「この動画、スマホで見られない…」
「音声だけ取り出したいんだけど…」
「動画のサイズが大きすぎてアップロードできない!」
こんな悩み、誰もが一度は経験したことがあるはずです。
そんなときに頼りになるのが「FFmpeg(エフエフエムペグ)」というツールです。プロの動画編集者からYouTuberまで、世界中で使われている超強力な動画・音声処理ソフトなんですよ。
この記事では、FFmpegの基本から実用的な使い方まで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
FFmpegってどんなツール?

オープンソースの動画・音声処理ソフト
FFmpegは、動画や音声ファイルを変換・編集・処理できる無料のソフトウェアです。
「オープンソース」というのは、プログラムの設計図が公開されていて、誰でも自由に使える仕組みのこと。企業の製品ではなく、世界中の開発者が協力して作り上げています。
だから完全無料で、機能制限もありません。
コマンドライン形式で動作
FFmpegは、マウスでクリックするような画面(GUI)がありません。
代わりに「コマンドライン」という、文字で命令を入力する方式で使います。最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れれば非常に効率的です。
黒い画面に英語の命令文を打ち込むイメージですね。プログラミング経験がなくても、基本的なパターンを覚えれば問題なく使えます。
対応フォーマットは1000種類以上
FFmpegの最大の強みは、膨大な種類のファイル形式に対応していることです。
動画形式:
- MP4、AVI、MOV、MKV、WMV、FLV、WebM など
音声形式:
- MP3、AAC、WAV、FLAC、OGG、M4A など
画像形式:
- JPEG、PNG、GIF、BMP など
「このファイル、開けない…」というトラブルは、ほぼ解決できます。
YouTube、Netflixも裏で使っている
実は、私たちが普段使っている多くのサービスで、FFmpegが活躍しています。
使用例:
- YouTubeの動画配信
- Netflixのストリーミング
- VLCメディアプレーヤー
- HandBrake(動画変換ソフト)
- OBS Studio(配信ソフト)
プロが使う業務用ソフトの中核を担っているくらい、信頼性が高いツールなんです。
FFmpegで何ができるの?
動画形式の変換
最も基本的で、よく使う機能です。
できること:
- MP4をAVIに変換
- MOVをMP4に変換
- FLVをMKVに変換
スマホで撮った動画がパソコンで再生できない、なんて問題も簡単に解決できます。
動画の圧縮
ファイルサイズを小さくして、保存容量を節約できます。
メリット:
- 大容量の動画をメールで送れるサイズに
- スマホの容量を節約
- アップロード時間を短縮
画質を少し下げるだけで、ファイルサイズを半分以下にすることも可能です。
音声の抽出
動画から音声だけを取り出せます。
使用例:
- ミュージックビデオからMP3を作る
- 講義動画を音声ファイルにして通勤中に聞く
- ポッドキャストの素材を作る
画面を見る必要がないコンテンツは、音声だけにすると便利ですよね。
動画のカット・結合
不要な部分を削除したり、複数の動画をつなげたりできます。
できること:
- CM部分をカット
- 冒頭の不要なシーンを削除
- 複数の動画を1本にまとめる
編集ソフトを使わなくても、基本的な編集作業ができます。
動画の解像度変更
画面サイズを変更できます。
変更例:
- 4K(3840×2160)→ Full HD(1920×1080)
- Full HD → HD(1280×720)
- 縦長動画を横長に
古いデバイスで再生するために解像度を下げたり、逆に拡大したりできます。
字幕の追加・抽出
動画に字幕を焼き込んだり、字幕ファイルを取り出したりできます。
できること:
- SRTファイル(字幕ファイル)を動画に埋め込む
- 動画から字幕を抽出
- 字幕の位置やサイズを調整
語学学習用の動画を作るときなどに便利です。
FFmpegのインストール方法
Windows版のインストール
Windowsユーザーは、以下の手順でインストールします。
手順:
- FFmpegの公式サイト(ffmpeg.org)にアクセス
- 「Download」ボタンをクリック
- Windowsのアイコンを選択
- 「Windows builds from gyan.dev」をクリック
- 「ffmpeg-release-essentials.zip」をダウンロード
- ZIPファイルを解凍
- 解凍したフォルダを「C:\ffmpeg」に配置
- 環境変数のPathに「C:\ffmpeg\bin」を追加
環境変数の設定が少し難しいかもしれませんが、これを済ませれば、どこからでもFFmpegを使えるようになります。
Mac版のインストール
Macユーザーは、Homebrewを使うと簡単です。
手順:
- Homebrewがインストールされていない場合は、まずHomebrewをインストール
