Outlookでメールを送るとき、宛先に相手の名前やメールアドレスを入力していると、途中から候補が自動的に表示されることがありますよね。
この名前の自動入力機能(オートコンプリート)を使えば、何度も同じアドレスを入力する手間が省けて、メール作成の効率が大幅にアップします。
でも、「自動入力が出てこない」「間違ったアドレスが表示される」「古い連絡先を削除したい」といった悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Outlookの名前自動入力機能の仕組みと設定方法、そしてトラブル時の解決策まで、分かりやすく解説していきます。
名前の自動入力機能(オートコンプリート)とは

まず、この便利な機能について基本を理解しましょう。
オートコンプリート機能とは、メールの宛先(To)、CC、BCCの欄に文字を入力し始めると、過去に送信したことがあるアドレスや連絡先に登録されている相手の候補が、自動的に表示される機能のことです。
例えば、「た」と入力するだけで「田中太郎 tanaka@example.com」といった候補がドロップダウンリストで表示されるため、クリックするだけで宛先を入力できます。
自動入力される情報源は2つ
Outlookの名前自動入力は、以下の2つの情報源から候補を表示します。
- オートコンプリートのキャッシュ:過去に送信したメールアドレスが自動的に記憶される
- 連絡先(アドレス帳):手動で登録した連絡先情報
この2つを理解しておくと、トラブルシューティングがスムーズになります。
名前の自動入力機能を有効にする方法
自動入力機能がオフになっていると、候補が表示されません。まずは設定を確認しましょう。
デスクトップ版Outlookの設定手順
Outlook 2016/2019/2021/Microsoft 365の場合:
- Outlookを起動する
- 画面左上の「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」をクリック
- 左側のメニューから「メール」を選択
- 「メッセージの送信」セクションまでスクロール
- 「宛先、CC、BCC行で、名前を入力したときにオートコンプリートのリストを使用する」にチェックを入れる
- 「OK」をクリック
この設定にチェックが入っていれば、自動入力機能が有効になります。
Outlook on the Web(旧Outlook Web App)の設定
ブラウザ版のOutlookでも同様の機能が使えます。
- Outlook on the Webにサインイン
- 右上の歯車アイコン(設定)をクリック
- 「メールの表示設定」をクリック
- 「メール」→「作成と返信」を選択
- オートコンプリートの設定を確認
ブラウザ版では、基本的にこの機能が常時オンになっています。
オートコンプリートのキャッシュを管理する方法
過去に送信したアドレスは、「オートコンプリートのキャッシュ」という場所に自動的に保存されます。このキャッシュの管理方法を知っておくと便利です。
特定のアドレスをキャッシュから削除する
間違ったアドレスや、もう使わないアドレスが表示される場合は、個別に削除できます。
削除手順:
- 新しいメールを作成
- 宛先欄に文字を入力し、削除したいアドレスを表示させる
- 削除したいアドレスにマウスカーソルを合わせる
- 右側に表示される「×」ボタンをクリック
または
- キーボードの「↓」キーで削除したいアドレスを選択
- 「Delete」キーを押す
この操作で、そのアドレスはオートコンプリートのリストから完全に削除されます。
オートコンプリートのキャッシュを全削除する
すべてのキャッシュをリセットしたい場合は、以下の手順で実行できます。
- Outlookの「ファイル」タブをクリック
- 「オプション」をクリック
- 「メール」を選択
- 「メッセージの送信」セクションにある「オートコンプリートのリストを空にする」をクリック
- 確認メッセージで「はい」をクリック
ただし、この操作を実行すると、過去のすべての送信履歴がクリアされるため、頻繁に連絡する相手のアドレスも一から入力し直す必要があります。
重要な連絡先は、事前に連絡先(アドレス帳)に登録しておくことをおすすめします。
連絡先(アドレス帳)に名前を登録する方法
オートコンプリートのキャッシュは一時的な記憶ですが、連絡先に登録しておけば永続的に情報が保存されます。
デスクトップ版Outlookでの登録手順
- 画面下部の「連絡先」アイコン(人型のマーク)をクリック
