メールを送るとき、「宛先(TO)」の下に「CC」や「BCC」という欄があるのを見たことはありませんか?
「これって何?」
「どう使い分ければいいの?」
「間違えて使うと失礼になるのかな…」
そんな疑問を持っている方も多いと思います。
実は、これらの機能を正しく使えるようになると、メールのやり取りがとても便利になります。特に「BCC」は、プライバシーを守りながら複数の人にメールを送るときに欠かせない機能なんです。
この記事では、BCCの意味から使い方、マナーまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。
仕事でもプライベートでも役立つ知識なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
BCCとは?

まず、「BCC」という言葉の意味から見ていきましょう。
BCCの正式名称
BCCは「Blind Carbon Copy(ブラインド・カーボン・コピー)」の略です。
それぞれの意味:
- Blind(ブラインド):見えない、隠された
- Carbon Copy(カーボン・コピー):複写、コピー
つまり、「見えないコピー」「隠されたコピー」という意味になります。
カーボン・コピーの由来
昔、まだパソコンがなかった時代、書類をコピーするときには「カーボン紙」という特殊な紙を使っていました。
カーボン紙を書類の間に挟んで文字を書くと、下の紙にも同じ内容が写る仕組みです。これを「カーボン・コピー」と呼んでいました。
メールの時代になって、この「複写」の概念が引き継がれ、「CC」や「BCC」という機能が生まれたんです。
BCCの基本的な機能
BCCを使うと、以下のようなことができます。
メールを複数の人に送れる
1通のメールを、たくさんの人に一度に送信できます。
受信者同士のメールアドレスが見えない
BCCに入力したメールアドレスは、他の受信者には表示されません。お互いのメールアドレスがわからないので、プライバシーが守られます。
送信者だけが全員のアドレスを把握
誰にメールを送ったかは、送信した本人だけが知っている状態になります。
TO・CC・BCCの違い
メールには3つの宛先欄があります。それぞれの違いを理解しておきましょう。
TO(宛先)
意味: メインの送信先
使う場面:
- 1対1でメールをやり取りするとき
- 返信してほしい相手
- メールの主な対象者
特徴:
- 受信者のメールアドレスは他の人にも見える
- 返信が必要な人をTOに入れるのが基本
例:
取引先の担当者に見積もりを依頼するとき、その担当者のメールアドレスをTOに入れます。
CC(Carbon Copy)
意味: 複写、情報共有先
使う場面:
- メールの内容を参考までに知らせたい人
- プロジェクトメンバーに共有したいとき
- 上司に報告を兼ねて送るとき
特徴:
- 受信者のメールアドレスは他の人にも見える
- 基本的に返信は不要(確認だけでOK)
- 「情報共有」が目的
例:
取引先にメールを送るとき、自分の上司にも内容を知らせるためにCCに上司のアドレスを入れます。
BCC(Blind Carbon Copy)
意味: 見えない複写、秘密の情報共有先
使う場面:
- 複数の人に一斉送信するとき
- お互いにメールアドレスを知られたくないとき
- こっそり上司に報告したいとき
特徴:
- 受信者のメールアドレスは他の人には見えない
- 送信者だけが全員のアドレスを把握
- プライバシー保護に最適
例:
同窓会の案内を、面識のない同級生たちに一斉送信するとき、全員をBCCに入れます。
わかりやすい比較表
| 項目 | TO(宛先) | CC | BCC |
|---|---|---|---|
| アドレスの公開 | 全員に見える | 全員に見える | 見えない |
| 返信の必要性 | ある | 基本的になし | 基本的になし |
| 主な用途 | メインの相手 | 情報共有 | 一斉送信、秘密の共有 |
| 相手への期待 | 対応してほしい | 確認してほしい | 読んでほしい |
BCCの使い方(各メールアプリ別)
では、実際にBCCを使う方法を見ていきましょう。メールアプリによって少し違いがあります。
Gmail(パソコン版)
Googleが提供する無料のメールサービス「Gmail」での設定方法です。
手順1:新規メールを作成
- Gmailを開く
- 左上の「作成」ボタンをクリック
- 新しいメール作成画面が開く
手順2:BCCを表示
- 宛先(TO)の右側に「CC」「BCC」という小さな文字がある
- 「BCC」をクリック
- BCCの入力欄が表示される
手順3:アドレスを入力
- BCCの欄にメールアドレスを入力
- 複数入力する場合は、カンマ(,)で区切るか、エンターキーで改行
