「Outlookでメールが送れない…ポート番号が間違っているのかも?」
メールの送受信ができないとき、IT部門から「ポート番号を確認してください」と言われることがありますよね。でも、そもそもポート番号って何なのか、どこで確認すればいいのか分からないという方も多いでしょう。
ポート番号とは、メールサーバーとの通信に使う「出入口の番号」のようなものです。正しいポート番号が設定されていないと、メールの送受信ができません。
この記事では、Outlookで設定されているポート番号の確認方法から、主要なメールサービスの標準的なポート番号、設定変更の手順、トラブルシューティングまで、初心者にも分かりやすく解説します。メール設定で困ったときの参考にしてください。
ポート番号とは?基本を理解しよう

まず、ポート番号の基本的な概念を理解しておきましょう。
ポート番号の役割
ポート番号とは、ネットワーク通信で使われる「サービスの識別番号」です。
例えば、マンションに例えると分かりやすいです。IPアドレスが建物の住所だとすると、ポート番号は部屋番号のようなもの。同じ建物(サーバー)の中でも、どのサービス(部屋)に届けるかを指定するために使われるんです。
メールで使われるポート番号
メールの送受信では、主に以下のポート番号が使われます。
SMTP(送信用)
- ポート25:標準的なSMTPポート(プロバイダーによってブロックされることが多い)
- ポート587:SMTP Submission(最も推奨される送信用ポート)
- ポート465:SMTPS(SSL/TLS暗号化を使用)
POP3(受信用)
- ポート110:標準的なPOP3ポート(暗号化なし)
- ポート995:POP3S(SSL/TLS暗号化を使用)
IMAP(受信用)
- ポート143:標準的なIMAPポート(暗号化なし)
- ポート993:IMAPS(SSL/TLS暗号化を使用)
現代では、セキュリティの観点から、暗号化されたポート(587、465、995、993)を使うことが推奨されています。
暗号化の重要性
暗号化なしのポート(25、110、143)を使うと、メールの内容やパスワードが盗聴される危険性があります。
そのため、現在では暗号化ポートの使用が標準になっているんですよ。
Outlookでポート番号を確認する方法
実際にOutlookで設定されているポート番号を確認してみましょう。
Outlook 2016/2019/2021/365での確認方法
ステップ1:アカウント設定を開く
「ファイル」タブ→「アカウント設定」→「アカウント設定」を選択します。
ステップ2:アカウントを選択
「メール」タブで、確認したいメールアカウントを選択して、「変更」ボタンをクリックしてください。
ステップ3:詳細設定を開く
「詳細設定」ボタンをクリックします。
ステップ4:ポート番号を確認
「詳細設定」ウィンドウが開きます。
受信サーバーのポート番号
「詳細設定」タブを開くと、以下の情報が表示されます。
- 受信サーバー(POP3またはIMAP):ポート番号が表示されています
- このサーバーは暗号化された接続(SSL/TLS)が必要:チェックボックスの状態を確認
送信サーバーのポート番号
「送信サーバー」タブで、以下を確認できます。
- 送信サーバー(SMTP):ポート番号が表示されています
- 使用する暗号化接続の種類:なし、SSL/TLS、STARTTLSのいずれかが選択されています
ステップ5:確認完了
確認が終わったら、「キャンセル」をクリックして閉じます(変更していない場合)。
Outlook 2013での確認方法
基本的には上記と同じですが、インターフェースが少し異なります。
「ファイル」→「情報」→「アカウント設定」→「アカウント設定」→対象のアカウントを選択→「変更」→「詳細設定」の順に進んでください。
新しいOutlook for Windowsでの確認方法
新しいOutlookでは、設定画面が異なります。
ステップ1:設定を開く
画面右上の歯車アイコン(設定)をクリックします。
ステップ2:アカウントの管理
「アカウント」→「メールアカウント」を選択してください。
ステップ3:アカウントを選択
確認したいアカウントをクリックして、詳細を確認します。
注意点
新しいOutlookでは、従来版ほど詳細なサーバー設定を確認・変更できない場合があります。高度な設定が必要な場合は、従来版のOutlookを使うことをおすすめします。
Outlook on the web(Webブラウザ版)での確認
ブラウザ版のOutlook(https://outlook.office.com/)では、ポート番号は直接確認できません。
アカウントの種類(Microsoft 365、Outlook.comなど)によって、自動的に適切なポート番号が使われます。
