夜空に輝く美しい星々。でも、クトゥルフ神話の世界では、それらの星は恐怖と狂気の源なんです。
月の裏側には醜い怪物が住み、火星には廃墟となった巨大建造物が点在し、遠い宇宙の図書館には禁断の知識が眠っている…。
私たちが見上げる星空は、実は名状しがたい恐怖に満ちた世界だったのです。
この記事では、クトゥルフ神話に登場する星々と惑星について、その恐ろしい秘密を分かりやすくご紹介します。
概要

クトゥルフ神話における星々は、単なる天体ではありません。
それは邪神たちの故郷であり、異形の生物が住まう恐怖の世界なんです。
アメリカの作家H・P・ラヴクラフトが創造したこの神話体系では、地球に近い月や火星から、遥か彼方の暗黒星まで、様々な星々が物語の舞台となっています。
『死霊秘法』や『エイボンの書』といった禁断の書物によれば、宇宙の真の姿は、星々の一つ一つが無限の悪意を宿して睨み合い、混沌が絶叫をあげて渡り歩く、恐怖に満ちた世界だとされています。
太陽系の星々
月 – 裏側に潜む醜悪な存在
地球に最も近い天体である月ですが、クトゥルフ神話での月は決して穏やかな場所ではありません。
月の裏側の秘密
- ムーン・ビーストという醜い生物が都市を築いている
- ピンク色の触手を持つ、吐き気をもよおすほどの姿
- 黒いガレー船で地球にやってきて怪しい取引をする
- 夢の世界(ドリームランド)とつながっている
さらに、『ユゴスよりのもの』という別の異星種族の植民地も月の地下に建設されており、1000体以上の怪物と100人以上の人間の協力者が滞在しているんです。
月面のクレーターの底には、邪神シュブ=ニグラスを祀る祭壇まで存在しているそうです。
火星 – 廃墟と謎の生物
赤く見える惑星・火星も、不気味な秘密を抱えています。
火星の謎
宇宙を旅した者の証言によると、火星の赤い地表には巨大な石造建造物の廃墟が不規則に点在しているそうなんです。
特に注目されているのが「火星の人面岩」と呼ばれる構造物。
- 場所:シドニア地区
- 大きさ:長さ2.6km、幅2.3km
- 特徴:人の顔を模したような巨大建造物
- 発見:1976年、火星探査機バイキング2号が撮影
ところが、1998年に再度撮影を試みた時には、その岩が存在した痕跡すら残されていなかったという不可解な話も…。
火星は外宇宙の存在が地球へ飛来する際の前哨基地となってきたとされ、過去には火星から円筒形の物体が地球に落下し、中から蜘蛛とも魚ともつかぬ奇怪な生物が現れたという記録も残っています。
土星 – 様々な種族が住まう世界
美しい輪を持つ土星も、クトゥルフ神話では重要な舞台なんです。
ハイパーボリア大陸の人々からサイクラノーシュと呼ばれていた土星には、独特の自然環境があります。
土星の環境
- 濃紺の空に巨大な三重の輪が輝く
- 鉱物性の植物や菌類の森が広がる
- 水銀に似た液化金属の川や湖がある
- 硫黄臭がする大気
土星に住む種族
土星には、5つ以上の知的生命体が暮らしているとされています。
- ブプフレムフロイム族:頭部と体が一体化した種族
- ドジュヒビ族:翼を持たない鳥人
- エフィク族:おしゃべりな小人族
- グロング族:光を恐れて地下に住む種族
- イドビーム族:慎重な性格の種族
伝説の魔道士エイボンは、追放されて土星へと逃れ、ツァトゥグァの叔父にあたる土星の神フジルクォイグムンズハーに謁見したと伝えられています。
冥王星(ユゴス) – 恐怖の暗黒星
太陽の光さえ届かない遠い冥王星は、別名ユゴスとも呼ばれます。
ここは「ユゴスよりのもの」として知られるミ=ゴという種族の居留地なんです。
ミ=ゴの特徴
- ピンク色の体
- 胴体が口の痕で覆われている
- 大きな背びれがある
- 関節を有する脚が何本もある
ユゴスには窓のない塔や神殿があり、真っ黒な川には巨大な都市が存在するといいます。
ミ=ゴによって切り出された橋も見られますが、これは既に滅んでしまった太古の種族が残したものだと考えられています。
