新しいMacに買い替えたとき。
Windowsパソコンから連絡先を移したいとき。
ExcelやGoogleの連絡先をMacに入れたいとき。
こんな場面で必要になるのが、連絡先の「インポート」と「エクスポート」です。
インポートは「連絡先を取り込む」こと。
エクスポートは「連絡先を書き出す」こと。
この記事では、Macの「連絡先」アプリで連絡先をインポート・エクスポートする方法を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
【基礎知識】連絡先のファイル形式について

連絡先のデータには、いくつかのファイル形式があります。
vCard形式(.vcf)
最も一般的な連絡先ファイル形式です。
- 拡張子は「.vcf」
- ほとんどのメールソフトや連絡先アプリで使える
- iPhoneやAndroidでも読み込める
- 写真やメモも含めて保存できる
Macの「連絡先」アプリでは、このvCard形式が標準です。
CSV形式(.csv)
表形式のテキストファイルです。
- 拡張子は「.csv」
- ExcelやGoogleスプレッドシートで開ける
- データの編集や整理がしやすい
- ただし、Macの連絡先アプリは直接CSV出力できない
CSV形式が必要な場合は、少し工夫が必要になります(後述)。
アーカイブ形式(.abbu)
Mac専用のバックアップファイルです。
- 拡張子は「.abbu」
- グループ情報も含めて完全バックアップできる
- ただし、他のシステムでは使えない
- Macからの完全移行や復元に最適
【エクスポート】Macから連絡先を書き出す方法
まずは、連絡先をMacから書き出す方法を解説します。
vCard形式でエクスポートする(基本)
最も一般的で、他のデバイスやアプリでも使いやすい方法です。
全ての連絡先をエクスポート:
- 「連絡先」アプリを開く
- Dockから起動、またはLaunchpadから「連絡先」を探す
- Command + A を押して全ての連絡先を選択
- または、左サイドバーで「すべての連絡先」をクリック
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「vCardを書き出す」を選択
- 保存場所とファイル名を指定
- デスクトップなど、分かりやすい場所がおすすめ
- 「保存」をクリック
これで、全ての連絡先が1つのvCardファイルとして保存されます。
特定の連絡先だけをエクスポート:
- 「連絡先」アプリを開く
- エクスポートしたい連絡先を選択
- 複数選択する場合は、Commandキーを押しながらクリック
- 連続した複数を選択する場合は、Shiftキーを押しながらクリック
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「vCardを書き出す」を選択
- 保存場所とファイル名を指定して「保存」
もっと簡単な方法(ドラッグ&ドロップ):
- 連絡先を選択
- そのままデスクトップやFinderウィンドウにドラッグ
- 自動的にvCardファイルが作成される
アーカイブ形式でエクスポートする(完全バックアップ)
グループ情報も含めて完全にバックアップしたい場合に使います。
手順:
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「連絡先をアーカイブ」を選択
- 保存場所を指定して「保存」
拡張子が「.abbu」のファイルが作成されます。
注意点:
- アーカイブをインポートすると、現在の連絡先が上書きされます
- 完全復元や移行の場合にのみ使用してください
エクスポート時の設定(写真やメモの扱い)
vCardをエクスポートする際、写真やメモを含めるかどうかを設定できます。
設定方法:
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「連絡先」→「設定」を選択
- 「一般」タブをクリック
- 以下の項目をチェック:
- 「写真をvCardに書き出す」:連絡先の写真を含める
- 「メモをvCardに書き出す」:メモ欄の情報を含める
これらをオンにすると、エクスポートしたvCardに写真やメモも含まれます。
【インポート】Macに連絡先を取り込む方法

次に、連絡先をMacに取り込む方法を解説します。
vCardファイルをインポートする(基本)
vCard形式のファイルがあれば、簡単にインポートできます。
方法1:ファイルメニューから
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「ファイル」→「読み込む」を選択
- インポートするvCardファイルを選択
- 「開く」をクリック
- 「○○件のカードを追加してもよろしいですか?」と表示される
- 「追加」をクリック
これで、連絡先がインポートされます。
方法2:ダブルクリック
- vCardファイル(.vcf)をダブルクリック
- 自動的に「連絡先」アプリが開く
- 「追加」をクリック
方法3:ドラッグ&ドロップ
- vCardファイルをDockの「連絡先」アイコンにドラッグ
または
- 「連絡先」アプリのウィンドウにvCardファイルをドラッグ
どちらでもインポートできます。
アーカイブファイル(.abbu)をインポートする
重要:アーカイブをインポートすると、現在の連絡先情報が上書きされます!
