私たちが夜空に見上げる太陽系の惑星たち。
学校では「水金地火木土天海」と習いますが、クトゥルフ神話の世界では、これらの惑星は全く違う姿を見せるんです。
月には触覚を持つ異形の生物が住み、火星には古代の廃墟が点在し、冥王星には恐るべき種族が巣食っている……。
この記事では、クトゥルフ神話に描かれる太陽系の惑星について、その恐怖と謎を分かりやすくご紹介します。
概要:クトゥルフ神話における太陽系とは

クトゥルフ神話の太陽系は、私たちが知る科学的な太陽系とは異なる、恐怖に満ちた世界として描かれています。
約46億年前に誕生したとされる太陽系ですが、神話の中では宇宙からやってくる邪神や侵略者、名状しがたい存在たちの通り道となっているんです。
太陽系の構成
現実の太陽系と同じく、8つの惑星(水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星)が存在します。
かつては冥王星も含めて9つの惑星とされていましたが、2006年以降は準惑星に分類されました。それでも神話の中では、冥王星は特別に重要な位置を占めているんですね。
神話世界の特徴
クトゥルフ神話の太陽系には、以下のような特徴があります。
主な特徴
- 各惑星に異形の生物や種族が存在する
- 古代の文明の痕跡が残されている
- 地球を狙う侵略者の前哨基地となっている
- 現実とは異なる物理法則が働く場合がある
- 夢の世界(ドリームランド)にも対応する惑星がある
宇宙を旅した者だけが、これらの真実を知ることができるとされています。
月:最も身近な恐怖
地球から最も近い天体である月は、私たちにとって身近な存在です。
しかし、クトゥルフ神話の月は、異形の生物たちが住む恐怖の世界なんです。
月の裏側に潜むもの
月の裏側には、ムーン・ビースト(月棲獣)と呼ばれる生物が都市を築いています。
ムーン・ビーストの特徴
- ピンク色の触覚を持つ異形の生物
- ヒキガエルのような姿をしている
- 黒いガレー船に乗って地球にやってくる
- 邪神ナイアーラトテップに仕える
- 地球と怪しい取引を行っている
彼らの船の中には、ムーン・ビーストを支配する醜い存在が隠れているそうです。
ドリームランドの月
クトゥルフ神話には「ドリームランド」という夢の世界があり、そこにも月が存在します。
ドリームランドの月では、ムーン・ビーストがレンの商人という種族を奴隷として使役しているんです。また、土星の猫が地球に来る際の中継地点にもなっています。
月に隠された秘密
さらに驚くべきことに、月にはクトゥルフの幼生が存在するという伝承もあります。
これは、太古の昔に月が地球から分離した際、クトゥルフの幼生を乗せていたためだとされています。
また、「ユゴスよりのもの」(ミ=ゴ)の植民地も月の地下に建造されており、1000体以上のミ=ゴと100人を超える人間の協力者が滞在しているそうです。
火星:赤き星の秘密
赤く輝く火星は、地球から比較的近い距離にある惑星です。
クトゥルフ神話では、火星は外宇宙の存在が地球へ飛来する際の前哨基地となってきました。
火星の巨石建造物
宇宙を旅した者の話によれば、火星の表面には不規則に点在する巨石建造物が見られるそうです。
有名な夢見人ランドルフ・カーターも、火星に人工の巨大建造物の廃墟が残っているのを目撃したと語っています。
これらの建造物は既に廃墟となっていますが、かつて未知なる生物の居住地だった証拠なんですね。
シドニア地区の人面岩
特に注目されているのが、火星のシドニア地区にある人面を模したような巨大建造物です。
人面岩の詳細
- 「火星の内なるエジプト」と呼ばれる
- 長さ約2.6キロメートル、幅約2.3キロメートル
- 「銀の鍵」に関わる太古の装置があるとされる
- 1976年にバイキング2号が撮影
- 1998年の再撮影では痕跡すら消えていた
この人面岩の謎めいた消失は、多くの神秘学者を困惑させています。
火星人は実在するのか
火星から来たという噂の生物に出会ったと語る者もいます。
神話の中では、アイハイ族という火星原住種族が存在し、地球人類が宇宙進出した後は交易を結んでいるという設定もあるんです。
もしかすると、私たちが「火星人」と呼ぶ種族は本当に実在し、今も虎視眈々と地球を狙っているのかもしれません。
木星と土星:巨大惑星の謎

