「iPadのカメラでポートレートモードを使おうとしたら、インカメラ(自撮り用)にしか切り替わらない」
そんな経験をされた方は多いのではないでしょうか。iPhoneでは当たり前に使える背面カメラでのポートレート撮影が、なぜかiPadではできないんです。
実はこれ、故障でも設定ミスでもありません。iPadの仕様なんです。
この記事では、なぜiPadの外カメラ(背面カメラ/リアカメラ)でポートレートモードが使えないのか、そして代わりにどんな撮影方法があるのかを詳しく解説していきます。
結論:iPadのポートレートモードはインカメラ専用です

まず最初に結論をお伝えします。
iPadのポートレートモードは、フロントカメラ(インカメラ・自撮り用カメラ)でのみ利用可能です。
背面カメラ(リアカメラ・外カメラ)では、残念ながらポートレートモードを使うことができません。これは2024年11月現在、すべてのiPadモデルに共通する仕様です。
ポートレートモードって何?
念のため、ポートレートモードについて簡単におさらいしましょう。
ポートレートモードとは、被写体(人物や物)にピントを合わせて、背景をぼかして撮影できるカメラモードのこと。まるで一眼レフカメラで撮ったような、プロっぽい写真が撮れる機能です。
背景がぼけることで、撮りたいものがより際立って見えるんですね。
どのiPadでポートレートモードが使えるの?
ポートレートモードが使えるiPadは限られています。
ポートレートモード対応機種
以下のiPadで、フロントカメラ(インカメラ)のみポートレートモードが使えます:
- iPad Pro 11インチ(第1世代以降)
- iPad Pro 12.9インチ(第3世代以降)
- その他一部の上位モデル
つまり、比較的新しいiPad Proシリーズであれば、インカメラでポートレートモードが使える可能性が高いです。
確認方法
お使いのiPadがポートレートモードに対応しているか確認するには:
- 「カメラ」アプリを開く
- 撮影モードを左右にスワイプ
- 「ポートレート」というモードがあれば対応している
「ポートレート」を選ぶと、自動的にインカメラ(自撮りモード)に切り替わります。
なぜ外カメラではポートレートモードが使えないの?
多くの方が疑問に思うポイントですよね。「iPhoneでは背面カメラでもポートレートが使えるのに、なんでiPadはダメなの?」
理由①:ハードウェアの制約
最も大きな理由は、ハードウェア(カメラの仕組み)の違いです。
iPhoneの上位モデル(iPhone XやiPhone 11以降など)は、背面カメラがデュアルレンズ(2つのカメラ)やトリプルレンズ(3つのカメラ)を搭載しています。複数のカメラで撮影した画像を組み合わせることで、深度(距離)を正確に測定し、きれいなボケ効果を作り出しています。
一方、iPadの背面カメラはシングルレンズ(カメラが1つ)のモデルが多く、物理的にiPhoneと同じ方法でポートレート効果を作り出すことが難しいのです。
理由②:用途の違い
Appleは、iPadのカメラ機能について以下のように考えているようです:
- フロントカメラ:FaceTimeやZoom会議、自撮りなど「自分を映す」用途を重視
- 背面カメラ:書類のスキャン、メモ撮影など「記録」用途を重視
つまり、iPadの背面カメラは「人物を美しく撮る」よりも「情報を正確に記録する」ことを優先して設計されているんですね。
理由③:技術的な優先順位
iPadの開発チームは、背面カメラのポートレートモードよりも、Center Stage(センターフレーム)やスキャン機能など、iPadならではの機能開発を優先しているようです。
Center Stageは、ビデオ通話中に自動的に顔を追いかけてくれる便利な機能です。テレワークやオンライン授業が増えた現代では、こちらの方が需要が高いとAppleは判断しているのかもしれません。
「ソフトウェアで対応できないの?」という疑問
多くのユーザーが「iPadOSのアップデートで、いつか背面カメラでもポートレートが使えるようになるのでは?」と期待しています。
残念ながら、現時点では難しいと考えられます。
なぜなら、ポートレートモードの背景ぼかし効果を実現するには、深度情報(被写体までの距離データ)が必要だからです。
- インカメラ(TrueDepthカメラ):Face ID用のセンサーがあるため、深度情報を取得できる
- 背面カメラ(シングルレンズモデル):深度情報を正確に取得するセンサーがない
つまり、ハードウェア的に深度センサーが搭載されていない限り、ソフトウェアだけで本格的なポートレートモードを実現するのは困難なのです。
外カメラで背景をぼかした写真を撮る代替方法
「それでも背面カメラで背景をぼかした写真が撮りたい!」という方のために、いくつかの代替方法をご紹介します。
方法①:写真編集アプリでぼかしを追加
撮影後に、写真編集アプリで背景をぼかす方法です。
おすすめアプリ:
- Focos:AI技術で深度マップを作成し、撮影後にぼかしを追加
- AfterFocus:手動で前景と背景を選択してぼかし効果を適用
- Snapseed:Googleの無料アプリで、レンズぼかし機能が使える
- Adobe Lightroom:プロ向けだが、細かい調整が可能
これらのアプリを使えば、通常の写真モードで撮影した画像でも、後からボケ効果を加えられます。
注意点:
本物のポートレートモードほど自然なぼけ味にはならない場合があります。特に被写体の輪郭が複雑(髪の毛など)だと、不自然になることも。
方法②:iPhoneで撮影する
もしiPhoneをお持ちなら、人物撮影はiPhoneに任せるのが最もシンプルな解決策です。
iPhone 7 Plus以降であれば、背面カメラでもポートレートモードが使えます。特に新しいiPhoneほど、ポートレート撮影の性能が向上しています。
撮影後、AirDropやiCloudでiPadに写真を送れば、iPadの大画面で編集や閲覧ができます。
方法③:物理的にぼかす(被写体との距離を調整)
ポートレートモードを使わなくても、撮影テクニックでぼかし効果を作り出すことは可能です。
コツ:
- 被写体にできるだけ近づく(30〜50cm程度)
- 背景をできるだけ遠ざける(被写体の後ろに空間を作る)
- 明るい場所で撮影する(カメラの絞りが開きやすい)
- ズーム機能を使う(光学ズームがある場合)
この方法で撮影すると、物理的に背景がぼけやすくなります。ただし、iPadのカメラは小型センサーのため、一眼レフカメラやiPhoneほど大きなボケは期待できません。
方法④:インカメラを活用する
発想を転換して、インカメラ(ポートレートモード対応)を活用する方法もあります。
活用例:
- セルフポートレート:自撮りだけでなく、自分と一緒に物を撮る
- 対面での撮影:相手と向かい合う形で、インカメラを相手に向けて撮影
- 鏡越しの撮影:鏡を使って構図を工夫
少しトリッキーですが、工夫次第でインカメラのポートレートモードを有効活用できますよ。
ユーザーの声:「なんで使えないの!?」

