「CarPlayって聞いたことあるけど、実際どんな機能?」
「自分の車でも使えるの?設定方法は?」
最近の車に乗ると、カーナビの画面にiPhoneのアプリが表示されているのを見かけることがあります。これがApple CarPlay(アップル カープレイ)です。
CarPlayを使えば、iPhoneの便利な機能を車の大きな画面で安全に操作できます。ナビ、音楽、電話、メッセージなど、ドライブに必要な機能がすべて手元に。
この記事では、CarPlayの基本から設定方法、対応車種、便利な使い方まで、すべてを分かりやすく解説します。
CarPlayとは?基本を理解しよう

CarPlayの概要
CarPlayとは、iPhoneを車のカーナビやディスプレイオーディオに接続して、iPhoneの機能を車の画面で使えるようにするAppleの公式システムです。
2014年に登場し、現在では800車種以上が対応しています。Appleによると、アメリカでは新車購入者の約99%がCarPlay対応車を選べる状況になっているそうです。
簡単に言うと、CarPlayは「iPhoneと車をつなぐ橋渡し役」。iPhoneの中にある地図アプリや音楽アプリを、車の大きな画面で操作できるようになります。
CarPlayを使うメリット
1. 安全運転をサポート
スマートフォンを手に持って操作する「ながら運転」は危険で違法です。CarPlayなら車の画面やSiri(音声アシスタント)で操作できるため、視線を道路からほとんど外さずに済みます。
2. 最新の地図・ナビが使える
車の純正カーナビは地図データの更新が有料だったり、更新頻度が低かったりします。CarPlayならGoogleマップやAppleマップなど、常に最新の地図情報を無料で使えます。
3. 自分の音楽ライブラリをそのまま再生
Apple Music、Spotify、YouTube Musicなど、普段iPhoneで聴いている音楽をそのまま車で楽しめます。CDを焼いたり、USBメモリにデータを移したりする手間がありません。
4. 使い慣れた操作感
iPhoneと同じような操作感なので、新しく覚えることが少なくて済みます。
CarPlayを使うために必要なもの
CarPlayを利用するには、以下が必要です。
- iPhone 5以降のiPhone(iOS 7.1以降)
- CarPlay対応の車またはカーナビ
- Lightningケーブル(またはUSB-Cケーブル)(有線接続の場合)
ワイヤレスCarPlayに対応した車なら、ケーブルなしで接続することも可能です。
CarPlayでできること【8つの主要機能】
CarPlayで使える機能を詳しく見ていきましょう。
1. カーナビ・地図アプリ
CarPlayの最も人気のある機能がナビゲーションです。
使える主なナビアプリ
- Appleマップ:CarPlayの標準ナビ。3D表示や詳細な道案内が特徴
- Googleマップ:世界中で使われる定番ナビ。渋滞情報に強い
- Yahoo!カーナビ:日本の道路に特化。無料で高機能
- Waze:ユーザー同士で渋滞や取り締まり情報を共有
- NAVITIME:日本製の高機能ナビアプリ
ナビの便利機能
- リアルタイムの渋滞情報を反映したルート案内
- 到着予定時刻(ETA)を家族や友人に共有
- 「Hey Siri、最寄りのガソリンスタンドまで案内して」と声で操作
- 経由地の追加や変更も音声で可能
2. 音楽・オーディオ再生
ドライブには音楽が欠かせません。CarPlayなら豊富な音楽アプリに対応しています。
対応する主な音楽アプリ
- Apple Music
- Spotify
- Amazon Music
- YouTube Music
- AWA
- LINE MUSIC
- Podcast(ポッドキャスト)
- Audible(オーディオブック)
音楽再生の便利機能
- プレイリストやアルバムを画面タップで選択
- Siriに「アップテンポな曲をかけて」と頼むだけでAIが選曲
- SharePlay機能で同乗者と一緒にプレイリストを作成
- 空間オーディオ対応車種ではDolby Atmosの立体音響も楽しめる
3. 電話・通話
運転中に電話がかかってきても、CarPlayなら安全に対応できます。
通話機能でできること
- 着信に応答(車のボタンまたは画面タップ)
- Siriで電話をかける(「〇〇さんに電話して」)
- 留守番電話の再生
- 不在着信への折り返し
- 連絡先の検索と発信
車のスピーカーとマイクを使うハンズフリー通話なので、両手はハンドルに置いたまま会話できます。
4. メッセージの送受信
iMessageやSMS、LINEのメッセージもCarPlayで操作できます。
メッセージ機能でできること
