「iPhoneでドコモメールを使いたいのに設定がわからない…」
「パソコンからもドコモメールをチェックしたい」
ドコモメールをスマートフォン以外でも使いたいとき、「IMAP」という設定が必要になります。
この記事では、ドコモメールのIMAPとは何か、なぜ必要なのか、そして具体的な設定方法まで詳しく解説します。
ドコモメールIMAPとは?基本を理解する

IMAPの意味
IMAP(Internet Message Access Protocol)は、電子メールを受信するための通信プロトコル(通信方式)の一つです。
IMAPの最大の特徴:
メールをサーバー上で管理するため、複数のデバイスから同じメールボックスを見ることができます。
わかりやすい例:
あなたの机の上にある書類入れを想像してください。
- IMAP:書類入れ(メールサーバー)は事務所にあり、自宅からも会社からも同じ書類を見られる
- POP3:書類を自宅に持ち帰ると、会社からは見られなくなる
IMAPなら、iPhoneで読んだメールを「既読」にすると、パソコンでも既読になります。
ドコモメールがIMAPに対応する意味
ドコモメールは2013年12月からIMAP接続に対応しました。
IMAP対応で可能になること:
- iPhoneの標準メールアプリで利用
- Android端末の他社メールアプリで利用
- パソコンのOutlookやThunderbirdで利用
- タブレットから同じメールボックスにアクセス
つまり、ドコモメールアプリ以外でもドコモメール(@docomo.ne.jp)が使えるようになります。
ドコモメールアプリとIMAPの違い
ドコモメールアプリの場合
Android端末に標準搭載されている「ドコモメールアプリ」は、HTTPS通信を使用しています。
特徴:
- ドコモが提供する専用アプリ
- 設定が簡単(ほぼ自動)
- Android端末のみ対応
- プッシュ通知が確実
使える機能:
- デコメール
- 絵文字
- 自動振り分け
- 迷惑メール設定との連携
IMAP接続の場合
汎用的なメールプロトコルを使用するため、様々なデバイスやアプリで利用できます。
特徴:
- 標準的なメールプロトコル
- 手動設定が必要
- iOS、Android、Windows、Macなど幅広く対応
- 自分の好きなメールアプリが使える
使える機能:
- テキストメール
- HTML形式メール
- 添付ファイル送受信
- 複数デバイスでの同期
IMAP専用パスワードとは
2019年以降、ドコモメールのセキュリティ強化により、IMAP接続時には専用のパスワードが必須になりました。
なぜ専用パスワードが必要?
dアカウントのパスワードは様々なサービスで使用するため、もし漏洩すると被害が大きくなります。
IMAP専用パスワードのメリット:
- メール専用なので被害を限定できる
- dアカウント本体は守られる
- 不正アクセスを検知しやすい
- 必要に応じて再発行できる
セキュリティの仕組み:
- dアカウントID:ユーザー名として使用
- IMAP専用パスワード:メールアクセス専用の認証
- dアカウントパスワード:従来のパスワード(IMAP接続では使えない)
IMAP専用パスワードの確認方法
手順:
- My docomoにアクセス
- 「設定」→「メール設定」をタップ
- 「設定を確認・変更する」をタップ
- ネットワーク暗証番号またはspモードパスワードを入力
- 「IMAP用ID・パスワードの確認」をタップ
- ユーザーIDとパスワードが表示される
パスワードが未設定の場合:
「IMAP専用パスワード新規発行」から新しいパスワードを発行できます。
パスワードはランダムな文字列で自動生成され、ユーザー自身で変更はできません。
dアカウント利用設定
IMAP接続を使うには、事前にdアカウント利用設定を「利用する」にする必要があります。
設定手順
- My docomoにアクセス
- ネットワーク暗証番号を入力
- 「dアカウント利用設定の確認/変更」をタップ
- 「利用する」を選択
- 「確認する」→「設定を確定する」をタップ
注意点:
この設定を「利用しない」にすると、IMAP接続が一切使えなくなります。
ドコモメールIMAP設定項目一覧
IMAP接続に必要な設定情報をまとめます。
受信サーバー(IMAP)設定
