「セキュリティソフトを入れたら、パソコンが重くなった」
「インターネットに接続できなくなった」
「アプリが起動しない」
こんな経験はありませんか?それ、セキュリティソフトの「干渉」が原因かもしれません。
セキュリティソフトは本来、パソコンを守ってくれる頼もしい存在ですが、時には過保護になりすぎて、逆にトラブルを引き起こしてしまうことがあるんです。
今回は、セキュリティソフトの干渉とは何か、どんな症状が出るのか、そして具体的な解決方法まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します!
セキュリティソフトの「干渉」って何?

セキュリティソフトの干渉とは、セキュリティソフトがパソコンの正常な動作や他のプログラムの動きを妨げてしまう現象のことです。
セキュリティソフトは、ウイルスや不正なプログラムからパソコンを守るために、常にパソコン内部を監視しています。この監視活動が時として「やりすぎ」になり、安全なプログラムまでブロックしてしまったり、パソコンの動作を遅くしてしまったりするんですね。
例えるなら、家の警備員が厳重すぎて、配達員や訪問者まで全員追い返してしまう状態です。守ってくれるのはありがたいけど、困りますよね。
よくある症状チェックリスト
セキュリティソフトの干渉が起きているかどうか、まずは以下の症状に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
インターネット接続の問題
- 突然インターネットに接続できなくなった
- 特定のウェブサイトだけ開けない
- ブラウザに「インターネットアクセスがブロックされています」と表示される
- Wi-Fiには接続できているのに、ページが表示されない
動作が重い・遅い
- パソコンの起動がとても遅くなった
- アプリケーションの動作が重い
- ファイルを開くのに時間がかかる
- 頻繁にフリーズする
アプリケーションの問題
- インストールしたばかりのアプリが起動しない
- ゲームやソフトが正常に動かない
- 「このプログラムはブロックされました」と表示される
- アップデートができない
セキュリティソフト自体の問題
- セキュリティソフトが起動しない
- 複数のセキュリティソフトを入れたら不具合が出た
- 期限切れのセキュリティソフトが動いている
- 警告メッセージが頻繁に表示される
これらの症状が出たら、セキュリティソフトの干渉を疑ってみる価値がありますよ。
セキュリティソフトの干渉が起きる5つの原因
では、なぜセキュリティソフトの干渉が起きてしまうのでしょうか?主な原因を5つ見ていきましょう。
原因1:複数のセキュリティソフトがインストールされている
これが最も多い原因です。パソコンに複数のセキュリティソフトをインストールすると、それぞれが同じファイルを監視しようとして衝突してしまいます。
「守りを固めたい」と思って複数入れる気持ちは分かりますが、実はこれが一番危険なパターンなんです。セキュリティソフトは基本的に1つだけにするのが鉄則ですよ。
原因2:ファイアウォール機能が過剰に働いている
ファイアウォールは、不正なアクセスからパソコンを守る「門番」のような機能です。しかし、この門番が厳しすぎると、正常なプログラムの通信まで止めてしまいます。
例えば、新しくインストールしたアプリがインターネットに接続しようとした時、ファイアウォールが「怪しい!」と判断してブロックしてしまうことがあるんです。
原因3:誤検知(フォールスポジティブ)
セキュリティソフトが安全なファイルやプログラムを「ウイルスだ!」と誤って判断してしまうことを「誤検知」と言います。
過去には、Google ChromeがMicrosoft Security Essentialsに誤検知されて削除され、約3,000人のユーザーに影響が出た事例もありました。セキュリティソフトも完璧ではないんですね。
原因4:リソース(メモリやCPU)を大量に消費している
セキュリティソフトは常にパソコンを監視しているため、メモリやCPUといったパソコンの資源を使い続けます。
特にスペックの低いパソコンや古いパソコンだと、セキュリティソフトの動作でパソコン全体が重くなってしまうことがあります。
原因5:期限切れのセキュリティソフトが残っている
「期限切れでも入れていないよりマシ」と思っていませんか?実はこれ、大きな間違いなんです。
期限切れのセキュリティソフトは、新しいウイルスに対応できないだけでなく、Windows標準のセキュリティ機能(Windows Defender)の動作も邪魔してしまいます。両方が中途半端な状態になり、かえって危険なんですよ。
具体的なトラブル事例と解決方法
ここからは、実際によくあるトラブル事例と、その解決方法を見ていきましょう。
事例1:インターネットに接続できない
症状
セキュリティソフトをインストールした後、突然インターネットに接続できなくなった。ブラウザ(EdgeやChromeなど)を開いても「ページが表示できません」と出る。
