朝、パソコンを開いてOutlookを起動しようとしたら、いつまで経っても開かない…。
急ぎのメールを確認したいのに、画面が真っ白で固まったまま。こんな経験、ありませんか?Outlookが起動しない、動作が異常に遅い、頻繁にフリーズする。仕事で毎日使うメールソフトだからこそ、こうしたトラブルは本当に困りますよね。
そんなとき、まず試してほしいのが「セーフモード」での起動です。
セーフモードとは、Outlookを必要最低限の機能だけで起動する特別なモードのこと。アドイン(追加機能)や複雑な設定を一時的に無効にして、問題の原因を見つけやすくする診断ツールなんです。
この記事では、Outlookをセーフモードで起動する具体的な方法を2つ紹介します。どちらも簡単で、パソコンの知識があまりなくても大丈夫。画面の指示に従って操作すれば、すぐに試せます。
トラブルで困っているあなた、まずはこの方法を試してみましょう!
Outlookのセーフモードとは?

セーフモードは、Outlookを「必要最小限の状態」で起動する特別な起動方法です。
普段Outlookを使うとき、実はたくさんの追加機能やカスタマイズ設定が一緒に読み込まれています。便利な機能を追加するアドイン、見やすくするための表示設定、作業を自動化するマクロなど。これらは通常は便利なのですが、ときには不具合の原因になってしまうことがあります。
セーフモードで無効になるもの
セーフモードで起動すると、以下の機能が一時的に無効になります:
無効になる主な機能
- アドイン(追加機能プログラム)
- カスタマイズしたツールバーや表示設定
- 自動実行されるマクロ
- 一部の拡張機能
- カスタムビュー設定
でも心配しないでください。セーフモードで起動しても、メールの送受信は普通にできます。連絡先や予定表も見られますし、大事なデータが消えることもありません。
セーフモードが役立つ場面
こんな症状が出たら、セーフモードを試してみる価値があります:
Outlookが起動しない
アイコンをクリックしても画面が表示されない、または一瞬開いてすぐに消えてしまう。「Microsoftアプリケーションを正しく起動できませんでした」というエラーが表示される場合もあります。
フリーズして応答なしになる
Outlookは開くけれど、メールをクリックしたりフォルダーを切り替えたりすると固まってしまう。タイトルバーに「応答なし」と表示され、操作を受け付けなくなります。
動作が異常に遅い
以前はサクサク動いていたのに、突然重くなった。メールの読み込みに時間がかかる、画面の切り替えが遅い。最近アドインを追加した後にこの症状が出た場合は、そのアドインが原因かもしれません。
頻繁にクラッシュする
作業中に何度も突然終了してしまう。エラーメッセージが表示されることもあれば、何も表示されずに閉じてしまうこともあります。
送信トレイにメールが残って送信されない
メールを送信しようとしても、送信トレイに残ったまま送られない。この場合もセーフモードで起動することで解決できる可能性があります。
セーフモードで問題なく起動できれば、原因は追加した機能や設定にあると判断できます。逆に、セーフモードでも起動しない場合は、Outlook本体やデータファイルに問題がある可能性が高いです。
【方法1】Ctrlキーを押しながら起動する
一番簡単で覚えやすい方法です。特別なコマンドを覚える必要もなく、普段の起動操作にちょっと一手間加えるだけ。
具体的な手順
ステップ1:Outlookのアイコンを見つける
まず、普段Outlookを起動するときに使っているアイコンを探しましょう。
- デスクトップにあるOutlookのショートカット
- タスクバーに固定しているOutlookのアイコン
- スタートメニューのアプリ一覧の中のOutlook
どこにあっても構いません。普段使っている場所のアイコンでOKです。
ステップ2:Ctrlキーを押す
キーボードの「Ctrl」キー(コントロールキー)を探してください。通常は、キーボードの左下と右下の両方にあります。
どちらか片方のCtrlキーを指で押さえたままにしてください。
重要なポイント:このCtrlキーは、次の確認メッセージが画面に表示されるまで、ずっと押し続けてください。途中で離すと失敗してしまいます。
ステップ3:Ctrlキーを押したままOutlookをクリック
Ctrlキーを押し続けたまま、ステップ1で見つけたOutlookのアイコンをダブルクリック(またはクリック)します。
- デスクトップのアイコンの場合:ダブルクリック
