中古で買った布団で寝ていたら、毎晩決まって胸が苦しくなる…そんな体験をしたら、あなたはどうしますか?
戦後の日本では、不思議な布団にまつわる怪談がいくつも語り継がれてきました。
血染めの綿、勝手に動く布団、そして夜な夜な現れる幽霊の姿。
この記事では、日本の現代民話に伝わる恐ろしい怪異「布団の怪」について、その伝承を詳しくご紹介します。
概要

布団の怪(ふとんのかい)は、中古の布団にまつわる日本の怪談・怪異譚です。
主に戦後から語り継がれてきた現代民話の一つで、民俗学者・松谷みよ子の著書『現代民話考5』に複数の事例が収録されています。
共通しているのは、いわくつきの布団を使った人に恐ろしい現象が起きるという点なんです。
遺体を寝かせた布団、殺人現場で使われた布団、墓から掘り起こされた布団など、いずれも死や不幸と結びついた布団が怪異を引き起こすとされています。
寝具という日常的なものが恐怖の対象になるところに、この怪談の不気味さがあるんですね。
伝承

布団の怪には、いくつかの有名な話が伝わっています。それぞれ見ていきましょう。
血染めの布団(東京都杉並区)
1946年頃、東京都杉並区で起きたとされる話があります。
ある男性が中古で布団を買い、それを被って寝ていたところ、毎晩午前2〜3時頃になると必ず胸が締めつけられるようになりました。
不審に思った男性が布団の表生地を剥がしてみると、驚くべきものが見つかったのです。
布団の怪の特徴(杉並区の事例)
- 中の綿にべっとりと血がにじんでいた
- 調べると、その布団の上で殺人事件があったことが判明
- 犯人は側生地だけを取り替えて布団を売っていた
- 警察が証拠品として押収した
その後、被害者の霊が自分を殺した犯人を見つけ出したという噂が囁かれたそうです。
女性の幽霊が現れる布団(東京都町田市)
東京都町田市に伝わる話も不気味なものでした。
ある人がお葬式で遺体を寝かせた布団を、中古で買ってきて使っていたところ、毎夜決まって布団の上から何かが乗ってくる感覚があったといいます。
ある夜、悲しそうな女性の声が聞こえてきたので目を開けると、目の前に青白い女性の顔があったというのです。
この世の人ではない、ぞっとするような顔だったと伝えられています。
動き回る布団(沖縄県・現今帰仁村)
沖縄県古宇利村(現在の今帰仁村)には、さらに恐ろしい話が残っています。
戦後間もない頃、結婚して何年も経ってやっと授かった子どもが、布団に窒息死させられるという悲劇が起きました。
その後、この布団は信じられない動きを見せたのです。
布団の異常な動き
- ばたばたと激しく揺れ動いた
- 棒でたたいても動きは止まらなかった
- 鎌で細かく切り刻んでも、破片がそれぞれ動き続けた
- 布団の四隅には髪の毛が巻きついた人間の爪が見つかった
調べてみると、この布団は墓荒らしによって掘り起こされたものだと分かりました。
悪霊が取り憑いていたのではないかと、人々は恐れたそうです。
合宿所の怪異(群馬県)
群馬県のある中学校には、合宿にまつわる怪談が伝わっています。
生徒たちが「光徳寮」という宿泊施設に泊まり、備え付けの布団で寝たところ、布団が這い回ったり、体を締めつけたりする現象が起きたというのです。
「さみしくてかなわない」「まるで誰かが子どもを締めつけているみたいだ」と呟く生徒もいたそうで、その布団には何か得体の知れないものが宿っていたのかもしれません。
まとめ
布団の怪は、日常の寝具が恐怖の対象となる、日本の現代民話を代表する怪談です。
重要なポイント
- 戦後から語り継がれる現代民話の一つ
- 松谷みよ子著『現代民話考5』に複数の事例が収録
- 殺人現場や葬儀、墓から出た布団が怪異を起こす
- 胸の締めつけ、幽霊の出現、布団が動くなどの現象
- 死者の念や悪霊が布団に宿ると考えられていた
中古品には時として、前の持ち主の「何か」が残っていることがあるのかもしれません。
もし手に入れた布団で眠れない夜が続いたら…その布団の出どころを調べてみた方がいいかもしれませんね。


コメント