原因
ファイアウォール機能がブラウザの通信をブロックしている可能性が高いです。
解決方法
- セキュリティソフトの設定を確認
- セキュリティソフトを起動
- 「ファイアウォール」または「不正侵入対策」の設定を開く
- アプリケーション一覧から使っているブラウザ(msedge.exe、chrome.exeなど)を探す
- 「ブロック」になっていたら「許可」に変更
- 一時的にファイアウォールを無効化してテスト
- セキュリティソフトのファイアウォールを一時的にオフにする
- インターネットに接続できるか確認
- 接続できたら、ファイアウォールの設定を見直す
- 確認後は必ずファイアウォールを再度有効にする
- ルーターの再起動
- ルーターとモデムの電源を一度切る
- 1分ほど待ってから、モデム→ルーターの順に電源を入れる
- 接続が安定するまで待つ
- セキュリティソフトの再インストール
- それでも解決しない場合は、セキュリティソフトを一度アンインストール
- パソコンを再起動
- 最新版を公式サイトからダウンロードして再インストール
事例2:パソコンの動作が異常に重い
症状
セキュリティソフトをインストールしてから、パソコンの起動が遅くなり、普段の作業も重く感じる。タスクマネージャーを見ると、セキュリティソフトのCPU使用率が常に高い。
原因
セキュリティソフトのリアルタイムスキャン機能が、パソコンのリソースを大量に消費している可能性があります。
解決方法
- スキャンのスケジュールを調整
- フルスキャンを毎日実行している場合は、週1回に減らす
- スキャン時間を、パソコンを使わない時間帯(夜間など)に設定
- 不要なプログラムを閉じる
- バックグラウンドで動いている不要なプログラムを終了
- スタートアップに登録されている不要なソフトを無効化
- 複数のセキュリティソフトがないか確認
- コントロールパネルの「プログラムと機能」を開く
- 複数のセキュリティソフトがインストールされていないか確認
- 不要なものがあれば、1つだけ残してアンインストール
- Windows Defenderとの競合を確認
- 設定→更新とセキュリティ→Windowsセキュリティを開く
- ウイルスと脅威の防止を確認
- サードパーティのセキュリティソフトを入れている場合、Windows Defenderが自動的に無効になっているか確認
- 軽量なセキュリティソフトへの乗り換えを検討
- パソコンのスペックに見合ったセキュリティソフトを選ぶ
- 無料版より有料版の方が軽量な場合もある
事例3:複数のセキュリティソフトがお互いに干渉
症状
古いセキュリティソフトをアンインストールせずに新しいものをインストールしたら、両方が起動しなくなった。または、パソコンが頻繁にフリーズするようになった。
原因
複数のセキュリティソフトが同じシステム領域(カーネル)に干渉し合っている状態です。
解決方法
- すべてのセキュリティソフトをアンインストール
- コントロールパネル→プログラムと機能から、すべてのセキュリティソフトをアンインストール
- 通常のアンインストールでは完全に削除できない場合がある
- 専用のアンインストールツールを使用
- セキュリティソフトのメーカーが提供する「完全削除ツール」をダウンロード
- セーフモードで起動して実行すると効果的
- 代表的なツール:
- McAfee Consumer Product Removal Tool (MCPR)
- Norton Remove and Reinstall tool
- Kaspersky Removal Tool
- パソコンを再起動
- アンインストール後、必ずパソコンを再起動
- セキュリティソフトを1つだけ新規インストール
- 最新版を公式サイトからダウンロード
- インストール前に、他のセキュリティソフトが完全に削除されているか再確認
- Windows Defenderで一時的に対応
- サードパーティのセキュリティソフトを使わない場合は、Windows標準のDefenderで十分
- Windows 10以降なら、Defenderの性能も向上している
事例4:特定のアプリケーションが起動しない
症状
ゲームやビジネスソフトをインストールしたのに、起動しようとすると「ブロックされました」と表示されたり、何も表示されず起動しない。
原因
セキュリティソフトが、そのアプリケーションを「危険」と判断して実行を止めている可能性があります。
解決方法
- セキュリティソフトの例外リストに追加
- セキュリティソフトの設定を開く
- 「除外」「例外」「ホワイトリスト」などの項目を探す
- 起動したいアプリケーションの実行ファイル(.exe)を追加
- 多くの場合、「C:\Program Files\アプリ名\」フォルダ内にある
- 隔離されたファイルを復元
- セキュリティソフトの「検疫」「隔離」機能を確認
- アプリのファイルが隔離されていたら復元する
- 復元前に、本当に安全なファイルか確認することが大切