この仕様については、Appleのコミュニティフォーラムでも多くの不満の声が上がっています。
よくある意見
「高価なiPad Proを買ったのに、ポートレートモードが自撮りだけなんて納得できない」
確かに、iPad Pro M2チップ搭載モデルなど、高性能なタブレットでこの制限があるのは残念に感じる方も多いでしょう。
「以前のiPadでは背面カメラでポートレートが使えた気がする」
これは記憶違いです。歴代すべてのiPadで、ポートレートモードはフロントカメラ専用でした。iPhoneと記憶が混同している可能性があります。
「ソフトウェアで対応できるはずなのに、なぜやらないの?」
技術的にはAI処理でシングルレンズでもポートレート効果を作れますが、Appleの品質基準を満たすレベルには達していないのかもしれません。
Appleにフィードバックを送ろう
もし「背面カメラでもポートレートモードが使いたい!」という強い要望があれば、Appleの製品フィードバックページから意見を送ることができます。
フィードバックの送り方:
- Appleの製品フィードバックページにアクセス:https://www.apple.com/feedback/
- 「iPad」を選択
- 機能リクエストとして意見を記入
多くのユーザーから同様のリクエストが届けば、将来のiPadOSアップデートで実現する可能性もゼロではありません。
よくある質問(FAQ)
Q1:iPadのポートレートモードで外カメラに切り替える方法はありますか?
A: 残念ながら、ありません。ポートレートモードを選択すると、自動的にインカメラに切り替わります。これは仕様であり、設定で変更することはできません。
Q2:将来のiPadでは背面カメラでもポートレートが使えるようになりますか?
A: 現時点では公式な情報はありませんが、可能性はあります。将来的にiPadの背面カメラがデュアルレンズやLiDARセンサーを標準搭載すれば、実現するかもしれません。
Q3:iPad mini や iPad Air でもポートレートモードは使えますか?
A: 機種によります。最新のiPad Airや一部のiPad miniでは、インカメラでポートレートモードが使える場合があります。「カメラ」アプリで「ポートレート」モードがあるか確認してください。
Q4:ポートレートモードの照明エフェクトって何ですか?
A: ポートレートモード撮影時に選べる特殊効果のことです:
- 自然光:背景だけをぼかす(標準)
- スタジオ照明:顔を明るく照らす
- 輪郭強調照明:ドラマチックな影を作る
- ステージ照明:背景を暗くして被写体を際立たせる
- ステージ照明(モノ):白黒バージョン
これらはインカメラのポートレートモードでのみ使用可能です。
Q5:iPadで撮った写真を後からポートレート風に編集できますか?
A: はい、できます。「写真」アプリの編集機能や、サードパーティの写真編集アプリを使えば、通常の写真に後からぼかし効果を追加できます。ただし、本物のポートレートモードで撮影した写真ほど自然な仕上がりにはならない場合があります。
まとめ:iPadのポートレートモードは割り切りが必要
残念ながら、現在のiPadでは背面カメラ(外カメラ)でポートレートモードは使えません。
この記事のポイント:
- iPadのポートレートモードはインカメラ(フロントカメラ)専用
- これはハードウェアの制約による仕様
- ソフトウェアアップデートだけでの対応は難しい
- 代替手段として写真編集アプリやiPhoneでの撮影を活用
- Appleのフィードバックページで機能リクエストを送れる
「iPadで背景をぼかした写真を撮りたい」という方は、代替方法を試してみてください。完璧ではありませんが、工夫次第で素敵な写真が撮れますよ。
iPadは書類スキャンや動画視聴、イラスト制作など、他の用途では抜群に優秀なデバイスです。カメラ機能については割り切って使うのが賢い付き合い方かもしれませんね。
将来のiPadで背面カメラのポートレートモードが実装されることを期待しつつ、今できる撮影方法を楽しんでいきましょう!


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