「Outlookを起動したら、『プロファイルの読み込み中』のまま先に進まない…」
Outlookを起動すると、通常は数秒で受信トレイが表示されるはずですが、「プロファイルの読み込み中」という画面で止まってしまい、何分待っても先に進まないことがあります。急いでメールを確認したいのに、起動すらできないのは本当に困りますよね。
「プロファイルの読み込み中」で止まる問題は、プロファイルの破損、大きすぎるデータファイル、アドインの不具合、ネットワーク接続の問題など、様々な原因で発生します。重要なメールにアクセスできなくなると、仕事に大きな影響が出てしまうでしょう。
この記事では、Outlookが「プロファイルの読み込み中」で止まる原因と、段階的な解決方法を詳しく解説します。基本的な対処法から上級者向けの修復方法まで、順番に試していきましょう。
「プロファイルの読み込み中」問題とは

まず、この問題がどのようなものか理解しておきましょう。
症状の特徴
典型的な症状
Outlookを起動すると、以下のような画面が表示されます。
- 「プロファイルの読み込み中」というメッセージ
- プログレスバー(読み込み状況を示すバー)が表示される
- バーが途中で止まる、または非常にゆっくり進む
- 何分待っても先に進まない
待ち時間
数分で進むこともあれば、10分、20分待っても変化しないこともあります。1時間以上待っても起動しない場合は、明らかに異常です。
Outlookのプロファイルとは
プロファイルとは、Outlookの設定やデータを保存する「ユーザーアカウント」のようなものです。
プロファイルには、以下の情報が含まれています。
- メールアカウントの設定
- データファイル(PSTファイル、OSTファイル)の場所
- アドインの設定
- 表示設定やカスタマイズ情報
Outlookを起動するとき、このプロファイルを読み込んで、あなたのメール環境を復元しているんですね。
なぜ読み込みに時間がかかるのか
プロファイルの読み込み時に、Outlookは以下の処理を行っています。
- メールアカウントへの接続
- データファイルの読み込み
- アドインの起動
- 同期処理の開始
何らかの問題でこれらの処理が遅延すると、「プロファイルの読み込み中」で長時間待たされることになります。
問題の主な原因
読み込みが止まる原因を見ていきましょう。
原因1:プロファイルの破損
最も多い原因は、プロファイル自体が破損していることです。
設定ファイルに不整合があると、正常に読み込めなくなります。
原因2:データファイル(PST/OST)の問題
大きすぎるファイル
PSTファイルやOSTファイルが数GB以上に肥大化していると、読み込みに時間がかかります。
特に、10GB以上のファイルは要注意です。
ファイルの破損
データファイルが破損していると、読み込み中にエラーが発生して進まなくなることがあります。
原因3:アドインの不具合
サードパーティのアドイン(追加機能)が、起動プロセスを妨げていることがあります。
特定のアドインが応答しなくなると、Outlookが起動できなくなるんです。
原因4:ネットワーク接続の問題
Exchange ServerやMicrosoft 365のアカウントを使っている場合、サーバーとの接続がうまくいかないと、読み込みが進みません。
ネットワークが遅い、または不安定な場合に起きやすいです。
原因5:ウイルス対策ソフトの干渉
セキュリティソフトがOutlookのデータファイルをスキャンしていると、読み込みが遅くなることがあります。
原因6:Officeの破損
Office自体のファイルが破損していると、Outlookが正常に起動できません。
原因7:古いメールやアイテムの蓄積
何年もメールを削除せずに使っていると、膨大な数のアイテムが蓄積して、読み込みに時間がかかるようになります。
【最初に試す】基本的なトラブルシューティング
まずは、簡単にできる基本的な対処法を試してみましょう。
対処法1:しばらく待ってみる
初回起動や、大量のメールを同期する場合、時間がかかることがあります。
目安
- 通常:30秒〜2分
- 初回起動や大量データ:5〜10分
- 10分以上かかる:異常の可能性が高い
まずは5〜10分程度待ってみて、それでも進まなければ、次の対処法に進みましょう。
対処法2:タスクマネージャーで強制終了
待っても進まない場合、一度Outlookを強制終了します。
手順
- Ctrl + Shift + Esc を押して、タスクマネージャーを開く