- リアルタイムスキャンを一時的に無効化
- セキュリティソフトのリアルタイム保護を一時的にオフ
- アプリをインストールまたは起動
- 起動を確認したら、すぐにリアルタイム保護を再度オン
- 信頼できる開発元か確認
- セキュリティソフトが警告する場合、本当に安全なアプリか再確認
- 公式サイトからダウンロードしたものか
- デジタル署名があるか確認
事例5:Windowsアップデートができない
症状
Windows Updateを実行しようとすると、途中で止まってしまう。エラーコード「0x80070020」や「0x800705b4」が表示される。
原因
セキュリティソフトがアップデートファイルを不正なものと判断してブロックしている、またはシステムファイルへのアクセスを妨げている可能性があります。
解決方法
- セキュリティソフトを一時的に無効化してアップデート
- セキュリティソフトのリアルタイム保護を一時的にオフ
- Windows Updateを実行
- アップデート完了後、セキュリティソフトを再度有効化
- セキュリティソフトの設定でWindows Updateを許可
- 「動作監視」や「挙動検知」の設定を確認
- Windows Updateサービス(wuauserv.exe)を信頼リストに追加
- Windowsトラブルシューティングツールを実行
- 設定→更新とセキュリティ→トラブルシューティング
- 「Windows Update」のトラブルシューティングツールを実行
- セーフモードでアップデート
- セーフモードで起動すると、セキュリティソフトが無効化される
- セーフモードで起動してWindows Updateを実行
セキュリティソフトの干渉を防ぐ7つの予防策

トラブルが起きてから対処するより、最初から予防するのが一番です。以下の7つの予防策を実践しましょう。
予防策1:セキュリティソフトは1つだけにする
これが最も重要です。「念には念を入れて」と複数入れたくなる気持ちは分かりますが、かえって逆効果。セキュリティソフトは必ず1つだけにしましょう。
Windows 10以降を使っているなら、Windows Defender単体でも十分なセキュリティレベルが確保できますよ。
予防策2:期限切れソフトは必ずアンインストール
更新期限が切れたセキュリティソフトは、すぐにアンインストールしてください。放置しておくと、新しいセキュリティソフトやWindows Defenderと競合してしまいます。
更新するつもりがないなら、即座に削除するのが正解です。
予防策3:定期的に最新版にアップデート
セキュリティソフトは常に最新の状態に保つことが大切です。古いバージョンのまま使っていると、新しいウイルスに対応できないだけでなく、他のソフトとの互換性問題も起きやすくなります。
多くのセキュリティソフトには自動更新機能があるので、必ずオンにしておきましょう。
予防策4:新しいソフトをインストールする前に除外設定
ゲームや特殊なソフトをインストールする予定がある場合、事前にセキュリティソフトの除外リストに追加しておくとスムーズです。
特に、開発ツールやシステム管理ツールなどは、誤検知されやすいので注意が必要ですね。
予防策5:パソコンのスペックに合ったソフトを選ぶ
高性能なセキュリティソフトほど重いわけではありませんが、古いパソコンや低スペックのパソコンでは、軽量版を選ぶのが賢明です。
無料体験版で動作をテストしてから購入するのもおすすめですよ。
予防策6:ファイアウォールの設定を確認
セキュリティソフトをインストールしたら、ファイアウォールの設定を一度確認しておきましょう。
よく使うアプリケーション(ブラウザ、メールソフト、ビデオ会議ツールなど)が許可リストに入っているか確認しておくと安心です。
予防策7:定期的なメンテナンス
月に1回程度、以下のメンテナンスを行うと良いでしょう。
- セキュリティソフトのログを確認(誤検知がないか)
- 不要なファイルの削除
- ディスククリーンアップの実行
- セキュリティソフトの設定見直し
セキュリティソフト選びのポイント
新しくセキュリティソフトを選ぶ時や乗り換える時は、以下のポイントを意識しましょう。
1. 動作の軽さ
パソコンのスペックに見合った軽量なソフトを選びましょう。無料版と有料版では、有料版の方が軽い場合もあります。
2. 誤検知の少なさ
レビューサイトや口コミで、誤検知が多くないか確認しておくと良いですね。
3. サポート体制
日本語サポートがあるか、問い合わせ方法(電話、メール、チャット)が充実しているかもチェックポイントです。
4. 機能と価格のバランス
必要な機能だけに絞った製品を選ぶと、コストパフォーマンスが良くなります。VPNやパスワード管理など、使わない機能が山盛りのプランは避けましょう。
5. 更新頻度
ウイルス定義ファイルの更新頻度が高いほど、新しい脅威に素早く対応できます。1日に複数回更新される製品が理想的ですね。
よくある質問
Q1:セキュリティソフトを複数入れたら、セキュリティは2倍になりますか?
