「Outlookに連絡先を登録したはずなのに、メールを送ろうとすると宛先に出てこない…」
こんな経験はありませんか?せっかく時間をかけて連絡先を登録したのに、いざメールを書こうとしたら使えないのでは困りますよね。
実は、この問題はOutlookでよく起こるトラブルの一つです。連絡先はちゃんと「連絡先」フォルダに保存されているのに、メール作成時の「宛先」ボタンから選べないという状況が発生するのです。
この記事では、Outlookで連絡先がアドレス帳に表示されない原因と、その解決方法を初心者の方にも分かりやすく解説します。画像付きの手順に従えば、10分程度で問題を解決できますよ。
まず理解しておきたい:「連絡先」と「アドレス帳」の違い

解決方法に入る前に、Outlookの「連絡先」と「アドレス帳」の違いを簡単に理解しておきましょう。この違いが分かると、問題の原因がすっきり見えてきます。
連絡先とは
「連絡先」は、Outlookの左下にある人型アイコンをクリックすると表示される場所です。ここには、名前、メールアドレス、電話番号、会社名など、相手の詳しい情報を保存できます。
つまり、連絡先はあなたが個人的に登録した情報の「保管場所」というわけです。
アドレス帳とは
一方、「アドレス帳」は、メールを新規作成するときに「宛先」ボタンを押すと開く画面のことです。
アドレス帳には以下のような情報が表示されます:
- 個人用の連絡先(あなたが登録したもの)
- グローバルアドレス一覧(会社全体のメールアドレス)
- 配布リスト(メーリングリスト)
- 会議室の予約用アドレス
メールを送るときに実際に使うのが、このアドレス帳なのです。
つまり何が問題なのか?
連絡先に情報を登録しても、その連絡先フォルダが「アドレス帳に表示する」設定になっていないと、メール作成時に選べません。
これが、「連絡先はあるのにアドレス帳に出てこない」という問題の正体です。言い換えれば、「保管場所」と「使う場所」がうまくつながっていない状態ですね。
原因1:連絡先フォルダがアドレス帳として設定されていない
最も多い原因がこれです。連絡先フォルダを「アドレス帳に表示する」設定にしていないと、いくら連絡先を登録してもメール作成時には表示されません。
解決方法:連絡先フォルダのプロパティを変更する
手順1:連絡先画面を開く
Outlookの画面左下にある人型のアイコン(連絡先アイコン)をクリックします。または、キーボードで「Ctrl + 3」を押すと連絡先画面に切り替わります。
手順2:フォルダを右クリック
左側のナビゲーションウィンドウに表示されている連絡先フォルダ(通常は「連絡先」という名前)を右クリックし、「プロパティ」を選択します。
手順3:アドレス帳タブを開く
プロパティ画面が開いたら、「Outlookアドレス帳」タブをクリックします。
手順4:チェックボックスをオンにする
「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」というチェックボックスにチェックを入れます。
必要に応じて、アドレス帳に表示される名前を変更することもできます。デフォルトでは「連絡先」となっていますが、「個人用アドレス」など分かりやすい名前に変更しても良いでしょう。
手順5:OKをクリック
設定を保存するために「OK」ボタンをクリックします。
これで、メールを新規作成して「宛先」ボタンを押すと、あなたの連絡先がアドレス帳に表示されるはずです。
原因2:Outlookアドレス帳サービスが追加されていない
「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」のチェックボックスがグレーアウトしていて選択できない場合、Outlookアドレス帳サービス自体が追加されていない可能性があります。
これは特に、パソコンを新しくしてOutlookを再インストールしたときや、Windows転送ツールでプロファイルを移行したときに起こりやすい問題です。
解決方法:Outlookアドレス帳サービスを追加する
手順1:アカウント設定を開く
Outlookを開いて、画面左上の「ファイル」タブをクリックします。
手順2:アカウント設定を選択
「情報」画面が表示されたら、「アカウント設定」をクリックし、表示されるメニューから再度「アカウント設定」を選択します。
手順3:アドレス帳タブを開く
アカウント設定の画面が開いたら、上部にある「アドレス帳」タブをクリックします。
手順4:Outlookアドレス帳を確認
このタブに「Outlookアドレス帳」が表示されているか確認してください。
もし何も表示されていない場合は、次の手順に進みます。
手順5:新しいアドレス帳を追加
「新規」ボタンをクリックします。
手順6:追加のアドレス帳を選択
「追加のアドレス帳」を選択して「次へ」をクリックします。
手順7:Outlookアドレス帳を選択
一覧から「Outlookアドレス帳」を選択し、「次へ」をクリックします。
手順8:Outlookを再起動
「変更を有効にするには、Outlookを閉じて再起動する必要があります」というメッセージが表示されます。「OK」をクリックしてOutlookを再起動してください。
再起動後、もう一度「原因1」の手順に戻って、連絡先フォルダのプロパティで「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」にチェックを入れましょう。
原因3:アドレス帳の既定の一覧が間違っている
連絡先フォルダの設定は正しいのに、メール作成時に「グローバルアドレス一覧」(会社全体のアドレス帳)しか表示されない場合があります。
