「Slackの請求書に『クレジットポイント』って書いてあるけど、これって何?」
「使っていないメンバーの料金が返ってくるって本当?」
Slackを有料プランで使っていると、請求明細に「Slack クレジットポイント」という項目を目にすることがあります。
実は、このクレジットポイント制度こそが、Slackが他のビジネスツールと一線を画す「フェアビリングポリシー(公正な課金制度)」の核心部分なんです。
簡単に言えば、使っていないメンバーの料金を自動的に返してくれるという、利用者にとって非常にお得な仕組み。
この記事では、Slackクレジットポイントの仕組みから計算方法、確認方法、そして注意点まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。無駄なコストを削減して、Slackをもっとお得に使いましょう!
Slackクレジットポイントとは?

一言で言うと
Slackクレジットポイントとは、非アクティブ(使っていない)メンバーの料金を日割り計算で返金してくれるポイントのことです。
正確には「返金」というより、次回の支払いに充当される「クレジット(信用供与)」という形で戻ってきます。
なぜこんな制度があるの?
一般的なビジネスソフトウェアでは、契約したユーザー数に対して一律で料金が発生します。実際に使っているかどうかは関係ありません。
例えば:
- 10人分のライセンスを契約
- 実際に使っているのは7人だけ
- でも10人分の料金を支払う
これって、ちょっと不公平ですよね。
Slackは「実際に使っている人の分だけ請求するべき」という考え方に基づいて、フェアビリングポリシー(Fair Billing Policy)という制度を2014年から導入しています。
この制度の中核が、Slackクレジットポイントなのです。
フェアビリングポリシーの仕組み
Slackのフェアビリングポリシーは、大きく3つの柱で成り立っています。
柱1:アクティブメンバーのみ課金
Slackでは、アクティブに使用しているメンバーのみが請求対象となります。
アクティブとは?
過去28日間(約4週間)のうちに、以下のいずれかのアクションを実行したメンバーです:
- メッセージを送信
- チャンネルに参加
- ファイルをアップロード
- リアクション(絵文字など)を追加
- 通話に参加
- Slackアプリを開いた
逆に言えば、28日間何もアクションがなければ「非アクティブ」と判定されます。
柱2:自動検知と自動返金
Slackは毎晩、全アカウントをスキャンして非アクティブメンバーを自動的に検知します。
非アクティブと判定されたメンバーがいると:
- そのメンバーの未使用期間を計算
- 日割りでクレジットポイントを算出
- 自動的にアカウントに付与
手動で申請する必要は一切ありません。完全自動です。
柱3:次回支払いに自動適用
付与されたクレジットポイントは、次のタイミングで自動的に支払いに充当されます:
- 新しいメンバーを追加した時
- 次回の契約更新時
- 月払いの場合は次月の請求
- 年払いの場合は次回更新時
クレジットポイントの計算方法
実際にどれくらいのクレジットポイントがもらえるのか、具体例で見ていきましょう。
基本的な計算式
クレジットポイント = (1人あたりの月額料金 ÷ その月の日数) × 未使用の日数
計算例1:月払いプロプランの場合
条件:
- プロプランを月払いで契約
- 1人あたり月額8.75ドル
- 請求期間:30日間
- ある メンバーが15日目に非アクティブになった
- 残り日数:15日
計算:
(8.75ドル ÷ 30日) × 15日 = 4.38ドル
このメンバーについて、4.38ドルのクレジットポイントが付与されます。
計算例2:複数メンバーが非アクティブの場合
条件:
- 同じプロプラン月払い
- メンバーA:10日目に非アクティブ(残20日)
- メンバーB:20日目に非アクティブ(残10日)
メンバーAのクレジット:
(8.75ドル ÷ 30日) × 20日 = 5.83ドル
メンバーBのクレジット:
(8.75ドル ÷ 30日) × 10日 = 2.92ドル
合計クレジット:5.83 + 2.92 = 8.75ドル
つまり、ちょうど1人分の月額料金が返ってくる計算です。
計算例3:新メンバー追加の日割り計算
逆に、月の途中で新メンバーを追加した場合も日割り計算されます。
条件:
- 請求期間30日のうち、10日目に新メンバー追加
- 残り日数:20日
追加料金:
(8.75ドル ÷ 30日) × 20日 = 5.83ドル
月の途中からの参加なので、残り日数分だけの請求になります。
クレジットポイントの適用タイミング
付与されたクレジットポイントは、いつ使われるのでしょうか?