A:いいえ、むしろ危険です。複数のセキュリティソフトは互いに干渉し合い、正常に動作しなくなる可能性があります。セキュリティソフトは必ず1つだけにしましょう。
Q2:Windows Defenderだけで十分ですか?
A:Windows 10以降なら、Windows Defenderだけでも基本的なセキュリティは確保できます。ただし、より高度な保護機能(ランサムウェア対策、フィッシング対策など)が欲しい場合は、サードパーティ製のセキュリティソフトを検討すると良いでしょう。
Q3:無料のセキュリティソフトと有料版、どちらがいいですか?
A:有料版の方が機能が充実していて、サポートも手厚いです。ただし、個人で普通に使う分には無料版でも十分な場合が多いですよ。自分の使い方に合わせて選びましょう。
Q4:セキュリティソフトが誤検知した時はどうすればいいですか?
A:まず、そのファイルが本当に安全か確認してください。公式サイトからダウンロードしたものなら、セキュリティソフトの例外リストに追加して問題ありません。出所不明のファイルは、念のため削除しておく方が安全です。
Q5:セキュリティソフトを一時的に無効化しても大丈夫?
A:トラブルシューティングのために短時間(数分程度)無効化するのは問題ありませんが、その間はインターネット接続を切るか、怪しいサイトにアクセスしないようにしましょう。確認が終わったら、すぐに有効化することが大切です。
Q6:セキュリティソフトの完全削除ツールって何ですか?
A:通常のアンインストールでは削除しきれないファイルやレジストリ情報を完全に削除するための専用ツールです。各セキュリティソフトのメーカーが公式サイトで提供しています。セキュリティソフトを乗り換える時は、これを使うとトラブルが少なくなりますよ。
Q7:ファイアウォールとウイルス対策ソフトの違いは何ですか?
A:ファイアウォールは外部からの不正アクセスを防ぐ「門番」、ウイルス対策ソフトは内部に入ったウイルスを検知・駆除する「警備員」のようなものです。最近のセキュリティソフトは両方の機能を備えていることが多いですね。
Q8:セキュリティソフトを入れたら、絶対に安全ですか?
A:残念ながら、100%安全とは言えません。セキュリティソフトは重要な防御手段ですが、それだけに頼るのではなく、怪しいメールを開かない、不明なサイトにアクセスしないなど、基本的なセキュリティ意識も大切です。
まとめ:適切な設定で快適&安全に
セキュリティソフトの干渉について、症状から解決方法まで詳しく解説してきました。
大切なポイントをおさらいしましょう。
- セキュリティソフトは1つだけにする
- 期限切れソフトは必ず削除
- 常に最新版にアップデート
- ファイアウォール設定を適切に
- パソコンのスペックに合ったソフトを選ぶ
セキュリティソフトは、正しく使えばパソコンを守る心強い味方です。過保護すぎる設定は避けて、バランスの取れた運用を心がけましょう。
もしトラブルが起きても、この記事の解決方法を試せば、ほとんどの場合は改善するはずです。それでも解決しない時は、セキュリティソフトのサポート窓口に問い合わせるのが確実ですよ。
快適で安全なパソコンライフを楽しんでくださいね!


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