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| サーバー名 | imap.spmode.ne.jp |
| ポート番号 | 993 |
| セキュリティ | SSL/TLS(TLS1.2) |
| ユーザー名 | dアカウントID |
| パスワード | IMAP専用パスワード |
ポイント:
- 暗号化は必須(SSL/TLSをオン)
- TLS1.2のみ対応(古いバージョンは使えない)
- ポート番号は993固定
送信サーバー(SMTP)設定
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| サーバー名 | smtp.spmode.ne.jp |
| ポート番号 | 465 |
| セキュリティ | SSL/TLS |
| 認証 | 必要 |
| ユーザー名 | dアカウントID |
| パスワード | IMAP専用パスワード |
注意点:
2024年以降、送信ポートは465に変更されました。
古い情報(ポート587)では接続できない場合があります。
iPhone/iPadでの設定方法
iPhoneやiPadの標準メールアプリでドコモメールを使う方法です。
事前準備
- Wi-Fi接続をオフにする(モバイルデータ通信で設定)
- IMAP専用パスワードを確認しておく
- dアカウントIDを確認しておく
設定手順
Step 1:アカウント追加画面を開く
- 「設定」アプリを起動
- 「メール」をタップ
- 「アカウント」をタップ
- 「アカウントを追加」をタップ
- 「その他」をタップ
- 「メールアカウントを追加」をタップ
Step 2:基本情報を入力
以下の情報を入力し、「次へ」をタップ:
- 名前:送信者名(例:山田太郎)
- メール:xxxxx@docomo.ne.jp
- パスワード:IMAP専用パスワード
- 説明:ドコモメール(任意)
「IMAP」を選択してください。
Step 3:受信サーバー情報を入力
- ホスト名:imap.spmode.ne.jp
- ユーザ名:dアカウントID
- パスワード:IMAP専用パスワード
Step 4:送信サーバー情報を入力
- ホスト名:smtp.spmode.ne.jp
- ユーザ名:dアカウントID(受信と同じ)
- パスワード:IMAP専用パスワード(受信と同じ)
「次へ」をタップすると検証が始まります。
Step 5:詳細設定(重要)
検証完了後、必ず以下の設定を確認してください:
- アカウント情報画面で「詳細」をタップ
- 以下を確認・変更:
- SSLを使用:オン
- 認証:パスワード
- サーバポート:993
- 戻って「SMTP」→プライマリサーバをタップ
- 以下を確認・変更:
- SSLを使用:オン
- 認証:パスワード
- サーバポート:465
- 「完了」をタップ
これで設定完了です。
Android(Gmail アプリ)での設定方法
Android端末のGmailアプリでドコモメールを使う方法です。
設定手順
Step 1:アカウント追加
- Gmailアプリを起動
- 右上のプロフィールアイコンをタップ
- 「別のアカウントを追加」をタップ
- 「その他」を選択
- メールアドレス(xxxxx@docomo.ne.jp)を入力
- 「次へ」をタップ
Step 2:アカウント種類を選択
「個人用(IMAP)」を選択してタップ
Step 3:パスワード入力
IMAP専用パスワードを入力して「次へ」
Step 4:受信サーバー設定
以下の情報を入力:
- ユーザー名:dアカウントID
- パスワード:IMAP専用パスワード
- サーバー:imap.spmode.ne.jp
- ポート:993
- セキュリティの種類:SSL/TLS
「次へ」をタップ
Step 5:送信サーバー設定
以下の情報を入力:
- ユーザー名:dアカウントID
- パスワード:IMAP専用パスワード
- SMTPサーバー:smtp.spmode.ne.jp
- ポート:465
- セキュリティの種類:SSL/TLS
「次へ」をタップ
Step 6:オプション設定
- 同期頻度:お好みで設定(15分ごと推奨)
- メール着信通知:オンにする
Step 7:アカウント名設定
送信者名を入力して「次へ」
