「もう一つディスプレイがあれば作業が楽なのに…」
でも、外出先で大きなモニターを持ち歩くわけにはいきません。
デスクのスペースも限られています。
新しいモニターを買うのも費用がかかります。
そんなとき、手持ちのタブレットをパソコンのサブモニターとして使えるんです。
この記事では、iPad・Androidタブレットをパソコン(Mac・Windows)のセカンドディスプレイとして活用する方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
タブレットをモニターにするメリット

まず、タブレットをサブモニターとして使うメリットを確認しましょう。
メリット1:作業効率が大幅アップ
複数の画面で同時に作業できるのが最大のメリットです。
具体例:
- メイン画面で資料作成、サブで参考資料を表示
- メイン画面でコーディング、サブで動作確認
- メイン画面でメール作成、サブでカレンダー確認
- メイン画面で動画編集、サブで素材フォルダ
ウィンドウの切り替えが減り、作業が途切れません。
メリット2:省スペース
タブレットは薄くて軽いので:
- 狭いデスクでも使える
- 使わないときは簡単に片付けられる
- 持ち運びが簡単
幅60cmの小さなデスクでも、タブレットなら問題なく設置できます。
メリット3:持ち運び可能
外出先でもサブモニター環境を構築できます。
- カフェでの作業
- 出張先のホテル
- 移動中の新幹線
- クライアント先でのプレゼン
どこでもマルチディスプレイ環境が作れます。
メリット4:追加費用がゼロまたは低コスト
すでにタブレットを持っているなら:
- 新しいモニターを買う必要なし
- 無料または低コストのアプリで実現可能
- ケーブル代だけで済む場合も
メリット5:タッチ操作が可能
タブレットならではの利点:
- 画面を直接タッチして操作できる
- Apple Pencilなどで手書き入力可能
- 直感的な操作ができる
タブレットをモニターにするデメリット
メリットばかりではありません。デメリットも理解しておきましょう。
デメリット1:設定に手間がかかる
初回セットアップには時間がかかります:
- アプリのインストールが必要
- 接続設定が必要
- 慣れるまで少し複雑
ただし、一度設定すれば次回からは簡単です。
デメリット2:専用モニターより画質が劣る場合がある
タブレットの画面サイズや解像度によっては:
- 文字が小さく感じることも
- 色の再現性が専用モニターに劣る場合も
- 視野角が狭いことも
デメリット3:バッテリー消費が早い
タブレットのバッテリーが:
- 急速に減る
- 充電しながら使う必要がある
- 有線接続なら給電できる場合も
デメリット4:遅延が発生する可能性
特に無線接続の場合:
- Wi-Fi速度に依存する
- わずかな遅延が発生することも
- 動画編集やゲームには不向きな場合も
有線接続の方が安定しています。
デメリット5:画面サイズの制限
タブレットのサイズは通常:
- 7〜13インチ程度
- 専用モニター(24インチ以上)より小さい
- 表示できる情報量が限られる
【重要】タブレットのポートについて
注意:タブレットのHDMIやUSB-Cポートは出力専用です。
つまり、HDMIケーブルを挿すだけではモニターにはなりません。
タブレットをモニター化するには:
- 専用アプリを使う
- または特殊なハードウェア(HDMIキャプチャー)が必要
接続方法の種類
タブレットをモニター化する方法は大きく2つあります。
無線接続(Wi-Fi/Bluetooth)
メリット:
- ケーブル不要で自由度が高い
- デスク周りがすっきり
- 離れた場所にも設置できる
デメリット:
- Wi-Fi環境が必要
- 遅延が発生しやすい
- Wi-Fi速度に依存(最低100Mbps推奨)
有線接続(USB-C/USB)
メリット:
- 安定した接続
- 遅延が少ない
- 充電しながら使える場合も
デメリット:
- ケーブルが必要
- 移動の自由度が低い
- ケーブルの長さに制限
【iPad + Mac】Sidecarを使う方法(無料・標準機能)
MacとiPadの組み合わせなら、Appleの標準機能「Sidecar」が最も簡単です。
Sidecarの動作条件
対応Mac:
- MacBook Pro(2016年以降)
- MacBook Air(2018年以降)
- MacBook(2016年以降)
- iMac(2017年以降、または5K 27インチ Late 2015)
- iMac Pro(全モデル)
- Mac mini(2018年以降)
- Mac Pro(2019年以降)
- Mac Studio(全モデル)
- macOS Catalina以降
対応iPad:
- iPad Pro(全モデル)
