「Winre.wimというファイルが見つからない…」
「回復環境が使えなくて困っている」
「Winre.wimって削除しても大丈夫?」
Windowsのシステムファイルの中に「Winre.wim」というファイルがあります。このファイルは、Windowsが正常に起動しない時に役立つ重要なファイルですが、普段は意識することがありません。
この記事では、Winre.wimとは何か、どこにあるのか、そしてトラブルが起きた時の対処方法を詳しく解説します。
Winre.wimとは?

Winre.wimとは、Windows回復環境(Windows Recovery Environment, WinRE)のイメージファイルです。
Windows回復環境(WinRE)について
Windows回復環境は、Windowsが正常に起動しない時に使える「修復用の特別なWindows」です。
正式名称:
- Windows Recovery Environment
- 略称:WinRE(ウィンアールイー)
- ファイル名:Winre.wim
WIMの意味:
- Windows Imaging Format
- Windowsのイメージファイル形式
- 拡張子は
.wim
Winre.wimの役割
Winre.wimファイルは、以下のような修復ツールを含んでいます:
- スタートアップ修復
- 起動に関する問題を自動的に修復
- システムの復元
- 以前の状態に戻す
- システムイメージの回復
- バックアップからシステムを復元
- コマンドプロンプト
- 上級者向けのコマンドライン環境
- PCのリセット
- Windowsを初期状態に戻す(Windows 10/11)
- 回復ドライブの作成
- USBメモリに回復環境を作成
つまり:
Winre.wimは、Windowsが壊れた時の「救急箱」のようなものです。
Winre.wimの保存場所
Winre.wimファイルは、Windowsのバージョンやインストール方法によって異なる場所に保存されています。
主な保存場所
1. システム予約パーティション(古いWindows)
- Windows 7や初期のWindows 10
- エクスプローラーからは見えない特別なパーティション
2. 回復パーティション(現在の標準)
- Windows 10(1803以降)とWindows 11
- 通常はCドライブの直後に配置される
- サイズ:約650MB〜1GB
- エクスプローラーには表示されない
3. C:\Recovery\WindowsRE
- 隠しフォルダ
- 一部の環境で使用される
4. C:\Windows\System32\Recovery
- 回復環境が無効化されている場合
- または、一時的な保存場所(ステージング)
現在の場所を確認する方法
コマンドで確認:
- コマンドプロンプトを管理者として開く
- スタートボタンを右クリック
- 「ターミナル(管理者)」または「コマンドプロンプト(管理者)」を選択
- 以下のコマンドを入力
reagentc /info
- 結果を確認
Windows RE の状態: Enabled(有効)
Windows RE の場所: \\?\GLOBALROOT\device\harddisk0\partition4\Recovery\WindowsRE
この「Windows RE の場所」に表示されるパスが、Winre.wimの保存場所です。
エクスプローラーで確認する方法
通常、回復パーティションはドライブ文字が割り当てられていないため、エクスプローラーには表示されません。
表示する手順:
- Diskpartを起動
- コマンドプロンプト(管理者)で
diskpartと入力
- パーティション一覧を表示
list disk
select disk 0
list partition
- 回復パーティションを特定
- 種類が「回復」と表示されているパーティション
- サイズは500MB〜1GB程度
- ドライブ文字を割り当て(任意)
select partition X(Xは回復パーティションの番号)
assign letter=R
- エクスプローラーで確認
- Rドライブを開く
Recovery\WindowsRE\Winre.wimを確認
注意: 確認後は、ドライブ文字を削除することをおすすめします。
select partition X
remove letter=R
Winre.wimのサイズ
Winre.wimファイルのサイズは、Windowsのバージョンや言語によって異なります。
一般的なサイズ:
- Windows 10/11(64ビット版): 約400MB〜550MB
- Windows 10/11(32ビット版): 約350MB〜450MB
- カスタマイズ済み: 300MB〜800MB
回復パーティションの推奨サイズ:
- Microsoftの推奨: 650MB以上
- 実用的な推奨: 1GB
- 将来の更新に備えて: 1GB以上
注意:
Windows Updateで回復環境が更新されると、ファイルサイズが増える場合があります。
Winre.wimは削除できる?