- 「ホーム」タブの「新しい連絡先」をクリック
- 必要な情報を入力
- 氏名(姓と名を分けて入力)
- 電子メールアドレス
- 会社名、電話番号など(任意)
- 「保存して閉じる」をクリック
受信メールから直接連絡先に追加
メールを受け取った相手を連絡先に追加する簡単な方法もあります。
- 追加したい相手から受信したメールを開く
- 送信者の名前を右クリック
- 「Outlookの連絡先に追加」を選択
- 情報を確認し、「保存」をクリック
この方法なら、メールアドレスを手入力する必要がありません。
名前の自動入力ができない原因と解決方法
ここからは、自動入力機能がうまく動作しない場合のトラブルシューティングを見ていきます。
【原因1】オートコンプリート機能がオフになっている
最も基本的な原因です。先ほど説明した設定方法を使って、機能がオンになっているか確認してください。
確認ポイント:
- 「ファイル」→「オプション」→「メール」
- 「宛先、CC、BCC行で、名前を入力したときにオートコンプリートのリストを使用する」にチェックが入っているか
【原因2】初めて送信する相手である
オートコンプリートのキャッシュは、過去に送信したアドレスを記憶する仕組みです。初めて送信する相手の場合、当然ながら候補には表示されません。
解決方法:
- 最初は手動でアドレスを入力する
- 一度送信すれば、次回から自動入力の候補に表示される
- 頻繁に連絡する相手は、連絡先に登録しておく
【原因3】キャッシュファイルが破損している
Outlookのキャッシュファイルが何らかの理由で破損すると、自動入力が機能しなくなることがあります。
解決方法:
キャッシュファイルを削除して、Outlookに再作成させます。
- Outlookを完全に終了する
- Windowsキー + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開く
- 以下を入力してEnterキーを押す
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Outlook\RoamCache
- 「Stream_Autocomplete_」で始まるファイルを探す
- そのファイルを削除(またはデスクトップに移動してバックアップ)
- Outlookを再起動
ファイルが自動的に再作成され、以降は新しいキャッシュが蓄積されていきます。ただし、過去のキャッシュは失われるので注意してください。
【原因4】Outlookのプロファイルに問題がある
Outlookのユーザープロファイルが破損していると、様々な不具合が発生します。
解決方法:
新しいプロファイルを作成してみましょう。
- Outlookを終了する
- コントロールパネルを開く
- 「メール(Microsoft Outlook)」をクリック
- 「プロファイルの表示」をクリック
- 「追加」をクリックして新しいプロファイルを作成
- メールアカウントを設定
- 「常に使用するプロファイル」で新しいプロファイルを選択
【原因5】連絡先の表示名に問題がある
連絡先に登録されているものの、自動入力で表示されない場合は、登録内容を見直してください。
チェックポイント:
- 表示名(氏名)が正しく入力されているか
- メールアドレスが正しく入力されているか
- 「電子メール」フィールドに入力されているか(他のフィールドではない)
【原因6】検索インデックスの問題
Outlookは検索インデックスを利用して、連絡先を素早く表示します。このインデックスに問題があると、自動入力がうまく機能しません。
解決方法:
Windowsの検索インデックスを再構築します。
- コントロールパネルを開く
- 「インデックスのオプション」をクリック
- 「詳細設定」をクリック
- 「再構築」ボタンをクリック
- 確認メッセージで「OK」をクリック
インデックスの再構築には時間がかかる場合がありますが、完了すれば検索機能全体が改善されます。
【原因7】古いバージョンのOutlookを使用している
非常に古いバージョンのOutlookでは、オートコンプリート機能の動作が不安定なことがあります。
解決方法:
- Outlookを最新バージョンにアップデートする
- Windows Updateを実行して、Office製品の更新プログラムをインストールする
オートコンプリートをもっと便利に使うコツ

基本的な使い方をマスターしたら、さらに効率を上げる活用術も覚えておきましょう。
ニックネームを活用する
連絡先に「ニックネーム」を登録しておくと、そのニックネームでも検索できるようになります。