- メールの内容を書く
- 「送信」ボタンをクリック
Gmail(スマホアプリ)
手順1:新規メールを作成
- Gmailアプリを開く
- 右下の「+」(新規作成)ボタンをタップ
手順2:BCCを表示
- 宛先(TO)の右側の「▼」(下向き矢印)をタップ
- BCCの入力欄が表示される
手順3:アドレスを入力
- BCCの欄をタップ
- メールアドレスを入力
- メール内容を書く
- 右上の「送信」アイコンをタップ
Outlook(パソコン版)
Microsoftが提供するメールソフト「Outlook」での設定方法です。
手順1:新規メールを作成
- Outlookを開く
- 「新しいメール」をクリック
手順2:BCCを表示
- メール作成画面の上部にある「オプション」タブをクリック
- 「Bcc」ボタンをクリック
- BCCの入力欄が表示される
または、
- 宛先(TO)の横に「Cc」「Bcc」というリンクがある場合もある
- 「Bcc」をクリック
手順3:アドレスを入力
- BCCの欄にメールアドレスを入力
- メール内容を書く
- 「送信」ボタンをクリック
iPhoneのメールアプリ
iPhoneの標準メールアプリでの設定方法です。
手順1:新規メールを作成
- メールアプリを開く
- 右下の「新規作成」アイコン(四角に鉛筆)をタップ
手順2:BCCを表示
- 「宛先」または「CC/BCC(差出人)」をタップ
- CC/BCCの入力欄が表示される
手順3:アドレスを入力
- BCCの欄にメールアドレスを入力
- メール内容を書く
- 「送信」をタップ
Yahoo!メール
手順1:新規メールを作成
- Yahoo!メールを開く
- 「メール作成」ボタンをクリック
手順2:BCCを表示
- 宛先(TO)の右側に「CC/BCC」というリンクがある
- クリックすると、CCとBCCの入力欄が表示される
手順3:アドレスを入力
- BCCの欄にメールアドレスを入力
- メール内容を書く
- 「送信」ボタンをクリック
BCCを使うべき場面

BCCは便利な機能ですが、どんなときに使えばいいのでしょうか?
1. 面識のない人たちへの一斉送信
例:同窓会の案内
高校や大学の同窓会の案内を送るとき、参加者全員がお互いに面識があるとは限りません。
BCCの使い方:
- 宛先(TO):自分のメールアドレス
- BCC:全員のメールアドレス
- 本文:「このメールはBCCで一斉送信しています」と一言添える
こうすれば、受信者はお互いのメールアドレスを知ることなく、案内を受け取れます。
2. お客様や取引先への一斉連絡
例:営業メールやニュースレター
複数のお客様に、セール情報やキャンペーンのお知らせを送るとき。
BCCの使い方:
- 宛先(TO):自分のメールアドレスまたは会社の代表アドレス
- BCC:お客様全員のメールアドレス
お客様のメールアドレスは重要な個人情報です。他のお客様に漏れないよう、必ずBCCを使いましょう。
3. 社外に知られずに社内共有したいとき
例:クレーム対応
お客様からクレームのメールが来て、それに返信するとき、上司にも内容を共有したい場合。
BCCの使い方:
- 宛先(TO):お客様のメールアドレス
- BCC:上司のメールアドレス
お客様には上司がメールを見ていることを知らせずに、社内で情報共有ができます。
4. 退職・異動の挨拶メール
例:退職時の挨拶
仕事でお世話になった取引先や関係者に、退職の挨拶メールを送るとき。
BCCの使い方:
- 宛先(TO):自分のメールアドレス
- BCC:取引先全員のメールアドレス
- 本文:「BCCにて失礼いたします」と添える
個人的な連絡なので、受信者同士のメールアドレスを公開する必要はありません。
5. 返信不要のお知らせ
例:社内への全体連絡
社内の全員に、イベントのお知らせや休業日の連絡をするとき。
BCCの使い方:
- 宛先(TO):自分のメールアドレス
- BCC:社員全員のメールアドレス
返信不要の一斉連絡なら、BCCを使うことで「全員に返信」による混乱を防げます。
BCCを使うときのマナーと注意点
BCCは便利ですが、使い方を間違えるとトラブルになることもあります。
基本的なマナー
1. 本文にBCCを使っていることを明記する
受信者が混乱しないよう、メールの冒頭に一言添えましょう。
良い例:
各位
(このメールはBCCで一斉送信しております)
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の△△です。
2. 宛先(TO)を空欄にしない
BCCだけでメールを送ることはできません。必ず宛先(TO)に誰かのアドレスを入れる必要があります。
解決方法:
自分のメールアドレスを宛先(TO)に入れるのが一般的です。
3. 個人情報保護を最優先する