- タスクバーのアイコンの場合:クリック
- スタートメニューから検索して起動する場合:Enterキーを押す瞬間もCtrlキーを押したまま
クリックした後も、まだCtrlキーは押し続けてくださいね。
ステップ4:確認メッセージで「はい」をクリック
しばらくすると、こんなメッセージが表示されます:
「Ctrlキーが押されたままになっています。Outlookをセーフモードで起動しますか?」
ここでやっとCtrlキーを離してOKです。そして「はい」ボタンをクリックしましょう。
ステップ5:プロファイルを選択(表示された場合のみ)
「プロファイルの選択」という画面が表示されることがあります。
これは複数のメールアカウントを使っている場合に出てくる画面です。普段使っているプロファイル(基本的には最初から選択されているもの)を選んで「OK」をクリックしてください。
プロファイルが1つしかない場合は、この画面は表示されません。
ステップ6:セーフモードで起動したことを確認
Outlookが開いたら、画面上部のタイトルバーを見てください。
通常は「Outlook」とだけ表示されていますが、セーフモードで起動すると「Outlook(セーフモード)」と表示されます。
この表示があれば、セーフモードでの起動に成功しています!
この方法がうまくいかない場合
Ctrlキーを押すタイミングが早すぎたり、押し続ける時間が短かったりすると、確認メッセージが表示されないことがあります。
そんなときは、もう一度最初から試してみてください。Ctrlキーは確認メッセージが出るまで、しっかり押し続けることがコツです。
何度試してもうまくいかない場合は、次に紹介する「方法2」を試してみましょう。
【方法2】「ファイル名を指定して実行」から起動する
こちらは、Windowsのコマンド機能を使った方法です。Ctrlキーの方法がうまくいかないときや、毎回セーフモードで起動したい場合に便利です。
具体的な手順
ステップ1:「ファイル名を指定して実行」を開く
Windowsの便利な機能「ファイル名を指定して実行」を開きます。開き方は2つあります:
方法A:ショートカットキーを使う(おすすめ)
キーボードで「Windows」キー + 「R」キーを同時に押します。
- Windowsキー:キーボードの左下あたりにある、Windowsのロゴマークが描かれたキー
- Rキー:アルファベットのR
方法B:スタートボタンから開く
- 画面左下の「スタート」ボタンを右クリック
- メニューから「ファイル名を指定して実行」を選択
どちらの方法でも、小さなウィンドウが画面に表示されます。
ステップ2:コマンドを入力する
「名前」と書かれたテキストボックスに、以下のコマンドを正確に入力してください:
outlook.exe /safe
入力のポイント
- 「outlook.exe」と「/safe」の間には、必ず半角スペースを1つ入れてください
- すべて半角文字で入力します
- 大文字・小文字はどちらでも構いません(outlookでもOUTLOOKでもOK)
ステップ3:OKをクリック
コマンドを入力したら「OK」ボタンをクリックします。
すると、Outlookがセーフモードで起動します。プロファイル選択の画面が出た場合は、使用するプロファイルを選んで「OK」をクリックしてください。
コマンドが見つからないと言われた場合
「Windowsはoutlook.exe /safeを見つけることができません」というエラーが出ることがあります。
これは、Outlookがインストールされている場所を正確に指定する必要があるという意味です。その場合は、以下のように完全なパス(場所)を指定してください:
Microsoft 365またはOffice 2019/2021の場合
"C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\outlook.exe" /safe
64ビット版Windowsで32ビット版Officeを使っている場合
"C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16\outlook.exe" /safe
パスの前後にある「”」(ダブルクォーテーション)も忘れずに入力してくださいね。
セーフモードを解除する方法
セーフモードの解除方法は、とても簡単です。
セーフモードで起動したOutlookを終了して、もう一度普通に起動するだけ。