主要メールサービスの標準ポート番号
代表的なメールサービスのポート番号を紹介します。
Microsoft 365 / Outlook.com
受信サーバー(IMAP)
- サーバー:outlook.office365.com
- ポート:993
- 暗号化:SSL/TLS
送信サーバー(SMTP)
- サーバー:smtp.office365.com
- ポート:587
- 暗号化:STARTTLS
Gmail
受信サーバー(IMAP)
- サーバー:imap.gmail.com
- ポート:993
- 暗号化:SSL/TLS
送信サーバー(SMTP)
- サーバー:smtp.gmail.com
- ポート:587(または465)
- 暗号化:STARTTLS(ポート587の場合)、SSL/TLS(ポート465の場合)
Yahoo! Mail
受信サーバー(IMAP)
- サーバー:imap.mail.yahoo.com
- ポート:993
- 暗号化:SSL/TLS
送信サーバー(SMTP)
- サーバー:smtp.mail.yahoo.com
- ポート:587(または465)
- 暗号化:STARTTLS(ポート587の場合)、SSL/TLS(ポート465の場合)
iCloud Mail
受信サーバー(IMAP)
- サーバー:imap.mail.me.com
- ポート:993
- 暗号化:SSL/TLS
送信サーバー(SMTP)
- サーバー:smtp.mail.me.com
- ポート:587
- 暗号化:STARTTLS
プロバイダーメール(例:OCN、ぷらら、So-netなど)
プロバイダーによって異なるため、各プロバイダーの公式サイトで確認してください。
多くの場合、以下のような設定になっています。
受信(POP3)
- ポート:110(暗号化なし)または995(SSL/TLS)
受信(IMAP)
- ポート:143(暗号化なし)または993(SSL/TLS)
送信(SMTP)
- ポート:587(STARTTLS)または465(SSL/TLS)
ポート番号を変更する方法
ポート番号が間違っている場合の変更手順です。
Outlook 2016以降での変更方法
ステップ1:アカウント設定を開く
前述の方法で、「ファイル」→「アカウント設定」→「アカウント設定」を開きます。
ステップ2:アカウントを変更
対象のアカウントを選択して、「変更」をクリックしてください。
ステップ3:詳細設定を開く
「詳細設定」ボタンをクリックします。
ステップ4:受信ポートを変更
「詳細設定」タブで、受信サーバーのポート番号を変更します。
例:110を995に変更(POP3でSSL/TLSを使う場合)
同時に「このサーバーは暗号化された接続(SSL/TLS)が必要」にチェックを入れてください。
ステップ5:送信ポートを変更
「送信サーバー」タブで、送信サーバー(SMTP)のポート番号を変更します。
例:25を587に変更
「使用する暗号化接続の種類」で「STARTTLS」を選択してください。
ステップ6:設定を保存
「OK」をクリックして詳細設定ウィンドウを閉じます。
「次へ」をクリックすると、設定のテストが行われます。
ステップ7:テスト結果を確認
「アカウント設定のテスト」が実行されます。
「完了」と表示されれば成功です。エラーが出た場合は、設定を見直してください。
ステップ8:完了
「完了」をクリックして、設定を保存します。
ポート番号変更時の注意点
暗号化設定とポート番号は対応させる
ポート番号を変更したら、必ず暗号化設定も適切に変更してください。
- ポート587:STARTTLS
- ポート465:SSL/TLS
- ポート993(IMAP):SSL/TLS
- ポート995(POP3):SSL/TLS
対応が間違っていると、接続できません。
プロバイダーの指定を確認
メールプロバイダーが推奨する設定に従ってください。独自の設定が必要な場合もあります。
ポート番号に関するトラブルと解決策

ポート番号関連の問題と対処法です。
問題1:メールが送信できない
症状
「送信サーバー(SMTP)に接続できません」というエラーが表示される。
原因と対処法
原因1:送信ポートが間違っている
ポート25を使っている場合、多くのプロバイダーがブロックしています。
→ ポート587に変更して、STARTTLSを使用してください。
原因2:認証設定が間違っている
送信サーバーが認証を要求しているのに、設定されていない。
→ 「送信サーバー」タブで「送信サーバー(SMTP)は認証が必要」にチェックを入れてください。
原因3:ファイアウォールでブロックされている
会社のネットワークやセキュリティソフトがポートをブロックしている。