BCCとCCを間違えると、個人情報の漏洩になります。送信前に必ず確認しましょう。
やってはいけないこと
1. CCとBCCの入力間違い
これが最も多いトラブルです。
間違いの例:
全員のメールアドレスを「CC」に入力してしまい、全員のアドレスが全員に公開されてしまう。
対策:
- 送信前に必ず確認
- 特に一斉送信のときは要注意
2. 秘密の会話に使う
部下とのメールのやり取りを、本人に知らせずに上司にBCCで送る…といった使い方は、信頼関係を損ねる可能性があります。
原則:
相手を欺くような使い方は避けましょう。
3. BCC受信者が「全員に返信」してしまう
BCCで受信したメールに「全員に返信」すると、自分がBCCに入っていたことが全員にバレてしまいます。
対策:
BCCでメールを受信したら、返信は送信者だけにしましょう。
4. 大量送信を繰り返す
BCCで同じ内容のメールを何度も送ると、迷惑メールと判定されることがあります。
結果:
- メールが届かなくなる
- 送信元がブロックされる
- 今後の重要なメールも届かなくなる
対策:
一斉送信は必要最低限に。頻繁に使う場合は、メール配信サービスの利用を検討しましょう。
もしも間違えてしまったら
CCで送るべきところをBCCで送ってしまった場合
大きな問題にはなりません。受信者は普通にメールを受け取れます。
ただし、CCで送ったつもりの人が「なぜ自分だけ?」と思う可能性があるので、必要に応じて説明しましょう。
BCCで送るべきところをCCで送ってしまった場合
これは重大なミスです。
対処法:
- すぐに謝罪メールを送る
全員に対して、個人情報の漏洩を謝罪します。
件名:【重要】メール誤送信のお詫び
各位
先ほどお送りしたメールにつきまして、
私の操作ミスにより、BCCで送信すべきところを
CCで送信してしまいました。
これにより、皆様のメールアドレスが
他の受信者に公開されてしまいました。
大変申し訳ございません。
つきましては、先ほどのメールの削除を
お願いできますでしょうか。
今後はこのようなことがないよう、
送信前の確認を徹底いたします。
改めて、心よりお詫び申し上げます。
- 上司や担当者に報告
会社のメールであれば、すぐに上司に報告しましょう。
- 再発防止策を考える
送信前のチェックリストを作るなど、対策を講じます。
BCCで受信したメールへの返信方法
自分がBCCでメールを受け取ったとき、どう対応すればいいのでしょうか?
BCCで受信したかどうかの見分け方
確認方法:
メールの宛先(TO)やCCに自分のメールアドレスが入っていなければ、BCCで受信したことになります。
例:
- 宛先(TO):info@example.com
- CC:(なし)
- 自分のアドレス:(表示されていない)
→ BCCで受信している
返信する必要があるか?
基本的には返信不要
BCCは「情報共有」が目的なので、基本的に返信は求められていません。
返信が必要な場合
メールの内容に「返信が必要」と明記されている場合や、質問事項がある場合は返信します。
返信するときの注意点
絶対に「全員に返信」を使わない
BCCで受信したメールに「全員に返信」を使うと、自分がBCCに入っていたことが全員にバレてしまいます。
正しい返信方法:
「返信」ボタンを押して、送信者だけに返信しましょう。
例:
件名:Re: 〇〇のご案内
株式会社〇〇
△△様
ご連絡ありがとうございます。
内容を確認いたしました。
(以下、必要な返信内容)
BCCの代わりになる方法
大量のメールを送る場合、BCCより良い方法があります。
メール配信サービスを使う
メリット:
- 迷惑メール判定されにくい
- 配信エラーの管理ができる
- 開封率などの統計が見られる
- テンプレート機能が使える
主なサービス:
- Mailchimp(メールチンプ)
- SendGrid(センドグリッド)
- Benchmark Email(ベンチマークイーメール)
向いている場面:
- ニュースレターの定期配信
- 大規模な営業メール
- イベント案内の一斉送信
グループメール機能を使う
Googleグループ
Googleのサービスで、グループ専用のメールアドレスが作れます。
メリット:
- グループアドレスにメールを送れば全員に届く
- メンバーの管理が簡単
- 無料で使える
向いている場面:
- チームやプロジェクトのメンバー
- 継続的なグループ連絡
メーリングリスト
特徴:
専用のメールアドレスに送ると、登録されたメンバー全員に配信される仕組み。
メリット:
- 受信者同士でもやり取りできる
- グループディスカッションに向いている
向いている場面:
- サークルや団体の連絡
- コミュニティの情報共有
よくある質問(FAQ)

Q1. BCCで送ったメールは相手にバレますか?