- ターミナルを開く
- 以下のコマンドを入力:
brew install ffmpeg
- インストール完了を待つ(数分かかります)
Homebrewは、Macでソフトをインストールするための便利なツールです。まだ入れていない人は、これを機に導入してみましょう。
Linux版のインストール
Linuxでは、各ディストリビューションのパッケージマネージャーを使います。
Ubuntu/Debian系:
sudo apt update
sudo apt install ffmpeg
Fedora/RHEL系:
sudo dnf install ffmpeg
Linuxユーザーなら、この方法が最も簡単です。
インストール確認
正しくインストールされたか確認しましょう。
手順:
- コマンドプロンプト(Windowsの場合)またはターミナル(Mac/Linuxの場合)を開く
- 以下のコマンドを入力:
ffmpeg -version
- バージョン情報が表示されればOK
「command not found」などのエラーが出る場合は、インストールまたは環境変数の設定に問題があります。
FFmpegの基本的な使い方

コマンドの基本構造
FFmpegのコマンドは、以下の形式で書きます:
ffmpeg -i 入力ファイル名 [オプション] 出力ファイル名
各要素の説明:
ffmpeg:プログラム名-i:入力ファイルを指定する記号入力ファイル名:変換したい元のファイル[オプション]:画質や音質などの設定出力ファイル名:変換後のファイル名
この基本形を覚えれば、ほとんどの操作ができます。
最もシンプルな変換コマンド
まずは、基本中の基本から試してみましょう。
例:MP4をAVIに変換
ffmpeg -i input.mp4 output.avi
これだけです。ファイル形式の変換は、出力ファイル名の拡張子を変えるだけで自動的に行われます。
FFmpegが賢く判断して、適切な設定で変換してくれるんです。
よく使うコマンド例
動画から音声を抽出
動画ファイルからMP3を作ります。
コマンド:
ffmpeg -i video.mp4 -vn -ab 192k audio.mp3
オプションの説明:
-vn:動画(video)なし-ab 192k:音声ビットレート(音質)を192kbpsに設定
音質を上げたい場合は、192kを256kや320kに変更しましょう。
動画を圧縮
ファイルサイズを小さくします。
コマンド:
ffmpeg -i input.mp4 -vcodec libx264 -crf 28 output.mp4
オプションの説明:
-vcodec libx264:H.264という圧縮方式を使用-crf 28:圧縮率(0〜51、数値が大きいほど圧縮率が高い)
CRF値の目安:
- 18〜23:高画質(ファイルサイズ大)
- 23〜28:標準画質(バランス型)
- 28以上:低画質(ファイルサイズ小)
動画の解像度を変更
画面サイズを変えます。
Full HDからHDに変換:
ffmpeg -i input.mp4 -vf scale=1280:720 output.mp4
オプションの説明:
-vf scale=1280:720:幅1280、高さ720ピクセルに変更
アスペクト比(縦横比)を維持したい場合は、片方を-1にします:
ffmpeg -i input.mp4 -vf scale=1280:-1 output.mp4
これで、幅を1280に固定して、高さを自動計算してくれます。
動画の一部をカット
特定の時間範囲だけを切り出します。
10秒目から30秒間を切り出す:
ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:00:10 -t 30 output.mp4
オプションの説明:
-ss 00:00:10:開始位置(時:分:秒)-t 30:長さ(秒)
開始と終了で指定する場合:
ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:00:10 -to 00:00:40 output.mp4
-toで終了時刻を指定できます。
複数の動画を結合
別々の動画ファイルを1つにまとめます。
手順:
- まず、結合したいファイルのリストを作成(list.txt):
file 'video1.mp4'
file 'video2.mp4'
file 'video3.mp4'
- 以下のコマンドで結合:
ffmpeg -f concat -safe 0 -i list.txt -c copy output.mp4
オプションの説明:
-f concat:結合モード-safe 0:ファイルパスの制限を解除-c copy:再エンコードせずコピー(高速)
動画から静止画を抽出
動画の特定フレームを画像として保存します。
5秒地点のフレームを保存:
ffmpeg -i input.mp4 -ss 00:00:05 -vframes 1 output.jpg
1秒ごとに画像を保存:
ffmpeg -i input.mp4 -vf fps=1 output_%04d.jpg