結論:削除しないでください。
削除すると何が起こるか
Winre.wimを削除すると、以下のような問題が発生します:
- 回復環境が使えなくなる
- Windowsが起動しない時に修復できない
- スタートアップ修復が実行できない
- トラブルシューティングが困難に
- セーフモードへのアクセスが困難
- システムの復元ができない
- Windows Updateの問題
- 一部の重要な更新が失敗する可能性
- 特に大型アップデート(機能更新プログラム)
- PCのリセットができない
- Windows 10/11の「このPCを初期状態に戻す」機能が使えない
削除してもすぐには問題ない
通常使用時:
- Windowsは通常通り動作する
- 日常的な作業に影響はない
問題が起きるのは:
- Windowsが正常に起動しなくなった時
- システムに重大な問題が発生した時
- 回復機能を使おうとした時
容量が不足している場合の対処
Winre.wimを削除する代わりに:
- ディスククリーンアップを実行
- 一時ファイルを削除
- システムファイルのクリーンアップ
- 不要なアプリをアンインストール
- 大きなファイルを別のドライブに移動
- ストレージセンサーを有効化
- Windows 10/11の自動クリーンアップ機能
- 外付けHDDやクラウドストレージを利用
Winre.wimが見つからない時の対処法
「回復環境が見つかりません」というエラーが出た場合の対処方法です。
対処法1:回復環境を有効化する
Winre.wimファイルは存在するが、無効化されている場合があります。
手順:
- コマンドプロンプトを管理者として開く
- 現在の状態を確認
reagentc /info
- 「Windows RE の状態: Disabled(無効)」の場合
reagentc /enable
- 成功メッセージを確認
REAGENTC.EXE: 操作は成功しました。
- 再度確認
reagentc /info
「Enabled(有効)」になっていればOK
対処法2:Winre.wimを再登録する
ファイルは存在するが、Windowsが正しく認識していない場合があります。
手順:
- Winre.wimの場所を確認
C:\Windows\System32\RecoveryC:\Recovery\WindowsRE- どちらかにあるか確認
- 回復環境を無効化
reagentc /disable
- Winre.wimのパスを再設定
C:\Windows\System32\Recoveryにある場合:reagentc /setreimage /path C:\Windows\System32\RecoveryC:\Recovery\WindowsREにある場合:reagentc /setreimage /path C:\Recovery\WindowsRE
- 回復環境を有効化
reagentc /enable
- 確認
reagentc /info
対処法3:WindowsインストールメディアからWinre.wimを取得
Winre.wimファイル自体が存在しない場合は、Windowsのインストールメディアから抽出できます。
必要なもの:
- WindowsのISOファイルまたはインストールUSB
- 十分な空き容量(10GB以上推奨)
手順:
ステップ1:WindowsのISOファイルを入手
- Microsoft公式サイトからダウンロード
- Windows 11:https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11
- Windows 10:https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
- ISOファイルをマウント
- ISOファイルを右クリック → 「マウント」
- ドライブレターが割り当てられる(例:Dドライブ)
ステップ2:Install.wimを展開
- 作業用フォルダを作成
mkdir C:\OS_image\mount
- Install.wimのエディションを確認
dism /get-imageinfo /imagefile:D:\sources\install.wim
(DはISOのドライブレター)
- 自分のエディションのインデックス番号を確認
- Windows 11 Home:インデックス 1
- Windows 11 Pro:インデックス 6
- Windows 10 Home:インデックス 1
- Windows 10 Pro:インデックス 3
(バージョンによって異なる場合あり)
- Install.wimをマウント
dism /mount-image /imagefile:D:\sources\install.wim /index:6 /mountdir:C:\OS_image\mount /readonly
(インデックス番号は自分の環境に合わせて変更)
ステップ3:Winre.wimを抽出
- エクスプローラーで確認
C:\OS_image\mount\Windows\System32\Recoveryを開くWinre.wimがあることを確認
- Winre.wimをコピー
xcopy /h C:\OS_image\mount\Windows\System32\Recovery\Winre.wim C:\Windows\System32\Recovery
- マウントを解除
dism /unmount-image /mountdir:C:\OS_image\mount /discard
- 作業フォルダを削除
rd C:\OS_image /S /Q
ステップ4:回復環境を有効化
- Winre.wimを登録
reagentc /setreimage /path C:\Windows\System32\Recovery
- 有効化
reagentc /enable
- 確認
reagentc /info
対処法4:Install.esdから変換する(メディア作成ツールの場合)
Microsoftのメディア作成ツールで作成したUSBには、Install.wimの代わりにInstall.esdが入っています。
変換手順:
- Install.esdをInstall.wimに変換
dism /export-image /SourceImageFile:D:\sources\install.esd /SourceIndex:6 /DestinationImageFile:C:\install.wim /Compress:max /CheckIntegrity
- 以降は「対処法3」と同じ手順
対処法5:アップグレードインストール(最も簡単)
上記の方法が難しい場合、最も簡単な方法です。
手順:
- WindowsのISOファイルまたはUSBを用意
- Setup.exeを実行
- メディアのルートフォルダにある
- 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択
- インストールを開始
結果:
- Windowsが再インストールされる
- 個人ファイルとアプリは保持される
- 回復環境も自動的に再構築される
注意:
- 時間がかかる(1〜2時間)
- 必ずバックアップを取ってから実行
回復パーティションの管理

回復パーティションについての追加情報です。
回復パーティションの特徴
- ドライブ文字なし
- 通常はエクスプローラーに表示されない
- 誤って削除されるのを防ぐため
- 隠しパーティション
- ディスク管理で「回復パーティション」と表示される
- GPTディスクでは特別なGUIDが割り当てられている
- NTFSフォーマット
- 通常のNTFSパーティション
- システム保護属性あり
回復パーティションのドライブ文字を削除する
確認作業でドライブ文字を割り当てた場合は、削除することをおすすめします。
手順:
- Diskpartを起動
diskpart
- ディスクとパーティションを選択
list disk
select disk 0
list partition
select partition X(回復パーティションの番号)
- ドライブ文字を削除
remove letter=R
- 終了
exit
回復パーティションが複数ある場合
Windows 10の大型アップデート(バージョン1803など)後、回復パーティションが2つになることがあります。
理由:
- 既存の回復パーティションが小さすぎた
- 新しい回復環境が入らなかった
- Windowsが新しい回復パーティションを自動作成
対処:
- 通常は問題なし
- 古い回復パーティションは空になっている
- 容量が必要な場合のみ削除を検討(上級者向け)