手順:
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「ファイル」→「読み込む」を選択
- アーカイブファイル(.abbu)を選択
- 「開く」をクリック
- 警告が表示される場合は内容を確認
- 「置き換える」をクリック
現在の連絡先が、インポートしたデータで置き換えられます。
CSVファイルをインポートする
Macの「連絡先」アプリは、CSV形式のインポートに対応しています。
重要な前提条件:
CSVファイルをインポートする前に、テキストエディタ(テキストエディットなど)で以下を確認してください:
- 改行を削除:連絡先情報の中に改行がないこと
- 項目数を統一:すべての連絡先で同じ数の項目があること
- 区切り文字:カンマ(CSV)またはタブで区切られていること
- スペースなし:カンマやタブの前後にスペースがないこと
インポート手順:
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「ファイル」→「読み込む」を選択
- CSVファイルを選択
- エンコーディングを確認(必要に応じて変更)
- 日本語の場合は「UTF-8」または「Shift-JIS」
- 「開く」をクリック
- 項目ラベルの確認画面が表示される
- 各列に正しいラベルを割り当てる
- 「名前」「電話番号」「メールアドレス」など
- インポートしたくない列は「読み込まない」を選択
- ヘッダー行がある場合は「最初のカードを無視」をチェック
- 「OK」をクリック
よくあるCSVインポートの問題:
- 文字化けする:エンコーディングを変更してみる
- 項目が正しく入らない:CSVの形式を確認する
- 一部しかインポートされない:改行や項目数の不一致を確認
【応用】CSV形式でエクスポートする方法
Macの「連絡先」アプリは、直接CSV形式でエクスポートできません。
しかし、いくつかの方法でCSV形式に変換できます。
方法1:Numbersを使う(無料・標準機能)
AppleのNumbersアプリを使ってCSVに変換できます。
手順:
- 「連絡先」アプリで、エクスポートしたい連絡先を選択
- Command + A で全選択も可能
- Numbersアプリを開いて新しいスプレッドシートを作成
- 連絡先を選択した状態で、Numbersのスプレッドシートにドラッグ
- 「スプレッドシートを更新中」と表示される
- 連絡先データが表に変換される
- 必要に応じてデータを整理・編集
- メニューバーから「ファイル」→「書き出す」→「CSV」を選択
- 保存場所を指定して「次へ」
- 「書き出す」をクリック
これで、CSV形式のファイルが作成されます。
注意点:
- 大量の連絡先(500件以上)を一度にドラッグすると、フリーズする可能性があります
- その場合は、100〜200件ずつに分けて処理してください
方法2:オンライン変換ツールを使う(無料)
vCardファイルをCSVに変換するオンラインツールがあります。
手順:
- 連絡先をvCard形式でエクスポート
- 以下のようなオンライン変換サービスにアクセス
- vCard to CSV Converter(検索で見つかります)
- vCardファイルをアップロード
- 「変換」をクリック
- CSVファイルをダウンロード
注意点:
- プライバシーが心配な場合は避けるべき
- 機密情報が含まれる連絡先には使わない
- アップロードしたファイルがサーバーに残る可能性がある
方法3:専用アプリを使う(有料)
Macには、連絡先をCSVに変換する専用アプリがあります。
代表的なアプリ:
- Exporter for Contacts 2
- Contacts Sync for Google Gmail
- Export Address Book
これらは有料ですが、大量の連絡先を扱う場合や、頻繁に変換が必要な場合は便利です。
iCloudを使った連絡先の同期
MacとiPhone、iPadの連絡先を自動的に同期する方法です。
iCloud連絡先同期の設定(Mac)
手順:
- Appleメニュー →「システム設定」を開く
- macOS Ventura以降の場合
- 古いmacOSの場合は「システム環境設定」
- 上部の「Apple ID」をクリック
- 「iCloud」を選択
- 「連絡先」のスイッチをオンにする
これで、Macの連絡先がiCloudと同期されるようになります。
iCloud連絡先同期の設定(iPhone/iPad)
手順:
- 「設定」アプリを開く
- 一番上の「自分の名前」をタップ
- 「iCloud」をタップ
- 「連絡先」のスイッチをオンにする
iCloudから直接エクスポート
iCloud.comから直接連絡先をエクスポートすることもできます。
手順:
- ブラウザで icloud.com にアクセス
- Apple IDでサインイン
- 「連絡先」をクリック
- エクスポートしたい連絡先を選択
- Command + A で全選択
- Commandキーを押しながらクリックで複数選択
- 左下の歯車アイコンをクリック
- 「vCardを書き出す」を選択
- ファイルがダウンロードされる
重複した連絡先を結合する
インポート後に重複した連絡先ができてしまった場合の対処法です。
重複の検出と結合
「連絡先」アプリには、重複を自動検出する機能があります。
手順:
- 「連絡先」アプリを開く