- iPad(第6世代以降)
- iPad mini(第5世代以降)
- iPad Air(第3世代以降)
- iPadOS 13以降
その他の条件:
- 同じApple IDでサインイン
- 2ファクタ認証を有効化
- Bluetooth、Wi-Fi、Handoffをオンに(無線接続の場合)
- デバイス間の距離が10m以内(無線接続の場合)
Sidecarの設定方法(無線接続)
手順:
- MacとiPadが同じApple IDでサインインしているか確認
- MacとiPadでBluetooth、Wi-Fi、Handoffをオンにする
Mac側:
- システム設定 → Bluetooth → オン
- システム設定 → Wi-Fi → オン
- システム設定 → 一般 → AirDropとHandoff → Handoffをオン
iPad側:
- 設定 → Bluetooth → オン
- 設定 → Wi-Fi → オン
- 設定 → 一般 → AirPlayとHandoff → Handoffをオン
- Macのメニューバーで画面ミラーリングアイコンをクリック
- または、コントロールセンターを開く
- 「画面ミラーリング」または「ディスプレイ」をクリック
- リストからiPadを選択
- 接続完了!iPadがMacのサブディスプレイになります
Sidecarの設定方法(有線接続)
手順:
- iPadに付属のUSBケーブルでMacに接続
- iPad側で「このコンピュータを信頼しますか?」と表示されたら「信頼」をタップ
- Macのメニューバーで画面ミラーリングアイコンをクリック
- iPadを選択
- 接続完了!
有線接続の方が安定していて、同時にiPadを充電できます。
Sidecarの表示モード変更
拡張ディスプレイとミラーリングの切り替え:
- システム設定 → ディスプレイ を開く
- 上部でiPadを選択
- 「使用目的」のドロップダウンメニューで選択:
- 拡張ディスプレイ:画面を広げる(おすすめ)
- ミラーリング:同じ画面を表示
Sidecarの便利機能
Touch Bar表示:
- MacにTouch Barがなくても、iPad画面にTouch Barが表示される
Apple Pencil対応:
- iPad上でApple Pencilが使える
- Photoshopなどで直接描画可能
サイドバー:
- Command、Option、Shiftキーなど
- よく使うショートカットにアクセス可能
【iPad + Windows】サードパーティアプリを使う方法

WindowsパソコンとiPadの組み合わせには、サードパーティ製アプリが必要です。
おすすめアプリ1:Duet Display
特徴:
- 有料(年間約30ドル)
- 低遅延で高品質
- USB接続とWi-Fi接続の両方に対応
- タッチ操作とApple Pencil対応
設定方法:
- 公式サイトからWindows版とiPad版をダウンロード
- https://www.duetdisplay.com/
- 両方のデバイスにインストール
- Duetアカウントを作成してサインイン
- 両方のデバイスでアプリを起動
- USB接続またはWi-Fi接続でペアリング
- 接続完了!
おすすめアプリ2:Splashtop Wired XDisplay
特徴:
- 有料(約15ドル買い切り)
- USB接続専用
- 安定した接続
- 比較的手頃な価格
設定方法:
- 公式サイトからダウンロード
- WindowsとiPadにインストール
- USBケーブルでiPadをパソコンに接続
- 両方でアプリを起動
- 自動的に認識されて接続完了
【Android + PC】アプリを使う方法
AndroidタブレットをWindows・Macのサブモニターにする方法です。
おすすめアプリ1:Spacedesk(無料)
最も人気のある無料アプリです。
特徴:
- 完全無料
- Wi-Fi接続
- Windows専用(Mac非対応)
- タッチ操作対応
- 設定が簡単
設定方法:
- PC側の準備
- Spacedesk公式サイトにアクセス
- Windows用ドライバーをダウンロード
- インストールして再起動
- タブレット側の準備
- Google PlayストアでSpacedeskを検索
- 「spacedesk (multi monitor display extension screen)」をインストール
- 接続
- PCとタブレットを同じWi-Fiネットワークに接続
- PC側でSpacedeskドライバーを起動(自動起動の場合も)
- タブレット側でSpacedeskアプリを開く
- 自動的にPCを検出して接続
- 表示設定の調整
- Windows設定 → システム → ディスプレイ
- 「表示画面を拡張する」を選択