A. 受信者は、自分がBCCで受信したことはわかりますが、他に誰がBCCに入っているかはわかりません。送信者だけが全員のアドレスを把握しています。
Q2. BCCだけでメールを送れますか?
A. いいえ、送れません。必ず宛先(TO)に誰かのメールアドレスを入れる必要があります。一般的には自分のアドレスを入れます。
Q3. 何人までBCCに入れられますか?
A. メールサービスによって異なりますが、一般的には:
- Gmail:1日500通まで
- Outlook:1通あたり500人程度まで
大量送信する場合は、メール配信サービスの利用を検討しましょう。
Q4. BCCで送ったメールを確認できますか?
A. はい、送信済みフォルダを開くと確認できます。送信者には、BCCに入れたアドレスも表示されます。
Q5. スマホでもBCCは使えますか?
A. はい、使えます。iPhone、Androidともに、メールアプリでBCC機能が利用できます。
Q6. BCCとCCはどちらを使えばいいですか?
A. 判断基準:
- メールアドレスを公開してもいい → CC
- メールアドレスを隠したい → BCC
迷ったときは、プライバシー保護のためBCCを使うのが安全です。
Q7. 会社でBCCを使うときの注意点は?
A.
- 会社の方針を確認する(BCCの使用ルールがある場合も)
- 送信前に上司に確認する
- 個人情報の取り扱いに十分注意する
Q8. BCCで迷惑メール扱いされないコツは?
A.
- 同じ内容のメールを何度も送らない
- 件名を具体的にする(「お知らせ」だけでなく「〇〇についてのお知らせ」)
- 本文に送信者の連絡先を明記する
- 受信拒否の方法を記載する(営業メールの場合)
まとめ
メールのBCC機能について、重要なポイントをおさらいしましょう。
BCCとは
- Blind Carbon Copy(ブラインド・カーボン・コピー)の略
- 「見えない複写」という意味
- 受信者同士がお互いのメールアドレスを見られない
TO・CC・BCCの違い
- TO(宛先):メインの相手、返信が必要
- CC:情報共有、アドレスは公開
- BCC:情報共有、アドレスは非公開
BCCを使うべき場面
- 面識のない人たちへの一斉送信
- お客様や取引先への一斉連絡
- 社外に知られずに社内共有
- 退職・異動の挨拶メール
- 返信不要のお知らせ
BCCの使い方
- Gmail、Outlook、スマホアプリで設定可能
- 宛先(TO)を空欄にしない
- 本文にBCCを使っていることを明記
絶対に避けるべきこと
- CCとBCCの入力間違い(個人情報漏洩になる)
- 秘密の会話に使う(信頼関係を損ねる)
- BCC受信者が「全員に返信」する
- 大量送信を繰り返す(迷惑メール判定される)
もしも間違えたら
- すぐに謝罪メールを送る
- 上司や担当者に報告
- 再発防止策を考える
BCC受信時の対応
- 基本的に返信は不要
- 返信するなら送信者だけに
- 絶対に「全員に返信」を使わない
代替手段
- メール配信サービス(大量送信向け)
- Googleグループ(チーム向け)
- メーリングリスト(継続的な連絡向け)
BCCは正しく使えば非常に便利な機能です。特に、個人情報保護の観点から、一斉送信には欠かせません。
ただし、使い方を間違えると、個人情報の漏洩や信頼関係の破壊につながる可能性もあります。
この記事で紹介したマナーと注意点を守って、安全にBCCを活用してください。
慣れてくれば、仕事でもプライベートでも、スマートなメールのやり取りができるようになります。
最初は緊張するかもしれませんが、何度か使ううちに自然と使いこなせるようになりますよ!

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