GoogleのAIチャットボット「Gemini」を使っていて、こんな経験はありませんか?
「前に相談した旅行の件、もう一度詳しく話したい」
「以前のプロジェクトの続きをやりたいけど、また最初から説明するのは面倒…」
実は、Geminiには過去の会話を思い出して参照する機能があるんです。これを使えば、毎回同じ情報を繰り返し伝える必要がなくなります。
今回は、Geminiで別のチャットを参照する機能について、使い方から設定方法まで詳しく解説していきます。
Geminiの「過去のチャット参照機能」とは?

過去のチャット参照機能は、以前あなたがGeminiと話した内容を記憶して、新しい会話でその情報を活用する機能です。
この機能が登場したのは2025年2月で、最初はGemini Advanced(有料プラン)の加入者向けに英語で提供されました。その後、2025年8月にはGemini 2.5 Proモデルでデフォルトで利用できるようになっています。
具体的にできること
- 過去の会話内容を要約してもらう
- 以前話したトピックについて追加の質問をする
- 前回のプロジェクトの続きから始める
- あなたの好みや関心に基づいた回答を得る
短期記憶と長期記憶の違い
Geminiの記憶機能は、コンピュータに例えるとこんな感じです。
短期記憶(RAM)
現在のチャットでのやり取りです。高速に動作しますが、容量には限りがあって、古い内容は忘れてしまいます。これが従来の「コンテキストウィンドウ」と呼ばれるものですね。
長期記憶(ストレージ)
これまでの全チャットのログです。「前に話した○○の件、どうなった?」と聞くと、この膨大なログの中から関連する情報を見つけ出して、思い出してくれます。
今回の機能は、この「長期記憶」にあたるものなんです。
過去のチャットを参照する使い方
基本的な使い方
新しいチャットを始めるときに、こんな風に話しかけてみましょう。
例1:要約を依頼
「太陽系について話し合った内容を要約して」
例2:特定の情報を尋ねる
「息子のクラスメイトの誕生日プレゼント、何に決めたっけ?」
例3:プロジェクトの続き
「前回のプロジェクトの続きを始めたい。ユーザー認証機能について相談させて」
このように、トピックや期間を指定してGeminiに質問すれば、過去のチャットを参照して答えてくれます。
参照されたかどうかの確認方法
Geminiが過去のチャットを参照して回答した場合、回答の下にある「ソースと関連コンテンツ」に「以前のチャット」というラベルが表示されます。
ただし、このラベルが誤って表示される場合もあるので、参考程度に考えておきましょう。
過去のチャット履歴を管理する方法
チャット履歴の確認方法
パソコンの場合
- gemini.google.com にアクセス
- 画面上部の「メニュー」をクリック
- サイドパネルに最近のチャットが表示される
スマートフォンの場合
- Geminiモバイルアプリを開く
- 上部の「メニュー」アイコンをタップ
- 「最近」の欄にチャット履歴が表示される
チャットを検索する
膨大なチャット履歴から特定の会話を探したいときは、検索機能が便利です。
- メニューを開く
- 検索ボックスに探したいキーワードを入力
- Enterキーを押す(またはタップ)
重要なチャットを固定する
よく参照するチャットは、固定しておくと便利です。
- チャットにカーソルを合わせる(スマホの場合は長押し)
- 「その他」→「固定」を選択
- 固定したチャットが一覧の最上部に表示される
チャットを削除する
不要なチャットは削除できます。
注意:固定や最近のチャットから削除すると、「Geminiアプリアクティビティ」からも削除されます。
- 削除したいチャットを選択
- 「その他」→「削除」を選択
過去のチャット参照機能を使える条件
この機能を使うには、いくつかの条件があります。
必要な設定
個人アカウントの場合
- Geminiアプリにログインしている
- 「アクティビティの保存」がオンになっている
- 個人のGoogleアカウントを使用(仕事用・学校用アカウントでは現時点で利用不可)
地域制限
現時点では、以下の地域では利用できません。
- 欧州経済地域(EEA)
- スイス
- イギリス
使えるモデル
2025年8月時点では、Gemini 2.5 Proモデルで利用可能です。画面上部のプルダウンで「2.5 Pro」を選択すると、過去のチャットに基づいたパーソナライズされた応答が得られます。
Gemini 2.5 Flashモデルでも順次展開される予定です。
プライバシーとデータ管理

