Thunderbirdでメールを送信したとき、こんなエラーメッセージが表示されたことはありませんか?
「メッセージは送信されましたがコピーは送信済みフォルダー(送信済みトレイ)に保存されませんでした。ネットワークエラーまたはファイルアクセスエラーが原因です。」
このエラー、実はメールの送信自体は成功しているのに、送信済みフォルダに保存できないという困った状況を示しています。毎回このエラーが出ると、本当に送信できたのか不安になりますよね。
この記事では、このエラーが発生する原因と、それぞれの具体的な解決方法を分かりやすく解説していきます。
エラーメッセージの意味

まず、このエラーメッセージが何を意味しているのか整理しましょう。
エラーメッセージの全文
メッセージは送信されましたがコピーは送信済みフォルダー(送信済みトレイ)に保存されませんでした。
ネットワークエラーまたはファイルアクセスエラーが原因です。
もう一度試すかメッセージをローカルのローカルフォルダー/送信済みトレイ-メールアドレス に保存してください。
重要なポイント
良いニュース:
- メール自体は相手に正常に送信されています
- 送信失敗ではありません
問題点:
- 送信したメールのコピーが「送信済みトレイ」に保存されていません
- 送信履歴が残らないため、後で確認できません
エラーが発生する主な原因
このエラーが発生する原因はいくつかあります。
1. 送信済みフォルダのファイル名が日本語になっている(最も多い原因)
Thunderbirdは内部的に「Sent」という名前のファイルを使用しますが、日本語環境では「送信済トレイ」という日本語のファイル名が作られることがあります。これが原因でエラーが発生します。
2. ディスク容量不足
実際のハードディスク容量とは別に、Thunderbirdの内部的な容量管理で問題が発生している場合があります。
3. Gmailアカウントでの重複保存
Gmailは自動的に送信済みメールをサーバー側に保存します。Thunderbird側でも保存しようとすると、コンフリクトが発生する場合があります。
4. アンチウイルスソフトの干渉
セキュリティソフトがメールファイルへのアクセスをブロックしている可能性があります。
5. フォルダの破損
送信済みトレイのインデックスファイルが破損している場合があります。
6. 大きな添付ファイル
大容量の添付ファイルを送信すると、保存時にタイムアウトが発生することがあります。
解決方法1:送信済みトレイのファイル名を「Sent」に変更する(最重要)
これが最も効果的な解決方法です。多くの場合、この方法で解決します。
アイコンの確認
まず、送信済みトレイのアイコンを確認してください。
正常な場合:
- 紙飛行機のようなアイコン(送信を示すアイコン)
問題がある場合:
- 通常のフォルダアイコン
フォルダアイコンになっている場合は、ファイル名が正しく設定されていない可能性が高いです。
Windows環境での変更手順
手順1:ファイルの場所を確認する
- 送信済みトレイを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般情報」タブで「場所」を確認します
例:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\●●●.default\Mail\●●●\送信済トレイ
この場所をメモしておきます。
手順2:隠しファイルを表示する
- エクスプローラーを開く
- 上部メニューの「表示」タブをクリック
- 「隠しファイル」と「ファイル名拡張子」にチェックを入れる
手順3:Thunderbirdを終了する
必ずThunderbirdを完全に終了させてから次の作業を行います。
手順4:ファイル名を変更する
- エクスプローラーで先ほど確認した場所を開きます
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\●●●.default\Mail\●●●\
- 以下のファイルがある場合は名前を変更します:
- 「送信済トレイ」→「Sent」に変更
- 「送信済トレイ.msf」→「Sent.msf」に変更