- 「プロセス」タブで「Microsoft Outlook」を探す
- 選択して「タスクの終了」をクリック
- 数分待ってから、Outlookを再起動
対処法3:パソコンを再起動
シンプルですが、効果的な方法です。
Windowsの一時的な問題やメモリの不足が原因の場合、再起動で解決することがあります。
対処法4:ネットワーク接続を確認
ブラウザで任意のWebサイト(例:google.com)にアクセスして、インターネット接続を確認してください。
接続が不安定な場合、以下を試します。
- Wi-Fiルーターを再起動
- 有線LANに切り替える
- モバイルホットスポットを試す
対処法5:ウイルス対策ソフトを一時的に無効化
セキュリティソフトが原因かどうか確認するため、一時的に無効化してみます。
注意:無効化する際は、不審なサイトにアクセスしないでください。
無効化した状態でOutlookが起動できたら、セキュリティソフトの設定でOutlookを除外リストに追加しましょう。
セーフモードで起動する
アドインが原因かどうか確認するため、セーフモードで起動してみます。
セーフモードの起動方法
方法1:ショートカットキーで起動
- Outlookを完全に終了
- Ctrl キーを押しながら、Outlookのショートカットをダブルクリック
- 「Outlookをセーフモードで開始しますか?」と表示されたら「はい」を選択
方法2:ファイル名を指定して実行
- Windows + R キーを押す
- 以下を入力して Enter キーを押す
outlook.exe /safe
セーフモードでの確認
セーフモードで起動すると、すべてのアドインが無効になります。
セーフモードで正常に起動できた場合
アドインが原因です。後述の方法で問題のあるアドインを特定しましょう。
セーフモードでも起動できない場合
アドイン以外の問題(プロファイルの破損、データファイルの問題など)が原因です。
問題のあるアドインを特定して無効化
セーフモードで正常に起動できた場合、アドインを特定します。
アドインの管理画面を開く
ステップ1:通常モードで起動
セーフモードではなく、通常のモードでOutlookを起動します。
もし起動できない場合は、セーフモードで以下の操作を行ってください。
ステップ2:オプションを開く
「ファイル」→「オプション」→「アドイン」を選択します。
ステップ3:COMアドインを管理
下部の「管理」ドロップダウンで「COMアドイン」を選択して、「設定」ボタンをクリックしてください。
アドインを一つずつ無効化
ステップ1:すべてのアドインを無効化
一覧表示されたアドインのチェックをすべて外して、「OK」をクリックします。
ステップ2:Outlookを再起動
正常に起動できることを確認してください。
ステップ3:一つずつ有効化
アドインを一つ有効にして、Outlookを再起動し、正常に起動できるか確認します。
これを繰り返して、問題のあるアドインを特定しましょう。
ステップ4:問題のアドインを無効にする
問題のあるアドインが特定できたら、そのアドインを無効のままにするか、アンインストールしてください。
新しいプロファイルを作成する

プロファイルが破損している場合、新しいプロファイルを作成することで解決します。
新しいプロファイルの作成手順
ステップ1:コントロールパネルを開く
Windows + R キーを押して、以下を入力します。
control
Enter キーを押すと、コントロールパネルが開きます。
ステップ2:Mail(Microsoft Outlook)を開く
コントロールパネルで「Mail (Microsoft Outlook)」または「メール(32ビット)」を探してクリックします。
表示されない場合
表示方法を「大きいアイコン」または「小さいアイコン」に変更すると見つかりやすくなります。
ステップ3:プロファイルの表示
「プロファイルの表示」ボタンをクリックしてください。
ステップ4:新しいプロファイルを追加
「追加」ボタンをクリックして、新しいプロファイル名を入力します(例:「Outlook新規」)。
ステップ5:メールアカウントを設定
メールアドレスを入力して、「次へ」をクリックします。
Outlookが自動的にアカウント設定を検出します。
パスワードを入力して、設定を完了してください。
ステップ6:既定のプロファイルを変更