月払いの場合
次月の請求時に自動適用
例えば:
- 1月に5ドルのクレジットポイントが付与された
- 2月の請求額が100ドルだった
- 実際の支払い額:95ドル(100ドル – 5ドル)
請求書には、クレジットポイント分がマイナスとして表示されます。
年払いの場合
新メンバー追加時または次回更新時に適用
年払いの場合、通常は年に1回しか請求が発生しません。そのため:
パターンA:年の途中で新メンバー追加
- 月末に新メンバー分の請求が発生
- その際にクレジットポイントが自動適用
パターンB:次回の年間契約更新時
- 契約更新のタイミングでクレジットが適用
- 1年間で貯まったクレジットがまとめて使われる
インボイス払いの場合
年払いでインボイス(請求書払い)を選択している場合:
- 四半期ごとに追加メンバーの請求
- その際にクレジットポイントが適用
クレジットポイントの重要な注意事項

便利なクレジットポイントですが、いくつか重要な制限があります。
注意1:現金化・譲渡は不可
クレジットポイントは、あくまでもSlackの支払いにしか使えません。
- 現金に交換できない
- 他のワークスペースに譲渡できない
- 第三者に売却できない
- 通貨としての価値はない
注意2:返金不可
クレジットポイントは「返金」ではなく「クレジット(信用供与)」です。
- 現金として返してもらえない
- 銀行口座への振込はない
- クレジットカードへの返金もない
次回の支払いに充当される形のみです。
注意3:有料プラン終了で失効
ワークスペースをダウングレードまたは解約すると、クレジットポイントは失効します。
例えば:
- 50ドルのクレジットポイントが貯まっている
- 有料プランを解約してフリープランにダウングレード
- その時点で50ドル分のクレジットは消滅
もったいないので、ダウングレード前にクレジットを使い切る方法を考えましょう。
注意4:フリープランでのクレジットは90日で失効
フリープランで発生したクレジットポイント(稀なケースですが)は、90日以内に有料プランにアップグレードしないと失効します。
注意5:最低1人分の料金は必須
すべてのメンバーが非アクティブになった場合でも、最低1人分の料金は請求されます。
誰も使っていない状態を維持したくない場合は、フリープランにダウングレードする必要があります。
クレジットポイントを確認する方法
自分のワークスペースにどれくらいのクレジットポイントがあるか確認してみましょう。
確認手順(管理者のみ)
ステップ1:請求管理画面を開く
- Slackデスクトップアプリまたはブラウザ版を開く
- 画面左上のワークスペース名をクリック
- 「設定と管理」にカーソルを合わせる
- 「請求を管理する」を選択
ステップ2:請求概要を確認
- 「概要」タブを開く
- 画面に現在の請求情報が表示される
- クレジットポイントがある場合、残高が表示される
ステップ3:請求履歴を確認
- 「請求履歴」タブを開く
- 過去の請求書がリスト表示される
- 各請求書をクリックして詳細を確認
- クレジットポイントの適用状況が記載されている
請求書での表示例
請求書には、以下のような形で記載されます:
請求額合計:$100.00
Slackクレジットポイント:-$15.00
お支払い額:$85.00
マイナス表示されているのがクレジットポイントです。
一般メンバーは確認できる?