- 新着メッセージをSiriが自動で読み上げ
- Siriに話しかけてメッセージを送信(「〇〇さんに『今から帰る』と送って」)
- LINEにも対応(「LINEで〇〇に『おやすみ』と送って」)
運転中にスマホを見る必要がないので、安全にコミュニケーションが取れます。
5. Siri(音声アシスタント)
CarPlayの操作の中心となるのがSiriです。
Siriの起動方法
- ハンドルの音声ボタンを押す
- 「Hey Siri」と呼びかける(設定が必要)
- 画面のSiriアイコンをタップ
Siriでできること
- ナビの目的地設定(「〇〇駅まで案内して」)
- 音楽の再生・停止・スキップ
- 電話をかける・メッセージを送る
- 天気予報の確認(「今日の天気は?」)
- カレンダーの予定確認(「次の予定は?」)
- リマインダーの設定
運転中は画面を見る時間を最小限にしたいので、Siriを積極的に活用するのがおすすめです。
6. カレンダー
その日の予定をサッと確認できます。
- 今日のスケジュールを一覧表示
- 次の予定までの時間を確認
- 予定の場所をタップすればそのままナビ開始
- 会議の電話番号をタップしてダイヤルイン
朝の通勤時に「今日の予定は?」と聞くだけで、1日の流れを把握できます。
7. デジタルキー(対応車種のみ)
一部の対応車種では、iPhoneやApple Watchを車の鍵として使えます。
デジタルキーでできること
- iPhoneを持って車に近づくだけで自動解錠
- 車内に入るとエンジン始動可能
- 家族や友人にキーを共有
- iPhoneのバッテリーが切れても最大5時間は使用可能
デジタルキーはiPhone XS/XR以降のモデルで利用できます。
8. その他の便利アプリ
CarPlayには他にも多くの対応アプリがあります。
- EV充電アプリ:電気自動車の充電スポット検索(ChargePoint、EVgoなど)
- 駐車場アプリ:駐車場の検索・予約
- ラジオアプリ:radiko、TuneInなど
- ニュースアプリ:音声ニュースの再生
CarPlayの接続方法【有線・ワイヤレス】

CarPlayの接続方法は2種類あります。
有線接続(USBケーブル)
最も一般的な接続方法です。
接続手順
- iPhoneと車のUSBポートをLightningケーブル(またはUSB-Cケーブル)で接続
- 車の画面に「CarPlayを使用しますか?」と表示される
- 「許可」または「OK」を選択
- CarPlayの画面が表示されたら接続完了
有線接続のメリット
- 接続が安定している
- 音質が良い
- 充電しながら使える
- ほぼすべてのCarPlay対応車で利用可能
注意点
- Apple純正またはMFi認証のケーブルを使用することを推奨
- 車のUSBポートの位置を確認しておく
ワイヤレス接続
ケーブルなしで接続できる方法です。対応している車種は限られますが、非常に便利です。
接続手順
- 車のBluetoothとWi-FiがONになっていることを確認
- iPhoneの「設定」→「一般」→「CarPlay」を開く
- 車とiPhoneをBluetoothでペアリング
- 「この車でCarPlayを使用しますか?」と表示されたら「使用する」を選択
- 次回以降は車のエンジンをかけると自動で接続
ワイヤレス接続のメリット
- ケーブルの抜き差しが不要
- iPhoneをポケットやバッグに入れたままでOK
- 乗り降りがスムーズ
注意点
- 対応車種が限られる
- 初回は有線で設定が必要な車種もある
- バッテリー消費がやや多い(充電しながらの使用を推奨)
ワイヤレス非対応車をワイヤレス化する方法
有線のみ対応の車でも、ワイヤレスCarPlayアダプターを使えばワイヤレス接続が可能になります。
価格は5,000円〜15,000円程度で、USBポートに接続するだけで使えます。ケーブルの煩わしさから解放されたい方におすすめです。
CarPlay対応車種【メーカー別】
CarPlayは国内外の多くの自動車メーカーが対応しています。
日本メーカー
トヨタ
2019年以降の多くの車種で対応。カローラ、RAV4、ヤリス、アルファード、プリウスなど。ディスプレイオーディオ標準装備車で利用可能。
ホンダ
N-BOX、フィット、ヴェゼル、シビック、ステップワゴンなど幅広く対応。
日産
エクストレイル、ノート、セレナ、リーフなど。2020年以降のモデルで対応拡大。
マツダ
2018年以降のMazda3、CX-5、CX-30、MX-30など。旧モデルへの後付け対応(MZD-Connect搭載車)も実施。
スバル
レヴォーグ、フォレスター、インプレッサ、クロストレックなど。
スズキ