それだけで、次回からは通常モード(すべての機能が有効な状態)で起動します。セーフモードは、あくまで一時的な起動方法なので、特別な解除操作は必要ありません。
解除の具体的な手順
- セーフモードで起動しているOutlookを閉じます(右上の×ボタンをクリック)
- もう一度、普通にOutlookのアイコンをクリックして起動します(今度はCtrlキーは押しません)
- タイトルバーを確認して、「(セーフモード)」の表示がなければ、通常モードで起動しています
これで解除完了です。アドインや設定も元通りに戻ります。
セーフモードから戻らない場合
まれに、何度起動してもセーフモードのままになってしまうことがあります。これは、Outlookが「毎回セーフモードで起動する」という設定になってしまっている可能性があります。
対処方法:
- 「ファイル名を指定して実行」を開きます(Windowsキー + R)
- 以下のコマンドを入力して実行:
outlook.exe /resetnavpane
- これでOutlookが起動したら、一度閉じて、もう一度普通に起動してみてください
それでも解決しない場合は、Officeの修復機能を使う必要があるかもしれません。
セーフモードで起動できたら次にすること
セーフモードで正常に起動できた場合、問題の原因は「アドイン」にある可能性が高いです。
アドインとは、Outlookに追加した便利機能のこと。スケジュール管理ツール、メール追跡機能、翻訳ツールなど、いろいろな種類があります。便利な反面、互換性の問題や不具合で、Outlookの起動を妨げることがあるんです。
アドインを確認・無効化する手順
セーフモードでOutlookを起動した状態で、以下の手順を実行してください。
ステップ1:オプション画面を開く
- Outlookの画面左上にある「ファイル」タブをクリック
- 左側のメニューから「オプション」を選択します
ステップ2:アドイン管理画面を開く
- 「Outlookのオプション」ウィンドウが開いたら、左側のメニューから「アドイン」をクリック
- 画面の下の方に「管理」というドロップダウンメニューがあります
- そのメニューで「COMアドイン」が選ばれていることを確認して、右側の「設定」ボタンをクリックします
ステップ3:現在有効なアドインを確認
「COMアドイン」ウィンドウが開き、現在インストールされているアドインの一覧が表示されます。
チェックが入っているものが、現在有効になっているアドインです。念のため、どのアドインが有効だったか、メモを取っておくか、スクリーンショットを撮っておきましょう。
ステップ4:すべてのアドインを無効にする
- すべてのチェックボックスを外します
- 「OK」をクリックして設定を保存
- Outlookを一度終了します
ステップ5:通常モードで起動を確認
もう一度、普通にOutlookを起動してみてください(Ctrlキーは押しません)。
問題なく起動できれば、原因は間違いなくアドインにあります。
ステップ6:原因のアドインを特定する
どのアドインが問題を起こしているのか、1つずつ有効に戻して確認します。
- 「ファイル」→「オプション」→「アドイン」→「COMアドイン」の「設定」を開きます
- アドインを1つだけ有効にします(チェックを入れる)
- 「OK」をクリックしてOutlookを再起動
- 問題なく起動するか確認します
- 問題がなければ、次のアドインを有効にして同じことを繰り返します
この作業を繰り返していくと、ある特定のアドインを有効にしたときだけOutlookが起動しなくなるはずです。それが原因のアドインです。
ステップ7:問題のアドインへの対応
原因のアドインが見つかったら、以下の対応を検討してください:
- そのアドインを無効のままにしておく
- アドインの開発元のサイトで、最新版にアップデートできないか確認する
- 代わりになる別のアドインがないか探す
セーフモードでも起動しない場合の対処法

セーフモードで起動しても問題が解決しない場合は、アドイン以外に原因があります。
対処法1:Officeを修復する
OutlookはOfficeの一部なので、Office全体の修復機能を使うことで問題が解決することがあります。
Windows 11の場合:
- 「設定」を開く(Windowsキー + I)
- 「アプリ」→「インストールされているアプリ」に進みます
- 一覧から「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を見つけます