これは、アドレス帳を開いたときに「最初に表示する一覧」の設定が間違っているためです。
解決方法:既定のアドレス一覧を変更する
手順1:アドレス帳を開く
メール作成画面から「宛先」ボタンをクリックするか、Outlookのリボン(上部のメニュー)から「ホーム」タブにある「アドレス帳」ボタンをクリックします。
キーボードショートカット「Ctrl + Shift + B」を使うこともできます。
手順2:アドレス帳のドロップダウンメニューを確認
アドレス帳画面の上部に「アドレス帳」というドロップダウンメニューがあります。ここをクリックすると、利用可能なアドレス帳の一覧が表示されます。
ここに「連絡先」や設定した名前のアドレス帳が表示されていれば、それを選択することで個人用の連絡先が表示されます。
手順3:既定の設定を変更する(Outlook 2010以降)
毎回手動で選ぶのが面倒な場合は、既定の設定を変更しましょう。
アドレス帳画面で「ツール」をクリックし、「オプション」を選択します。
「このアドレス一覧を最初に表示する」のドロップダウンメニューから、個人用の連絡先(例:「連絡先」)を選択します。
「OK」をクリックして設定を保存すれば、次回からは自動的に個人用連絡先が最初に表示されます。
原因4:インポートした連絡先のメールアドレスが解決されていない
古いパソコンからエクスポート・インポートで連絡先を移行した場合、名前は表示されるのにメールアドレスが表示されない、またはアドレス帳に出てこないことがあります。
これは、インポートしたメールアドレスが「解決」されていないことが原因です。「解決」とは、Outlookがメールアドレスを正しく認識して、送信できる形式に変換することを指します。
解決方法:メールアドレスを再入力する
少数の場合(手動で修正)
連絡先の数が少ない場合は、手動で修正するのが簡単です。
- 問題の連絡先をダブルクリックして開きます
- メールアドレス欄のアドレスを一度削除します
- 同じアドレスを再度入力します
- 「保存して閉じる」をクリックします
この作業によって、Outlookがメールアドレスを正しく「解決」してくれます。
多数の場合(再インポート)
連絡先が多い場合は、もう一度インポートをやり直すことを検討しましょう。
特に重要なのが「フィールドのマッピング」です。インポート時に、元のファイルの「メールアドレス」欄が、Outlookの正しいフィールドに対応付けられているか慎重に確認してください。
マッピングが間違っていると、メールアドレスが別の項目(例:メモ欄)に入ってしまい、アドレス帳では使えなくなります。
原因5:Officeの更新プログラムによる既知の問題
まれに、Officeの更新プログラムが原因で連絡先が正しく表示されなくなることがあります。
Microsoftは定期的にOutlookの不具合を把握しており、修正プログラムを提供しています。
解決方法:Officeの修復を実行する
手順1:設定を開く
Windowsのスタートメニューを右クリックし、「インストールされているアプリ」(または「アプリと機能」)を選択します。
手順2:Microsoft Officeを探す
アプリの一覧から「Microsoft Office」または「Microsoft 365」を見つけます。
手順3:変更を選択
その横にある三点リーダー(…)をクリックし、「変更」を選択します。
手順4:オンライン修復を選択
修復オプションが表示されたら、「オンライン修復」を選択し、「修復」ボタンをクリックします。
オンライン修復は時間がかかりますが、より徹底的に問題を解決してくれます。クイック修復で直らない場合は、必ずオンライン修復を試してください。
手順5:Outlookを再起動
修復が完了したら、Outlookを再起動して問題が解決しているか確認します。
原因6:プロファイルの破損

上記のすべての方法を試しても解決しない場合、Outlookのプロファイル自体が破損している可能性があります。
特に、Windows転送ツールを使ってプロファイルを移行した場合に起こりやすい問題です。
解決方法:新しいプロファイルを作成する
プロファイルの作成は少し手間がかかりますが、多くの場合これで問題が解決します。
手順1:コントロールパネルを開く
Windowsのスタートメニューから「コントロールパネル」を検索して開きます。
手順2:メール設定を開く
「ユーザーアカウント」または「メール」(Outlook 2016アイコン)を探してクリックします。
表示方法を「大きいアイコン」に変更すると見つけやすくなります。
手順3:プロファイルの表示
「プロファイルの表示」ボタンをクリックします。
手順4:追加をクリック
「追加」ボタンをクリックして新しいプロファイルを作成します。
手順5:プロファイル名を入力
新しいプロファイルに分かりやすい名前(例:「新しいOutlook」)を付けて「OK」をクリックします。
手順6:メールアカウントを追加
画面の指示に従ってメールアカウントを追加します。多くの場合、メールアドレスとパスワードを入力するだけで自動設定されます。
手順7:既定のプロファイルを変更
「使用するプロファイル」で「常に使用するプロファイル」を選択し、新しく作成したプロファイルを選びます。
これで、次回Outlookを起動すると新しいプロファイルが使用され、連絡先の問題が解決しているはずです。
よくある質問:連絡先トラブルのQ&A
Q1. 連絡先は見えるのに、メール作成時だけ出てこないのはなぜ?