スイフト、ジムニー、ハスラー、ソリオなど。ディーラーオプションのナビで対応。
ダイハツ
タント、ムーヴ、ロッキーなど。ディーラーオプションナビで対応。
海外メーカー
BMW、メルセデス・ベンツ、アウディ
ほぼ全車種で対応。ワイヤレスCarPlayにも対応。
フォルクスワーゲン、ボルボ、プジョー
幅広いモデルで対応。
ポルシェ、アストンマーティン
次世代CarPlay(CarPlay Ultra)に対応予定。
対応していないメーカー
テスラ、リビアン
独自のインフォテインメントシステムを採用しているため、CarPlay非対応。
GM(ゼネラルモーターズ)の一部EV
2024年以降の電気自動車からCarPlayを段階的に廃止。ただし、ガソリン車やハイブリッド車は引き続き対応。
対応車種の確認方法
Appleの公式サイトで最新の対応車種リストを確認できます。
確認手順
- Apple公式サイト(apple.com/ios/carplay/available-models/)にアクセス
- メーカー名で検索
- 年式とモデル名を確認
CarPlayを後付けする方法
「自分の車はCarPlay非対応だけど使いたい!」という方も大丈夫。後付けで対応できます。
後付けCarPlay対応カーナビ
CarPlay対応のカーナビやディスプレイオーディオを取り付ければ、古い車でもCarPlayが使えます。
主なメーカーと価格帯
- パイオニア(カロッツェリア):3万円〜10万円
- ケンウッド:3万円〜8万円
- アルパイン:5万円〜15万円
- ソニー:4万円〜8万円
おすすめモデルの例
- パイオニア DMH-SZ700:コスパと機能性のバランスが良い
- ケンウッド DDX5020S:DVD/CD再生も可能
取り付け方法
自分で取り付ける場合
2DIN規格(横幅約18cm)のスペースがある車なら、DIYでの取り付けも可能です。ただし、配線作業や車のパネル取り外しが必要なため、ある程度の知識と工具が必要です。
業者に依頼する場合
オートバックス、イエローハット、カーオーディオ専門店などで取り付けサービスを利用できます。工賃は1万円〜3万円程度が目安です。
CarPlayの便利な設定・カスタマイズ
CarPlayをより使いやすくするための設定を紹介します。
アプリの並び替え
CarPlayのホーム画面に表示されるアプリの順番を変更できます。
設定方法
- iPhoneの「設定」→「一般」→「CarPlay」を開く
- 接続済みの車を選択
- 「カスタマイズ」をタップ
- アプリをドラッグして並び替え
よく使うアプリを左上に配置すると、アクセスしやすくなります。
壁紙の変更
CarPlayのダッシュボード画面の壁紙を変更できます。
設定方法
- CarPlayの「設定」アプリを開く
- 「壁紙」を選択
- 好みの壁紙を選ぶ
画面分割表示
CarPlayでは、ナビと音楽アプリを同時に表示できます。
画面分割の例
- 左側にGoogleマップ、右側にApple Music
- メイン画面にナビ、サブ画面に再生中の曲情報
車種やディスプレイサイズによって表示方法は異なります。
通知の読み上げ設定
新着メッセージの自動読み上げをオン/オフできます。
設定方法
- iPhoneの「設定」→「Siri」→「通知の読み上げ」を開く
- 「CarPlay」を選択
- 「着信メッセージの読み上げ」をオン/オフ
運転に集中したいときはオフにしておくと便利です。
CarPlayのトラブルシューティング

CarPlayが繋がらない・うまく動かないときの対処法を紹介します。
接続できない場合
1. ケーブルを確認する
- Apple純正またはMFi認証ケーブルを使用
- ケーブルの断線や汚れがないか確認
- 別のケーブルで試してみる
2. iPhoneを再起動する
意外とこれだけで直ることが多いです。
3. 車側の設定を確認する
- CarPlayが有効になっているか確認
- BluetoothとWi-Fiがオンになっているか確認(ワイヤレスの場合)
4. CarPlayの接続をリセットする
- iPhoneの「設定」→「一般」→「CarPlay」を開く
- 接続済みの車を選択
- 「この車の登録を解除」をタップ
- 再度接続し直す
5. iOSを最新版にアップデートする
古いiOSではCarPlayに不具合が発生することがあります。
音が出ない場合
- iPhoneの音量を確認
- 車のオーディオ設定を確認
- Bluetooth接続が競合していないか確認
アプリが表示されない場合
CarPlayに対応していないアプリは表示されません。App Storeで「CarPlay対応」と記載されているアプリのみ使用可能です。
次世代CarPlay「CarPlay Ultra」とは?