注意:
- 拡張子(.msf)は必ず残してください
- 両方のファイルを変更する必要があります
手順5:Thunderbirdを起動する
Thunderbirdを起動すると、送信済みトレイのアイコンが紙飛行機マークに変わっているはずです。
Mac環境での変更手順
手順1:ファイルの場所を確認する
- 送信済みトレイを右クリック
- 「情報を見る」を選択
- 「場所」に表示されているパスをメモします
例:
/Users/ユーザー名/Library/Thunderbird/Profiles/●●●.default/Mail/●●●/送信済みトレイ
手順2:ライブラリフォルダを表示する
- Finderで「移動」メニュー→「フォルダへ移動」を選択
/Users/ユーザー名/Library/と入力して「移動」をクリック
手順3:Thunderbirdを終了する
完全にThunderbirdを終了させます。
手順4:ファイル名を変更する
- Finderで以下のパスを開きます:
Thunderbird/Profiles/●●●.default/Mail/●●●/ - 以下のファイルを変更:
- 「送信済みトレイ」→「Sent」
- 「送信済みトレイ.msf」→「Sent.msf」
手順5:Thunderbirdを起動する
Thunderbirdを再起動して、エラーが解消されたか確認します。
解決方法2:ディスク容量の問題を解決する

実際のディスク容量が十分にあっても、このエラーが出る場合があります。
フォルダの最適化を実行する
手順:
- 送信済みトレイを右クリック
- 「最適化」を選択
- 処理が完了するまで待ちます
すべてのフォルダを一括で最適化する場合:
- メニューバーから「ファイル」を選択(メニューバーが表示されていない場合はAltキーを押す)
- 「すべてのフォルダーを最適化」をクリック
- 確認画面が表示されたら「最適化」をクリック
注意:
- 最適化処理中は、Thunderbirdで他の操作をしないでください
- 大量のメールがある場合、数分かかることがあります
自動最適化の設定
定期的に自動で最適化するように設定しておくと便利です。
手順:
- 「ツール」→「アカウント設定」→「ディスク領域」を選択
- 「ディスク領域を合計○○MB以上節約できるときはフォルダーを最適化する」にチェック
- 「最適化する前に毎回確認する」は好みで設定
- 「OK」をクリック
古いメールを削除する
送信済みトレイに大量の古いメールが溜まっている場合は、古いメールを削除または別フォルダに移動しましょう。
手順:
- 送信済みトレイを開く
- 日付順に並べ替えて、古いメールを選択
- 削除またはアーカイブフォルダに移動
- ゴミ箱を空にする
- フォルダの最適化を実行
解決方法3:Gmailアカウントの設定を変更する(Gmail利用者向け)
Gmailを使用している場合、サーバー側で自動的に送信済みメールが保存されるため、Thunderbird側での保存は不要です。
送信済みメールの保存を無効化する
手順:
- 「ツール」→「アカウント設定」を開く
- 該当するGmailアカウントを選択
- 「送信控えと特別なフォルダー」をクリック
- 「送信メッセージの控え」セクションで以下のいずれかを実行:
- 推奨:「”送信控え”フォルダーにメッセージの控えを保存する」のチェックを外す
- または:「その他」を選択して、別のフォルダ(ローカルフォルダなど)を指定
- 「OK」をクリック
これにより、Gmailのサーバー側で送信済みメールが自動保存され、Thunderbird側での重複保存がなくなります。
解決方法4:アンチウイルスソフトの設定を調整する
アンチウイルスソフトがメールファイルへのアクセスをブロックしている可能性があります。
メールスキャン機能を無効化する
手順:
- お使いのアンチウイルスソフトを開きます
- 設定画面を開く
- 「メール保護」「メールスキャン」「送信メールのスキャン」などの項目を探す
- これらの機能を無効化します
主要なアンチウイルスソフトでの設定例:
ESET の場合:
- ESET設定画面を開く
- 「詳細設定」→「インターネット保護」→「メールクライアント保護」
