【神出鬼没の極寒の地】クトゥルフ神話「レン高原」とは?所在不明の恐怖の荒野を徹底解説!

神話・歴史・伝承

地図を広げても見つからない場所があるとしたら、あなたはどう思いますか?

クトゥルフ神話に登場する「レン高原」は、まさにそんな不思議な土地なんです。中央アジアにあるという説、南極にあるという説、さらには夢の世界にあるという説まで、研究者によって主張がバラバラ。その謎めいた性質から「隠されしレン」という異名を持つこの極寒の荒野には、恐ろしい怪物や邪悪な神官が住んでいるとされています。

この記事では、クトゥルフ神話最大の謎の一つ「レン高原」について、その特徴や伝承、登場作品を詳しくご紹介します。

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概要

レン高原は、H.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話に登場する架空の土地です。

最大の特徴は、正確な所在地が「よく分からない」という点にあります。アブドゥル・アルハザードが書いた禁断の書『ネクロノミコン』をはじめ、数多くの文献で言及されているにもかかわらず、すべての記述が互いに矛盾しているんです。

初登場は1927年に書かれた『未知なるカダスを夢に求めて』という作品で、主人公ランドルフ・カーターが夢の国(ドリームランド)を冒険する中で訪れる場所として描かれています。

凍てつく荒野であり、不気味な修道院や異形の住人たちが存在する、世界から切り離された恐ろしい土地なんですね。

「隠されしレン」と呼ばれる理由

レン高原が「隠されしレン」という異名で呼ばれるのには、明確な理由があります。

それは、文献によって所在地の記述がまったく異なるからなんです。

主な所在地説

中央アジア説
『ネクロノミコン』には、中央アジアのモンゴル高原近くに位置すると記されています。接近不可能な場所にあり、邪悪な屍食宗派がはびこる無明の地だとされているんです。この説を裏付ける地図や文献も複数確認されています。

ドリームランド説
夢の国(ドリームランド)の北方、灰色の山脈を越えた先にある不毛の土地として描かれています。こちらのレン高原は、作中で最も詳細に描写されている場所なんですね。

その他の説

  • 南極の未知の山脈に位置するという説
  • ビルマ(現在のミャンマー)の奥地にあるという説
  • 地球ではない別の惑星にあるという説
  • 異次元の向こう側にあるという説

これらすべてが同一の場所を指しているのか、それとも別々の場所なのか。一部の研究者は、特殊な時空連続体で繋がった同一の場所なのではないかと推測しています。つまり、次元を超えて複数の場所に同時に存在しているというわけです。

ドリームランドのレン高原

夢の国に存在するレン高原の描写が、最も詳しく伝わっています。

環境と景観

ドリームランドのレン高原は、灰色で荒涼とした極寒の大地です。

主な特徴

  • 吹きさらしの氷の荒野が広がっている
  • 不毛の土地で、植物はほとんど生えていない
  • 常に冷たい風が吹き荒れている
  • 灰色の山脈を越えた北の果てに位置する

この凍てついた台地の頂上には、先史時代から存在するずんぐりとした石造りの修道院が建っています。その光景は、まさに世界の終わりを思わせる絶望的なものなんですね。

サルコマンドの都市

レン高原の南側には、サルコマンドという奇妙な都市があります。

ここに住む住民は人間ではありません。彼らは亜人類で、次のような特徴を持っています。

サルコマンドの住民の特徴

  • 蹄のある足を持つ
  • 全身が柔らかい毛で覆われている
  • 背中に妖しげな翼がある
  • 小さな角がある

実は彼らは、ムーンビースト(月の裏側からやってきた怪物)の奴隷なんです。ムーンビーストに支配された彼らは、小さな角を利用して人間の姿に変装し、黒いガレー船で夢の国各地の都市と交易を行っています。そして得た利益をすべてムーンビーストに貢いでいるんですね。

修道院と大神官

レン高原で最も恐ろしい場所が、台地の頂上にある修道院です。

孤独な住人

この修道院には、たった1人の大神官が住んでいます。

彼の姿はこう伝えられています。

  • 赤い模様が入った黄色の絹の覆面をつけている
  • ドーム状の礼拝堂で儀式を行っている
  • 不気味に彩色された祭壇の前に座っている
  • 悍ましい彫刻が施された象牙のフルートを演奏している

この大神官は「名状しがたき大神官」とも呼ばれ、その正体を見た者は恐怖のあまり言葉を失うとされています。

邪悪な儀式

大神官が捧げている祈りは、善良なものではありません。

彼が崇拝しているのは、ニャルラトテップという邪悪な神なんです。ニャルラトテップは「這い寄る混沌」とも呼ばれ、クトゥルフ神話において最も危険な存在の一つとされています。

象牙のフルートで奏でられる音楽とともに、冒涜的な祈りが夜な夜な捧げられているんですね。

登場作品と起源

レン高原という概念は、どのように生まれたのでしょうか。

H.P.ラヴクラフトの作品

レン高原は、ラヴクラフトの複数の作品に登場します。

主な登場作品

  • 『未知なるカダスを夢に求めて』(1927年執筆):最も詳細な描写
  • 『魔犬』(1922年):作品中で言及される
  • 『狂気の山脈にて』(1931年):南極説の根拠となる作品

特に『未知なるカダスを夢に求めて』は、ランドルフ・カーターが夢の国で失われた都市カダスを探す冒険を描いた作品で、レン高原はその旅の重要な舞台となっています。

作品の背景

『未知なるカダスを夢に求めて』は、1926年秋頃に執筆が始まり、1927年1月22日に完成しました。しかし、ラヴクラフトの生前には出版されず、1943年にアーカム・ハウス出版から初めて刊行されたんです。

この作品は、ラヴクラフトの「ドリームランド・サイクル」と呼ばれる一連の作品の中で最長の作品であり、ホラーとファンタジーの要素を組み合わせた壮大な物語として評価されています。

他のアジア高原との関係

興味深いことに、クトゥルフ神話にはレン高原以外にも、ツァン高原スン高原というアジアの高原が登場します。

作家のリン・カーターは、作品『墳墓に棲みつくもの』の中で、これら3つの高原を結びつけて描いています。すべてが何らかの形で繋がっているのかもしれませんね。

まとめ

レン高原は、クトゥルフ神話における最も謎めいた場所の一つです。

重要なポイント

  • 正確な所在地が不明で「隠されしレン」と呼ばれる
  • 中央アジア、南極、ドリームランドなど複数の説が存在
  • 禁断の書『ネクロノミコン』にも記述がある
  • 極寒の荒野で、不気味な修道院と邪悪な大神官がいる
  • ムーンビーストに支配された亜人類の都市サルコマンドがある
  • H.P.ラヴクラフトの『未知なるカダスを夢に求めて』で詳細に描かれる
  • 次元を超えて存在する可能性が示唆されている

所在地すら定まらないという設定が、かえってこの場所の神秘性と恐怖を高めているんですね。もしかしたら、レン高原は地図上の一点ではなく、悪夢と現実の狭間に存在する、誰もが迷い込む可能性のある場所なのかもしれません。


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