木星:最大の惑星
木星は太陽系で最も大きな惑星です。
その質量は、木星以外のすべての惑星を合わせた質量の2倍以上もあるんですね。
ガス惑星として知られる木星ですが、神話の中ではその衛星のひとつに見たこともない恐怖が潜んでいるとされています。
宇宙を旅した者がそう語っていますが、この話が事実かどうかは定かではありません。
土星:サイクラノーシュの世界
土星は、クトゥルフ神話の中で特に重要な惑星の一つです。
実は土星は、科学で言われるようなガス惑星ではなく、実際に地表を持つ世界として描かれているんです。
土星の真の姿
古代ハイパーボリア大陸では、土星を「サイクラノーシュ」という名で呼んでいました。
サイクラノーシュの特徴
- 硫黄臭がする濃紺の空
- 巨大な三重の輪が輝く
- 鉱物性の植物や菌類の森がある
- 水銀に似た液化金属の川や湖が流れる
- 複数の知的生命体種族が棲息している
土星に住む種族たち
土星には、以下のような種族が暮らしています。
主な土星の種族
- ブプフレムフロイム族:頭部と体が一体化した種族
- ドジュヒビ族:翼を持たない鳥人
- エフィク族:おしゃべりな小人
- グロング族:光を恐れ地下に住む種族
- イドビーム族:土星の神を崇拝する種族
魔道士エイボンの逃亡
伝説の魔道士エイボンは、イホウンデーの神官たちに追われ、邪神ツァトゥグァの力によって土星へと逃れました。
そこで彼は、ツァトゥグァの伯父にあたる土星の神フジルクォイグムンズハーに謁見したとされています。
土星の猫
ドリームランド(夢の世界)の土星には、「土星の猫」と呼ばれる巨大な生物が生息しています。
普通の猫のような優美な姿ではなく、複雑な模様を持った小さな宝石の塊で形成された体をしているんです。
土星の猫は、何らかの理由で地球の猫に敵意を示し、時折月や地球にやってきて猫同士の戦いを挑むそうです。
クトゥルフの休息地
大いなるクトゥルフが眷属たちを率いて暗黒のゾス星系から太陽系へ飛来した際、地球到達前に一時この星で翼を休めていたという記録もあります。
アウトグァと土星の関係
太古の地球に宇宙から飛来したとされるアウトグァという蛙に似た支配者は、巨大な翼を持つ土星からやってきたともいわれています。
ただし、この情報には諸説あり、確実ではありません。
冥王星:暗黒のユゴス
冥王星は、かつて太陽系第9惑星とされていましたが、2006年からは準惑星に分類されています。
しかし、クトゥルフ神話における冥王星の重要性は変わりません。
ユゴスという名
冥王星は、神話の中で「ユゴス」という別名で呼ばれています。
太陽の光さえ届かない、海王星の遥か外側、宇宙の果てに位置する暗黒の世界なんです。
ユゴスよりのもの(ミ=ゴ)
ユゴスには、「ユゴスよりのもの」として知られるミ=ゴという種族が住んでいます。
ミ=ゴの特徴
- ピンク色の胴体
- 体は口のような痕で覆われている
- 大きな背びれを持つ
- 関節のある脚が何本も生えている
- 菌類に似た生命体
ただし、冥王星は彼らの単なる居留地に過ぎず、本当の棲息地は宇宙の遥か彼方だともいわれています。
ユゴスの都市
ユゴスには、窓のない塔や神殿が立ち並ぶ巨大な都市が存在します。
真っ黒な川が流れ、ミ=ゴによって切り出して作られた橋も見られるそうです。
興味深いことに、これらの建造物の一部は、ミ=ゴが冥王星に来る前から存在していた太古の種族の遺物だとされています。
地球との関わり
ミ=ゴは地球にもやってきており、ヴァーモント州の墳丘など世界各地に痕跡を残しています。
時には川が氾濫してミ=ゴの死体が流れてくることもあるそうで、その異様な姿は新聞記事でも紹介されたことがあります。
ただし、詳しく調べようとする者は彼らに捕獲されてしまうため、真相は謎のままです。
月との接続
前述したように、ミ=ゴは月の地下にも植民地を建造しており、アンデス山中にある採掘地から転移することが可能だとされています。
現実の冥王星との符号
興味深いことに、2015年に発見された冥王星の特定の地形は、「クトゥルフ領域」と名付けられています。
神話と現実が奇妙に交差する瞬間ですね。
まとめ
クトゥルフ神話における太陽系は、恐怖と謎に満ちた世界として描かれています。
重要なポイント
- 月にはムーン・ビーストという異形の生物が都市を築いている
- 火星には古代文明の巨石建造物の廃墟が点在する
- 土星(サイクラノーシュ)には複数の知的種族が棲息している
- 「土星の猫」は地球の猫と敵対関係にある
- 冥王星(ユゴス)はミ=ゴの居留地となっている
- 各惑星は外宇宙からの侵略者の前哨基地として機能している
- ドリームランド(夢の世界)にも対応する太陽系が存在する
私たちが見上げる夜空の星々も、クトゥルフ神話の視点で見れば、全く違う意味を持つのかもしれません。
宇宙の真実を知るのは、宇宙を旅した者だけ。
そして、その真実を知った者の多くは、正気を保つことができないのだそうです……。
参考文献
本記事は、以下の文献を参考にして作成しました。
- 『暗黒の叡智 クトゥルフ神話事典』(エンターブレイン)
- クトゥルフ神話関連ウィキペディア記事
- 「クトゥルフ神話の星々」
- 「ドリームランド (クトゥルフ神話)」
- H.P.ラヴクラフト作品群
- 『未知なるカダスを夢に求めて』
- 『蕃神』
- その他関連作品
※クトゥルフ神話は、H.P.ラヴクラフトが創造し、後の作家たちが拡張した創作神話体系です。本記事の内容はすべてフィクションであり、科学的事実ではありません。


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