「Macのライブラリフォルダってどこにあるの?」
「アプリのトラブルシューティングでライブラリフォルダにアクセスする必要があるけど、見つからない…」
Macには「ライブラリ」(Library)という重要なフォルダがあります。しかし、macOS 10.7(Lion)以降、このフォルダはデフォルトで非表示になっており、普通には見えません。
この記事では、ライブラリフォルダの場所と、簡単にアクセスする方法を詳しく解説します。
ライブラリフォルダとは?

ライブラリフォルダとは、Macのアプリケーションや設定ファイル、キャッシュなどの重要なデータが保存されている場所です。
ライブラリフォルダに保存されているもの
ライブラリフォルダには、以下のような重要なファイルが保存されています:
- アプリケーション設定ファイル
- アプリの環境設定
- ユーザー設定
- カスタム設定
- アプリケーションサポートファイル
- アプリのデータファイル
- プラグイン
- 拡張機能
- キャッシュファイル
- 一時データ
- 高速化のための保存データ
- ログファイル
- エラーログ
- クラッシュレポート
- 使用履歴
- フォント
- ユーザーがインストールしたフォント
- Cookieとウェブデータ
- ブラウザのCookie
- ウェブサイトの設定
なぜ非表示になっているのか?
Appleがライブラリフォルダを非表示にしている理由:
- 誤削除の防止
- 重要なファイルを間違って削除するリスクを減らす
- システムが正常に動作するために必要なファイルを保護
- ユーザー体験の向上
- 複雑なシステムファイルをユーザーから隠す
- 必要のない情報で混乱させない
- セキュリティ
- システムの整合性を保つ
- 意図しない変更を防ぐ
Macにある3つのライブラリフォルダ
実は、Macには3つの異なるライブラリフォルダがあります。
1. ユーザーライブラリ(~/Library)
場所: /Users/ユーザー名/Library または ~/Library
特徴:
- 最もよく使うライブラリフォルダ
- 現在ログインしているユーザー専用
- ユーザーがインストールしたアプリのデータが保存される
- デフォルトで非表示
主な用途:
- アプリの設定ファイルの編集
- キャッシュのクリア
- トラブルシューティング
- アプリの完全削除
2. ローカルライブラリ(/Library)
場所: /Library(Macintosh HDの直下)
特徴:
- すべてのユーザーがアクセス可能
- システム全体で共有されるデータ
- 管理者のみが書き込み可能
- 表示されている(非表示ではない)
主な用途:
- 全ユーザー共通のアプリ設定
- システム全体のフォント
- プリンタードライバー
3. システムライブラリ(/System/Library)
場所: /System/Library
特徴:
- macOS本体のシステムファイル
- 絶対に変更・削除してはいけない
- システム保護機能により保護されている
- 表示されている(非表示ではない)
主な用途:
- macOSの動作に必要なファイル
- システムフォント
- システムサービス
重要: このフォルダは触らないでください。変更すると、Macが起動しなくなる可能性があります。
ユーザーライブラリフォルダへのアクセス方法
ここからは、最もよく使う「ユーザーライブラリ」フォルダ(~/Library)へのアクセス方法を紹介します。
方法1:Optionキーを使う方法【最も簡単】
この方法が最も簡単で推奨されます。
- Finderを開く
- Dockのニコニコマークをクリック
- または、デスクトップをクリックしてFinderをアクティブに
- メニューバーの「移動」をクリック
- 画面上部のメニューバーから「移動」を選択
- Optionキー(⌥)を押す
- キーボードのOptionキー(⌥)を押したまま維持
- Windowsキーボードの場合は「Alt」キー
- 「ライブラリ」が表示される
- Optionキーを押すと、「ホーム」と「コンピュータ」の間に「ライブラリ」が表示される
- 「ライブラリ」をクリック
- ライブラリフォルダが開く
ポイント:
- Optionキーは押し続ける必要がある
- キーを離すと「ライブラリ」は消える
- 毎回この操作が必要
方法2:「フォルダへ移動」を使う方法