よくある質問
Q. Winre.wimとは何ですか?
A. Windows回復環境(Windows Recovery Environment, WinRE)のイメージファイルです。Windowsが正常に起動しない時に使う修復ツールが含まれています。
Q. Winre.wimはどこにありますか?
A. 通常は回復パーティション内のRecovery\WindowsREフォルダにあります。また、C:\Windows\System32\RecoveryやC:\Recovery\WindowsREにある場合もあります。コマンドreagentc /infoで正確な場所を確認できます。
Q. Winre.wimを削除しても大丈夫ですか?
A. いいえ、削除しないでください。削除すると、Windowsが起動しない時に修復できなくなり、PCのリセット機能も使えなくなります。
Q. Winre.wimが見つかりませんというエラーが出ます。
A. 回復環境が無効化されているか、ファイルが削除された可能性があります。まずreagentc /enableコマンドを試してください。それでも解決しない場合は、WindowsのISOファイルから抽出する必要があります。
Q. 回復環境のサイズが大きすぎます。削除できますか?
A. 回復環境自体は約400〜550MB程度です。削除すると重要な修復機能が使えなくなるため、削除せず、他の方法で容量を確保することをおすすめします。
Q. Windows Updateで「Winre.wimが見つかりません」というエラーが出ます。
A. 一部のWindows Update(特にセキュリティ更新プログラム)は、回復環境の更新を含みます。回復環境が無効化されていると、このエラーが出ることがあります。reagentc /enableで回復環境を有効化してから、再度Updateを試してください。
Q. 回復環境が無効になっているのはなぜですか?
A. 以下の理由が考えられます:
- Windowsのクリーンインストール時に正しく設定されなかった
- 回復パーティションが削除された
- サードパーティ製のパーティション管理ソフトを使用した
- システムファイルの破損
Q. Winre.wimを別のPCからコピーできますか?
A. 同じWindowsバージョン、エディション、ビット数(32/64ビット)であれば可能です。ただし、公式のISOファイルから抽出する方が確実です。
Q. 回復パーティションを削除したい場合は?
A. 上級者以外にはおすすめしません。削除すると回復機能がすべて使えなくなります。どうしても必要な場合は、まず回復ドライブをUSBメモリに作成してから削除してください。
Q. Winre.wimのバージョンを確認できますか?
A. はい、以下のコマンドで確認できます:
dism /get-imageinfo /imagefile:C:\Windows\System32\Recovery\Winre.wim
Q. 回復環境を使う方法は?
A. 以下の方法でアクセスできます:
- 設定 → 更新とセキュリティ → 回復 → 今すぐ再起動(詳細オプション)
- ログイン画面で、Shiftキーを押しながら再起動
- Windowsが2回連続で起動に失敗すると自動的に起動
- 回復ドライブから起動
Q. BitLockerを使用している場合の注意点は?
A. 回復環境の設定を変更する前に、BitLockerを一時停止してください。変更後にBitLocker回復キーの入力を求められる場合があります。
まとめ
Winre.wimは、Windowsの回復環境に必要な重要なシステムファイルです。
重要なポイント:
Winre.wimとは:
- Windows回復環境(WinRE)のイメージファイル
- スタートアップ修復、システムの復元などの修復ツールを含む
- Windowsが起動しない時の「救急箱」
保存場所:
- 回復パーティション:
Recovery\WindowsRE\Winre.wim(標準) - Cドライブ:
C:\Windows\System32\Recovery\Winre.wim(無効時) - 確認コマンド:
reagentc /info
削除について:
- 削除しないでください
- 削除すると回復機能がすべて使えなくなる
- 通常使用時は問題ないが、トラブル時に困る
サイズ:
- 約400〜550MB
- 回復パーティションは650MB〜1GB推奨
トラブル時の対処:
reagentc /enableで有効化を試す- Winre.wimを再登録
- ISOファイルから抽出
- アップグレードインストール(最も簡単)
回復環境の重要性:
- Windows起動時のトラブルに必須
- PCのリセット機能に必要
- Windows Updateの一部に必要
Winre.wimファイルは、通常は意識する必要がありませんが、トラブルが起きた時に非常に重要な役割を果たします。削除や移動は避け、もし問題が発生した場合は、この記事の手順で復旧してください。
万が一の時のために、定期的に「回復ドライブ」をUSBメモリに作成しておくこともおすすめです。これがあれば、Winre.wimに問題があっても、USBから回復環境を起動できます。


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