設定完了です。
パソコン(Outlook)での設定方法
Windows PCのOutlookでドコモメールを使う方法です。
Outlook 2019/2021/Microsoft 365の場合
手順:
- Outlookを起動
- 「ファイル」→「アカウントの追加」
- メールアドレスを入力して「接続」
- 「IMAP」を選択
- IMAP専用パスワードを入力
詳細設定:
自動設定がうまくいかない場合は手動設定:
- 受信メール:imap.spmode.ne.jp(ポート993、SSL/TLS)
- 送信メール:smtp.spmode.ne.jp(ポート465、SSL/TLS)
- ユーザー名:dアカウントID
- パスワード:IMAP専用パスワード
パソコン(Thunderbird)での設定方法
無料メールソフトThunderbirdでの設定方法です。
設定手順
- Thunderbirdを起動
- 「アカウント設定」→「メールアカウントを追加」
- 以下を入力:
- あなたの名前:送信者名
- メールアドレス:xxxxx@docomo.ne.jp
- パスワード:IMAP専用パスワード
- 「手動設定」をクリック
- 受信サーバー設定:
- プロトコル:IMAP
- サーバー:imap.spmode.ne.jp
- ポート:993
- SSL:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
- 送信サーバー設定:
- サーバー:smtp.spmode.ne.jp
- ポート:465
- SSL:SSL/TLS
- 認証方式:通常のパスワード認証
- ユーザー名:dアカウントID(両方)
- 「完了」をクリック
複数デバイスでの利用例
IMAPの最大のメリットは、複数デバイスでメールが同期されることです。
同期される内容
自動的に反映される操作:
- メールの既読・未読状態
- メールの削除
- フォルダ間の移動
- フラグ(重要マーク)
実際の使用例:
朝、iPhoneで10通のメールを確認(既読)
→ 昼、パソコンのOutlookを開くと、同じ10通が既読になっている
→ 夕方、不要なメール5通をiPhoneで削除
→ 次にパソコンを開いたとき、その5通は表示されない
おすすめの使い方
場面別の使い分け:
- 外出先:iPhoneで素早くチェック
- オフィス:パソコンで詳細確認・長文返信
- 自宅:タブレットでゆっくり読む
すべてのデバイスで同じメールボックスを見られるので、どこで作業を中断しても続きから再開できます。
トラブルシューティング
メールが受信できない
原因1:IMAP専用パスワードが未設定
対処法:My docomoからIMAP専用パスワードを発行してください。
原因2:dアカウント利用設定がオフ
対処法:My docomoで「dアカウント利用設定」を「利用する」に変更してください。
原因3:サーバー情報の入力ミス
対処法:以下を再確認:
- 受信サーバー:imap.spmode.ne.jp
- 送信サーバー:smtp.spmode.ne.jp
- ポート番号:993(受信)、465(送信)
- ユーザー名:dアカウントID(メールアドレスではない)
メールが送信できない
原因1:送信ポート番号が古い
対処法:ポート番号を465に変更してください。587や25は使えません。
原因2:認証設定が無効
対処法:送信サーバーで「認証が必要」をオンにしてください。
原因3:SSL/TLS設定が無効
対処法:セキュリティの種類を「SSL/TLS」に設定してください。
「サーバーに接続できません」エラー
原因1:TLSバージョンが古い
ドコモメールはTLS1.2のみ対応しています。
対処法:OSやメールアプリを最新版にアップデートしてください。
原因2:ネットワーク制限
会社や学校のネットワークでポートがブロックされている可能性があります。
対処法:別のネットワーク(モバイルデータ通信など)で試してください。
パスワードエラーが出る
原因:dアカウントパスワードを入力している
IMAP接続では、dアカウントパスワードは使えません。
対処法:必ず「IMAP専用パスワード」を使用してください。
パスワードをコピー&ペーストすると、余計な空白が入ることがあるので注意が必要です。