例えば、「山田太郎」さんのニックネームを「やまさん」と登録しておけば、「やま」と入力するだけで候補に表示されます。
設定方法:
- 連絡先を開く
- 編集したい連絡先をダブルクリック
- 「ニックネーム」フィールドに入力
- 保存
よく使うグループを作成する
複数の相手に同じメールを送ることが多い場合は、連絡先グループ(旧称:配布リスト)を作成すると便利です。
作成手順:
- 「連絡先」を開く
- 「ホーム」タブの「新しい連絡先グループ」をクリック
- グループ名を入力
- 「メンバーの追加」でメンバーを追加
- 「保存して閉じる」をクリック
グループ名を入力するだけで、メンバー全員を宛先に追加できます。
使用頻度で並び順を活用
オートコンプリートの候補は、使用頻度が高い順に表示されます。よく連絡する相手ほど上位に表示されるため、効率的に選択できます。
もし優先順位を変えたい場合は、連絡先に登録しておくか、古いキャッシュを削除して新しいパターンを学習させましょう。
セキュリティとプライバシーの注意点
名前の自動入力機能は便利ですが、いくつか注意すべき点もあります。
共有PCでの使用
複数の人が使うパソコンでOutlookを利用している場合、オートコンプリートのキャッシュに個人情報が残ります。
対策:
- 使用後は必ずサインアウトする
- 定期的にオートコンプリートのキャッシュをクリアする
- 可能であれば、各ユーザーに個別のWindowsアカウントを用意する
誤送信の防止
自動入力の候補を確認せずにクリックすると、似た名前の別人に送ってしまう可能性があります。
対策:
- 送信前に宛先を必ず確認する
- 重要なメールは、メールアドレス(氏名だけでなく)まで表示して確認する
- 機密情報を含むメールは、特に慎重にチェックする
退職者や取引停止企業のアドレス削除
退職した社員や、取引を終了した企業のアドレスが候補に残っていると、誤送信の原因になります。
対策:
- 定期的に連絡先とオートコンプリートのリストを見直す
- 不要なアドレスは削除する
- 組織全体で共有アドレス帳を管理している場合は、管理者に削除を依頼する
よくある質問(Q&A)
Q1. スマホのOutlookアプリでも名前の自動入力は使えますか?
はい、使えます。iOS版・Android版のOutlookアプリでも、連絡先に登録されている相手や過去に送信した相手が自動的に候補として表示されます。
ただし、デスクトップ版のような詳細な設定はできません。基本的に常時オンの状態で動作します。
Q2. 会社のグローバルアドレス一覧(GAL)も自動入力されますか?
はい、ExchangeサーバーやMicrosoft 365を使用している企業では、グローバルアドレス一覧(GAL)に登録されている全社員のアドレスも自動入力の候補に表示されます。
名前や部署名で検索できるため、社内の連絡が非常にスムーズになります。
Q3. 自動入力の候補が多すぎて選びにくいです。減らす方法はありますか?
不要な候補を一つずつ削除するか、オートコンプリートのキャッシュを全削除してリセットすることができます。
重要な連絡先だけを残したい場合は、連絡先に登録してからキャッシュをクリアするのがおすすめです。
Q4. メールアドレスは表示されるのに、名前が表示されません。
連絡先または送信履歴に名前が登録されていない可能性があります。
連絡先を編集して、「表示名」と「氏名」のフィールドを正しく入力してください。次回から名前付きで表示されるようになります。
まとめ:自動入力を使いこなして効率アップ
Outlookの名前自動入力機能(オートコンプリート)は、メール作成の効率を大幅に向上させる便利な機能です。
この記事のポイント:
- オートコンプリート機能は設定で簡単にオン/オフできる
- 候補は「過去の送信履歴」と「連絡先」の2つから表示される
- 不要なアドレスは個別に削除できる
- キャッシュファイルの問題は削除と再作成で解決
- 連絡先に登録しておけば、より安定して使える
困ったときの対処法:
- オートコンプリート機能がオンになっているか確認
- キャッシュファイルを削除して再作成
- 連絡先の登録内容を確認
- 検索インデックスを再構築
- Outlookを最新バージョンにアップデート
この機能を上手に活用すれば、毎日のメール業務がずっと快適になります。定期的にメンテナンスをしながら、効率的にOutlookを使いこなしていきましょう。

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