- 「メールクライアント保護を有効にする」のチェックを外す
Avast の場合:
- Avast設定画面を開く
- 「保護」→「主要なシールド」→「メールシールド」
- 「有効にする」のチェックを外す
カスペルスキー の場合:
- カスペルスキー設定画面を開く
- 「保護」→「メール保護」
- スイッチをオフにする
Thunderbirdを除外設定に追加する
アンチウイルスソフトの除外リストにThunderbirdのプロファイルフォルダを追加することも有効です。
除外するフォルダ:
Windows:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\
Mac:
/Users/ユーザー名/Library/Thunderbird/
解決方法5:送信済みフォルダを修復する
フォルダのインデックスが破損している場合、修復が必要です。
フォルダの修復手順
手順:
- 送信済みトレイを右クリック
- 「プロパティ」を選択
- 「全般情報」タブで「フォルダーを修復」ボタンをクリック
- 修復処理が完了するまで待ちます
- 「OK」をクリックしてThunderbirdを再起動
.msfファイルを削除する方法(より確実)
手順:
- Thunderbirdを完全に終了させます
- エクスプローラー(Macの場合はFinder)で以下のフォルダを開きます:
Windows:
C:\Users\ユーザー名\AppData\Roaming\Thunderbird\Profiles\●●●.default\Mail\●●●\
Mac:
/Users/ユーザー名/Library/Thunderbird/Profiles/●●●.default/Mail/●●●/
- 「Sent.msf」(または「送信済トレイ.msf」)ファイルを削除します
- 注意:拡張子が.msfのファイルのみ削除してください
- .msfがついていないファイル(実データ)は削除しないでください
- Thunderbirdを起動します
- Thunderbirdが自動的に.msfファイルを再作成します
解決方法6:添付ファイルのサイズを確認する

大きな添付ファイルを送信する際にこのエラーが出る場合は、以下を確認してください。
タイムアウト時間を延長する
前回の記事「Thunderbirdでタイムアウトエラーが発生する場合の解決方法」を参照して、タイムアウト設定を延長してください。
簡単な手順:
- 画面右上の「≡」→「設定」→「一般」を開く
- 一番下までスクロールして「設定エディター」をクリック
- 検索欄に
mailnews.tcptimeoutと入力 - 現在の値(通常は100)をダブルクリック
- 「300」に変更して「OK」をクリック
添付ファイルのサイズを小さくする
対処法:
- 画像ファイルの場合は圧縮する
- 複数ファイルの場合はZIP形式で圧縮する
- 大容量ファイルはクラウドストレージ(Google Drive、Dropboxなど)で共有する
解決方法7:送信済みフォルダの保存先を変更する
上記の方法で解決しない場合は、送信済みメールの保存先を変更してみましょう。
ローカルフォルダに保存する設定
手順:
- 「ツール」→「アカウント設定」を開く
- 該当するメールアカウントを選択
- 「送信控えと特別なフォルダー」をクリック
- 「送信メッセージの控え」セクションで「その他」を選択
- ドロップダウンメニューから「ローカルフォルダー」→「送信済みトレイ」を選択
- 「OK」をクリック
これにより、送信済みメールがアカウント固有のフォルダではなく、ローカルフォルダに保存されるようになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. エラーが出てもメールは相手に届いていますか?
はい、届いています。このエラーメッセージには「メッセージは送信されました」と明記されており、送信自体は成功しています。問題は送信済みフォルダへの保存だけです。
受信者に確認してもらうか、自分の別のメールアドレスにテスト送信して確認できます。
Q2. 「再試行」と「保存」どちらを選べばいいですか?