「常に使用するプロファイル」を選択して、新しく作成したプロファイルを選びます。
ステップ7:OK
「OK」をクリックして、設定を保存します。
ステップ8:Outlookを起動
Outlookを起動して、新しいプロファイルで正常に動作するか確認しましょう。
古いプロファイルのデータを移行
新しいプロファイルで正常に起動できたら、必要に応じて古いデータを移行します。
PSTファイルのインポート
- 「ファイル」→「開く/エクスポート」→「インポート/エクスポート」
- 「他のプログラムまたはファイルからのインポート」を選択
- 「Outlookデータファイル(.pst)」を選択
- 古いPSTファイルの場所を指定してインポート
データファイル(PST/OST)の修復
データファイルが破損している場合、修復ツールを使います。
受信トレイ修復ツール(ScanPST.exe)
Outlookには、PSTファイルを修復する専用ツールが付属しています。
ステップ1:Outlookを終了
修復前に、Outlookを完全に終了してください。
ステップ2:ScanPST.exeを起動
以下の場所にあるScanPST.exeを実行します。
Outlook 2016/2019/2021/365(64ビット版)
C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
Outlook 2016/2019/2021/365(32ビット版)
C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\root\Office16\SCANPST.EXE
エクスプローラーのアドレスバーにパスを貼り付けて、Enter キーを押すと起動できます。
ステップ3:PSTファイルを選択
「参照」ボタンをクリックして、修復したいPSTファイルを選択してください。
PSTファイルの場所
通常は以下の場所にあります。
C:\Users\ユーザー名\Documents\Outlook ファイル\
または
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
ステップ4:スキャンを開始
「開始」ボタンをクリックすると、ファイルのスキャンが始まります。
ステップ5:修復を実行
エラーが見つかった場合、「修復」ボタンが表示されるのでクリックしてください。
バックアップを作成するか聞かれるので、「はい」を選ぶと安全です。
ステップ6:Outlookを起動
修復が完了したら、Outlookを起動して、問題が解決しているか確認しましょう。
OSTファイルの再作成
Exchange ServerやMicrosoft 365のアカウントで、OSTファイル(オフラインデータファイル)に問題がある場合は、再作成します。
ステップ1:Outlookを終了
完全にOutlookを終了します。
ステップ2:OSTファイルの場所を確認
C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Outlook\
ステップ3:OSTファイルをリネーム
削除する代わりに、ファイル名を変更します(例:outlook.ost → outlook.old)。
こうすることで、万が一の場合に元に戻せます。
ステップ4:Outlookを起動
Outlookを起動すると、新しいOSTファイルが自動的に作成され、サーバーからデータが再ダウンロードされます。
注意:大量のメールがある場合、同期に時間がかかります。
Officeの修復を実行
Officeファイルの破損が原因の場合、修復機能を使います。
クイック修復
ステップ1:設定を開く
「設定」→「アプリ」→「インストールされているアプリ」を開きます。
ステップ2:Microsoft Officeを見つける
「Microsoft 365」または「Microsoft Office」を探してください。
ステップ3:変更をクリック
アプリの右側にある「…」(三点メニュー)→「変更」を選択します。
ステップ4:クイック修復を選択
「クイック修復」を選択して、「修復」ボタンをクリックしてください。
数分で完了します。
ステップ5:確認
修復完了後、Outlookを起動して問題が解決したか確認しましょう。
オンライン修復
クイック修復で解決しない場合、オンライン修復を試します。
同じ手順で、「オンライン修復」を選択してください。
注意点
- インターネット接続が必要