地球上では、ヴァーモント州の墳丘など世界各地にミ=ゴの痕跡が点在しており、時に川が氾濫してミ=ゴたちの死体が流れてくることもあるそうです。
太陽系外の星々
セラエノ – 暗黒の大図書館
牡牛座のプレアデス星団にある恒星セラエノ。
地球から1400光年離れたこの星の第4惑星には、禁断の知識を納めた巨大図書館が存在します。
セラエノ大図書館の特徴
- 黒く厚い石のブロックで造られた巨大建物
- 正面に高さ120m以上の巨大な円柱が林立
- 旧支配者が旧神から盗み出した知識を収蔵
- 忘れ去られた言語で記された異様な本が並ぶ
- 金色や緑色に変化する不思議な石が使われている
この図書館は、邪神ハスターの支配地に含まれているため、敵対する大いなるクトゥルフから逃れる者たちの緊急避難場所として利用されることもあるんです。
アーカムのラバン・シュリュズベリィ博士は、この図書館で旧支配者に対抗する術を記した大きな石板を発見し、「セラエノ断章」として発表しました。
ただし、この図書館には危険な守護者もいます。
高さ3mを超える、鱗の多い円錐体の巨大生物「セラエノの旅人」が図書館を守っているんです。
訪れるには金色の蜂蜜酒を飲む必要がありますが、これを飲むと精神だけがセラエノに転移され、元の肉体に戻れる保証はない、まさに地獄の片道切符なのです。
暗黒星ユゴスとミ=ゴ
冥王星の項目でも触れましたが、ユゴスは本当のミ=ゴの故郷ではありません。
彼らの真の棲息地は、宇宙の遥か彼方にあるとされています。
冥王星は単なる彼らの前哨基地に過ぎないんですね。
その他の恐怖の星々
クトゥルフ神話には、他にも様々な星々が登場します。
主な星々
- フォーマルハウト:旧支配者クトゥグアがいる星
- アルデバラン:ハスターが幽閉されているハリ湖がある
- 暗黒のゾス星系:クトゥルフ一族の出身地
- シャッガイ:昆虫種族の故郷(巨大な蛆虫が星を食らっている)
- ヤディス:魔道士ズカウバがいる惑星
これらの星々からは、様々な邪神や異形の生物が地球を目指してやって来ると言われているんです。
ドリームランドの星々
クトゥルフ神話には、夢の中にしか存在しないドリームランドという異世界があります。
このドリームランドにも独自の太陽系が存在し、現実世界とは異なる恐怖が待ち受けています。
ドリームランドの月
ドリームランドの月には、現実世界と同じくムーン・ビーストの都市があります。
彼らは地球と貿易を行っており、レンの商人という角と蹄を持つ種族を使役しているんです。
また、土星からやってくる「土星の猫」の中継地にもなっています。
土星の猫 – 奇妙な侵略者
ドリームランドの土星には、「土星の猫」と呼ばれる不思議な生物が生息しています。
土星の猫の特徴
- 猫とは名ばかりで、優美な姿ではない
- 体は複雑な模様をもった小さな宝石の塊で形成されている
- 非常に大きな体をしている
- 地球の猫に対して強い敵意を持つ
彼らは何らかの理由で地球の猫と戦うため、土星とその衛星から月を経由して地球にやってくるんです。
最終的には猫同士の戦いの後に和解するそうですが、その理由は謎に包まれています。
まとめ
クトゥルフ神話の星々は、人類の想像を超える恐怖と狂気に満ちた世界です。
重要なポイント
- 月の裏側にはムーン・ビーストという醜い生物が住んでいる
- 火星には廃墟となった巨大建造物が点在している
- 土星には様々な異星種族が暮らす独自の環境がある
- 冥王星(ユゴス)はミ=ゴの前哨基地となっている
- セラエノ大図書館には禁断の知識が収蔵されている
- ドリームランドにも独自の太陽系が存在する
- すべての星々が邪神や異形の生物と関連している
私たちが見上げる夜空の星々。その一つ一つに、こんな恐ろしい秘密が隠されているかもしれません。
クトゥルフ神話は、宇宙が決して人間にとって優しい場所ではないという、究極の恐怖を描いているんですね。


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