iPhoneが急に動かなくなったり、リンゴマークが表示されたまま先に進まなくなった経験はありませんか?
そんな時に役立つのが「DFUモード」です。普段は使うことのない特殊な機能ですが、いざという時に知っておくと大変助かります。
この記事では、DFUモードの基本から実際の入り方まで、初めての方でもわかりやすく説明していきます。
DFUモードって何?

DFUモードとは、「Device Firmware Update Mode(デバイス・ファームウェア・アップデート・モード)」の略称です。
簡単に言うと、iPhoneの最も深い部分まで修復できる特別な復元方法のこと。普通の再起動やリカバリーモードでは解決できない深刻な不具合に対応できます。
ファームウェアというのは、iPhoneのハードウェア(物理的な部品)とソフトウェア(iOS)の間を取り持つプログラムのことです。家に例えるなら、建物の基礎や骨組みのような存在といえるでしょう。
DFUモードの最大の特徴
DFUモードに入ると、iPhoneの画面は真っ暗な状態になります。
これは、iOSを全く起動させずにファームウェアだけを操作している証拠。通常の操作では触れない深い部分まで修復作業ができるんです。
リカバリーモードとの違い
iPhoneには「リカバリーモード」という復元方法もあります。多くの人がDFUモードと混同しがちですが、実は明確な違いがあるんです。
リカバリーモード
- Appleが公式に推奨している方法
- 画面に「iTunesに接続」のマークが表示される
- iOSを使って復元を行う
- 「アップデート」と「復元」の2つから選べる
- データを残したまま修復できる可能性がある
DFUモード
- 非公式の方法(Appleからの正式な説明はない)
- 画面は完全に真っ暗
- iOSを起動せずにファームウェアを直接操作
- 「復元」のみ選択可能
- すべてのデータが削除される
つまり、リカバリーモードが一般的な修理なら、DFUモードは大手術のようなものです。リカバリーモードで解決できない場合の最終手段として使われます。
DFUモードが必要になる状況
以下のような症状が出ている場合、DFUモードが解決の鍵になるかもしれません。
リンゴループ
Appleのロゴマークが表示されては消え、表示されては消えを繰り返す現象です。これはファームウェアに問題がある可能性が高く、DFUモードでの修復が効果的。
画面が真っ暗のまま反応しない
電源ボタンを押しても何も表示されない、完全に動かない状態です。
リカバリーモードで復元に失敗する
何度試してもエラーが出て復元が完了しない場合、DFUモードなら成功する可能性があります。
iOSのアップデートに失敗した
アップデート中にエラーが起きて、iPhoneが使えなくなってしまった時にも有効です。
【重要】DFUモードを使う前の注意点
DFUモードは強力な機能ですが、使う前に必ず知っておくべき注意点があります。
1. データは完全に消える
DFUモードで復元すると、iPhone内のすべてのデータが削除されます。写真、動画、アプリ、連絡先など、保存していた情報は全て失われてしまうんです。
必ず事前にバックアップを取っておきましょう。
2. 最新のiOSに自動更新される
復元が完了すると、自動的に最新バージョンのiOSがインストールされます。古いバージョンに戻すことは基本的にできません。
3. 「iPhoneを探す」をオフにする
事前に「iPhoneを探す」機能をオフにしておくか、Apple IDとパスワードを準備しておく必要があります。
4. 故障したiPhoneには使わない
水没や物理的な損傷があるiPhoneでDFUモードを使うと、完全に起動しなくなる危険性があります。ハードウェアに問題がある場合は、修理店に相談した方が安全です。
DFUモードの入り方【機種別】