- 時間がかかる(30分〜1時間程度)
- Officeのすべてのファイルを再インストール
一時ファイルとキャッシュの削除
一時ファイルが原因の場合、これらを削除することで解決します。
Outlookの一時ファイルを削除
ステップ1:Tempフォルダを開く
Windows + R キーを押して、以下を入力します。
%temp%
ステップ2:Outlookを終了
フォルダを削除する前に、Outlookを完全に終了します。
ステップ3:OutlookSecureTempフォルダを削除
「OutlookSecureTemp」で始まるフォルダをすべて削除してください。
ステップ4:Outlookを起動
Outlookを起動すると、一時フォルダが自動的に再作成されます。
Officeのキャッシュファイルを削除
ステップ1:キャッシュフォルダを開く
Windows + R キーを押して、以下を入力します。
%localappdata%\Microsoft\Office\16.0\
ステップ2:OfficeFileCacheフォルダを削除
「OfficeFileCache」フォルダを見つけて削除してください。
ステップ3:再起動
Outlookを再起動して、問題が解決したか確認します。
予防策と日常のメンテナンス

今後同じ問題を防ぐための対策です。
予防策1:定期的にメールを整理
古いメールやアイテムを定期的に削除またはアーカイブしましょう。
自動アーカイブの設定
「ファイル」→「オプション」→「詳細設定」→「自動整理」から、古いアイテムを自動的にアーカイブする設定ができます。
予防策2:PSTファイルのサイズを管理
PSTファイルは2GB以下に保つことが推奨されます。
大きくなりすぎた場合は、複数のPSTファイルに分割するか、不要なメールを削除しましょう。
予防策3:定期的にバックアップ
重要なメールは、定期的にバックアップを取ってください。
PSTファイルをUSBドライブやクラウドストレージにコピーしておくと安心です。
予防策4:アドインは最小限に
必要なアドインだけを有効にして、不要なアドインは無効化またはアンインストールしましょう。
予防策5:Officeを最新に保つ
Windows UpdateやOfficeの更新プログラムを定期的に適用して、最新の状態に保ちます。
よくある質問と回答
プロファイルを削除すると、メールも消える?
プロファイル自体を削除しても、PSTファイルに保存されているメールは残ります。ただし、新しいプロファイルから再度PSTファイルを開く必要があります。
「プロファイルの読み込み中」が何分なら正常?
通常は30秒〜2分程度です。5分以上かかる場合は、何らかの問題がある可能性が高いです。
毎回「プロファイルの読み込み中」で時間がかかる
恒常的に遅い場合、データファイルが大きすぎる、アドインが多すぎる、パソコンのスペック不足などが考えられます。
新しいプロファイルを作ったら、古いメールはどうなる?
古いPSTファイルをインポートすれば、メールを移行できます。Exchange/Microsoft 365アカウントの場合、サーバーから自動的に同期されます。
会社のメールで問題が起きた場合は?
会社のIT部門やシステム管理者に相談してください。ネットワークポリシーやサーバー設定が原因の場合があります。
まとめ:段階的に対処して起動問題を解決しよう
Outlookが「プロファイルの読み込み中」で止まる問題の解決方法を解説しました。
重要なポイントをおさらい
- まずは再起動とネットワーク接続を確認
- セーフモードで起動してアドインの影響を確認
- 問題のあるアドインを特定して無効化
- 新しいプロファイルを作成するのが効果的
- PSTファイルの修復ツール(ScanPST.exe)を使う
- Officeの修復(クイック修復→オンライン修復)
- 一時ファイルの削除も試す価値あり
- 日頃からメールの整理とバックアップを
「プロファイルの読み込み中」で止まる問題は、複数の原因が絡み合っていることもあります。この記事の対処法を、簡単なものから順番に試していってください。
多くの場合、新しいプロファイルの作成や、アドインの無効化で解決します。それでもダメな場合は、Officeの修復やデータファイルの修復を試してみましょう。あなたのOutlookが正常に起動できるようになることを願っています!

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