Safariでウェブサイトを見ているとき、意図せず画面が拡大されてイライラした経験はありませんか?
特にiPhoneやiPadでは、3本指でダブルタップしたり、文字入力欄をタップしたりすると、突然画面がズームされて困ることがあります。実はこれ、「アクセシビリティ機能」という視覚に配慮した便利な機能なんですが、必要ない人にとっては邪魔になることも。
この記事では、iPhone、iPad、Macそれぞれのデバイスでズーム機能を無効にする方法を、画像付きでわかりやすく解説します。また、ウェブサイトを作る人向けの技術的な情報もまとめているので、開発者の方もぜひご覧ください。
Safariのズーム機能って何?

まず最初に、Safariには大きく分けて2種類のズーム機能があります。
1. アクセシビリティのズーム機能
これは、視覚に障がいのある方や、小さな文字が見づらい方のために用意された機能です。iPhoneやiPadでは、3本の指で画面をダブルタップすると画面全体が拡大されます。
この機能がオンになっていると、意図せず指が画面に触れたときに勝手にズームしてしまうことがあります。
2. ページ内のズーム(ピンチズーム)
2本の指で画面をピンチ(つまむ動作)すると、ウェブページの内容を拡大・縮小できる機能です。こちらは通常のブラウジングでよく使う機能ですね。
また、ダブルタップによるズームという機能もあり、画面を素早く2回タップすると、その部分が自動的に拡大されます。
これらの機能は便利な反面、ゲームアプリやタップを連打するようなサイトでは誤動作の原因になることがあります。
iPhoneでズーム機能を無効にする方法
iPhoneでは、設定アプリから簡単にズーム機能をオフにできます。
手順1:設定アプリを開く
まず、ホーム画面から「設定」アプリを探してタップしましょう。歯車のアイコンが目印です。
手順2:アクセシビリティを選択
設定画面を下にスクロールして、「アクセシビリティ」という項目を見つけてタップします。
手順3:ズームをオフにする
アクセシビリティのメニューから「ズーム」を選択してください。
一番上に「ズーム機能」というトグルスイッチ(オン・オフを切り替えるボタン)があるので、これをオフ(グレー)にすればOKです。
これで、3本指でのダブルタップによる意図しないズームが起こらなくなります。
ズームが解除できない場合の対処法
もし画面がズームされた状態で操作できなくなってしまった場合は、3本指でダブルタップすると元に戻ります。それでも戻らない場合は、iPhoneを再起動してみましょう。
iPadでズーム機能を無効にする方法
iPadでも基本的な手順はiPhoneと同じです。
設定手順
- 「設定」アプリを開く
- 左側のメニューから「アクセシビリティ」を選択
- 「ズーム」をタップ
- 「ズーム機能」のトグルをオフにする
iPadの場合、画面が大きいため、左側にメニューが常に表示される仕様になっていることがあります。その点がiPhoneと少し違うだけで、操作自体は同じですね。
Macでズームを無効化・調整する方法
Mac版のSafariにも、いくつかのズーム機能があります。
アクセシビリティのズーム機能をオフにする
Mac全体の画面がズームされてしまう場合は、以下の手順で無効化できます。
- Appleメニュー(画面左上のリンゴマーク)をクリック
- 「システム設定」(または「システム環境設定」)を選択
- 「アクセシビリティ」をクリック
- 左側のメニューから「ズーム」を選択
- 「キーボードショートカットを使用してズーム」のチェックを外す
これで、Option + Command + 8といったキーボードショートカットによる意図しないズームを防げます。
Safariのページズームをリセットする
Safari内でページが拡大されている場合は、以下の方法で元に戻せます。
- Command + 0(ゼロ)を押す:ページのズームレベルが100%にリセットされます
- Command + -(マイナス)を押す:ズームアウト(縮小)
- Command + +(プラス)を押す:ズームイン(拡大)
また、Safariのメニューバーから「表示」→「実際のサイズ」を選択しても同じ効果があります。
ズームバーが表示される場合の対処法
Safariのアドレスバー左側に「ぁあ」というボタンがあります。これをクリックすると、ページのズームレベルを調整できるメニューが表示されます。
- 「ぁ」を何度かタップ:50%まで縮小
- 「あ」を何度かタップ:300%まで拡大
- 「100%」をタップ:元のサイズに戻る
ウェブサイト開発者向けの情報
ここからは、ウェブサイトやアプリを作る人向けの技術的な内容になります。普通にSafariを使うだけの方は、読み飛ばしても大丈夫です。
iOS 10以降でuser-scalable=noが無効化された背景
以前は、HTMLのmetaタグにuser-scalable=noと記述すれば、ユーザーによるズームを禁止できました。
<meta name="viewport" content="width=device-width, initial-scale=1.0, user-scalable=no">
しかし、iOS 10以降のSafariでは、この指定が意図的に無視されるようになりました。これは、視覚に障がいのある方や高齢者の方が、どんなウェブサイトでもズームできるようにするためのAppleの判断です。
アクセシビリティの観点からは素晴らしい決定ですが、ゲームアプリなど、ズームが邪魔になる場面もあります。
ダブルタップズームを無効にするCSS
現在、最もシンプルで効果的な方法は、CSSのtouch-actionプロパティを使う方法です。
body {
touch-action: manipulation;
}
この指定により、ダブルタップによるズームが無効化されます。ただし、2本指でのピンチズームは引き続き使えるため、アクセシビリティへの配慮も保たれています。
ピンチズームも含めて完全に無効にする方法
どうしてもすべてのズーム操作を禁止したい場合は、以下のように指定します。
body {
touch-action: pan-y;
}
これにより、上下スクロールのみが許可され、ピンチズーム、ダブルタップズーム、左右スクロールがすべて無効になります。
ただし、アクセシビリティの観点からは推奨されない方法なので、本当に必要な場合のみ使用してください。
入力欄の自動ズームを防ぐ方法
iPhoneのSafariでは、フォントサイズが16px未満の入力欄をタップすると、自動的にズームされてしまいます。
これを防ぐには、入力欄のフォントサイズを16px以上に設定するのが最も簡単な方法です。
input, textarea, select {
font-size: 16px;
}
この方法なら、ユーザーの手動ズームは制限せずに、自動ズームのみを防げます。
JavaScriptによる対処法(非推奨)
以前は、JavaScriptでタッチイベントを監視して、ズームを防ぐ方法が使われていました。
document.addEventListener('touchstart', (event) => {
if (event.touches && event.touches.length > 1) {
event.preventDefault();
}
}, { passive: false });
しかし、この方法は動作が不安定で、スクロール中にピンチ操作をされると回避されてしまうなどの問題があります。現在はCSSのtouch-actionを使う方が確実です。
よくある質問(FAQ)

