラ(Indra)
  • アグニ(Agni)
  • ヴァーユ(Vayu)
  • ヴァルナ(Varuna)
  • ミトラ(Mitra)
  • スーリヤ(Surya)
  • ソーマ/チャンドラ(Soma / Chandra)
  • ウシャス(Ushas)
  • ルドラ(Rudra)
  • マルト(Marut)
  • アシュヴィン双神(Ashvins)
  • サヴィトリ(Savitri)
  • プーシャン(Pushan)
  • ディヤウス(Dyaus)
  • プリティヴィー(Prithvi)

方位・自然の神(十二天など)

  • インドラ(Indra)── 東
  • アグニ(Agni)── 東南
  • ヤマ(Yama)── 南
  • ニリティ(Nirriti)── 西南
  • ヴァルナ(Varuna)── 西
  • ヴァーユ(Vayu)── 西北
  • クベーラ(Kubera)── 北
  • イーシャーナ(Ishana)── 東北
  • ブラフマー(Brahma)── 天
  • ヴィシュヌ(Vishnu)── 地
  • スーリヤ(Surya)── 日
  • チャンドラ(Chandra)── 月

人気の神々

  • ガネーシャ(Ganesha)
  • ハヌマーン(Hanuman)
  • クベーラ(Kubera)
  • ガルダ(Garuda)
  • シェーシャ(Shesha)
  • カーマデーヴァ(Kamadeva)

女神(デーヴィー)

  • サラスヴァティー(Sarasvati)
  • ラクシュミー(Lakshmi)
  • パールヴァティー(Parvati)
  • ドゥルガー(Durga)
  • カーリー(Kali)
  • ガンガー(Ganga)
  • ヤムナー(Yamuna)
  • シーター(Sita)
  • ラーダー(Radha)
  • サティー(Sati)
  • アディティ(Aditi)
  • ディティ(Diti)
  • プリティヴィー(Prithvi)
  • ウシャス(Ushas)
  • ラトリー(Ratri)
  • アンナプールナー(Annapurna)
  • マナサー(Manasa)
  • シャクティ(Shakti)

聖仙・半神

  • ブリハスパティ(Brihaspati)
  • ナーラダ(Narada)
  • ヴィシュヴァカルマン(Vishvakarman)
  • ダクシャ(Daksha)
  • カシュヤパ(Kashyapa)
  • ヴァシシュタ(Vasishtha)
  • ヴィシュヴァーミトラ(Vishvamitra)
  • アガスティヤ(Agastya)

死・冥界の神

  • ヤマ(Yama)
  • ヤミー(Yami)
  • チトラグプタ(Chitragupta)

叙事詩の英雄・神格化された人物

  • ラーマ(Rama)
  • クリシュナ(Krishna)
  • バララーマ(Balarama)
  • アルジュナ(Arjuna)
  • ビーシュマ(Bhishma)
  • ドローナ(Drona)
  • カルナ(Karna)
  • ユディシュティラ(Yudhishthira)
  • ビーマ(Bhima)

アスラ(魔神・阿修羅)

  • ラーヴァナ(Ravana)
  • ヒラニヤカシプ(Hiranyakashipu)
  • ヒラニヤークシャ(Hiranyaksha)
  • マヒシャ(Mahisha)
  • バリ(Bali)
  • ヴリトラ(Vritra)
  • シュンバ(Shumbha)
  • ニシュンバ(Nishumbha)

日本に伝わった神々(対応表)

インド名日本名
インドラ帝釈天
ブラフマー梵天
サラスヴァティー弁財天
ラクシュミー吉祥天
マハーカーラ(シヴァ)大黒天
ガネーシャ聖天・歓喜天
ヤマ閻魔
クベーラ毘沙門天
カールッティケーヤ韋駄天
アグニ火天
ヴァーユ風天
ヴァルナ水天
スーリヤ日天
チャンドラ月天
プリティヴィー地天
マーリーチ摩利支天
シヴァ大自在天
ナーラーヤナ那羅延天

参考文献:リグ・ヴェーダ、マハーバーラタ、ラーマーヤナ、各種プラーナ文献

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