認証ダイアログが繰り返し表示される
原因:パスワードが保存されていない
対処法:
- 設定を一度削除
- 最初から設定をやり直す
- パスワード保存のチェックボックスを確認
一部のメールが表示されない
原因:フォルダ設定の問題
IMAPではサーバー上のフォルダ構造がそのまま反映されます。
対処法:
- メールアプリで「すべてのフォルダを表示」を有効化
- ドコモメールアプリまたはブラウザ版で確認
セキュリティと注意点
海外からのアクセス制限
IMAP専用パスワード未設定の状態で海外からアクセスすると、自動的にブロックされます。
対処法:
海外旅行前に必ずIMAP専用パスワードを設定しておいてください。
ログイン通知機能
普段と違う場所やプロバイダからログインすると、SMSで通知が届きます。
身に覚えがない通知が来たら:
- すぐにパスワードを変更(IMAP専用パスワードを再発行)
- 不審なアクセスがないか確認
- 必要に応じてdアカウントのパスワードも変更
VPNアプリ使用時の注意
一部のVPNアプリでは、海外サーバー経由の通信になるため、海外アクセスとして検出されることがあります。
この場合、IMAP専用パスワードの設定が必須です。
IMAPとPOP3の違い
メール受信には、IMAPの他にPOP3というプロトコルもあります。
比較表
| 項目 | IMAP | POP3 |
|---|---|---|
| メールの保存場所 | サーバー | 端末 |
| 複数デバイス対応 | ○ | △ |
| 既読状態の同期 | ○ | × |
| ストレージ消費 | 少ない | 多い |
| オフライン閲覧 | 限定的 | 完全対応 |
| サーバー容量 | 制限あり | 端末依存 |
ドコモメールの場合:
ドコモメールはIMAPのみ対応しており、POP3は使用できません。
よくある質問
Q1:ドコモメールアプリとIMAP接続は併用できますか?
できます。Android端末でドコモメールアプリとGmailアプリの両方にドコモメールを設定しても問題ありません。
Q2:IMAP専用パスワードは変更できますか?
ランダム生成のため、ユーザー自身で文字列を指定することはできません。ただし、再発行することで新しいパスワードに変更できます。
Q3:ドコモを解約したらIMAPは使えなくなりますか?
はい。ドコモメールは契約者専用のサービスなので、解約と同時に利用できなくなります。
ただし、「ドコモメール持ち運び」サービス(月額330円)を利用すれば、解約後も継続利用できます。
Q4:デコメールはIMAPで使えますか?
IMAPではテキスト形式またはHTML形式のみ対応しており、ドコモメールアプリ専用のデコメール機能は使えません。
Q5:家族のメールを自分のスマホで受信できますか?
できません。ドコモメールは1回線につき1つのメールアドレスが割り当てられ、本人のみ使用できます。
Q6:Wi-Fiでも送受信できますか?
できます。IMAPは通常のインターネット通信を使用するため、Wi-Fi環境でも問題なく利用できます。
まとめ
ドコモメールのIMAP接続は、複数デバイスでメールを同期できる便利な機能です。
重要なポイント:
- IMAPはメールをサーバーで管理する仕組み
- IMAP専用パスワードの設定が必須
- dアカウント利用設定を「利用する」にする必要がある
- 受信:imap.spmode.ne.jp(ポート993)
- 送信:smtp.spmode.ne.jp(ポート465)
- セキュリティはSSL/TLS(TLS1.2)が必須
設定の基本:
受信サーバー:imap.spmode.ne.jp
送信サーバー:smtp.spmode.ne.jp
ユーザー名:dアカウントID
パスワード:IMAP専用パスワード
こんな人におすすめ:
- iPhoneでドコモメールを使いたい
- パソコンからもメールをチェックしたい
- 複数のデバイスでメールを管理したい
- 自分の好きなメールアプリを使いたい
設定は少し手間がかかりますが、一度設定すれば、どのデバイスからでも同じメールボックスにアクセスできて非常に便利です。
この記事の手順に従って、ぜひドコモメールのIMAP接続を設定してみてください。


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