- ディスプレイの配置を調整
注意点:
- Wi-Fi速度が100Mbps以上推奨
- ファイアウォールで遮断されている場合は設定変更が必要
- 2台までは快適に使用可能
おすすめアプリ2:SuperDisplay
特徴:
- 有料(約15ドル)
- USB接続とWi-Fi接続の両方に対応
- Windows・Mac両対応
- 低遅延
- 筆圧感知対応
設定方法:
- 公式サイトからダウンロード
- PCとタブレットにインストール
- USBケーブルで接続またはWi-Fi接続
- アプリを起動して接続
おすすめアプリ3:Duet Display
特徴:
- iPad用と同じアプリがAndroidでも使える
- 年間約30ドルのサブスクリプション
- 高品質な表示
設定方法:
- iPad版と同じ手順
Windows標準機能:Miracastを使う方法
Windows 10以降には、Miracast機能が標準搭載されています。
Miracastの動作条件
- Windows 10以降
- Miracast対応のタブレット
- 同じWi-Fiネットワーク
Miracastの設定方法
受信側(タブレット)の設定:
- 設定 → 接続済みのデバイス → 接続の設定 を開く
- 「ワイヤレスディスプレイとして使用する」を有効化
- 機種により名称が異なる場合あり
送信側(PC)の設定:
- Windows + K を押す
- 「接続」パネルが開く
- タブレット名を選択
- 接続完了!
注意:
Miracastは機種によって対応状況が異なります。対応していない場合は、サードパーティアプリを使用してください。
有線接続の方法(HDMIキャプチャー)

特殊な方法ですが、HDMIキャプチャーを使う方法もあります。
必要な機器
- HDMIキャプチャーアダプター(約3,000〜10,000円)
- USBケーブル
- HDMIケーブル
接続方法
- PCのHDMI出力をHDMIキャプチャーに接続
- HDMIキャプチャーをUSBでタブレットに接続
- タブレットでキャプチャーアプリを起動
- PCの画面がタブレットに表示される
注意:
- 設定が複雑
- 遅延が大きい
- 一般的にはアプリを使う方が簡単
ディスプレイ設定の調整方法
Windowsでの設定
手順:
- デスクトップを右クリック → 「ディスプレイ設定」
- 複数のディスプレイが表示される
- 「表示画面を拡張する」を選択
- ディスプレイの配置を調整
- ドラッグして物理的な配置に合わせる
- 1番と2番を入れ替えることも可能
- 各ディスプレイの解像度を調整
Macでの設定
手順:
- システム設定 → ディスプレイ
- 「配置」タブをクリック
- ディスプレイをドラッグして配置を調整
- 「ディスプレイをミラーリング」のチェックを外す(拡張表示の場合)
よくあるトラブルと解決方法
Q. タブレットが認識されません
対処法:
- 同じWi-Fiネットワークに接続しているか確認
- Bluetoothがオンになっているか確認
- ファイアウォールの設定を確認
- Windowsファイアウォールで該当アプリを許可
- アプリを再起動
- デバイスを再起動
Q. 画面が縦横反転してしまう
対処法:
- タブレットの自動回転をオフにする
- アプリの設定で回転ロックを有効化
Q. 遅延が大きくて使いにくい
対処法:
- Wi-Fi速度を確認(fast.comで測定)
- 最低100Mbps以上推奨
- 5GHz帯のWi-Fiを使用(2.4GHzより高速)
- 有線接続に切り替える
- 他のアプリを終了して負荷を減らす
- ルーターの近くで使用
Q. 画面が歪んで表示される
対処法:
- アプリの解像度設定を確認
- タブレット側の設定で「ネイティブ解像度を使用」を有効化
- Windows/Macのディスプレイ設定で解像度を調整
Q. タッチ操作が効きません
対処法:
- 使用しているアプリがタッチ操作に対応しているか確認
- Sidecarではタッチ操作は限定的
- Apple Pencilは使える
- 基本的なタッチは使える
- 高度なジェスチャーは制限あり
Q. 音声がタブレットから出ない
対処法:
音声は基本的にPC側から出力されます。
タブレット側で音を出したい場合:
- Windows/Macの音声出力設定を変更
- 多くの場合、音声はPC側に留まります
Q. バッテリーがすぐ切れる
対処法:
- USBケーブルで接続して充電しながら使用
- 画面の明るさを下げる
- 長時間使用する場合は有線接続を推奨
おすすめの活用シーン
在宅勤務・リモートワーク
- メイン画面:メール・チャット
- サブ画面:資料・スプレッドシート
プログラミング
- メイン画面:コードエディタ
- サブ画面:ブラウザ(動作確認)
動画編集