残念ながら、請求情報を確認できるのは管理者権限を持つメンバーのみです。
一般メンバーには表示されません。気になる場合は、ワークスペースの管理者に確認しましょう。
フェアビリングポリシーのメリット
Slackのクレジットポイント制度には、多くのメリットがあります。
メリット1:コストの無駄を削減
最大のメリットは、やはり無駄なコストがかからないこと。
よくあるシナリオ:
- 社員が退職した
- 産休・育休に入った
- 異動でSlackを使わなくなった
- 契約したけど結局使わなかった
こういった場合、他のツールでは契約したユーザー数分をずっと払い続けます。
Slackなら、非アクティブになった時点で自動的にクレジットが返ってきます。
メリット2:手間がかからない
クレジットポイントの付与は完全自動です。
- 毎晩自動スキャン
- 自動計算
- 自動付与
- 自動適用
管理者が手動で「このユーザーを削除して返金申請」という作業は一切不要です。
メリット3:気軽にメンバーを追加できる
「もしかしたら使わないかもしれない」というメンバーも、気軽に招待できます。
実際に使わなければ自動的にクレジットが返ってくるので、損をすることがありません。
これがSlackの「ボトムアップ成長(現場主導の導入)」を支える重要な要素になっています。
メリット4:予算管理がしやすい
日割り計算なので、予想外の大きな出費が発生しにくいです。
- 月の途中で追加しても日割り請求
- 途中で不要になっても日割りでクレジット
- 透明性の高い課金システム
経理部門や予算担当者にとっても説明しやすい仕組みです。
よくあるケースとクレジットポイント
実際のビジネスシーンで、どんな時にクレジットポイントがもらえるのか見てみましょう。
ケース1:社員の退職
状況:
メンバーAさんが月の半ばに退職。Slackアカウントは即座に非アクティブ化。
結果:
退職日から月末までの日数分、クレジットポイントが付与される。
対応:
特に何もしなくてOK。自動的に処理される。
ケース2:産休・育休
状況:
メンバーBさんが産休に入る。3ヶ月間Slackを使わない予定。
結果:
28日間アクティビティがなければ自動的に非アクティブ判定され、その後の期間分クレジットポイントが付与され続ける。
対応:
アカウントは残したまま、自動的にクレジットが貯まる。復帰後、すぐに使える。
ケース3:季節労働者
状況:
繁忙期のみSlackを使うパートタイマー。オフシーズンはログインしない。
結果:
使わない期間は自動的に非アクティブ判定され、クレジットが付与される。
対応:
シーズンが来たらまた使えばOK。使わない期間は実質無料。
ケース4:トライアル的に招待
状況:
「とりあえず使ってみて」と新規メンバーを招待。結局あまり使わなかった。
結果:
28日間活動がなければ非アクティブ判定。未使用期間分のクレジットが戻る。
対応:
損はしないので、気軽に試してもらえる。
クレジットポイントを最大限活用する方法
せっかくの制度、しっかり活用しましょう。
活用法1:定期的にメンバーリストを確認
月に1回程度、メンバーリストをチェックする習慣をつけましょう。
確認ポイント:
- 退職した人のアカウントが残っていないか
- 長期間使っていない人はいないか
- ゲストアカウントで不要なものはないか
不要なアカウントは削除することで、より早くクレジットが付与されます。
活用法2:ゲストアカウントを活用
外部の協力者には、フルメンバーではなくゲストアカウントを使いましょう。
ゲストアカウントの特徴:
- シングルチャンネルゲスト:1つのチャンネルのみアクセス可能
- マルチチャンネルゲスト:複数チャンネルにアクセス可能
- 非アクティブになったら同様にクレジットが付与される
プロジェクト単位での参加者には、ゲストアカウントがコスト効率的です。
活用法3:シングルチャンネルゲストは実質無料
実は、シングルチャンネルゲストは課金対象外です。
何人招待しても追加料金はかかりません。
外部パートナーや臨時の協力者には、積極的にシングルチャンネルゲストを使いましょう。
活用法4:ダウングレード前に新メンバー追加
有料プランからフリープランにダウングレードする予定がある場合:
- ダウングレード前に貯まったクレジットを確認
- 必要に応じて新メンバーを追加(クレジットで相殺)
- クレジットを使い切ってからダウングレード
こうすれば、クレジットを無駄にせずに済みます。
他のツールとの比較
Slackのフェアビリングポリシーは、業界でもユニークな制度です。
Microsoft Teams
課金方式:
Microsoft 365またはOffice 365のライセンス単位。
特徴:
- ユーザー単位の月額・年額課金
- 使っても使わなくても一律料金
- 返金制度なし
Chatwork
課金方式:
ユーザー数×月額料金。
特徴:
- 契約ユーザー数に対して課金
- 使用状況に関係なく一律
- 途中解約でも返金なし
Google Chat(Google Workspace)
課金方式:
Google Workspaceのライセンス単位。
特徴:
- ユーザー単位の課金
- 年間契約の場合、途中解約でも返金なし
- 柔軟な日割り計算はなし
Slack の優位性
Slackのフェアビリングポリシーは:
- 実際の使用状況に基づく課金
- 自動的なクレジット付与
- 完全透明な計算方法
これらの点で、他のツールより圧倒的に柔軟で公正です。
よくある質問と回答

Q1:クレジットポイントはいつ付与されますか?
