イコライザー(EQ)とは?仕組み・種類・使い方を分かりやすく解説

スマートフォンの音楽アプリやカーオーディオで見かける「イコライザー」。なんとなく触ったことはあっても、具体的に何をするものなのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、イコライザーの基本的な仕組みから種類、実際の使い方まで、音響の専門知識がなくても理解できるよう解説していきます。


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イコライザーとは

イコライザー(Equalizer / EQ) とは、音に含まれる特定の周波数帯域の音量を調整する音響機器・エフェクトのことです。

「イコライザー」という言葉は、英語の「Equalize(均一化する)」に由来しています。もともとは録音・再生環境による音質の歪みを補正し、原音に近づけるための機器として開発されました。

現在では補正だけでなく、積極的な音作りにも活用されています。ボーカルを際立たせたり、低音を強調したり、耳障りなノイズを軽減したりと、目的に応じて音のバランスを自由に調整できるのが特徴です。

🎵 身近なイコライザーの例

カーオーディオの「BASS」「TREBLE」調整、iPhoneの「ミュージック」アプリにあるEQ設定、YouTubeやSpotifyの音質調整機能なども、すべてイコライザーの一種です。


周波数とは何か

イコライザーを理解するには、まず「周波数」について知っておく必要があります。

音は空気の振動によって伝わります。この振動が1秒間に何回繰り返されるかを表す単位が「Hz(ヘルツ)」です。

振動が速い(周波数が高い)と高い音に、振動が遅い(周波数が低い)と低い音として聞こえます。人間が聞き取れる音の範囲は約20Hz〜20,000Hz(20kHz)とされており、これを「可聴域」と呼びます。

周波数帯域の特徴

帯域名周波数特徴・印象
超低域20〜60Hz体で感じる重低音。キックドラムの「ズン」という響き
低域60〜250Hzベースやバスドラムの存在感。音の「厚み」を担う
中低域250〜500Hz楽器の温かみ。多すぎると「こもった」印象に
中域500Hz〜2kHzボーカルや楽器の主要部分。「歌声」が含まれる帯域
中高域2〜4kHz音の「抜け」や明瞭さ。人間の耳が最も敏感な帯域
高域4〜8kHzシンバルやハイハットの輝き。存在感と鮮明さ
超高域8〜20kHz空気感や煌めき。「エアー」とも呼ばれる

イコライザーの種類

イコライザーには大きく分けて2つの種類があります。それぞれ特徴と用途が異なります。

グラフィックイコライザー

調整できる周波数があらかじめ固定されており、複数のスライダー(フェーダー)が並んだ形状をしています。スライダーを上下させることで、対応する周波数帯域の音量を増減できます。

視覚的に分かりやすく、直感的な操作が可能なのが利点です。カーオーディオやコンポなど、家庭用オーディオ機器によく搭載されています。

パラメトリックイコライザー

調整したい周波数を自分で指定でき、その周囲にどれくらいの範囲で影響を与えるかも細かく設定できます。自由度が高い反面、操作にはある程度の知識が必要になります。

音楽制作やミキシングなど、プロの現場で主に使用されるタイプです。DAW(音楽制作ソフト)に搭載されているEQの多くはこちらに該当します。


イコライザーの基本用語

イコライザーを使う上で、覚えておきたい基本用語を紹介します。

用語説明
ブースト特定の周波数帯域の音量を上げること。音を強調したい場合に使用します。
カット特定の周波数帯域の音量を下げること。不要な音を抑えたい場合に使用します。
フラットすべての周波数帯域を均一にした状態。EQによる調整を行っていない原音の状態です。
Q値影響を与える周波数の幅を表す数値。値が大きいほど狭い範囲、小さいほど広い範囲に作用します。
ゲインブースト・カットする量を表す数値。dB(デシベル)という単位で表されます。

イコライザーの基本的な使い方

イコライザーを効果的に使うためのポイントを紹介します。

引き算で考える

イコライザー調整の基本は「引き算」です。目立たせたい音があるとき、その音を上げるのではなく、周りの邪魔な音を下げることで相対的に際立たせます。

音を上げすぎると全体のバランスが崩れ、音割れの原因にもなりかねません。必要な音を残し、不要な音を削っていくイメージで調整していきましょう。

まずはフラットな状態を知る

調整を始める前に、EQをかけていないフラットな状態での音をしっかり把握しておくことが大切です。基準がなければ、どこをどう変えたらいいか判断できなくなってしまいます。

目的を明確にする

何のためにEQをかけるのかを明確にしましょう。ボーカルを前に出したい、低音の迫力を増したい、こもった感じを解消したいなど、目的によって調整する帯域は異なります。

💡 調整のコツ
最初から繊細な調整をしようとせず、大きくブースト・カットして音の変化を確認してみましょう。どの帯域がどんな音を担当しているか、耳で覚えていくことが上達への近道です。


イコライザーの活用シーン

🎧 音楽を聴くとき

スマートフォンやオーディオプレイヤーのEQ機能を使って、好みの音質に調整できます。ヘッドホンやイヤホンの特性を補ったり、音楽ジャンルに合わせた設定を選んだりすることが可能です。

🎤 音楽制作・ミキシング

各楽器の周波数帯域を整理し、お互いが邪魔し合わないようにバランスを取ります。ボーカルを明瞭にしたり、ドラムにパンチを加えたりと、楽曲のクオリティを高めるために不可欠な工程です。

🔊 ライブ・PA

会場の音響特性に合わせて音を調整したり、ハウリング(キーンという不快な音)を防止したりするために使用されます。


まとめ

  • イコライザー(EQ)は特定の周波数帯域の音量を調整する機器・エフェクト
  • もともとは音質補正用だったが、現在は積極的な音作りにも活用される
  • グラフィックEQは直感的で分かりやすく、パラメトリックEQは自由度が高い
  • 音を上げる「ブースト」と下げる「カット」を使い分けて調整する
  • 調整の基本は「引き算」。上げすぎず、不要な音を削る意識が大切
  • 人間の可聴域は約20Hz〜20kHz。各帯域に特徴的な音の印象がある

イコライザーは奥が深く、使いこなすには経験が必要です。まずは身近な音楽アプリのEQ設定から試してみて、音の変化を楽しみながら耳を鍛えていきましょう。

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