- メイン画面:タイムライン
- サブ画面:素材フォルダ・プレビュー
デザイン作業
- メイン画面:デザインツール
- サブ画面:参考画像・カラーパレット
オンライン会議
- メイン画面:資料作成
- サブ画面:Zoom/Teams
執筆・ブログ作成
- メイン画面:執筆
- サブ画面:リサーチ・参考資料
アプリ比較表
| アプリ名 | 価格 | 対応OS | 接続方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Sidecar | 無料 | Mac + iPad | USB/Wi-Fi | 標準機能、Apple Pencil対応 |
| Spacedesk | 無料 | Windows + Android/iOS | Wi-Fi | 完全無料、タッチ対応 |
| Duet Display | 年30ドル | Win/Mac + iOS/Android | USB/Wi-Fi | 高品質、低遅延 |
| SuperDisplay | 15ドル | Win/Mac + Android/iOS | USB/Wi-Fi | 買い切り、筆圧対応 |
| Splashtop Wired XDisplay | 15ドル | Win/Mac + iOS/Android | USB | 有線専用、安定 |
よくある質問
Q. 完全無料で使える方法はありますか?
A. はい、あります。
- Mac + iPad:Sidecar(標準機能)
- Windows + Android:Spacedesk
これらは完全無料で使えます。
Q. どのアプリが一番おすすめですか?
A. 組み合わせによります:
- Mac + iPad:Sidecar一択(無料・標準機能)
- Windows + Android:Spacedesk(無料)
- Windows + iPad:Duet DisplayまたはSuperDisplay
- クリエイター:Apple Pencil対応ならSidecarまたはDuet Display
Q. Wi-Fiがない環境でも使えますか?
A. はい。USBケーブルで有線接続できるアプリを選んでください:
- Sidecar(USB接続可能)
- Duet Display(USB接続可能)
- Splashtop Wired XDisplay(USB専用)
Q. タブレットのサイズはどのくらいが最適ですか?
A. 用途によりますが:
- 最小:7〜8インチ(持ち運び重視)
- おすすめ:10〜11インチ(バランス良好)
- 最大:12〜13インチ(作業領域重視)
Q. 複数のタブレットを同時に使えますか?
A. アプリによります:
- Spacedesk:2台まで快適(3台以上は不安定)
- Duet Display:複数台対応
- Sidecar:1台のみ
Q. 縦向きで使えますか?
A. はい、ほとんどのアプリで縦向き対応しています。
ただし、自動回転をオフにして固定する必要があります。
Q. ゲームに使えますか?
A. 推奨しません。
- 遅延が発生する
- リフレッシュレートが低い
- ゲーム用なら専用モニター推奨
Q. Fire タブレットは使えますか?
A. 一部のアプリは対応していますが、動作が不安定な場合があります。基本的にはiPadまたは一般的なAndroidタブレットを推奨します。
まとめ:タブレットを活用して作業効率アップ!
タブレットをサブモニターとして活用する方法を解説しました。
この記事のポイント:
組み合わせ別おすすめ:
- Mac + iPad:Sidecar(無料・簡単・高品質)
- Windows + Android:Spacedesk(無料)
- Windows + iPad:Duet DisplayまたはSuperDisplay
- どの組み合わせでも:有線接続の方が安定
メリット:
- 作業効率が大幅アップ
- 省スペース
- 持ち運び可能
- 追加費用が少ない
デメリット:
- 初期設定に手間
- バッテリー消費が早い
- 無線接続は遅延あり
接続方法:
- 無線:Wi-Fi必須、自由度高い、遅延あり
- 有線:ケーブル必要、安定、遅延少ない
トラブル対策:
- 同じWi-Fiに接続
- ファイアウォール設定確認
- 有線接続で安定性向上
手持ちのタブレットを有効活用すれば、新しいモニターを買わずにマルチディスプレイ環境を構築できます。
特に外出先での作業が多い方には、非常に便利な方法です。
まずは無料のアプリ(SidecarまたはSpacedesk)から試してみて、必要に応じて有料アプリを検討するのがおすすめです。
快適なマルチディスプレイ環境で、作業効率を大幅にアップさせましょう!


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