- 右側の「…」(その他のオプション)をクリックして「変更」を選択
- 「クイック修復」を選択して「修復」ボタンをクリック
- 問題が解決しない場合は、同じ手順で「オンライン修復」を試してください
Windows 10の場合:
- 「スタート」→「設定」→「アプリ」→「アプリと機能」
- 一覧から「Microsoft Office」を見つけてクリック
- 「変更」をクリック
- 「クイック修復」を選択して「修復」をクリックします
対処法2:新しいプロファイルを作成する
Outlookのプロファイル(メールアカウント情報や設定をまとめたファイル)が破損している可能性があります。
プロファイル作成の手順:
- 「コントロールパネル」を開きます
- 「メール(Microsoft Outlook)」または「Mail」をクリック
- 「プロファイルの表示」をクリック
- 「追加」ボタンをクリックして新しいプロファイル名を入力
- メールアカウント情報を入力して設定します
- 「常に使用するプロファイル」で新しいプロファイルを選択
対処法3:データファイルの場所を確認する
メールや連絡先などが保存されているデータファイル(ostファイルまたはpstファイル)が正しい場所にないと、Outlookが起動できないことがあります。
確認方法:
データファイルは通常、以下の場所にあります:
C:\Users\ユーザー名\Documents\Outlookファイル
または
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook
ファイルが移動していないか確認してください。
よくある質問
Q1:セーフモードでもメールの送受信はできますか?
はい、できます。セーフモードは追加機能を無効にするだけで、メールの基本機能は使えます。メールの送受信、閲覧、返信、新規作成など、通常の操作はすべて可能です。
Q2:セーフモードで起動すると設定が消えますか?
いいえ、消えません。セーフモードは設定を「一時的に無効にしている」だけです。通常モードで起動すれば、すべての設定やカスタマイズは元に戻ります。データも消えることはありませんので安心してください。
Q3:新しいOutlook(Outlook for Windows)でもセーフモードは使えますか?
現時点では、新しいOutlook(Outlook for Windows)はセーフモードに対応していません。セーフモード機能は、従来のOutlook(クラシック版)でのみ利用できます。
Q4:毎回セーフモードで起動するのは面倒です
原因を特定したら、すぐに通常モードで使えるようにしましょう。問題のアドインを無効にするか、Officeの修復を実行することで、通常モードで正常に起動できるようになるはずです。
Q5:セーフモードで起動する前にバックアップは必要ですか?
セーフモード自体はデータを変更したり削除したりする操作ではないので、バックアップは必須ではありません。ただし、念のため定期的にデータファイルのバックアップを取る習慣をつけておくことをおすすめします。
まとめ
Outlookが起動しない、動作が重い、頻繁にフリーズする。こうした問題が起きたとき、セーフモードは最初に試すべき診断ツールです。
この記事で紹介した2つの方法をおさらいしましょう:
方法1:Ctrlキーを使う方法
- Ctrlキーを押しながらOutlookのアイコンをクリック
- 確認メッセージで「はい」を選択
- 一番簡単で覚えやすい
方法2:ファイル名を指定して実行
- Windowsキー + Rで実行画面を開く
- 「outlook.exe /safe」と入力
- 確実に起動できる方法
セーフモードで正常に起動できれば、原因はアドインや設定にあります。1つずつアドインを確認して、問題の原因を特定しましょう。
セーフモードでも起動しない場合は、Officeの修復や新しいプロファイルの作成を試してください。
大切なポイント:
- セーフモードは診断ツールで、一時的な解決策です
- 通常モードで起動できるように、根本原因を解決することが重要です
- メールデータが消えることはないので安心してください
Outlookのトラブルは、仕事の効率を大きく下げてしまいます。でも、正しい手順を知っていれば、慌てずに対処できます。
この記事の方法を試して、快適なメール環境を取り戻しましょう!

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