Q1. ズーム機能をオフにしても、Safariでページが拡大されるのはなぜ?
A. アクセシビリティのズーム機能をオフにしても、ピンチズーム(2本指でつまむ操作)は別機能なので使えます。ピンチズームは通常のブラウジングで必要な機能なので、完全にオフにすることはできません。
Q2. 勝手にズームされてしまう場合の対処法は?
A. まず、アクセシビリティのズーム機能がオンになっていないか確認しましょう。オフにしてもズームされる場合は、ウェブサイト側の設定や、入力欄をタップしたときの自動ズームの可能性があります。
Q3. Macで画面全体がズームされて困っています
A. Option + Command + 8を押すと、ズームのオン・オフが切り替わります。または、システム設定のアクセシビリティから、ズーム機能のキーボードショートカットを無効にすることをおすすめします。
Q4. ウェブサイトでズームを禁止するのは良くないの?
A. はい、基本的にはユーザーのズーム機能を制限すべきではありません。視覚に障がいのある方や高齢者の方にとって、ズーム機能は必須だからです。ただし、ゲームアプリなど、ズームが操作の妨げになる場合は例外的に制限してもよいでしょう。
Q5. iOS 10より前のSafariではどうだったの?
A. iOS 10より前は、HTMLのmetaタグでuser-scalable=noと指定すれば、ズームを完全に禁止できました。しかし現在は、アクセシビリティ向上のため、この指定は無視されるようになっています。
まとめ:必要に応じてズーム機能をコントロールしよう
Safariのズーム機能は、人によっては便利ですが、不要な場合は邪魔に感じることもあります。
iPhoneやiPadでは、設定アプリから簡単にアクセシビリティのズーム機能をオフにできます。また、Macでも同様に、システム設定から無効化が可能です。
ウェブサイトを作る開発者の方は、CSSのtouch-actionプロパティを活用することで、ダブルタップズームを制御できます。ただし、ピンチズームまで完全に禁止してしまうと、アクセシビリティの問題が生じるため注意が必要です。
ズーム機能は、視覚に配慮した大切な機能です。自分の使い方に合わせて、適切に設定していきましょう!


コメント