それでは実際の手順を見ていきましょう。機種によって操作方法が異なるので、お使いのiPhoneに合った方法を確認してください。
準備するもの
- iPhone
- パソコン(WindowsまたはMac)
- USBケーブル
- iTunes(Windowsまたは古いMac)またはFinder(macOS Catalina以降)
iPhone 8以降(iPhone SE 第2世代・第3世代、iPhone X、11、12、13、14、15、16含む)
手順:
- iPhoneをパソコンに接続し、iTunesまたはFinderを起動する
- 音量を上げるボタンを素早く押して離す
- 音量を下げるボタンを素早く押して離す
- サイドボタンを押し続ける
- 画面が真っ暗になったら、サイドボタンと音量を下げるボタンを同時に5秒間押し続ける
- 5秒経ったらサイドボタンだけ離し、音量を下げるボタンはそのまま約10秒押し続ける
- パソコン画面に「iTunesはリカバリーモードのiPhoneを見つけました」と表示されたら成功
※画面にAppleロゴが表示された場合は失敗です。最初からやり直してください。
iPhone 7・iPhone 7 Plus
手順:
- iPhoneをパソコンに接続し、iTunesまたはFinderを起動する
- サイドボタンと音量を下げるボタンを同時に押し続ける
- 約10秒経ったらサイドボタンだけ離し、音量を下げるボタンは押し続ける
- 画面が真っ暗なまま、パソコンに「iTunesはリカバリーモードのiPhoneを見つけました」と表示されたら成功
iPhone 6s以前(iPhone SE 第1世代含む)
手順:
- iPhoneをパソコンに接続し、iTunesまたはFinderを起動する
- ホームボタンとサイドボタン(または電源ボタン)を同時に押し続ける
- 約10秒経ったらサイドボタンだけ離し、ホームボタンは押し続ける
- 画面が真っ暗なまま、パソコンに「iTunesはリカバリーモードのiPhoneを見つけました」と表示されたら成功
成功の見分け方
- iPhone画面:完全に真っ暗(何も表示されない)
- パソコン画面:「iTunesはリカバリーモードのiPhoneを見つけました」というメッセージ
この2つの条件が揃っていれば、正しくDFUモードに入れています。
DFUモードでの復元方法
DFUモードに入ったら、次は実際に復元作業を行います。
- パソコンに表示される「OK」ボタンをクリック
- 「復元」ボタンをクリック
- 復元作業が開始されます(15分〜1時間程度かかる場合があります)
- 完了すると、iPhoneが自動的に再起動します
- 初期設定画面が表示されるので、画面の指示に従って設定を進めていきます
DFUモードの解除方法
復元が正常に完了すれば、iPhoneは自動的にDFUモードから抜けて通常起動します。
もしDFUモードのまま動かなくなった場合は、強制再起動を行ってください。
強制再起動の方法
iPhone 8以降:
- 音量を上げるボタンを素早く押して離す
- 音量を下げるボタンを素早く押して離す
- サイドボタンをAppleロゴが表示されるまで押し続ける
iPhone 7シリーズ:
サイドボタンと音量を下げるボタンを、Appleロゴが表示されるまで同時に押し続ける
iPhone 6s以前:
ホームボタンとサイドボタン(電源ボタン)を、Appleロゴが表示されるまで同時に押し続ける
よくある質問
Q1. DFUモードに入るのが難しいんですが…
A. DFUモードは、ボタンを押すタイミングがとてもシビアです。何度か失敗するのは普通なので、焦らず繰り返しトライしてみてください。10回以上かかることも珍しくありません。
Q2. DFUモードでも直らない場合は?
A. 残念ながら、ハードウェア(物理的な部品)に問題がある可能性が高いです。Apple StoreやApple正規サービスプロバイダに相談することをおすすめします。
Q3. バックアップなしでDFUモードを使ってしまいました
A. データの復旧は非常に難しいですが、専門のデータ復旧業者に相談すると、一部のデータを救出できる可能性があります。ただし、費用が高額になることが多いです。
Q4. 復元中にエラーが出ました
A. 以下の点を確認してみてください:
- USBケーブルがしっかり接続されているか
- パソコンのiTunesやFinderが最新版か
- パソコンのウイルス対策ソフトが邪魔していないか
- 別のUSBケーブルや別のパソコンで試してみる
まとめ
DFUモードは、iPhoneの深刻な不具合を解決できる最終手段です。
覚えておきたいポイント:
- DFUモード=ファームウェアを直接操作する最も強力な復元方法
- リカバリーモードより深い修復が可能
- 画面は真っ暗になるのが正常
- すべてのデータが消えるので、必ずバックアップを取る
- 機種によって入り方が異なる
- タイミングがシビアなので、何度も試す覚悟が必要
普段は使うことのない機能ですが、いざという時のために知識として持っておくと安心です。
ただし、水没や落下などで物理的な損傷がある場合は、無理にDFUモードを試さず、専門家に相談することをおすすめします。
まずはリカバリーモードを試して、それでもダメならDFUモード、という順番で対処していくのが基本的な流れです。
※この記事の情報は2024年12月時点のものです。iOSのバージョンやAppleの仕様変更により、手順が変わる可能性があります。

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