%04dは連番(0001、0002…)になります。
GIFアニメーションを作成
動画からGIFを作ります。
コマンド:
ffmpeg -i input.mp4 -vf "fps=10,scale=320:-1" output.gif
オプションの説明:
fps=10:1秒間に10フレームscale=320:-1:幅320ピクセルに縮小
GIFはファイルサイズが大きくなりがちなので、解像度とフレームレートを抑えるのがコツです。
便利なオプション一覧
動画関連のオプション
よく使う動画設定のオプションです。
ビットレート(画質):
-b:v 2M
2Mbps(メガビット毎秒)に設定。数値が大きいほど高画質。
フレームレート:
-r 30
1秒間に30フレームに設定。
コーデック指定:
-vcodec libx264 # H.264形式
-vcodec libx265 # H.265形式(より高圧縮)
-vcodec copy # 再エンコードせずコピー
音声関連のオプション
音声の設定オプションです。
ビットレート(音質):
-b:a 192k
192kbpsに設定。128k〜320kが一般的。
サンプリングレート:
-ar 44100
44.1kHzに設定(CD品質)。
チャンネル数:
-ac 2
ステレオ(2チャンネル)に設定。
その他の便利なオプション
覚えておくと役立つオプションです。
進行状況を非表示:
-loglevel quiet
エラー以外のメッセージを表示しない。
上書き確認をスキップ:
-y
既存ファイルを確認なしで上書き。
ハードウェアアクセラレーション:
-hwaccel auto
GPUを使って高速化(対応環境のみ)。
トラブルシューティング
コマンドが認識されない
エラーメッセージ: 「’ffmpeg’は、内部コマンドまたは外部コマンド…として認識されていません」
原因:
- FFmpegがインストールされていない
- 環境変数のPathが設定されていない
解決方法:
- FFmpegのインストールを確認
- 環境変数の設定を再確認
- コマンドプロンプト/ターミナルを再起動
変換が遅い・固まる
原因:
- 大容量ファイルの処理
- 高解像度動画の変換
- CPUのスペック不足
解決方法:
-preset fastオプションで高速化- 解像度を下げて試す
- ハードウェアアクセラレーションを有効化
- 他のアプリを閉じてメモリを確保
音声が出ない・映像が出ない
原因:
- コーデックが非対応
- オプションの指定ミス
解決方法:
-vcodec copy -acodec copyで再エンコードせずコピー-vcodec libx264 -acodec aacで明示的にコーデック指定- 元ファイルの情報を確認:
ffmpeg -i input.mp4
ファイルサイズが巨大になる
原因:
- 圧縮設定が適切でない
- 高画質設定のまま変換
解決方法:
- CRF値を上げる(23〜28推奨)
- ビットレートを下げる
- 解像度を下げる
- 不要な音声トラックを削除
FFmpegを使う上での注意点
著作権に配慮する
動画や音声を変換・編集する際は、著作権を守りましょう。
OK:
- 自分で撮影した動画
- 著作権フリーの素材
- 私的使用の範囲内
NG:
- 他人の著作物を無断で配布
- コピーガードを解除
- 商用利用での無断使用
法律を守って、正しく使いましょう。
元ファイルのバックアップ
変換作業の前に、必ず元ファイルをコピーしておきましょう。
理由:
- コマンドミスでファイルが破損する可能性
- 思った通りの結果にならないこともある
- やり直しができるようにする
「-y」オプションを使うと上書きされるので、特に注意が必要です。
品質の劣化
圧縮や変換を繰り返すと、画質・音質が劣化します。
最善の方法:
- できるだけ元ファイルから変換
- 何度も変換し直さない
- 必要な設定を最初から決めておく
一度圧縮した動画を元の品質に戻すことはできません。
まとめ:FFmpegで動画処理をマスターしよう
FFmpegは、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本を押さえれば非常に強力なツールです。
この記事のポイント:
- 完全無料で1000種類以上の形式に対応
- コマンドラインで操作するが、パターンを覚えれば簡単
- 動画変換、圧縮、カット、結合など何でもできる
- プロも使う信頼性の高いツール
- 著作権とバックアップに注意して使う
最初は基本的なコマンドから始めて、徐々に複雑な操作にチャレンジしていきましょう。
一度使いこなせるようになれば、動画編集ソフトでは実現できない細かい調整や、大量のファイルを一括処理することも可能になります。
FFmpegの公式ドキュメントには、さらに詳しい情報やオプションが載っているので、困ったときは参照してみてください。
あなたも今日から、FFmpegで動画処理のプロフェッショナルを目指しましょう!

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