【夜道で背中にのしかかる…】妖怪「オバリヨン」とは?その特徴・伝承をやさしく解説!

神話・歴史・伝承

夜、人気のない道を歩いていたら、突然背中に何か重いものがのしかかってきた…。

振り払おうとしても、ピタリとくっついて離れない。

そんな恐ろしい体験談が、新潟県を中心に古くから語り継がれています。

その正体こそ、おんぶお化けとも呼ばれる妖怪「オバリヨン」なんです。

この記事では、夜道の恐怖として恐れられた妖怪「オバリヨン」について、その特徴や興味深い伝承を詳しくご紹介します。


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概要

オバリヨンは、新潟県三条市を中心に伝わる妖怪の一種です。

大正時代の民俗誌『越後三条南郷談』に「ばりよん」という名で記録されており、地域によってさまざまな呼び名があります。

オバリヨンの別名

  • おんぶおばけ
  • ばりよん
  • うばりよん
  • おぶさりてい
  • ブッツァリ
  • バロンバロン

「ばりよん」という名前は、新潟の方言で「負われたい(おんぶされたい)」を意味する言葉から来ているとされています。

つまり、名前からして「おんぶしてほしい妖怪」というわけなんですね。

夜の藪道や暗い山道を歩いていると、突然「おばりよん!」と叫びながら背中に飛び乗ってくるのが特徴です。

体は小さいのに、一度背中に乗るとどんどん重くなっていくという厄介な性質を持っています。


伝承

基本的な出現パターン

オバリヨンが現れるのは、決まって夜の暗い道です。

草木が生い茂った藪の中や、人通りの少ない田舎道を歩いていると、いきなり肩につかまってきます。

『越後三条南郷談』によると、オバリヨンは背中に飛び乗るだけでなく、相手の頭を齧ることもあったそうです。

そのため、夜道を歩く際には金鉢(かなばち)をかぶると安全だと言い伝えられていました。

豪胆な者が富を得る話

オバリヨンには、ちょっと意外な一面もあります。

各地に残る昔話では、恐れずに対応した者が富を得るというパターンが語られているんです。

昔話のあらすじ

  1. 夜道で「ばろんばろん」という声が聞こえてくる
  2. 勇気ある者が「負れたかったら負れろ」と言い返す
  3. 重たい何者かが背中に乗ってくる
  4. 我慢して家まで連れて帰る
  5. すると、その正体は大量の黄金だった

似たような話では、「おぶさりたい」と夜泣きしているものを背負って帰ると、黄金に変わっているというものも残っています。

この「恐怖に打ち勝った者が報われる」というテーマは、赤子を抱いた者に剛力を授ける産女(うぶめ)の伝説や、天草諸島に伝わる金ん主(かねんぬし)との共通点が指摘されています。

日本各地に広がる類話

実は、オバリヨンに似た妖怪の話は日本全国に存在しています。

各地の類似妖怪

地域名前特徴
新潟県南蒲原郡バロウギツネ狐が人間に化けて「バロウバロウ」と鳴く
大阪府南河内郡負われ坂化け狸の仕業とされる
徳島県オッパショ石怪石に関連する伝承
広島県庄原市おいがかり歩く人の背後に覆いかかる

昔話研究では、これらは「取っ付く引っ付く」という類型に分類されています。

本来は妖怪が現れるのではなく、「取っつくなら取っつけ」と言った者に小判がたくさん飛んできて体に貼りつくという話だったようです。

それが時代とともに変化して、妖怪が背負われて金に変わるという形になったと考えられています。

対処法と正体の謎

地方によっては、オバリヨンに憑かれた際の対処法も伝わっています。

弁当を少し残しておき、オバリヨンに憑かれた時にそれを食べると退散する

この対処法から、一部の研究者は「オバリヨンの正体は単なる空腹である」という説を唱えています。

確かに、夜の暗い道を歩いていると、何も肩に触れていなくても重く感じることがありますよね。

空腹や疲労で足がもつれ、木の枝に触れて「ヒャッ!」となった経験が、オバリヨンの伝承を生んだのかもしれません。


まとめ

オバリヨンは、夜道の恐怖と人間の心理を反映した興味深い妖怪です。

重要なポイント

  • 新潟県三条市を中心に伝わる「おんぶお化け」
  • 「負われたい」を意味する方言が名前の由来
  • 夜の藪道で背中に飛び乗り、どんどん重くなる
  • 恐れずに家まで連れ帰ると黄金に変わるという昔話もある
  • 日本各地に類似の伝承が存在する
  • 正体は「空腹」という説も

恐ろしい妖怪でありながら、勇気ある者には富をもたらすこともあるオバリヨン。

もし夜道で背中が急に重くなったら…それはオバリヨンかもしれません。

でも、もしかしたら黄金を運んできてくれるチャンスかもしれませんね。

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