A:毎晩、全アカウントがスキャンされ、非アクティブメンバーが検知されると自動的に付与されます。
通常、非アクティブと判定されてから数日以内にクレジットがアカウントに反映されます。
Q2:一度非アクティブになったメンバーが再度アクティブになったら?
A:問題ありません。
再度Slackを使い始めたら、自動的にアクティブメンバーとして課金が再開されます。その際、再招待の必要はありません。
Q3:クレジットポイントに有効期限はありますか?
A:基本的にはありません。
ただし、有料プランを解約・ダウングレードすると失効します。また、フリープランで発生したクレジットは90日で失効します。
Q4:複数のワークスペースを持っています。クレジットは共有できますか?
A:できません。
クレジットポイントは、ワークスペースごとに独立しています。ワークスペースAのクレジットをワークスペースBの支払いに使うことはできません。
Q5:年払いと月払い、どちらがお得ですか?
A:年払いの方がお得です。
月払いと比較して、年払いは約12〜15%の割引があります。ただし、メンバー数の変動が大きい場合は、月払いの方が柔軟かもしれません。
Q6:クレジットポイントが思ったより少ないのですが
A:以下を確認してください:
- そのメンバーが本当に非アクティブか(28日間未使用)
- 非アクティブになったタイミング(日割り計算)
- 請求期間内の日数
計算は日割りなので、月末近くに非アクティブになった場合、クレジット額は少なくなります。
Q7:紹介プログラムのクレジットとは違うのですか?
A:はい、別物です。
Slackには紹介プログラムもあり、友人を招待すると100ドル分のクレジットがもらえることがあります(時期によって異なる)。
これとフェアビリングポリシーのクレジットポイントは別の制度です。
Q8:クレジットがあるのに新メンバーの追加時に請求されました
A:正常な動作です。
新メンバーの追加時には、まず通常通り課金されます。その後、次回の請求時にクレジットポイントが自動的に差し引かれます。
つまり:
- 今月:新メンバー追加で課金
- 来月:クレジットポイントが適用されて割引
というタイミングになります。
まとめ:フェアビリングで賢くSlackを使おう
ここまで、Slackクレジットポイントの仕組みと活用方法を詳しく解説してきました。
重要なポイントをおさらい:
- Slackクレジットポイントは、非アクティブメンバーの料金を返金する仕組み
- フェアビリングポリシーの核心で、完全自動で処理される
- 28日間アクティビティがないと非アクティブ判定
- 日割り計算でクレジットが付与される
- 次回の支払いに自動適用される
- 現金化・譲渡は不可、有料プラン終了で失効
- 他のツールにはないSlack独自の制度
活用のコツ:
- 定期的にメンバーリストを確認
- ゲストアカウントを積極活用
- シングルチャンネルゲストは無料
- ダウングレード前にクレジットを使い切る
- 年払いの方が基本的にお得
Slackのフェアビリングポリシーの素晴らしさ:
このクレジットポイント制度は、単なる「お得な制度」以上の意味があります。
「使った分だけ払う」という当たり前のことを、完全自動で、透明性高く実現している。これこそが、Slackが多くの企業に支持される理由の一つです。
無駄なコストをかけずに、必要な時に必要なメンバーを気軽に招待できる。この柔軟性が、チームのコラボレーションを促進します。
フェアビリングポリシーを理解して、Slackをもっと賢く、もっとお得に活用していきましょう!
人分の料金は必須
- フリープランでのクレジットは90日で失効
Slackのフェアビリングポリシーとクレジットポイント制度は、「公正さ」と「利便性」を両立させた画期的な仕組みです。この制度を理解して活用することで、コストを最適化しながら、チームのコラボレーションを最大化できます。
有料プランを検討している方も、すでに使っている方も、このフェアビリングポリシーの恩恵を最大限に受けられるよう、ぜひこの記事を参考にしてください!

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