パスを直接入力する方法です。
- Finderを開く
- 「移動」→「フォルダへ移動」を選択
- またはキーボードショートカット:
Shift + Command + G
- 「~/Library」と入力
- チルダ(~)を忘れずに
- チルダは
Shift + ^で入力できる
- Returnキー(Enter)を押す
- ライブラリフォルダが開く
別の表記方法:
~/Library/Users/ユーザー名/Library
どちらも同じフォルダを開きます。
方法3:常にライブラリを表示する設定
ライブラリフォルダを常に表示したい場合の設定方法です。
- Finderを開く
- 「移動」→「ホーム」を選択
- または
Shift + Command + H
- 「表示」→「表示オプションを表示」を選択
- または
Command + J
- 「”ライブラリ”フォルダを表示」にチェック
- ウィンドウ下部にあるチェックボックス
- 設定完了
- ホームフォルダ内にライブラリフォルダが常に表示される
- 再起動後も表示され続ける
元に戻す方法:
- 同じ手順でチェックを外す
方法4:Finderのサイドバーに追加
より簡単にアクセスできるよう、サイドバーに追加する方法です。
- 上記のいずれかの方法でライブラリフォルダを開く
- ライブラリフォルダのアイコンをドラッグ
- ウィンドウ上部のフォルダアイコンをクリック
- Finderのサイドバーにドラッグ
- 設定完了
- サイドバーに「ライブラリ」が表示される
- ワンクリックでアクセス可能
削除する方法:
- サイドバーのライブラリアイコンを右クリック
- 「サイドバーから削除」を選択
方法5:隠しファイルをすべて表示
すべての隠しファイル・フォルダを表示する方法です。
キーボードショートカット:
Command + Shift + .(ピリオド)
手順:
- Finderを開く
Command + Shift + .を同時に押す- すべての隠しファイル・フォルダが表示される
- もう一度同じショートカットで非表示に戻る
注意:
- この方法はライブラリ以外の隠しファイルもすべて表示される
- システムファイルも見えるようになる
- 必要のないファイルは削除しないように注意
ターミナルからアクセスする方法
上級者向けの方法です。
コマンドでライブラリを開く
open ~/Library
手順:
- ターミナルを開く
- Launchpadから「ターミナル」
- またはSpotlight検索で「ターミナル」と入力
- 上記のコマンドを入力してReturn
- Finderでライブラリフォルダが開く
ターミナルでライブラリに移動
cd ~/Library
このコマンドで、ターミナル上でライブラリフォルダに移動できます。
ライブラリフォルダ内の主要なサブフォルダ

ライブラリフォルダの中には、たくさんのサブフォルダがあります。
よく使うフォルダ
Application Support
- パス:
~/Library/Application Support - 内容:アプリケーションのデータファイル
- 例:ゲームのセーブデータ、アプリの設定ファイル
Preferences
- パス:
~/Library/Preferences - 内容:アプリケーションの環境設定ファイル(.plistファイル)
- 例:com.apple.Safari.plist
Caches
- パス:
~/Library/Caches - 内容:一時的なキャッシュファイル
- 用途:削除して容量を空ける
Logs
- パス:
~/Library/Logs - 内容:アプリケーションやシステムのログファイル
- 用途:トラブルシューティング
Containers
- パス:
~/Library/Containers - 内容:サンドボックス化されたアプリのデータ
- 特徴:Mac App Storeのアプリなど
Safari
- パス:
~/Library/Safari - 内容:Safariの履歴、ブックマーク、設定
Fonts
- パス:
~/Library/Fonts - 内容:ユーザーがインストールしたフォント
- 用途:フォントの追加・削除
Cookies
- パス:
~/Library/Cookies - 内容:Webブラウザのクッキー
Saved Application State
- パス:
~/Library/Saved Application State - 内容:アプリの状態保存データ
- 用途:アプリが不安定な時に削除
ライブラリフォルダの活用例

実際にライブラリフォルダを使う場面を紹介します。
用途1:キャッシュをクリアして容量を確保
手順:
~/Library/Cachesを開く- 不要なキャッシュフォルダを削除
- ゴミ箱を空にする
注意:
- アプリが使用中のキャッシュは削除できない
- 重要そうなファイルは削除前に確認
用途2:アプリを完全にアンインストール
通常のアンインストールでは残るファイル:
~/Library/Application Support/アプリ名~/Library/Preferences/com.company.appname.plist~/Library/Caches/アプリ名
完全削除の手順:
- アプリをアプリケーションフォルダから削除
- ライブラリフォルダを開く
- 上記の場所からアプリ関連ファイルを検索
- すべて削除
用途3:アプリの設定をリセット
アプリが不安定な時の対処:
- アプリを終了
~/Library/Preferencesを開く- 該当アプリの.plistファイルを削除
~/Library/Saved Application Stateから該当フォルダを削除- アプリを再起動
結果:
- 設定が初期状態に戻る
- 不具合が解消されることがある
用途4:Safariのデータをクリア
Safariのキャッシュや履歴を手動で削除:
~/Library/Safariを開く- 以下のファイルを削除:
- History.db(履歴)
- TopSites.plist(トップサイト)
~/Library/Caches/com.apple.Safariを削除- Safariを再起動
用途5:フォントのインストール
カスタムフォントを追加:
~/Library/Fontsを開く- フォントファイル(.ttf、.otfなど)をドラッグ
- Font Bookが自動的に認識
- すぐに使用可能
注意点と安全な使い方
ライブラリフォルダを扱う際の重要な注意点です。
やってはいけないこと
- わからないファイルを削除しない
- 削除していいかわからないものは残す
- 特にPreferencesフォルダは慎重に
- /System/Libraryは触らない
- システムライブラリは絶対に変更しない
- macOSが起動しなくなる可能性
- 複数のファイルを一度に削除しない
- 1つずつ確認しながら削除
- 問題が起きた時に原因を特定しやすい
安全に使うためのコツ
- 削除前にバックアップ
- Time Machineでバックアップ
- または重要なファイルをコピーしておく
- アプリを終了してから操作
- 使用中のファイルは削除しない
- エラーを防ぐ
- 検索機能を活用
- Spotlight(Command + Space)で検索
- 関連ファイルをまとめて見つける
- ゴミ箱から完全削除する前に確認
- ゴミ箱に入れた後、すぐに空にしない
- 数日様子を見る
- 問題なければ完全削除
削除しても安全なファイル
以下のフォルダ内のファイルは、比較的安全に削除できます:
~/Library/Caches(キャッシュ)~/Library/Logs(ログ)~/Library/Saved Application State(アプリの状態)~/Library/Cookies(クッキー)
注意:
削除後、アプリの起動が遅くなったり、設定が初期化されたりする場合があります。
トラブルシューティング
問題1:ライブラリが表示されない
原因と解決方法:
- Optionキーを押し忘れている
- 解決:Optionキーをしっかり押し続ける
- 別のライブラリを見ている
- 解決:
~/Library(チルダ付き)を確認
- macOSのバージョンが古い
- 解決:Mac OS X 10.7以降で非表示機能が導入された
問題2:ライブラリ内のファイルが削除できない
原因と解決方法:
- アプリが使用中
- 解決:アプリを終了してから削除
- 権限がない
- 解決:右クリック → 情報を見る → 共有とアクセス権を確認
- システム保護機能が働いている
- 解決:そのファイルは削除しない方が安全
問題3:ライブラリを開いたら中身が空
原因:
- ユーザーライブラリではなく、別のライブラリを開いている
解決:
~/Library(チルダ付き)を正しく入力- または、Optionキーを使った方法で開く
よくある質問
Q. ライブラリフォルダはどこにありますか?
A. 最もよく使う「ユーザーライブラリ」は/Users/ユーザー名/Library、または~/Libraryにあります。デフォルトで非表示になっています。
Q. ライブラリフォルダを常に表示できますか?
A. はい、できます。Finderで「移動」→「ホーム」を選択後、「表示」→「表示オプションを表示」→「”ライブラリ”フォルダを表示」にチェックを入れてください。
Q. ライブラリフォルダを削除しても大丈夫ですか?
A. いいえ、ライブラリフォルダ自体は絶対に削除しないでください。Macが正常に動作しなくなります。フォルダ内の一部のファイル(キャッシュなど)のみ削除できます。
Q. Macに複数のライブラリフォルダがあるのはなぜ?
A. 役割が異なるからです:
- ユーザーライブラリ(~/Library):個人用
- ローカルライブラリ(/Library):全ユーザー共通
- システムライブラリ(/System/Library):macOS本体
Q. ライブラリフォルダが重いです。削除できますか?
A. ライブラリフォルダ自体は削除できませんが、中のキャッシュやログファイルは削除できます。特に~/Library/Cachesフォルダは定期的にクリアすると、容量を節約できます。
Q. アプリをアンインストールしたのに、ライブラリにファイルが残っています。
A. 通常のアンインストールでは、設定ファイルが残ることがあります。~/Library/Application Support、~/Library/Preferences、~/Library/Cachesから該当アプリのフォルダを手動で削除してください。
Q. Windows PCの「AppData」に相当するのがライブラリフォルダですか?
A. はい、その通りです。WindowsのAppDataフォルダと同様の役割を持ち、アプリケーションデータや設定が保存されています。
Q. ライブラリフォルダのバックアップは必要ですか?
A. Time Machineを使っていれば、自動的にバックアップされます。個別にバックアップする必要はありませんが、重要なアプリのデータは念のためコピーしておくと安心です。
Q. ライブラリフォルダを整理する必要はありますか?
A. 基本的に不要です。macOSが自動的に管理します。ただし、ストレージ容量が不足している場合は、キャッシュやログを削除すると効果的です。
Q. 新しいMacにライブラリフォルダを移行できますか?
A. 移行アシスタントを使えば、ライブラリフォルダも含めて自動的に移行されます。手動でコピーすることも可能ですが、推奨されません。
Q. ライブラリフォルダ内のファイルを編集しても安全ですか?
A. 上級者以外はおすすめしません。.plistファイルなどを誤って編集すると、アプリが正常に動作しなくなる可能性があります。
Q. iPhone/iPadのバックアップもライブラリフォルダにありますか?
A. はい、~/Library/Application Support/MobileSync/Backupに保存されています。かなり容量を使うので、不要な古いバックアップは削除できます。
まとめ
Macのライブラリフォルダは、アプリケーションや設定ファイルが保存されている重要な場所です。
ライブラリフォルダの場所:
- ユーザーライブラリ:
~/Library(最もよく使う) - ローカルライブラリ:
/Library - システムライブラリ:
/System/Library(触らない)
アクセス方法(簡単な順):
- Finderの「移動」メニュー+Optionキー
- 「フォルダへ移動」で
~/Libraryと入力 - 常に表示する設定
- Finderのサイドバーに追加
- 隠しファイルをすべて表示(Command + Shift + .)
主な用途:
- キャッシュのクリア
- アプリの完全アンインストール
- 設定のリセット
- トラブルシューティング
- フォントのインストール
重要な注意点:
- わからないファイルは削除しない
/System/Libraryは絶対に触らない- 削除前にバックアップを取る
- アプリを終了してから操作
安全に削除できるファイル:
- キャッシュ(Caches)
- ログ(Logs)
- アプリの状態(Saved Application State)
- クッキー(Cookies)
ライブラリフォルダは、Macを快適に使うための重要な知識です。必要な時に適切にアクセスできるよう、この記事をブックマークしておくことをおすすめします。
ただし、通常の使用ではライブラリフォルダにアクセスする必要はほとんどありません。トラブルシューティングや特定の作業が必要な時だけ、慎重にアクセスしてください。

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