これは「連絡先フォルダがアドレス帳として設定されていない」のが原因です。
連絡先画面で連絡先が見えていても、その連絡先フォルダが「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」設定になっていなければ、メール作成時には選べません。
本記事の「原因1」の解決方法を試してください。
Q2. 連絡先候補には出るのに、アドレス帳には出ないのはなぜ?
これは「連絡先候補」という別の機能が働いているためです。
連絡先候補は、過去にメールを送受信した相手を自動的に記憶する機能で、連絡先とは別のものです。この連絡先候補を正式な連絡先に移動すれば、アドレス帳にも表示されます。
Outlookの画面下部に表示される「連絡先候補」をクリックし、必要な連絡先を右クリックして「連絡先に追加」を選択してください。
Q3. 会社のグローバルアドレス一覧しか出てこない場合は?
アドレス帳を開いたときの既定の表示が「グローバルアドレス一覧」になっている可能性があります。
アドレス帳画面の上部にあるドロップダウンメニューをクリックし、個人用の連絡先を選択してください。毎回変更するのが面倒な場合は、「原因3」の解決方法で既定の設定を変更しましょう。
Q4. 一部の連絡先だけ表示されないのはなぜ?
複数の連絡先フォルダを使っている場合、一部のフォルダだけアドレス帳設定がオフになっている可能性があります。
各連絡先フォルダのプロパティを確認し、すべてのフォルダで「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」がオンになっているか確認してください。
Q5. 名前は出るけど、メールアドレスが表示されない場合は?
インポートした連絡先で起こりやすい問題です。
連絡先をダブルクリックして開き、メールアドレス欄に正しくアドレスが入っているか確認してください。入っているのに使えない場合は、「原因4」で説明した「メールアドレスの解決」が必要です。
トラブルを防ぐための予防策
連絡先の問題を未然に防ぐために、日頃から以下のポイントに気を付けましょう。
定期的なバックアップ
連絡先は大切な情報資産です。定期的にエクスポートしてバックアップを取っておくと安心です。
Outlookの「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」から、連絡先をCSVファイルやPSTファイルとして保存できます。
パソコン移行時は慎重に
新しいパソコンへの移行時は、Windows転送ツールよりも、Outlookの正式なエクスポート・インポート機能を使う方が安全です。
また、移行後は必ず連絡先が正しく表示されるか確認しましょう。早めに気づけば修正も簡単です。
Officeの更新は計画的に
重要な仕事の直前にOfficeの大型アップデートを適用するのは避けましょう。
万が一不具合が発生した場合に備えて、時間に余裕があるときに更新を行い、動作確認をするのが賢明です。
複数の連絡先フォルダを使う場合は設定を確認
「仕事用」「プライベート」など、複数の連絡先フォルダを作成する場合は、各フォルダで必ず「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」設定を有効にしておきましょう。
まとめ:落ち着いて一つずつ試してみよう
Outlookで連絡先がアドレス帳に表示されない問題は、よくあるトラブルですが、ほとんどの場合は設定を見直すことで解決できます。
この記事のポイント
- 「連絡先」と「アドレス帳」は別物で、連絡先をアドレス帳に表示する設定が必要
- 最も多い原因は、連絡先フォルダのプロパティで「電子メールのアドレス帳にこのフォルダを表示する」がオフになっていること
- Outlookアドレス帳サービスが追加されていない場合は、手動で追加する必要がある
- アドレス帳の既定の表示を個人用連絡先に変更すると便利
- インポートした連絡先は、メールアドレスの「解決」が必要な場合がある
- どうしても直らない場合は、Officeの修復やプロファイルの再作成を試す
まずは「原因1」の解決方法から試してみてください。ほとんどのケースでこれだけで解決します。
それでもダメな場合は、順番に「原因2」「原因3」と進めていきましょう。焦らず一つずつ確認すれば、必ず問題は解決できますよ。
どうしても解決しない場合や、会社のIT部門が管理しているアカウントの場合は、専門家やサポート窓口に相談するのも良い選択です。大切な連絡先を失わないよう、無理をせず適切に対処しましょう。


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