→ IT部門に相談するか、セキュリティソフトの設定を確認してください。
問題2:メールが受信できない
症状
「受信サーバーに接続できません」というエラーが表示される。
原因と対処法
原因1:受信ポートが間違っている
暗号化を使っているのに、暗号化なしのポート(110や143)を使っている。
→ ポート995(POP3)または993(IMAP)に変更して、SSL/TLSを有効にしてください。
原因2:サーバー名が間違っている
ポート番号は正しくても、サーバー名が間違っていると接続できません。
→ メールプロバイダーの公式サイトで、正しいサーバー名を確認してください。
問題3:設定テストでエラーが出る
症状
「アカウント設定のテスト」で、「タスクでエラーが発生しました」と表示される。
原因と対処法
対処法1:ポート番号と暗号化の組み合わせを確認
- ポート587 + STARTTLS
- ポート465 + SSL/TLS
- ポート993 + SSL/TLS(IMAP)
- ポート995 + SSL/TLS(POP3)
この組み合わせが正しいか確認してください。
対処法2:ユーザー名とパスワードを確認
メールアドレスやパスワードが正しいか、再確認しましょう。
対処法3:一時的にファイアウォールを無効化
セキュリティソフトを一時的に無効にして、テストしてみてください。成功したら、セキュリティソフトの設定でOutlookを許可してください。
問題4:一部のメールだけ送受信できない
症状
小さなメールは送受信できるが、添付ファイルが大きいメールだけ失敗する。
原因と対処法
これはポート番号の問題ではなく、サーバーの容量制限や、タイムアウト設定の問題です。
「詳細設定」タブの「サーバーのタイムアウト」を長めに設定してみてください。
ポート番号確認のためのツール
ポート番号が正しく通信できるか確認するツールも紹介します。
Telnetコマンド
コマンドプロンプトから、特定のポートに接続できるか確認できます。
手順
ステップ1:Telnetクライアントを有効化
Windows 10/11では、デフォルトでTelnetが無効になっています。
「設定」→「アプリ」→「オプション機能」→「機能の追加」→「Telnetクライアント」を有効化してください。
ステップ2:コマンドプロンプトを開く
スタートメニューで「cmd」と検索して、コマンドプロンプトを開きます。
ステップ3:Telnetコマンドを実行
以下のコマンドを入力します。
telnet サーバー名 ポート番号
例:
telnet smtp.gmail.com 587
ステップ4:結果を確認
接続できれば、黒い画面になるか、サーバーからの応答が表示されます。
「接続できませんでした」と表示される場合、そのポートは使えません。
オンラインのポートチェッカー
Webブラウザから、ポートが開いているか確認できるサービスもあります。
PortCheckTool.com(例)
サーバー名とポート番号を入力すると、そのポートに接続できるか確認してくれます。
よくある質問と回答
ポート番号を間違えるとどうなる?
メールの送受信ができなくなります。エラーメッセージが表示されるか、タイムアウトで失敗します。
ポート25が使えないのはなぜ?
スパムメール対策のため、多くのインターネットプロバイダーがポート25をブロックしています。代わりにポート587を使ってください。
ポート587と465、どちらを使うべき?
現在はポート587(STARTTLS)が推奨されています。ただし、メールプロバイダーの指定に従ってください。
会社のメールでポート番号が分からない
IT部門やシステム管理者に確認してください。会社独自の設定になっている場合があります。
ポート番号は自由に変えていい?
いいえ、メールサーバーが指定したポート番号を使う必要があります。勝手に変更すると接続できなくなります。
まとめ:ポート番号を正しく設定してメールを快適に
Outlookのポート番号について詳しく解説しました。
重要なポイントをおさらい
- ポート番号はメールサーバーとの通信に使う「出入口の番号」
- 送信(SMTP)と受信(POP3/IMAP)で異なるポート番号を使う
- 現在は暗号化ポート(587、465、993、995)の使用が推奨される
- Outlookの「アカウント設定」→「詳細設定」で確認・変更できる
- ポート番号と暗号化方式は正しく対応させる必要がある
- メールプロバイダーの公式サイトで推奨設定を確認する
ポート番号は普段意識することが少ないですが、メールの送受信に不可欠な設定です。トラブルが起きたときは、この記事を参考に、正しいポート番号が設定されているか確認してみてくださいね!


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