- メニューバーから「カード」→「重複を検索」を選択
- 重複が見つかると通知が表示される
- 「結合」をクリック
- 重複する連絡先が自動的に統合される
手動で連絡先を結合
手順:
- 結合したい連絡先を選択
- Commandキーを押しながら複数の連絡先をクリック
- メニューバーから「カード」→「選択したカードを結合」を選択
- 情報が統合された1つの連絡先になる
よくあるトラブルと解決方法
Q. vCardファイルをインポートできない
原因と対処法:
原因1:ファイルが破損している
- 別のアプリでvCardファイルを開いてみる
- テキストエディタで開いて、内容が正しいか確認
原因2:ファイル形式が正しくない
- 拡張子が「.vcf」であることを確認
- 他のファイル形式(.csv など)ではないか確認
原因3:vCardのバージョンが古い
- 一度Numbersなどで開いて、再度vCardとして保存してみる
Q. CSVファイルをインポートしても何も起こらない
原因と対処法:
原因1:CSVの形式が正しくない
- テキストエディタでCSVファイルを開く
- 各項目がカンマで区切られているか確認
- 改行が含まれていないか確認
- すべての行の項目数が同じか確認
原因2:エンコーディングの問題
- インポート時のエンコーディングを「UTF-8」または「Shift-JIS」に変更
Q. インポート後に一部の情報が欠落している
原因と対処法:
原因1:項目ラベルの割り当てが間違っている
- CSVインポート時の項目ラベル設定を確認
- 正しい項目に割り当て直す
原因2:サポートされていない情報
- 一部の情報は「メモ」欄に追加される場合があります
- インポート後に「メモ」欄を確認してください
Q. 連絡先が文字化けする
原因と対処法:
原因:エンコーディングの不一致
- テキストエディタでファイルのエンコーディングを確認
- 「UTF-8」で保存し直してからインポート
- インポート時にエンコーディングを手動で指定
Q. アーカイブをインポートしたら全部上書きされた
対処法:
残念ながら、アーカイブのインポートは元に戻せません。
予防策:
- アーカイブをインポートする前に、必ず現在の連絡先をバックアップ
- 通常のインポートには、vCard形式を使う(アーカイブは完全復元時のみ)
Q. iCloudの連絡先が同期されない
原因と対処法:
原因1:iCloudにサインインしていない
- 「システム設定」→「Apple ID」で確認
- 同じApple IDでサインインしているか確認
原因2:連絡先の同期がオフになっている
- 「システム設定」→「Apple ID」→「iCloud」
- 「連絡先」がオンになっているか確認
原因3:ネットワークの問題
- インターネット接続を確認
- 一度サインアウトして、再度サインイン
Q. Numbersにドラッグしても何も起こらない
原因と対処法:
原因1:連絡先の数が多すぎる
- 一度に500件以上をドラッグすると失敗することがあります
- 100〜200件ずつに分けて処理してください
原因2:特定の連絡先にエラーがある
- 少数ずつ試して、問題のある連絡先を特定
- 問題のある連絡先を編集してから再試行
データ移行のベストプラクティス

安全な移行手順
新しいMacに連絡先を移行する場合の推奨手順:
- 古いMacで連絡先をvCard形式でエクスポート
- 外付けドライブやクラウドストレージに保存
- 新しいMacに転送
- 新しいMacでインポート
- 内容を確認
- 問題なければ、iCloud同期を有効にする
バックアップの習慣
定期的なバックアップがおすすめ:
- 月1回:vCard形式でエクスポート
- 外付けドライブまたはクラウドに保存
- 日付を含むファイル名:例「連絡先_2024-12-03.vcf」
プライバシーへの配慮
連絡先には個人情報が含まれています。
注意点:
- オンライン変換ツールは慎重に使用
- 信頼できないサイトにアップロードしない
- 不要になったファイルは削除
- メールで送信する場合は暗号化を検討
まとめ:連絡先の移動は意外と簡単!
Macの連絡先のインポート・エクスポートについて解説しました。
この記事のポイント:
エクスポート(書き出し):
- vCard形式が基本で最も汎用性が高い
- 「ファイル」→「書き出す」→「vCardを書き出す」
- ドラッグ&ドロップでも可能
- CSV形式にはNumbersを使って変換
インポート(取り込み):
- vCardファイルをダブルクリックが最も簡単
- 「ファイル」→「読み込む」でも可能
- CSVファイルも直接インポート可能(形式に注意)
- アーカイブは現在の連絡先を上書きするので注意
iCloud同期:
- 設定すれば全デバイスで自動同期
- Mac、iPhone、iPad間で連絡先が常に最新
- iCloud.comからも直接操作可能
トラブル対策:
- インポート前にバックアップを取る
- CSVは形式を確認してからインポート
- 重複は自動検出で結合できる
連絡先の移動は、手順さえ分かれば決して難しくありません。
新しいMacへの移行、他のシステムからのデータ移動、バックアップなど、様々な場面で活用してください。
定期的なバックアップを忘れずに!大切な連絡先データを守りましょう。


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