Appleは2022年に次世代CarPlayを発表し、2025年5月にCarPlay Ultraとして正式にリリースしました。
CarPlay Ultraの特徴
1. 車全体のディスプレイを統合制御
従来のCarPlayはセンターディスプレイのみでしたが、CarPlay Ultraではメーターパネル(計器盤)も含めたすべての画面をiPhoneで制御できます。
スピードメーター、タコメーター、各種インジケーターまでAppleデザインで統一されます。
2. 車両機能へのアクセス
- エアコン・温度調節
- シートヒーター
- ドライブモードの切り替え
- タイヤ空気圧の確認
3. 電気自動車との連携強化
- バッテリー残量の表示
- 充電状況・残り時間の確認
- 最適な充電スポットの案内
4. カスタマイズ性の向上
自動車メーカーごとにデザインをカスタマイズでき、車のブランドイメージに合わせた画面表示が可能になります。
CarPlay Ultra対応車種
2025年現在、CarPlay Ultraに対応しているのは以下のメーカーです。
- アストンマーティン:DB12、DBX707など(2025年〜)
- ポルシェ:対応予定
- ヒュンダイ、キア、ジェネシス:将来的な対応を表明
今後、対応車種は拡大していく見込みです。
CarPlayの注意点・デメリット
便利なCarPlayですが、知っておくべき注意点もあります。
1. データ通信を消費する
CarPlayで使うアプリは、iPhoneのモバイルデータ通信を使用します。
- 地図アプリのナビ
- 音楽のストリーミング再生
- ニュースやポッドキャストの再生
長時間のドライブでは、データ使用量に注意が必要です。Wi-Fi環境で音楽をダウンロードしておく、大容量プランを契約するなどの対策がおすすめです。
2. 動画視聴はできない
安全運転のため、CarPlayではYouTubeなどの動画アプリは使用できません。これはAppleの仕様による制限です。
※「CarPlay AI BOX」という別売りの機器を使えば動画視聴も可能になりますが、運転中の視聴は危険なので同乗者向けの機能として捉えてください。
3. iPhoneが必須
CarPlayはiPhone専用の機能です。Androidスマートフォンでは使用できません(Androidには「Android Auto」という同様の機能があります)。
4. 一部機能に制限がある
運転中の安全を確保するため、CarPlayでは以下の操作が制限されています。
- 長文のメッセージ入力(音声入力は可能)
- 複雑なアプリ操作
- 動画再生
よくある質問(FAQ)
Q1:CarPlayは無料で使えますか?
A: はい、CarPlay自体は完全無料です。iPhoneを持っていて、対応車種または対応カーナビがあれば追加料金なしで使えます。
ただし、音楽アプリ(Apple Music、Spotifyなど)の月額料金や、モバイルデータ通信料は別途かかります。
Q2:CarPlayとBluetooth接続の違いは?
A: Bluetooth接続では主に音楽再生と通話のみが可能ですが、CarPlayではナビ画面の表示やアプリ操作までできます。
CarPlayは「iPhoneの画面を車のディスプレイに映す」イメージ、Bluetoothは「音声だけを車に送る」イメージです。
Q3:運転中にCarPlayを操作しても違反になりませんか?
A: CarPlayの画面操作自体は、車に備え付けのカーナビを操作するのと同じ扱いです。ただし、運転中の複雑な操作は危険なので、Siri音声操作の活用をおすすめします。
なお、iPhoneを手に持って操作することは「ながら運転」として違反になります。
Q4:CarPlayを使うとバッテリーは減りますか?
A: はい、CarPlayを使用するとiPhoneのバッテリーを消費します。特にワイヤレス接続やナビ使用時は消費が多くなります。
有線接続なら充電しながら使えるので、長時間のドライブでも安心です。
Q5:複数のiPhoneを登録できますか?
A: はい、車に複数のiPhoneを登録できます。家族で車を共有する場合も、それぞれのiPhoneでCarPlayを使えます。接続するiPhoneに応じて、そのユーザーの設定やアプリが表示されます。
まとめ:CarPlayでドライブをもっと快適に
CarPlayについて、もう一度ポイントを整理します。
CarPlayとは
- iPhoneを車のディスプレイに接続して使えるAppleの公式機能
- iPhone 5以降、800車種以上で利用可能
- 完全無料で使える
CarPlayでできること
- ナビゲーション(Googleマップ、Apple Maps、Yahoo!カーナビなど)
- 音楽再生(Apple Music、Spotify、YouTube Musicなど)
- 電話・メッセージ(ハンズフリー通話、LINE対応)
- Siri音声操作
- カレンダー確認
- デジタルキー(対応車種のみ)
接続方法
- 有線接続:USBケーブルで接続(安定性◎)
- ワイヤレス接続:ケーブル不要(利便性◎)
後付けも可能
- CarPlay対応カーナビを取り付ければ古い車でも使える
- 価格は3万円〜15万円程度
CarPlayを使えば、毎日の通勤も週末のドライブも、もっと快適で安全になります。iPhoneユーザーで対応車種に乗っているなら、ぜひ活用してみてください。
まだ使ったことがない方は、今日からCarPlayデビューしてみてはいかがでしょうか?

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