再試行:
- もう一度送信済みフォルダへの保存を試みます
- ただし、根本的な原因が解決していない場合は、再度同じエラーが出ます
保存:
- ローカルフォルダの送信済みトレイに保存します
- 一時的な対処としては有効です
保存しない:
- 送信したメールの記録が残りません
- 重要なメールの場合は避けた方が良いでしょう
推奨:
- とりあえず「保存」を選択して記録を残す
- その後、この記事の解決方法を試して根本的に解決する
Q3. 下書きも同じエラーが出ます
下書きフォルダでも同様の問題が発生することがあります。
解決方法:
解決方法1と同じ手順で、以下のファイル名を変更してください:
- 「下書き」→「Drafts」
- 「下書き.msf」→「Drafts.msf」
Q4. 複数のアカウントで同時にエラーが出ます
複数のアカウントで同時にエラーが発生する場合、アンチウイルスソフトの干渉が疑われます。
確認方法:
- 解決方法4を参照して、アンチウイルスのメールスキャン機能を一時的に無効化
- メールを送信してエラーが出ないか確認
- エラーが解消された場合は、アンチウイルスの設定を調整
Q5. エラーが出る時と出ない時があります
考えられる原因:
- 添付ファイルのサイズ:大きなファイルを添付した時だけエラーが出る場合は、タイムアウト問題です
- ネットワークの状態:接続が不安定な時にエラーが出やすくなります
- アンチウイルスのスキャンタイミング:リアルタイムスキャンの負荷が高い時にエラーが発生することがあります
対処法:
- 解決方法6でタイムアウト時間を延長
- 安定したネットワーク環境を確保
- アンチウイルスの設定を調整
Q6. 「AppData」フォルダが見つかりません(Windows)
AppDataは隠しフォルダです。
表示方法:
- エクスプローラーを開く
- 上部メニューの「表示」タブをクリック
- 「隠しファイル」にチェックを入れる
または、アドレスバーに直接以下を入力してEnterキーを押します:
%APPDATA%\Thunderbird
Q7. 「Library」フォルダが見つかりません(Mac)
Libraryは隠しフォルダです。
表示方法:
- Finderで「移動」メニューをクリック
- Optionキーを押すと「ライブラリ」が表示されます
- クリックしてLibraryフォルダを開きます
または、Finderで「移動」→「フォルダへ移動」を選択し、以下を入力:
~/Library/Thunderbird
Q8. ファイル名を変更してもアイコンが変わりません
以下を確認してください:
- Thunderbirdを完全に終了させてから変更しましたか?
- 「.msf」ファイルも一緒に変更しましたか?
- ファイル名が正しく「Sent」(大文字のS)になっていますか?
それでも解決しない場合:
- Thunderbirdを終了
- 両方のファイル(SentとSent.msf)を削除
- Thunderbirdを起動(自動的に正しいファイルが作成されます)
まとめ
「ネットワークエラーまたはファイルアクセスエラー」の解決方法をおさらいしましょう。
最も効果的な解決方法
1. 送信済みトレイのファイル名を「Sent」に変更する(最重要)
- 日本語の「送信済トレイ」を「Sent」にリネーム
- .msfファイルも忘れずに変更
- 多くの場合、これだけで解決します
その他の解決方法
2. フォルダの最適化を実行
- 定期的に実行して容量を管理
- 自動最適化の設定も推奨
3. Gmailの場合は重複保存を無効化
- Thunderbird側の保存を無効にする
- サーバー側で自動保存されるため問題なし
4. アンチウイルスの設定を調整
- メールスキャン機能を無効化
- またはThunderbirdを除外設定に追加
5. フォルダを修復する
- .msfファイルを削除して再作成
6. タイムアウト時間を延長
- 大きなファイル送信時のエラー対策
7. 保存先をローカルフォルダに変更
- 最後の手段として有効
トラブルシューティングの基本手順
- まず送信済みトレイのアイコンを確認(フォルダアイコンになっていないか)
- ファイル名が「送信済トレイ」になっている場合は「Sent」に変更
- フォルダの最適化を実行
- Gmailを使用している場合は重複保存を無効化
- それでも解決しない場合はアンチウイルスの設定を確認
- 必要に応じてフォルダの修復を実行
重要なポイント
- メールは正常に送信されています。エラーは送信済みフォルダへの保存だけの問題です
- 最も多い原因はファイル名の問題です。まずは送信済みトレイのファイル名を確認しましょう
- 定期的なメンテナンス(フォルダの最適化)で予防できます
- バックアップは重要です。作業前にプロファイルをバックアップしておくと安心です
このエラーは見た目は深刻そうですが、ほとんどの場合は簡単な設定変更で解決できます。送信済みトレイのファイル名を「Sent」に変更するだけで、多くのケースで問題が解消されるはずです。
この記事が、Thunderbirdのエラーでお困りの方のお役に立てれば幸いです。快適なメール環境を取り戻して、スムーズな業務を続けていきましょう!

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