アクティビティ保存設定の変更
過去のチャット参照機能は便利ですが、プライバシーが気になる方もいますよね。
この機能はデフォルトでオンになっていますが、いつでもオフにできます。
設定の変更方法
- Geminiアプリの「設定」を開く
- 「パーソナルコンテキスト」を選択
- 「Geminiとの過去のチャット」を選択
- オン・オフを切り替える
一時的なチャット機能
「履歴に残したくない会話がしたい」というときのために、「一時的なチャット」機能もあります。
一時的なチャットの特徴
- 最近のチャットに表示されない
- Geminiアプリアクティビティに保存されない
- パーソナライゼーションに使用されない
- AIモデルのトレーニングに使用されない
- 72時間後に自動削除される
プライベートな質問を探りたいときや、通常のスタイルとは異なるアイデアをブレインストーミングしたいときに便利ですね。
Googleのデータ使用について
Googleは、ユーザーの会話履歴をAIモデルのトレーニングには使用しないと明言しています。
ただし、「アクティビティの保存」がオンの場合、アップロードしたファイルや写真のサンプルが、Googleサービスの改善のために使用される可能性があります。
実際の活用例
開発プロジェクトでの活用
プログラミングやプロジェクト管理で、Geminiを使っている方も多いでしょう。
従来の方法
毎回新しいチャットを始めるたびに、プロジェクトの概要、技術スタック、ファイル構成、DB設計などをまとめた長いドキュメントを添付していました。
過去のチャット参照機能を使うと
「Readプロジェクトの続きを始めよう。今回はユーザー認証機能の実装について相談したい。」
この一言で、Geminiは過去の議論(DBのテーブル仕様、使用するライブラリなど)を自動で参照してくれます。
旅行計画での活用
以前に旅行の計画について話し合った場合、後日その計画をさらに練り直したいときに便利です。
「前に話したバリ旅行の件、もう少し詳しく計画を立てたい」
Geminiは以前の会話を思い出し、その内容を踏まえた提案をしてくれます。
趣味や興味の共有
あなたの好きなコミックの登場人物や、興味のある分野について以前話した内容を記憶しています。
関連する質問をすると、あなたの関心を理解した上で、より個人的で詳細な回答を提供してくれるんです。
他のAIチャットボットとの比較
ChatGPTとの違い
実は、ChatGPTにも同様の記憶機能があります。
大きな違い
- ChatGPT:無料版でも記憶機能が使える
- Gemini:有料のGemini Advanced(Google One AI Premiumプラン)が必要
月額料金は、ChatGPT Plusが20ドル、Google One AI Premiumプランが約20ドル(約2,900円)と、ほぼ同額です。
Microsoft Copilotも対応
Microsoft Copilotも、過去の会話を記憶する機能を実装しています。主要なAIチャットボットが、こうしたパーソナライゼーション機能を競って開発している状況なんですね。
使用時の注意点
機密情報は入力しない
チャット履歴に保存される情報は、Googleのサービス改善に使用される可能性があります。
避けるべき情報
- 個人を特定できる情報
- 会社の機密情報
- パスワードやクレジットカード番号
- 第三者のプライバシーに関わる情報
機密性の高い内容は、一時的なチャット機能を使うか、そもそもAIチャットに入力しないようにしましょう。
ラベルの誤表示に注意
「以前のチャット」というラベルが表示されても、実際には過去のチャットを参照していない場合もあります。重要な判断をする際は、内容をよく確認することが大切です。
Gemini Liveでは使えない
現時点では、音声会話機能の「Gemini Live」では過去のチャット参照機能は利用できません。
ただし、テキスト入力を使えば、過去のGemini Liveでの会話を参照するようGeminiにリクエストすることは可能です。
カスタム指示でさらにパーソナライズ
過去のチャット参照機能に加えて、「カスタム指示」を使うこともできます。
カスタム指示とは
Geminiに対して、あなた専用の指示を与えて、回答をカスタマイズする機能です。
活用例
- 回答は簡潔にまとめてほしい
- コードはJavaScriptで書いてほしい
- 専門用語を使わずに説明してほしい
カスタム指示の設定方法
- Geminiアプリの「設定」を開く
- 「パーソナルコンテキスト」→「Geminiへのカスタム指示」を選択
- 指示を入力して「送信」をクリック
設定したカスタム指示は、すべてのチャットに適用されます。いつでも表示、編集、削除が可能です。
まとめ:Geminiの過去のチャット参照でAIとの対話がもっと便利に
Geminiの過去のチャット参照機能は、AIチャットボットの進化における重要な一歩です。
この機能のメリット
- 同じ情報を何度も入力する手間が省ける
- より文脈に沿った自然な会話ができる
- 長期的なプロジェクトで一貫したサポートを受けられる
- あなたの好みや関心に基づいた回答が得られる
注意すべき点
- 機密情報は入力しない
- プライバシー設定を確認する
- 必要に応じて一時的なチャット機能を使う
使い方をマスターすれば、Geminiがあなたの強力なアシスタントになってくれます。ぜひこの機能を活用して、より効率的にAIを使いこなしましょう!

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